リデル侯爵家長女、レティシア・デ・リデル。
アーンストート王国の第一王子殿下ジェレマイア・ラ・アーンストートは、レティシアの年齢差があり過ぎた婚約者であった。
太陽の様に眩い金髪と透き通る様な碧眼を持つ王子殿下は、幼い女の子が一度は夢見る絵本の中の登場人物のように見目麗しい王子。
器が美しくとも、その中身を反映されている訳ではないらしい。
外側の見目だけが夢見るように完璧で、貞操観念に於いては残念王子様だった。
レティシア九歳、ジェ
レマイア王子十七歳――――
その年の差は、何と八歳差。
二人の婚約は王命によって成立する。
随分と幼い年齢の婚約者に、当然ながら年頃の王子の若い欲望が向かう事はなく。
若さ特有の昂ぶる性欲には我慢や忍耐等は一欠けらもなく。
国で唯一の王子殿下は、王位継承者が直系の男児のみという特殊性から、将来の国王の座はほぼ確定済身み。
身分も権力も最高峰でありながら、そこに素晴らしい見目が合わされば、その効果は絶大である。
王子の蜜に群がる様々な蝶――――来るの者拒まずで食い散らかす。
結果、虫のように集った令嬢達の行く末は、王子に純潔を捧げた令嬢のみを愛妾候補として留め置かれた。
王族の側妃にするには婚姻の儀までその者は純潔で無ければならない。
令嬢達は王子と少しでも接点を持ち寵愛を望み体を差し出した為、身分問わず愛妾である。
幼い婚約者だから仕方がないを建前に、次から次へと浮名を流した王子殿下。
レティシアの王子様への淡い憧れは幻と消え、残ったものは国に対する責任感だけ。
そんな日々の中、とうとうレティシアの妹とまで浮気した王子様。
妹は同じ侯爵家の娘。
気に入らない私よりも、手を出す程に気に入ってしまった妹に婚約者を替わって貰おうと決意する。
しかし、自分の価値を知る王家が己を手放す筈もないだろうと諦めようと……
―――は、しなかった。
妹との浮気現場を見て前世の記憶を思い出す。
これからは、この転生人生を、自分らしく愉しく謳歌する!
諦めるなんて勿体ない!
そう決意後、着々と準備を進めるのだった。
――――レティシアは逃げ続けられるのか…?
✂----------------------------
タイトル同じ作品の改稿版になります。折りたたむ>>続きをよむ