イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの、魔法の属性-光・火・風・水・土のいずれもが、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。
王国の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、父亡き後は義母の仕打ちが次第にエスカレートして、侍女同然に扱われていた。
そんなイリスに、騎士の三男ケンドールとの婚約話が持ち上がる
。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、稀少な光の属性を持って生まれた美しい義妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって、「君は、今の僕には相応しくない。君との婚約は解消して、ヘレナと婚約する」と冷たく婚約破棄を言い放つのだった。
家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。
王道のハッピーエンドのラブストーリーを予定しています。タイトルは変更の可能性があります。折りたたむ>>続きをよむ