人に感謝を伝える花束には不可欠なかすみ草になりたい。しかし、感謝の贈り物は美しいものでは決してない。マルセル・モースの『贈与論』を参照されたいが、贈り物を相手に受け取らせるということは、相手に自らへの返礼の義務を与えることにほかならない。そして、この返礼の義務が成されない場合、贈り物は施しとなり、施しを受けた者はそれを与えた者の従属者にならざるを得ない。贈与はこの対等あるいは支配の関係を築く危険な駆け引きなのである。その駆け引きの道具と
なる花束に必須のかすみ草は意外としたたかな花なのかもしれない。折りたたむ>>続きをよむ