ごく一介のサラリーマンが、飲み屋で日頃溜まっていた愚痴を吐き出した。
それがどういう訳だか、愚痴から出た願いは聞き届けられ、変なお題目とともに活躍の場が与えられた。
だがその舞台が、なんと240年前の江戸時代で、しかも天明の大飢饉直前の寒村
だった。
ごく普通の農村に居る名主の一家の中で、何の権威も持たない次男坊に憑依させられた俺は、4年後にこの寒村を襲うであろう天明の大飢饉による村人の被害を回避するため、平成の世で得た知恵を絞りだし、村人を救うためにいろいろなことをする」
といったお話です。
今更ですが、「(はらへった防止作戦実施員の奮戦記)」というサブタイトルはセンス無さ過ぎと身内にまで否定されてしまいましたので、タイトル欄から外してみました。「はらへった」でググル人にはご迷惑をおかけしますが、ご容赦ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-26 00:00:00
1761213文字
会話率:23%
ある高校3年生の意識が江戸時代に暮らす同年代の青年に憑依した、というifものです。
最終更新:2017-09-18 00:00:00
141821文字
会話率:16%
女子大生の蒲生希望は商店街の福引で食事券を当てたゼミ友に誘われ、ねぎま鍋を肴に晩酌する幸運に恵まれた。
‐冷蔵庫の無い江戸時代において、トロは傷みやすい食品として安売りされていた。
ゼミ友から聞いた豆知識を耳にした蒲生は、ねぎま鍋の美味しさ
から「江戸時代へタイムスリップしたい」と漏らすのだが…折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-21 06:04:46
1000文字
会話率:44%
新婚間もない若夫婦が訪れた温泉街には、四肢を備えた雪だるまが並んでいた。
この奇妙な雪だるまは、この地域に伝わる悲しくも恐ろしい昔話に由来しているのだった。
(本作品は、しいな ここみ様御主催の「冬のホラー企画2」の参加作品で御座います。)
最終更新:2024-01-03 08:35:18
2368文字
会話率:15%
徳川幕府の体制が盤石の物となって久しい宝永元年。
戦とは無縁な泰平の世に生まれ育った若侍達は、家督を継げる時を待ちながら穏やかに過ごしていた。
若き岸和田藩士である先山光太郎と加茂内膳もまた、そんな泰平の世に生きる若侍の一員である。
今宵も
二人は泉州名物の里芋を肴に差し向かいで飲みながら、四方山話に花を咲かすのだった。
(※本作品は公式企画「秋の歴史2023」の参加作品で御座います。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-01 07:23:37
2098文字
会話率:27%
最強と呼ばれていた呂布が江戸時代に降臨
今歴史を大きく変えようとしていた。
最終更新:2024-02-19 21:00:00
672文字
会話率:29%
綾部理加は、碰上大学で、心霊学を教えている。助手の理斗は、元飼い猫が人間に化けたものだが、猫には戻れず、人間として生活している。
学生を引き連れて熱海の別荘で起こる怪奇現象を調べに行った彼らは、事情を知らない依頼主の孫、藤河斎に追い返され
る。
実は斎は、碰上大学に長年封印された、心霊現象に関わる因縁の持ち主だった。斎の友人である久松朝陽は、彼の事情を知らずに、碰上大学の心霊現象に興味を持ち、共に調べようと持ちかける。
一方、理加の息子である康明は、霊能力を持たない引け目から、碰上大学の心霊現象を解明するため、独自に調査を進めていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-15 21:21:06
98012文字
会話率:31%
(c) 2017 甲斐八雲
彼は仕えていた主君を追い、腹を切った。
殉死を許される名誉を手に入れたのだから、悔いはない。
悔いは無かったが……強い未練は残った。
『義父の様に天下にその名を轟かせたい』と、心の中でずっと思っていたのだ
。
そして彼はその記憶の全てを、腹を切り介錯される瞬間までの記憶を抱いて生きている。
これは異世界へと渡った剣豪武蔵の養子ミキと、その溢れる才能を垂れ流し気味な自由奔放な娘レシアが出会いと別れを繰り返し……破滅の淵に立つ世界を救う手助けをする為に、仲間たちと共に絶望的な戦いに挑む物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-15 18:00:00
1054042文字
会話率:50%
気がついたら江戸時代の貧乏旗本の嫡男に転生してた。
それじゃあ平凡な旗本ライフを楽しみにしますかね。
と思ったこともあったけどどうやら許してはもらえない雰囲気。
元々は連載用に考えた物です。今書いているのが終わったら連載にする予定だっ
たんですがなかなか更新が進まないので書き溜めていた部分を先行公開します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-15 00:00:00
21213文字
会話率:48%
気がついたら江戸時代の貧乏旗本の嫡男に転生してた。
それじゃあ平凡な旗本ライフを楽しみにしますかね。
と思ったこともあったけどどうやら許してはもらえない雰囲気。
元々は連載用に考えた物です。今書いているのが終わったら連載にする予定。
最終更新:2018-07-23 01:55:42
3951文字
会話率:32%
江戸時代からタイムスリップしてきたらしい武士と、なし崩しに同居生活を営むことになったサラリーマンの、のんべんだらりとした日々。
特に大事件が起こることはない。強いて挙げるなら、水洗便所やシャワーを使うたびに武士の悲鳴が上がるぐらい。そろそ
ろ武士を置いて引っ越したい。
1話完結型の日記形式。
※不定期更新
※「カクヨム」「エブリスタ」にも投稿しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-10 22:39:23
322546文字
会話率:31%
酔い覚ましにと夜道を歩いていたはずの小柄兵衛(こづかひょうえ)、朔月幻一郎(さくつきげんいちろう)、服部蔵人(ふくべくろうど)の3人組、ふと気付けばそこは見知らぬ森の中。妖(あやかし)と呼ばれるモンスターが跳梁跋扈する江戸時代風の世界に迷い
込んだ3人は妖と戦いながら日々の糧を得て暮らしてゆく。
※この作品は以前投稿していた妖斬り、参る!の再スタート版となります折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-31 21:00:00
5795文字
会話率:64%
時代劇のような、けれどどうにも江戸とは違う世界に迷い込んだ小柄 兵衛(こづか ひょうえ)、ハットリ・クロード、朔月 幻一郎(さくづき げんいちろう)の三人。
本来なら居るはずのない妖(あやかし)の存在、あるはずのない魔法、そしてされている
はずのない開国。いくつもの違いに時に戸惑い、時に喜びながらも、この世界で日常を送るために妖退治の仕事へと飛び込んでいく江戸風時代劇ファンタジー。
作品の性質上、史実上の江戸時代とは矛盾する描写が存在します事をご了承ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-14 20:25:10
28850文字
会話率:60%
突然の火事で故郷である里山を失った鳥天狗の少年は、零と名乗る人鬼に拾われ「睦樹」という名を与えられる。名前も火事の時の記憶もない少年は零の住処『隠れ家』に身を置くことに。そこは行き場のない訳あり妖怪たちの住む場所。一風変わった萬事処『あやし
亭』でもあった。妖狐の一葉、猫又の双実、化狸の参太、人魚の五浦、死ねない人の志念、正体不明の紫苑。一癖も二癖もある『あやし亭』の妖達と火事の真相と自分の記憶を解明すべく動き出す。どうやらこの件には、火事に遭った里山と隣接する芽吹村を再建すると名乗り出た札差・近江屋佐平次が関わっているようで―――。妖怪と人が交わる江戸、人の世で生きる妖が事件を解き明かす怪奇譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-28 10:03:02
109779文字
会話率:38%
達郎はある日突然タイムスリップし、やってきたのは二百年前の江戸時代! 葛飾北斎、葛飾応為、柳亭種彦、渓斎英泉、山東京山、為永春水、そして曲亭馬琴――町人文化が艶やかに花開き咲き乱れた化政文化のど真ん中! 達郎は僥倖と奇縁に恵まれてとある書肆
(本屋)に拾われ、そこで江戸の町人として生活することとなる。
歴史は俺に何をさせようとしているのか――はこの際一切全くこれっぽっちも心底からどうでもよく、求めるものは健康で文化的な最低限度の生活。その実現のため、達郎は未来知識を使って(エンタメ業界で)無双しようとする。打倒八犬伝、打倒曲亭馬琴を掲げ、達郎は疾風怒濤となって文政という時代を駆け抜ける!
(本作はカクコムにも投稿しています)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-27 12:00:00
289379文字
会話率:50%
妖怪が人類滅亡まで追い込んで1000年。生き残った者たちは武器に魂を込めたり神通力を使って妖怪退治をしてなんとか人類復興の兆しを見せ始めていた。舞台は江戸時代を彷彿とさせる和を重んじる国。主人公は13歳という幼い年齢ながらも妖怪と命をかけ
た戦いに身を投じることを決断し妖怪たちを率いる王、魔王を討伐するまでの物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-20 23:23:22
1602文字
会話率:40%
大阪夏の陣ののち、江戸に戻った千姫の話です
最終更新:2024-01-20 00:53:59
2782文字
会話率:20%
現代人の男が江戸時代へとタイムスリップ!
そこで出会った町の娘と江戸の世界を駆け抜ける!
最終更新:2024-01-18 22:06:42
7959文字
会話率:79%
サラリーマンとして働く現代人が江戸時代へとタイムスリップ!
そこで出会った町の娘のために江戸の世を駆け抜ける!
最終更新:2024-01-16 21:47:20
4501文字
会話率:78%
サラリーマンとして働く現代人が江戸時代へとタイムスリップ!
そこで出会った町の娘と事件と戦いに巻き込まれていく・・・
最終更新:2024-01-13 21:32:34
5465文字
会話率:47%
かな文字に関するあれやこれやを綴った手帖のようなもの。
不定期更新です。
この作品は下記サイトにも掲載しています。
アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/novel/419395541/517835
098折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-12 20:00:00
15061文字
会話率:5%
その鷺は、朝に生まれて夜に死ぬ。
꧁ 『刺鳥刺』v×s『金朱の鷺』の奇恋譚 ꧂
江戸時代中期、享保四年(1719)。
八代将軍 : 徳川吉宗の享保の改革により、生類憐みの令で絶えていた『鷹狩り』が蘇った、鳥政治の治世。公僕となった鷹
匠に、餌鳥を捧げる『刺鳥刺』達が居た。
公議鷹場、武蔵国葛飾郡・東小松川村の
御鳥見下役 :『刺鳥刺見習い』の蒿雀-あおじ-は、
亡き師匠 : 加納 源進の遺薫から逃げ出した。
――往くは、相模国鎌倉郡の宿場町・戸塚宿の
『平旅籠 火鳥屋』。
嘘か誠か。『金朱の鷺』に逢えるという噂に胸を高鳴らせ、蒿雀は暖簾を潜ったのであった。古巣と金子を垣間見れば、刻限は十一日《とをかあまりひとひ》。幻の逢瀬を夢見るなら、心身を燃やしてでも叶えるべきだ。
꧁ 蒿雀・緑の挿絵 ꧂
【 https://38415.mitemin.net/i807117/ 】
꧁ 檀弓・火の挿絵 ꧂
【 https://38415.mitemin.net/i807118/ 】
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-11 01:14:11
10027文字
会話率:57%
時は元禄15年、赤穂浪士たちは吉良邸へと討ち入りのために続々と江戸へ集まっていた。その数、当初の1万倍の47万人。47万の圧倒的人数な浪人たちが吉良を狙うことにより、幕府と吉良と大石内蔵助たちは困惑と苦労を重ねていく。
最終更新:2024-01-09 17:02:31
19440文字
会話率:32%
異世界で長年過ごしてようやく日本に戻ってきたと思ったら江戸時代だった主人公、見た目は少年中身は老人の九郎。
蕎麦屋で居候をしながら江戸の日常にギャップを感じつつ飯を食べ美味いと楽しんだり、酒を飲んで遊び歩き妙な友人を作ったり、時には悪党
と喧嘩をして岡っ引きから逃げたりと小さくて賑やかな世界、江戸での九郎を取り巻く時代小説風日常コメディ。
※フィクション江戸世界ですので実際の江戸の描写、年代、事件、歴史人物の生没年等に若干違いや拡大解釈があります。
※2014年11月29日、エンターブレインから書籍化。12月5日、壱巻重版決定。3月30日、壱巻電子書籍化。
2015年5月30日、書籍弐巻発売。
2015年12月26日、書籍参巻発売。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-04 06:33:37
3687791文字
会話率:45%
時は江戸時代、元禄15年12月14日。浅野内匠頭が起こした殿中刃傷事件から始まった赤穂事件は山場を迎えていた。吉良上野介義央の屋敷に赤穂浪士ら47人が襲撃を仕掛け、吉良は武林唯七に討ち取られて死ぬ。しかし死んだはずの吉良が目覚めたら、当日の
朝であった。
短編小説『オール・ユー・ニード・イズ・吉良~死に戻りの赤穂事件~』で語られなかった幕間の100回目に死んだときのこと、吉良はふと思い立って、別居していた妻の富子へと会いに行くことに決めた。彼は離婚寸前、別居中の妻と仲直りできるのか。
これはhttp://ncode.syosetu.com/n8102dq/「オール・ユー・ニード・イズ・吉良~死に戻りの赤穂事件~」を本編としたシリーズスピンオフ短編小説です。
また、本編を十万字ほど大幅に加筆して文庫本一冊程度に纏めた小説『オール・ユー・ニード・イズ・吉良~死に戻りの忠臣蔵~』がKindleにて300円で販売中です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-08 20:21:37
9185文字
会話率:37%
甲斐の信玄と越後の謙信…川中島の戦いは戦国戦記に残る名勝負として歴史に残ります。
決戦の模様は臨場感たっぷりに語り継がれ、多くの人の知るところですが、実は実際の戦記を記した甲陽軍鑑を元に、江戸時代の講談で用いられた創作…というのをご存知でし
ょうか?
甲陽軍鑑にしても、川中島で実際に戦いがあったことは綴られていますが、決戦の詳細は記されていません。
キツツキの戦法、車かがりの陣など、ドラマチックな戦闘シーンは創作によるものというのが定説です。
私も実際に川中島に赴き検証して来ましたが、実際の戦闘は全く違う形で行われたのでは無いかと確信しています。
さて、犀川と千曲川に挟まれた川中島でどのような戦闘が行われたのか…
本小説では無名の足軽三人衆に登場してもらい、当時の戦いはかようなものであったのでは無いかと再現してもらいました。
また当時の時代背景や甲斐国、越後国の内情など、私なりに検証した背景も盛り込んでおります。
案外、本当に真実に迫っているかも…
当時の絵地図でも参照にしながら両軍の戦闘の経緯を想像すると分かりやすいかもしれません。
少し長いですが、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-07 18:34:34
63370文字
会話率:14%
新々刀期の三大刀工の一人、大慶直胤(たいけいなおたね)。彼にはいわゆる『松代藩の荒試し』という不名誉な伝承が残されている。それを基に書かれた小説が拍車をかけて、ネットの普及で爆発的に拡散されて、『水心子正秀(すいしんしまさひで)の弟子で有
名なだけ、見た目が良いだけの駄刀』という誤解が広まってしまっている。
ところが近年、世界遺産になった『韮山反射炉』に彼が大きく関わっていたことが江川文庫の研究で明らかになった。
時は江戸時代末期、『松代藩の荒試し』が行われたのはペリー来航の嘉永6年。激動の時代に生きた彼を当時の人々はどう見ていたのか。荒試しにはどのような思惑が隠されていたのか。
別に刀に詳しいわけでもなく、日本史を専攻したわけでもない、古文書の読み方なんて知らないただのアラフォー主婦がググった程度の話ですが、それでも直胤の異常なバッシングに一石を投じることができたらいいなと思い、頑張って書いてみます。なんたって直胤は韮山反射炉や台場(洋式の海上砲台)築造・日本初の洋式帆船『ヘダ号』製作の責任者、『江川英龍様』の師匠だもん。私は江川様ファンである。
そしてこれが一番大切なことだが、私は直胤を上げて山浦真雄(「やまうらまさお」だが「さねお」とも呼ばれる)や清麿(きよまろ)を貶めたいわけでは決してない。
(登場人物については後ほど詳しく書きます。)
『真雄と清麿とそれから直胤、みんな違ってみんないい』と思っている。『推し』を褒めるために他の刀工や他担を攻撃するのはオタクのマナー違反だもん。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-02 07:31:18
26173文字
会話率:4%
しいなここみ様主催の『冬のホラー企画2』参加作品です。
冬のホラーですが、ベタに雪だるまの話です。
最終更新:2024-01-01 09:00:00
1857文字
会話率:20%
初物として、珍重されていた鰹についての小話。
最終更新:2023-03-25 10:00:00
893文字
会話率:19%
とある煙管が手放い夫と、その妻の小話。
最終更新:2023-01-07 10:00:00
1686文字
会話率:17%
「江戸時代、紙屋で働いていた一人の若者が、店のお嬢様と恋に落ちた。若者は大旦那様に結婚の許しを得ようとしたのだけれど、はねつけられた。それでもあきらめない、何度も何度もやってきて畳に頭をこすり付けて懇願する若者に、大旦那様は言ったの。空を
飛んでみせろ。そしたら娘はお前にくれてやる」
想いを告げてくれた彼に対して、わたしはこんな話をしている。遠まわしに断られていると思ったかもしれない。
「それって天地がひっくり返っても、お前なんかに娘はやらないっていっているようなものだよね。だって江戸時代だろ?」
「でも、彼は飛んだのよ」
「何と」
「紙屋の技を活かしてね。和紙と布と竹の骨組で、とんでもなく大きい翼を組み立てたの」
「ハング・グライダーだ」
「そう、イギリスの誰だかがハング・グライダーでの滑降に成功した、その何十年も前のこと。ライト兄弟による飛行機発明の百二十年前。数え切れないほどの試作を繰り返して、ある夏の日、彼は橋の欄干から飛んだ。恋人の見守る前で。そりゃ物凄く怖かったろうけど一生に一度の勇気を出して、世界で初めて彼は飛んだ」
「で、ハッピーエンド?」
なんてあこがれる言葉だろう、ハッピーエンド。わたしは首を横に振った。
「残念ながら。夕涼みしていた町人たちが大騒ぎしちゃってね。本気で天狗が飛んできたと思ったみたい。彼、名前は浮田幸吉っていうんだけど、役人に取り押さえられて町から追い出されたそうよ。恋人ともそれっきり」
「罰が厳しいなあ」
「殿様の頭上を飛んだのがまずかったの」
「文字通り頭が高いってやつか。ところで、ということはだ。この場合みどりは紙屋の大旦那様で、俺がその浮田幸吉って人なのかな」
「ひどいでしょ、わたし。あきれてくれていいよ」
「こんなことであきれるくらいなら」
彼は、その先は言わずに微笑んだ。
わたしは彼に告白された。つきあってくれといわれた。その返事としてわたしは要するに、なにか凄いことをしてみせてくれたら、つきあってあげてもいいよと言っているのだ。
愚かしいほどに、頭が高い。
雨が窓ガラスを、わたしのことを咎めるようにたたき続けた。
あなたは何様ですか。そんなことをしてもらえるような、上等な人間なのですか。
本当はわたしにだって分かっている。
空を飛ぶべきはわたしなのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-29 02:11:07
148922文字
会話率:37%