俺、『哉太/かなた』は妹である『沙由/さゆ』の慌てる声で目を覚ます。
「早く来て!」と言われ、沙由の向かっていった玄関先で妹とおっぱい以外が瓜二つの少女が立っていた。
あまりにも似過ぎていたから単身赴任中の親父に連絡を入れると「お前
の妹だ」と衝撃の事実を聞かされる。
彼女は口下手ながら自分のことを『由沙/ゆさ』と名乗り、初対面だけど沙由とも仲が良く出来そうで安心した。
その日の夕食後、由沙から突然「哉太好き。恋人なって」と告白されて————折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-09 18:05:16
3321文字
会話率:57%
「ウェリア、は、その……どんな菓子が好きなんだ?」
こんな問いかけをされるのは十年間の婚約者生活で初めてだ。一体どんな心境の変化だろうか。本人も慣れていないからか視線が泳いでいる。突然の質問に、思わずずっと我慢していた言葉が漏れてしまうも、
彼は優しく微笑んだ。
「菓子くらいで気にするな。婚約者だろう」
心を許した相手には塩対応なオリヴァー王子が、外向けの笑顔を見せたのだ。頭が真っ白になり、その後はどんな話をしたのか覚えていない。それでも捨てられたことは理解した。彼は最近懇意にしているスーミン様に切り替えるつもりなのだろう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-03 12:00:00
12706文字
会話率:35%
高校進学を機に親元を離れて暮らすことにした主人公タイキは、部屋も余るからとFPSの相棒であるヒロを同居に誘う。
2年間共に戦ってきた相棒との気楽な同居生活を想像していたタイキだったが、待ち合わせ場所に座っていたのは低身長黒髪美少女!
想定外
から始まった同棲は、2人の関係性を変えていって……?
「ねえ……タイキは、こーゆーの、いや?」
「全然、うれ、しいけど?」
「ふふ、良かった」
これは、気心知れた相棒と始めるあまあま同棲ラブコメディ。
書きだめがありますので、毎日投稿を続けます!
カクヨム様でも連載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-28 23:52:53
37306文字
会話率:45%
起き抜けにパーティーメンバーから呼び出されたアレンは、そこで日頃の貢献を疑われる様な話をされる。
自らが使える主人の息子である王子の護衛をしつつ、手柄を奪わない様に影に徹していたのだが……生来の口下手と天然もあってか、完全にパーティー内
で孤立してしまったところを利用され、内側に潜んでいた敵に嵌められ追放されてしまう。
家族を侮辱されたと思われ、激高する王子に今は弁明しても無駄だと一旦退いて自らの主人であり、王子の母親に判断を仰ぐ事に。
そこで息子の事を謝罪されながらも、今度は王子本人に気付かれない様に護衛する事をお願され承諾する。
王子の妹の姫から心配されつつも、元同僚のアリサや鍛冶師のアビゲイルを引き連れて王子の護衛をするアレンには一つだけ秘密があった――それは王子が探し求めてやまない、遺失物をその右手に宿している事だ。
これは聖王の血を引く王子と、魔族とのハーフでありながら聖王の遺産をその右手に宿す男の物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-22 00:00:00
50874文字
会話率:52%
※『Dawn of the Mapmaker』という題名でCross Infinite World社から英語版が出版されました。詳細は目次下部をご覧ください。
その知識は、本来お前が持つべきものではない――
筆写師見習いのかたわら、地
図制作を請け負うウネン。領主の依頼で仲の悪い隣領との境界を測量することになった彼女は、護衛を探すために訪れた酒場で一人の旅の剣士と出会う。
ウネンが過去に作った地図を手に、剣士は「測量技術を誰から教わった?」と詰め寄ってくる。彼は、三年前に失踪したウネンの師匠を罪びとだと言って探していた。
師の犯した罪とは何なのか。門外不出の知識とはどのようなものなのか。
恩師の無実を証明すべくウネンの旅が始まる。
――小柄で男の子と間違えられてばかりいる地図屋の少女と、少女の師匠を追う腕利き剣士(口下手で苦労性)と切れ者魔術師(笑顔が胡散臭い)との、世界の秘密を巡る冒険譚。本編完結済み、番外編追加予定有り。[個人サイトとカクヨムにも掲載]折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-20 17:14:01
544342文字
会話率:44%
その夜、傭兵は海へと落ちる。
いや、落とされたと言った方が正しい。
ともあれ落ちるものは落ちるもの、少なくともこの傭兵はそう感じていた。
そして……
「……あっ大丈夫!?無理してない?駄目だよ、骨とか折れてるかもしんないんだから!」
流れ着いた街で目覚めたとき、見たこともない姿の女性がそこにいた。
──有り体に言えば、トカゲ?
鱗を纏う元気娘と口下手なところのある傭兵。
ひょんなことから何でも屋をやることとなる2人の生活が始まる!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-18 21:26:14
40272文字
会話率:34%
西南学院文芸部 大学祭企画『三題噺』掲載作品
キーワード:
最終更新:2021-11-11 01:53:36
1653文字
会話率:0%
別れ話にショックを受け、答えるべきものに答えずに立ち去ってしまった青年が、ヨリを戻すまでのお話。
最終更新:2021-11-10 22:27:04
2541文字
会話率:15%
黒市勇気の転校先の隣の席の主は【金色の獅子】と学校中から恐れられている美少女・小野町美冬。
染め上げられた金髪、切れ長の瞳は鋭く、話しかけても言葉は返ってこない。
しかし、勇気は『外見がめちゃくちゃ好み』という理由でめげずに美冬との会話を心
がけた。
それはもうクラスの恒例行事となるくらい。
しかし、ある日。偶然、放課後の教室でよだれを垂らしながら居眠りしていた美冬を起こした時から関係は変わる。
「あ、あの……私、全然不良なんかじゃなくて……これも地毛だし……」
「ふぇっ!? よ、よだれ!? ご、ごめんなさい! すぐ拭きます!」
「ちょっと人と喋るのが苦手で……で、でも、黒市くんは毎日私に話しかけてくれて、あの、その……迷惑じゃなければ……私と友だちになってくれませんか!?」
彼女はちょっと口下手で目つきが悪いだけのポンコツかわいい女の子だったのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-10 00:00:34
6261文字
会話率:49%
最強の暗黒騎士、凄腕のガーディアンとも呼ばれ、確かな実力を持っているゾディアック。
だが彼は、口下手で人見知りな性格をしており、初対面ではまともに会話できない「コミュ障」であった。
彼は孤独であり、同業者からは毛嫌いされていた。
本当は嫌われたくなどない。彼はいつも心を痛めていた。
そんな彼には心を通わせた女吸血鬼「ロゼ」がいた。2人は忙しいが、それでも幸せな日々を過ごしていた。
ある日、パンケーキを知ったロゼが「これを食べてみたい」とゾディアックに言った。
ロゼはとある理由から世界中で嫌われている吸血鬼であるため、不自由な思いをしている。そんな愛しい同居人が、パンケーキを食べたいと言っているのだ。
ゾディアックは心に決めた。
作りましょう。暗黒騎士のパンケーキ。
さっそくお菓子作りを始めるゾディアック。失敗しても決して諦めず挑戦を続ける。
そんな時だった。彼の前に、「ドラゴン救助」を願う少女が現れ……。
舞台は神々の争いから誕生した地、オーディファル大陸。そこに存在する「自由の国」、サフィリア宝城都市。
小さな国で始まった物語は、やがて国中を巻き込む壮大な物語へ変貌する!!
お菓子作りを通じて、様々な人物と出会い、絆を深めていく。
そんな暗黒騎士と吸血鬼、冒険者としての日々を描く、日常系アクション小説、です
※この作品は「カクヨム」「ノベルアップ+」にも掲載しております。
※この物語はフィクションです。設定や造語などはオリジナルです
※挿絵は「ジョルジュ上条」様に描いていただいており、すべて使用許可を得ております
※前作「C.O.O.K~暗黒騎士だけど、可愛い吸血鬼のためにデザート作るよ!~」のセルフリメイク版です。かなり話の流れやキャラが変更されておりますので、前作を見てくださった方もよろしければ見てください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-20 13:14:19
876243文字
会話率:47%
舞台は神々の争いから誕生した地、オーディファル大陸。
その大陸で生きる凄腕の暗黒騎士「ゾディアック・ヴォルクス」は、サフィリア宝城都市に住む冒険者である。
相当な実力を持っているのだが、口下手で人見知りな性格をしているため孤独であり
、他の冒険者達から毛嫌いされている。
だが、そんな彼には心を通わせた吸血鬼「ロゼ」がいた。2人はサフィリアに腰を落ち着け、幸せな毎日を過ごしていた。
そんなある日、電像機に映ったパンケーキを見て、ロゼが「食べたい」と言った。
ロゼは吸血鬼であるため、あまり自由がない。不自由な思いをさせてしまっている。そんな愛しい同居人の吸血鬼が、パンケーキを食べたいと言っているのだ。
ゾディアックは心に決めた。
作りましょう。暗黒騎士のパンケーキ。
お菓子作りを通じて、様々な人物と出会い、別れ、絆を深めていく。
そんな暗黒騎士と吸血鬼、冒険者としての日々を描く、日常系アクション小説、です。
※この物語はフィクションです。設定や造語などはオリジナルです。「あれ?これFF〇4じゃね?」とか思っても言わないでください。似ているかもしれませんが、オリジナルです。
※完結済みです!応援、ありがとうございました!!
※Twitterアカウントです。更新情報などをお届けします。
@narou_zinka
上記、検索で出てきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-20 22:09:01
359092文字
会話率:44%
私は結構意見があるタイプです。
が、いざ話すとなると、言葉にならないことが多くもあります。
あなたの身の回りの大人しい人も。
もしくは、あなた自身も。
意見がないわけはないのですよ。
最終更新:2021-09-03 08:00:00
2861文字
会話率:2%
昔々、あるところに一人の青年が住んでいました。
青年は若くして両親を亡くしていましたが、幼い頃から手先が器用だったこともあり、丈夫な木の皮を編んで笠や籠を作ったり、木片を削って見事な工芸品を作ったりしては、町に売りに行くことで糊口を凌いで
いました。
その日も青年は、淡雪の降る初冬の山道を抜けて、人里から離れたあばら家まで帰ってきました。
「いやぁ、それにしても今日はたくさん売れた。これでしばらくは暮らしていけそうだ。あの町の人達はみんないつも優しい。本当にありがたいことだ」
青年は生来口下手で、商いが得意な方ではありませんでした。
しかし、誠実で思いやりのある人柄と持ち前の器量のよさで、町に暮らす人々の心を鷲掴みにして放しませんでした。
「暮らしを心配され、土産に鰯までいただいてしまった」
青年は風呂敷に包まれた鰯に視線を落とし、申し訳ない気持ちになりましたが、腹の虫が鳴いたので、感謝の気持ちと共に夕餉の支度に取り掛かりました。
すると、そのときのことでした。
コンコンと静かに戸を叩く音が聞こえてきました。
普段この豊かな自然に囲まれたあばら家には訪ねてくる者もおらず、青年は訝しげな表情になりながら戸に近付きました。
風の音ではありません。そこには確かに生ける者の気配がありました。
「何者か」
「道に迷って途方に暮れていたところ、明かりを見つけまして……」
「なんと、それは」
思わぬ女の声に、青年は驚きました。
外はすでに暗くなっており、古くから妖怪変化の住むと噂される山の夜道は女一人ではとても危険でした。
青年は、脳裏にぼんやりと「鶴の恩返し」の話を思い浮かべながらも、いやいやあれはただの昔話だと打ち消しつつ、戸に手を掛けました。
「中に入られよ」
そこに立っていたのは――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-13 08:48:03
3634文字
会話率:47%
高科孝明はソロバン塾の子で、算盤の達人になり東京高専も首席で卒業。しかし人と話すことが苦手で、父のソロバン塾の副塾長数学となる。その後、株投資を勉強し、叔父の昭二、株の売買を指示。そして結婚、子供ができる。その後、叔父の昭二と共に投資で儲け
、関係が深くなり、嫁さんも世話する。その後、波瀾万丈の人生が、待ち受けていた・・・
アルファポリスに重複投稿。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-01 23:00:00
68681文字
会話率:91%
「好き」と言える。 ――小説の中でなら。
おしゃべりな潮野(しおの)くんには気になる子がいる。それは無口な図書委員の貝守(かいもり)さん。彼女の気持ちを知りたくていろいろ話かけてみるものの、返事はぼそぼそ、言葉少なでよく分からない。
口
下手さんの心情を理解しようと潮野くんは、同じタイプの女の子が登場するネット小説を読みはじめるのだが――。
――なんか俺たちの関係に似てる気がする……。
実はその小説の作者は貝守さんだった。しかし彼はそんなこと知るよしもなく……。
おしゃべりだけど本音が言えない男子と、小説の中でだけ冗舌な口下手文学女子のラブコメディ。
※この作品は『カクヨム』でも投稿しています折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-18 23:08:35
45694文字
会話率:49%
私はあることがきっかけで悪役のレッテルを貼られ、面倒なので首都から離れた領地で7年の間静かに暮らしていたのですが、なぜか突然本邸に戻ることになってしまいました。何があったかと思えば皇太子妃の候補に選ばれたなんて、ちゃんちゃらおかしい話です。
私は誰にも嫁ぎません、しかも皇太子妃だなんて…そんなめんどくさい事誰がしますか!とにかく私には関係ない事なのでどうぞ勝手に争ってください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-08 20:00:00
8328文字
会話率:53%
リファ「はじめまして、ご主人さま! 私、リファですっ。この度はあらすじ紹介を任されました! この物語はリファのリファによるリファのための物語と言っても過言ではないですね! なので私が登場しない『プロローグ』なんて飛ばすか読み飛ばすかして『奴
隷の少女リファ』から真剣に読んでくださいね♪ えっ? どうせ美少女奴隷ハーレムものの劣化コピーでしょうって? ごめんなさい……ご主人さま。リファはとっても純情なので、ご主人さまが浮気に走ろうものならアレをすり潰しちゃうかもですよぅ。主人公がなぜか簡単に得る万能チート能力? 神スキル? そんなもの知りません! ご主人さまは絶対的な美少女剣士であるこのリファに守られていればいいのですっ。美少女に守られるのが今を生きるナウなヤングの男の甲斐性ってもんでしょ! 邪神? 呪い? 迷宮? 冒険? でもそんなの関係ねえ! この物語の真のヒロイン兼主人公はこのリファですよ、リファ! なので私のことちゃ~んと応援してくださいね、ご主人さま♪ なおこの物語には控えめではありますが、ちょろっとえっちだったりオラオラ系だったりメタァな表現があるかもしれませんっ。そういうのがオールオッケーなご主人さまも、苦手なご主人さまも是非一度試しに読んでみてくださいね! だって読んでみないと合うか合わないかってわからないじゃないですか~。あらすじだけでスルーするなんてもったいない! それにリファって口下手だねってよく言われるんだもん……。だからお願いしますご主人さまぁ! 朝のトイレタイムの間だけでいいですから、お願い! 先っちょだけ! 先っちょだけ読んでみてくださいっ。面白ければラッキー、つまんなければ『やっぱ●●先生の作品じゃないとダメだわー●●先生だけが神だわー』って再認識できるじゃないですか! ね? どっちにしてもお得! すごい! やっぱり『邪神様の仰せの通りに迷宮探索』っていいものですね!」 ※こういう性格のキャラクターが活躍するお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-04 20:18:36
347437文字
会話率:44%
アーデル伯爵家の令嬢イリスは幼いころに『目が合った相手の心が読める』異能に目覚めた。それはイリスの意思と関係なく本音が頭の中に流れてくるもので、イリスはいつからかあまり人の目を見なくなっていった。
そんなイリスも成人を迎え、建前の渦巻く社
交界へと足を踏み入れることになった。
口にする建前と本音の差異に疲れたイリスは壁の華となって休んでいると、ふと多くの令嬢から視線を向けられている人物がいることに気がついた。
その視線の交点を見れば、そこにいたのは白銀の髪を持つ儚げな美貌の美青年。
そんな彼を憧れの目で見つめていた令嬢の一人が彼にアプローチをかけるも冷たい態度で表情も動かさずに撃退されてしまった。
そんな彼──テオを見て人は彼のことを「氷の騎士様」と呼んでいた。
誰もがテオのことを不機嫌で氷のように冷たい男だと評したがただ一人、心の読めるイリスだけがテオの本性に気がついていた。
テオが……ただ無表情で口下手、不器用な青年だ──ということに。
そんなテオにイリスが興味本位で近づいて声をかけたことがキッカケで二人の関係は急速に縮まっていくことになるのだが──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-02 11:30:20
11223文字
会話率:24%
これはあるカフェでのサラリーマンと女子高生の出会いから始まる物語。
普段から他人に言いたいことが言えず、いつも我慢してばかりのサラリーマン。
人付き合いに苦しんでいた彼の人生に、一人の女子高生が交わった。
彼女は違う世界からやってきた女
子高生で、なぜかこのカフェに通っていた。
同じカフェに通うだけだった二人が、繋がりを持ったとき
―――二人の人生は、大きく変化することとなった。
カクヨム、ノベリズムに転載中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-20 21:21:36
4024文字
会話率:48%
「カナリア、君との婚約は破棄させてもらう」
「ねえ、お姉さま。嫁入り先を取り替えっこしませんか?」
家督を継ぐ長男と愛され子の妹に挟まれ、使用人のようにこき使われていた令嬢カナリア。彼女は両親の愛、婚約者全てを妹に奪われてしまった。
代わりに彼女が嫁ぐようにと押し付けられたのは、『人狼様』と呼ばれる神様のもとである。彼が治めているのは国最大のダンジョン……魔窟が存在し、あまりにも危険なため禁足地とされているレングラント山脈。
しかし、カナリアは知っている。かつて人狼様に嫁入りをした娘達は口々に「怖くて逃げ出してきた」と言って帰ってきていることを。
曰く、冷たく暗い人。
曰く、化け物のよう。
曰く、人間を憎んでいる。
悪い噂ばかりが行き交う『人狼様』の元へ一人で嫁入りさせられ、逃げ帰る場所もないカナリアは悲観する。
これではまるで、生贄のようじゃないか、と。
しかしいざ、人狼様のいる山脈までやってくると、迎えにきたのは銀色の毛並みと、赤い宝石のような美しい瞳を持った、馬ほどの大狼。食べられてしまうのかと思えば、大狼は彼女を背に乗せて屋敷まで駆けた。
屋敷に着く前に気絶した彼女は、気がついたそのときにはお屋敷の布団の中だった。そばには文机で眠っている銀髪の美青年。
布団に寝かせてくれたのでは? とカナリアはお礼と名乗りをする。
しかし彼は『クチナシ』と己の名を口にした以外はほとんど話さず、おまけにフードで自分の髪を隠していて、その美貌に似合わず陰気な雰囲気を纏っていた。
なにひとつ喋らずに過ごす毎日。
とうとう耐えられなくなったカナリアは、彼から渡された便箋を使って食事を運ぶ際にメッセージを送ることにした。
彼へ送るメッセージは短い一言から始まった。やがて手紙の内容は「おかえりなさい」「本日の献立は」と増えていく。
それでも来ない返事に落ち込んでいたカナリアは、ある日彼の部屋で「こちらこそ」と書きかけた便箋を発見する。
――もしかして、この人はただ「無口」で「口下手」で「不器用」なだけなのかもしれない。
不器用な優しさと、溺愛。それに気がついたときカナリアは恋に落ちる音を聞いた折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-08 21:45:56
51557文字
会話率:36%
「放蕩公爵と、いたいけ令嬢」続編となります。
この話のみでも、お読み頂けるようにはなっております。
公爵令嬢のシェルニティは、18年間、周囲から見向きもされずに生きてきた。
が、偶然に出会った公爵家当主と愛し愛される仲となり、平和な日を送
っている。
そんな中、彼と前妻との間に起きた過去を、知ってしまうことに!
動揺しながらも、彼を思いやる気持ちから、ほしかった子供を諦める決意をする。
それを伝えたあと、彼との仲が、どこか、ぎこちなくなってしまって。
さらに、不安と戸惑いを感じている彼女の元に王太子が訪ねて来て、こう言った。
「最初に手を差し伸べたのが彼でなくても、あなたは彼を愛していましたか?」
◇◇◇◇◇
設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
それを踏まえて、お読み頂ければと思います、なにとぞ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-04 15:31:44
229549文字
会話率:24%