私立黒羽高校は男子校だ。
しかし昨今の生徒数の減少により、私立白峰女子高校と統合することになった。
俺の名前は八ツ橋葉月。──黒羽高校の生徒会長。
そして彼女は、雪宮氷花。──白峰女子高校の生徒会長だ。
統合初年度ということも
あり、任期が満了するまで生徒会長が二人という体制体制となった。
美しく、クールで、完全無欠。
氷の女神様と呼ばれている女性と。
しかしその実態は──どんなことにも手は抜かず、融通も利かない。超が付くほどバカ真面目な、真の意味で氷のような女神様だった。
しかも引越し先のお隣が、まさか雪宮氷花のお隣で。
図らずも隣人になった俺は、完全無欠と思われていた雪宮氷花の、とんでもない秘密を知ってしまったのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-03 15:06:21
174643文字
会話率:46%
立てば麗人、座れば美玉、歩く姿は王子様。
凛麗学園二年一組、学園の王子様、月宮鈴乃(つきみやすずの)。
美しく、可憐で、儚げで、愛らしい容姿。
それでいて誰にも分け隔てなく接し、甘い言葉を囁く彼女。
「やあ、子猫ちゃん」
「おは
よう。今日も可愛いね」
「髪切ったんだ。男らしく、とてもよく似合っているよ」
そんな彼女には、外では見せない秘密の顔がある——。
「正吾、抱っこー!」
「正吾、お菓子食べたい」
「正吾のご飯好きーっ」
「正吾」
「正吾~」
そう、彼女は日向正吾(ひなたしょうご)の前では、極端な甘えん坊だったのだ。
これは、そんな彼女の裏の顔がばれないように奮闘する少年と、そんな少年に恋をする少女達の青春の一ページ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-05 12:03:45
39976文字
会話率:44%
どうせ断るつもりだったお見合いの場に現れたのは、10年前に離れ離れになった親友だった。
「私にしとかない?」
昔は男子にしか見えなかったのに、すっかり美少女に変貌した彼女……『ゆーくん』こと烏丸唯華は、結婚相手として自分を推す。
名家の
跡取り息子である九条秀一は古くからの家訓に従い高校生の身にして結婚を急かされているのだが、唯華も似たような状況らしく。
「よく知らない相手と結婚するって、博打要素が強すぎるでしょ? その点、秀くんが相手なら気が楽かなって」
そんな軽いノリで、結婚を決めようとしていた。
一方、幼い頃から利益目当てで近づいてくる者ばかりで今やすっかり人間不信な秀一としても、かつての親友が相手なら気を許せる。
というか他の女性と同居生活など送れる気がしないため、実質他に選択肢がなかった。
そんな利害の一致により、ある種ビジネスライクに結婚が成立する。
ゆえに、美しく成長した唯華の『女性』の部分にドギマギしつつもあくまで『親友』としての距離を保とうとする秀一だったが。
「秀くんが……結婚してください、って言ってくれたぁっ……!」
重い女だと思われないよう表面上は軽い調子で接しているが、唯華は10年前から秘めた恋心を更に燃え上がらせているのだった。
誰よりも気の合う親友との生活は、昔と変わらずどこまでも楽しくて。
けれど、『親友』から本当の『夫婦』へ。
少しずつ少しずつ、二人の関係性は変化していく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-31 19:36:55
391949文字
会話率:47%
「――なにをしてるんだ?」
問いかけられて振り返る。
誰もいないはずの中庭に和服姿の青年が立っていた。新月の晩、姿を見せない月の代わりといわんばかりに輝く満天の星空の下、和傘をさした青年はにこやかに笑う。
「……なにも」
声をかけられ
た幼い少女は短く答える。
知らない人と言葉を交わしてはいけないと両親から強く言われていたことを思い出し、慌てて、自分の手で口を隠した。
……おに。
あやかしの存在を知っていた。
しかし、初めて目にした鬼の青年は美しく、すぐに逃げられなかった。
……こわくない?
鬼は恐ろしい存在だと聞かされてきた。
しかし、目の前にいる青年から悪意は感じない。
それどころか、少女の好意的な視線を向けていた。
「そうか。お前の名前は?」
「いわない」
「変なことを言うなぁ。自分の名前を知らないわけじゃないだろ?」
青年は笑う。
それに対し、少女は警戒をしていた。
……にげなきゃ。
頭の中ではわかっている。
しかし、少女は鬼の青年を見入ってしまった。人とは異なる美しい見た目とは違う豪快な笑い方をする青年に、心が惹かれてしまう。
一目惚れだった。
四歳の少女の初恋だった。
――これは、あやかしに恋をした少女の話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-31 07:50:00
16102文字
会話率:24%
本作品は古典文学作品『虫愛ずる姫君』の翻案小説です。
毎度、馬鹿馬鹿しい噺を一席。
昔々のそのまた昔、今からおよそ千年昔の平安時代。
花の都のとある、お邸で大納言様の姫君が、御両親様たちから大切にされながら暮らしておられました。
この姫君
、美しく聡明で心優しい、端から聞くと正に完璧な貴族のお姫様なのですが、何の因果かとにかく虫が大好きなのでございます。
その上、化粧もしないし、召し使っている幼い男の子達と一緒になって貴族男性の目も気にせずに庭で遊びまわっております。
とにかくやることなすこと、もうメチャクチャ。到底、上級貴族の姫君とは思えないことばかりいたします。
これは、そんな奇妙な姫君にまつわるお話でございます。
それに加えてまずは、言うまでもないことでございますが、ご覧の通り本作品はあくまでも小説──すなわち、全くの作り話にすぎません。つまり、これから語られる話はあくまでも虚構の中のお話しでございまして、例えその内容がどのように尤もらしく聞こえようとも、それらは全て私が口から出任せ出放題の嘘八百を、無責任に並べ立てただけのシロモノに過ぎず、したがって現実世界におけるいかなる人物、団体、あるいは言説等々との関係は一切ございません。ですから皆様方におかれましても、本稿において語られる言葉の一部始終を決してお信じになられぬよう、切にお願い申し上げます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-29 23:14:54
96806文字
会話率:22%
性格とは相反した体格と
顔付きを持つ男は、小さな村で虐げられていた。
鬼と相対するこの世界では、鬼は忌むべき存在。
似つかわしい男が生まれながらにして迫害されるのは、当然の事だろう。
迫害は日増し増加。
日々に耐えかねた男は人里離れた森で
一人暮らすことにした。
生活に馴染み、毎日を変わりなく過ごしていたが
ある日、奴隷の少女と出会う。
虚ろな瞳、やせ細った手足、奴隷の証である烙印。
しかし、その奴隷の少女はあまりにも美しく、気高かった。
姿から過去の自分と重ねてしまい、思わずその少女に手を差し伸べる。
「大丈夫です。私は、このままでも充分幸せですので。
悲しい顔をしないで、どうか笑ってください」
笑顔を押しつけるその姿に、男は思わず涙を流した。
その涙が、奴隷少女を不幸せにするという
決意に変わる瞬間、男は何を選び、何を望むのか。
【1話2500~4000文字程度です】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-29 17:25:23
40149文字
会話率:18%
伯爵令嬢のマリアは幼いときに王太子アランと婚約した。決められた婚約でも美しくて優しくて品性方向な婚約者にマリアは夢中になった。2人は仲良くやっていける——そう思っていたけれど……。
思春期に入るとアランは素っ気なくなった。
恋を自覚したマリ
アはわかる。アランは誰かに恋をしたのだと。
大好きだから別れてあげる。『婚約破棄』を『卒業』という優しい響きで包んで。
『第6回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』応募作品☆キーワードは「卒業」。
応募規定により1000文字以下のショートショートになります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-27 21:11:49
1000文字
会話率:11%
望月悠也はワールドセイバーズというVRゲームの対人対戦モード『アリーナ』にハマり、その才能を開花させ日本代表の座にまで上り詰める。しかしイギリス代表選手にボロ負けしてそのプライドは砕け散った。そして時は流れ、悠也はある少女との出会いを果たす
。リーズベルだ。彼女は異世界の魔女であり、最強最悪の存在。彼女がもし憎悪の感情を覚え、その力を発動させてしまうと世界はその理を失い、滅んでいってしまう。裕也は『滅びゆく未来線のリーズベル』に会い、まだ彼の世界にいるリーズベルなら破滅に際して軌道修正が可能である。彼女を守りながら、憎悪の感情を持たないよう、優しい子にはぐくんで欲しいと頼まれる。そして彼女は裕也に、『リアルワールドでもゲーム内のキャラクターとしてログインできる力』と『死んだとき一度だけセーブ地点からやり直す力』という不思議な力を授かる。引き受けた悠也の前に、リーズベルを襲う刺客たちが立ちはだかる。刺客たちは『勇者』であり、歴史上の偉人、神、伝説上の英雄とされる者たちが異世界で転生し、何百、何千年も修練を詰んだその姿であった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-27 15:00:00
96729文字
会話率:55%
ユキホ、皆から「ユキ」と呼ばれ、両親にもそう呼ばれているが、それは少し奇妙だ。彼は自分が全ての女子の心を射止めることを夢見ている。魅力的で男らしく、カリスマ的な人物だと自負しているが、現実は全く違う。彼の気まぐれな行動と魅力に欠ける外見は、
彼に避けられた視線と嘲笑のささやきをもたらすだけだ。ジャンとミヤモトという友達と共に、彼は常にルーシーという美しく優秀な学生会長を魅了しようと試みるが、決して成功することはない。
ある日、彼の人生は一変する。謎の見知らぬ人物が彼に魅惑的な香水を贈る。その香水は、どんな女性でも虜にする力を持っていた。ユキはその香りの力をすぐに実感することになる。予期せぬ抱擁、女子たちの激しい競争、そして突然の人気。だが、この予想外の力は、果たしてユキにルーシーを手に入れるチャンスを与えるのか、それとも彼が想像しなかったような結果に導くのか?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-26 22:01:07
7244文字
会話率:0%
生地を扱う商社の平凡な3男、マイケル。彼には美しく、そして素晴らしい絵の才能を持ったローズという幼馴染がいる。そんな二人には少しだけ変わった習慣があった。冬の精霊祭にマイケルがローズに物語を贈り、ローズはそんな彼の物語に絵を描くのだ。とこ
ろがある年の冬。マイケルは仕事で外国に長期出張することになり、ローズと長期間会えなくなる。それでもせめていつもの贈り物は、と物語を書くマイケル。大好きな人を想って書いた物語はちょっとした奇跡を起こします。クリスマスをイメージしたお話。読んで心が温まるようなお話を目指して書きました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-25 12:01:40
11432文字
会話率:52%
リーゼル伯爵家には何でも知っている魔法の鏡がある。そう、あの鏡だ。伯爵家の中で唯一鏡の声を聞くことの出来る1人娘、エミリアは事あるごとに魔法の鏡に話しかけるのだった。「鏡よ、鏡、鏡さん。世界で一番美しい女性は誰?」「それはまた難しい質問を
しますね」ただ、この鏡、ああ言えばこう言うやつ。でもエミリアのことを気にもかけている。鏡のアドバイスで美しく成長したエミリアはやがてこの国の王太子に見初められることに。でも、賢くなったがゆえに自信が持てないエミリアはまた、鏡に相談をする。これは可愛いお嬢さんを見守る、魔法の鏡が語るお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-30 20:01:14
5792文字
会話率:54%
15歳の田宮くしは姉に対するコンプレックスでできている。くしの姉、21歳女子大生の田宮ないしは出会う男全てを狂わせ、出会う女全てに嫌われてしまうという稀有な才能を持っていた。
幼い頃より姉の魅力に翻弄されていたくしは、ある日、初めてできた彼
氏と姉の浮気現場を目撃して絶望する。くしの激しい負の感情は「常世の蟲」を呼び出し、衝動的に蟲を食べてしまう。性的な快感と強い中毒性を持つ蟲の味は、くしの肉体を美しく強靭に変化させ、同時に心を壊していくのだが……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-25 10:40:50
100268文字
会話率:21%
「ねえ、フローレンス。僕との婚約を解消してくれないかな?」
フローレンス・ウィズモリスン公爵令嬢は貧乏男爵家の後継ぎベンとの婚約を望み、それは実現した。家格が下のベンにとっては断りようのない話だったが、優秀で美しく家格の高いフローレンスは王
子達からも婚約の打診が来ている令嬢なのだ。ベンは身を引くべきなのではと考えた。が、フローレンスにはウィズモリスン公爵家の方針に伴う独自の見解があったのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-25 07:45:11
3414文字
会話率:25%
「僕が君を愛することはない」
シャーウッド公爵家の令息ダレンは、妻となったアレクシアに不満があった。というよりアレクシアの実家で商売を得意とするクーパー男爵家が、シャーウッド公爵家の名を欲しがったものと思っていたのだ。性根が美しくないと。経
営の苦しいシャーウッド公爵家がクーパー男爵家を頼ったことも気に入らない。打算で結ばれたと思われた婚姻であったが、ダレンとアレクシアは、実は一三年前に既に会っていたのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-14 07:32:47
5964文字
会話率:49%
子爵令嬢シェリル・パーマーはその顔貌や体形から『まんまる令嬢』と呼ばれていた。とはいえ婚約者エイベルはシェリルの気立てを愛していたので幸せだった。そんな時、シェリルのまんまるは呪いであることが発覚し、解呪されたことによって超美人に変身してし
まった。それがため却ってエイベルは、身を引いた方がシェリルのためと考えてしまう。二人の行く末はいかに。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-24 07:20:12
6569文字
会話率:52%
高校卒業後、ニートのような生活を送りながら執筆活動に励む主人公のもとに一本の電話が入る。それは中学時代、同じバレーボール部で切磋琢磨したチームメイトからのものだった。
「俺と大会に出ないか」
「いやだよ。めんどくさいし」
友人との再会か
ら始まり、同級生との突然の出会いから告白、デート、練習、執筆、太宰治……懐かしい学生時代を回想しながら、主人公は二か月後に控えたクリスマスカップまで走り抜ける。変えられないからこそ美しく尊い過去を、不甲斐ない現実と照らし合わせ悶々とする主人公が、一筋の活路を見出すまでの中編。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-24 00:06:29
52136文字
会話率:39%
太古の昔神によってつくられた6つの国と、そのまわりに広がる砂漠が舞台の物語。
六神国の中心に位置するハーン国に生まれた王女エレイナは生まれると同時に母を亡くし、父からの無関心により父の妹マリシラに育てられる。
時がたちマリシラが幼馴染の婚約
者と結婚することになった。
だがその結婚式によばれた隣国の王子ダイロニアスがマリシラを見初めたことからこの世界の均衡が崩れ始める。
罠に嵌められ愛する夫を殺された彼女をダイロニアスの追手から逃がしたエレイナだったが、王子の従者である黒魔導士によりマリシラは殺されてしまう。
それから4年後、マリシラに似て美しく育ったエレイナを手に入れようとダイロニアスの軍はハーン国に攻め入る。
絶体絶命の中エレイナは自身の命と引き換えに禁忌の術で彼らを亡ぼすが、彼女が再び目を覚ますと時間を遡り過去の世界に戻っていた。
エレイナは過去の記憶と新たな計略を以て未来を変えて見せると決意する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-21 12:15:46
177692文字
会話率:39%
男爵家の庶子カリンは、市井で平民として生きて来た。母は美しく、常に傍らには男達が居て。ある日カリンは男爵家に養女として引き取られる。母に言われたように、素敵な男性を捕まえる為に。学園で出会ったのは、王子レクサスや、裕福な令息達。婚約者のいる
男達を篭絡して、奪った結果は、果たして…?
※「だから最後に嘘をつく」のグレイシアシリーズ、カリン視点。転生ヒロインではなく、普通のヒドインです!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-20 19:00:00
9465文字
会話率:29%
フィレント公爵令息のユーグレアスは、レクサス王子の側近として華々しい将来が約束されていた。美しく可憐な妹と、妹と姉妹と言われるほど美しい婚約者。だが、学園で出会ったカリンと王子の運命の出会いから、全てが狂っていく。
「だから最後に嘘をつく」
「初恋の代償に喪失を」のその後のユーグレアス視点です。ざまぁ成分多めなので、嫌いな方はご注意を。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-22 21:00:00
6852文字
会話率:21%
リディア・レーゼル・フォン・ブライスガウは、その美しさと賢さで社交界では有名な辺境伯領の令嬢だ。
そんなリディアには幼馴染がいる。カレドニア王国の第一王子、エドマンド •フィヒテ•フォン•オーディンゲンである。
二人は幼い頃にお互いを愛する
誓いを立て、リディアもいつかエドマンドと結婚して皇后となり、彼を支えて生きていくのだと信じていた。
エドマンドの為に日頃から美しくあろうと心がけ、誰もが振り返る美貌を保ち、勉強を欠かさず、領主である父の仕事を手伝えるほどの賢さも持っているリディアは完璧なお妃候補だった。
しかし、ある日幼馴染であり婚約者だった皇太子エドマンドから、いきなり婚約破棄を命じられる。
しかも、リディアが愛人と密会し、その為に邪魔になったエドマンドを殺そうとしていたなどと根も葉もない疑いをかけられ、王宮を追放、領地を剥奪されるという最低最悪の事態に。
なんとしてでも疑いを晴らし、エドマンドの心を取り戻そうとするリディアだが、実はその裏では王宮内の地位をめぐる権力争いが勃発していた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-19 22:03:01
101200文字
会話率:52%
「おかえりなさいませ、旦那様」
深々と頭を下げて出迎える、伯爵夫人らしく美しくも淑やかに着飾ったリヴェーラに、夫であるリアム・リスト・アルカディルは、返答を返すことはなかった。
彼女の体では維持し続けることが厳しいであろう姿勢のままし
ばらく放置し、やっと声をかけたかと思えば、彼女にかけられるのは冷たい声音。
「いつまでそうしているつもりだ」
リヴェーラ・リスト・アルカディル伯爵夫人。彼女は美しく教養もあり、奥ゆかしい妻だったが、夫に愛されることなく、二年という月日がすぎていた。
それでも夫を愛し、一生治ることの無い奇病と闘いながら伯爵夫人として業務をこなし続けた彼女だったが、ある日を境にその生活さえも崩れることになる。
女性には全く靡くことのなかった夫が、帝国に現れた聖女に求婚すると言うのだ。
そして本妻であるにもかかわらず別荘に追いやられたリヴェーラは、夫の邪魔になることだけはと、世界で最も愛する夫との離婚を決意する。
夫を愛し続けた妻と、妻の愛に気づくことのなかった伯爵の未来はーーー……
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-17 15:43:57
127534文字
会話率:36%
虹の光を操る少年キラとティアは、医療と浄化の力で栄える青水島に足を踏み入れる。彼らの目的は、この島に隠された「水の遺跡」の謎を解き明かすこと。しかし、島は異変に見舞われていた。透き通る川が濁り始め、浄化の力が失われつつあったのだ。
キラたちは、美しくも孤独な青水侯爵フルーメの依頼を受け、原因を探る調査に乗り出す。導き手となったのは治癒師リュイ。軽薄だが憎めない彼の助けを借り、島を巡る陰謀が次第に明らかになる。川を汚染する謎の装置、背後で糸を引く中央島の皇帝、そして遺跡に宿る青の精霊。青水島は、ただの医療の島ではなく、浄化の力をめぐる運命の鍵を握る地だった。
幾多の困難を乗り越える中で、キラたちは自身の力と使命に向き合い、仲間との絆を深めていく。
果たしてキラたちは、青水島を救い、遺跡に隠された「水の光」を手にすることができるのか?
そして、この冒険の影に潜む中央島の陰謀とは――。
水の流れと虹の光が織りなす壮大なファンタジーが、今幕を開ける!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-16 17:10:00
20582文字
会話率:43%
僕は悪い人間。僕の周りには不幸な人がいる。
僕と関わる人は不幸になる。そう、僕は疫病神
僕は人間が嫌いで嫌いで大好きだ。時には馬鹿みたいに道を踏み間違えて
時には何もかも人のせいにして逃げる。
そんな人間のちっぽけな被害妄想が好きだ。
だか
ら、今日も僕は不幸を撒き散らす
そんな一瞬の人間の美しい醜さを見るために
僕の周りにいる人間たちは、みんな少しずつ壊れていく。
まるで精巧に作られたガラス細工に、僕という何かが触れてひびが入るように。
でも、それが楽しい。
その痛みと苦しみを隠しながら、笑顔で生きようとする人間の滑稽さ。
「僕がいなければ、この人たちはもっと幸せだっただろう」
そんな風に思うと、なんだか笑いが込み上げてくる。
誰かとぶつかるわけでもなく、ただ黙って観察する。
人間はみんな何かに追われている。
仕事、恋愛、家庭、夢。
「そんなもの、全部どうでもいいじゃないか」
心の中でそう呟くと、妙に胸が痛んだ。
僕自身も、追われているからだ。
でも、その追われているものが何なのか、よくわからない。
ただ一つだけ確かなことがある。
僕は、自分の不幸さえ愛している。
ある日、僕の目の前に現れた一人の少女が言った。
「君、本当は誰よりも救われたいんでしょ?」
その瞳には、僕の中に隠した闇と同じ色が映っていた。
彼女は笑っていた。僕が今まで見た誰よりも醜く、そして美しく。
その瞬間、僕の世界が少しだけ揺らいだ気がした。
それが始まりだった。僕という「疫病神」が、その正体を暴かれる物語の。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-12-16 09:22:56
5833文字
会話率:25%
復活国家運営蒼生大和。
強く優しく美しく。
清くも正しくもないし、曲がった事もそんな嫌いではない。
でも幸せになるやつは多い。
最終更新:2024-12-16 07:00:00
19571文字
会話率:31%
近未来の電脳都市、東京。
世界的VR配信プラットフォーム「CircuLive」では、蒼の魔女アバターを纏うカリスマストリーマー「RainLilac(レインライラック)」が、新たな芸術表現としてVR公演を創り出していた。彼女のパフォーマンス
は美しく詩的で、観る者を青い幻想世界へ誘う。その中で、ただの無名フリーランスITワーカー、春木翔は彼女の作品に魅了され、ささやかな日常を潤していた。
しかし、ある夜、公演は謎のグリッチに襲われ、VRの幻想は醜悪なノイズに塗り潰されてしまう。RainLilacは沈黙し、世界中が混乱と陰謀論に飲まれる中、翔は意を決して彼女を救うべく行動を起こす。
謎の暗号化データ、闇市場で流通する非公式ツール、そして匿名掲示板や熱狂的ファンコミュニティからの知恵と勇気を借り、翔は「蒼穹のヴァーチャライザー」と呼ばれる新たな物語を紡いでいく。これは無名の解析者と、世界を魅了する青い魔女との出会いが生んだ、芸術再生と創造の叙事詩。
全100章に及ぶ長大な物語が、いま始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-15 20:32:56
68933文字
会話率:30%