聖百合ヶ丘学院――丘の上に佇む、リュバンと呼ばれる絆で少女たちが結ばれる、伝統と沈黙の学園。
伊吹真尋はXジェンダーかつノンセクシュアル。自らの意思とは関係なく、この全寮制の女子校に編入させられた。
「誰も、わたしをここに必要としていな
い」
そう思っていた真尋の前に現れたのは、学院で“百合の姫君”と呼ばれる上級生、斎宮千歳。
胸元のリュバンをほどき、千歳は静かに言う。
「あなたが手を伸ばす日を、私は待っているわ」
この場所では、リュバンを結ぶことは信頼の証であり、選ばれないことは存在の空白を意味する。
恋愛でも友情でもない、誰にも定義できない“触れることすらためらわれる関係”。
沈黙の中で絡まる絆と、ほどけない問い。
その先にあるのは、喪失か、それとも。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-13 22:03:43
49583文字
会話率:24%
人々の見る夢で構成された町、神廻町。
そこは、人々の記憶が集う「場所」でもあった。
現在に生きている人も、そうでない人も、永遠に変わることがない時間と空間の中で、平和なひと時を過ごしていた
世界が存在している限りは、神廻町も消えるこ
とがない。
ただし、この場所では、「可能性」という概念がなかった。
人生という制約がなく、縛られる“ルール”もない
一見するとそこは楽園であり、人々が理想とする世界でもあった。
2001年7月に起きた、死傷者約300人以上にも上った脱線事故。
事故の当日、先頭車両に乗車していた西音寺栞は、生と死の境目を彷徨っていた。
夢の中で神廻町に紛れ込んでしまった彼女は、町の住人である、涼風隼人と出会う。
隼人は元々現実に住んでいた人間ではなく、神廻町で生まれ育った「夢の住人」と呼ばれる存在だった。
この町では、そういった人間があちこちに存在していて、現実に存在している人の「魂」と一緒に、永遠に続く時間の流れの中に漂っていた。
自らの存在が、世界のどこにも属していないことも知らずに。
西音寺栞は、隼人を見て驚く。
そう、彼は栞にとって、どこか見覚えのある人間だった。
小学生の時に告白した、“初恋”の相手に——折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-04 13:30:26
3669文字
会話率:1%
花の妖精と称される美貌を持つ貧乏男爵家の母親と、野獣と揶揄される公爵家の父親。私たちは政略結婚で結ばれた二人の元に生まれた。噂の的になることも多かったが、私たちはたくさん愛され幸せに暮らしていた。両親が事故に遭うまでは――。
事故後私たちは
母方の祖父母にとても大切に育てられた。厳密にいえば私たちではない。母に似た美しい双子の妹だけを。
徐々に変わっていく妹と変わらない祖父母。それでも私にはこの家しか頼れるところがない。人前に出ることを禁じられていたが、ある日妹の使いで街に出た私はスラム街の近くで傷だらけの青年に出会った。この場所では珍しくない光景なようだけど……。
「いらない」と言われ続けた私が傷だらけの青年を助けたら、思ってもいなかった未来が待っていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-07 07:18:30
13663文字
会話率:34%
アーラは、神殿に所属する最底辺の聖女として、市民のために駆けずり回る日々を送っていた。腐敗した神殿、怠惰な聖女たちの中で、ただ一人、真面目に聖女として働いていた。
そんなアーラには婚約者がいた。伯爵家の次男だ。ところがある日、急に婚約破棄を
言い渡されてしまう。
「君との婚約は破棄する。代わりに南に住まう遊牧民の王の元に嫁ぐのだ」
彼は、金を得て出世の道を開くためにアーラを売ったのだ。
遊牧民の王ユスフは、自らの妻としてやって来たアーラに戸惑った。
なぜなら、金貨と引き換えに雨乞いをしてくれる聖女を遣わしてほしい、と神聖帝国の皇帝に頼んだはずで、決して妻を寄越せと言ったわけではなかったのだ。
妻の件はさて置いて、とにかく雨乞いを、という段になってアーラは気付いた。
神の住まう神殿から遠く離れたこの場所では、そもそも神の力を使うことができないと。
しかし、聖女という存在に一縷の望みをかける人々に真実を打ち明ける事ができず、アーラは雨乞いの儀式に挑むことを決意する。
「雨が降るまで願い続けます。私にできることは、それだけだから」
やがて真実を知った王は、彼女の健気な姿に心を打たれる──。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-31 19:50:00
17085文字
会話率:47%
時は昭和初期。
震災から復興した帝都では、演劇が盛んに行われ…数多の劇団が旗を揚げていた。
しかし帝都といえども広くはない。時間も場所も、演者どころか客すらも限られているこの場所では…劇団は、多すぎた。
帝都では劇団同士の潰し合いが横行し、
遂にはそれにルールが設けられる始末。
そうして始まったのが「舞台戦争」劇団同士の誇りを、存続をかけ、全力で潰し合いをする劇団同士の疑似戦争だ。
震災でトップスタァと専属戯作家を失い、没落したかつての「帝都一の劇団」こと「劇団舞鳥」もまた、舞台戦争に参戦していた。
かつてより衰えた彼らは、俺が初めて舞台を観劇した際…所属団員は団長を含めてたったの三人。うち一人は、八歳の新人戯作家だった。
これは舞鳥がかつてとは異なる舞台戦争という環境で、帝都一に返り咲くまでの軌跡と
それを裏で支えた戯作家の物語折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-03 02:00:00
13131文字
会話率:64%
『モンスター『人間』を殺害しました。おめでとうございます、レベルが1に上がりました!』
高校二年生の依里花は、自分に暴力を振るっていた同級生をナイフで殺害した直後、謎の声を聞いた。
違和感を覚えた彼女がその場を離れると、学校は死体とモンスタ
ーで溢れており、脱出不可能なダンジョンと化していた。
“レベルアップ”により戦う力を得た依里花に人々は救いを求め、誰もが彼女を頼るようになる。
一方で“人が当たり前に死ぬ”この場所では、復讐で誰かを殺しても大した罪にならない。
それは常に誰かに虐げられてきた彼女の人生において、最大の“チャンス”だった。
人々にとっての地獄、依里花にとっての楽園となったこの学校で、彼女は時に英雄として人を助け、時に復讐者として血に塗れながら、異界と化した学園からの脱出を目指して戦う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-29 17:02:41
765014文字
会話率:41%
やぁこんにちは。君、それに興味があるの?
ない? じゃあ直ぐにこの場を去った方が良い。
触らぬ神に祟りなしなんて言葉があるくらいだ。
関係の無いものには無関心が一番いい選択さ。
それをしないならば、逃げられないよ。
最終更新:2023-08-11 09:15:39
958文字
会話率:9%
フルダイブ型オンラインゲームが世界中で数千タイトル稼働するようになった時代。
ひときわ殺伐とした世界を作り上げたタイトルがあった。
Edge それはすべてのフィールドでプレイヤーキルが制限されない仮想空間。
強力な警察機構に捕まれば、ゲーム
内の刑務所に投獄されてしまう。
2億人のバカが集まったこの場所では、誰もが『ルパン』になって、『銭形』との捕物を楽しんでいた。
だが、本物の警察組織とコラボするイベントが告知されるこの日、一人のプレイヤーが運営相手にでかい喧嘩を始める。
あろうことか運営は、一プレイヤーが起こしたその騒動に乗っかって、Edgeの歴史に類を見ない大イベントに仕立て上げてしまったのだ。
そう、これは、捨てられたキャラクタが存在をかけて立ち上がった、革命の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-31 10:36:47
73562文字
会話率:21%
沈黙でしか、この場所では居られない。
最終更新:2019-09-08 23:41:48
295文字
会話率:0%
江戸時代のこと。後にリサイクル社会と称されるこの場所では、様々な道具の再利用が進んでいた。
子供相手に、古金属類を引き取る「とっかえべえ」も、その業者のひとつ。折れ釘などを持っていくと、菓子やおもちゃをくれる。
そのご褒美を目当てに、今日
も「仕事」をする少年がいた……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-28 19:44:57
3947文字
会話率:2%
『歴史的実験を行います。
この場所ではありとあらゆる超能力が発現します。
そしてここにとあるモノを用意しました。
それを手にした者の人生はきっと素晴らしいものとなるでしょう』
始まりは、島の中で見つけたホログラムのこの言葉だった。
202
0年の東京オリンピック以来、突如成長した日本の科学力。
それによって世界の謎は次々と解明されていった。
そこに現れた謎の島。
その島で巻き起こるのはその島でのみ発現する超能力者同士の戦い。
そしてその島から出ると身体の一部がなくなり、超能力は失われる。
逃げられない、戦うことしか出来ない。
そんな島に上陸してしまった姉を、助けるために藍沢 大和は自分も上陸することを決意する。
しかしその島にはある謎が存在していた。
その謎の向こうには一体なにが──
そしてそれを知った者が決意することとは──
※この小説はエブリスタでも執筆中です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-09-20 10:00:00
41120文字
会話率:26%
西暦2560年人類は汚染された地球を捨て宇宙に移住した。
モンキーバイソンは宇宙狭しと宇宙船で飛び回るトレジャーハンターである。
人類は太陽系に設置されたスペースコロニーや、他の恒星系の惑星に移住した。
ここは第三スペースコロニー「エデン
」。人口10万人程の都市である。
この場所では人類が8割 2割が異星人でなかよく暮らしている。だいたい仲良く。
二人の男が歩いている。
モンキー バイソン 35歳 トレジャーハンター
色黒で顔が四角い。髪はボサボサ、目が細く鼻は大きい。口は真一文字に引き締まっている。がっしりした体格で手足が太い。
ジョニー ゲップ 25歳 バイソンの助手
色白で細面。ハンサムであるがどこか軽薄そう。長身で手足が長い。
二人の男の物語である折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-29 08:26:05
14155文字
会話率:41%
今この場所では、人間狩りという狂ったゲームが行われている。
ハンター達の手にかかる前に、彼女を見つけ出さないと……
※カクヨムにも掲載しています。
最終更新:2016-05-29 00:39:35
1051文字
会話率:14%
どんな一人称も、言葉遣いも、しっくりこないワタシ。
そんなワタシは間違いなく、
この場所では神様ではなくとも、カミサマではあった。
誰に崇められるでもなく、
誰に願いを乞われるでもなく、ただ、唯一の存在。
そんなカミサマがノートを書き始め
た日から、
その世界に迷い人が現れる。
この物語は自分を失くしたカミサマと、
夢を捨てられない、少年少女の心をもった人々のおはなし。
(だいたいうそは言ってないけど、あんまり重くはならないはず。
重いというよりかは、めんどくさい感じのカミサマのおはなし)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-04-05 17:00:00
5586文字
会話率:25%
意識がなくなり、目が覚めると薄暗い廃墟の中にいた。そこには、亡くなったはずの親友がいた。話によると、建物の中に謎の生命体が存在し、逃げなくてはならないらしい。現実とはかけ離れた空間この場所では、特殊な能力が使えるようになり、それを駆使し、建
物から脱出を試みる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-08 22:00:00
837文字
会話率:20%
呪いと恐怖がはびこる都市、羽墨塚(はすみづか)へようこそ。
不自然な事故、突然の行方不明、原因不明の死が多発する地方都市。
この場所では他では味わえない貴重な体験ができるでしょう。ここでは五か所の観光スポットをご紹介したいと思います。※オム
ニバス形式の短編集になっています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-06-25 04:44:31
12805文字
会話率:11%
定まらない時雨が冬の訪れを予感させる陰暦十月。
一般的には神無月と呼ばれる時期だが、この場所では神在月と呼ばれている。
日本国の出雲。
その裏側、人間の世界とは別に存在する神の世界には大国主神が治める神の都があり、世界中の神が訪れる大
国主神の王宮があった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-10-04 01:27:30
76279文字
会話率:27%
この場所では名前を上げることはできないけれど、ずっと先になってでも気づいてくれたら嬉しいです。
最終更新:2012-01-22 01:46:14
1252文字
会話率:0%
真夜中の首都高。そこは伝説が生まれしサーキット。
ハイスピードで後方へと流れていく背景。常時200km/hオーバーの世界は、周りからは狂っているようにしか見えないであろう。
だが、この場所ではそういった行為でしか“自分”を表すことができない
。
走りに情熱をかけた首都高ランナーたちの物語が、いま始まる――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2010-03-14 22:39:24
6508文字
会話率:17%