今より遥か昔のこと。度重なる分裂と統一を繰り返していた武術界は衰退の一途を辿り、善と悪、正と邪の戦いは混迷(こんめい)を窮(きわ)めた。そうした一般社会とは異なる武術界に身を置くのは武術家だけに留まらずに武者修行をする旅人や芸術を愛する風流
人(ふうりゅうじん)だけでなく、
盗賊や通り魔などの犯罪者も身を潜めるようになってしまった。正と邪が入り乱れ、争乱を繰り返す武術界を一般社会の人々はまるで荒れ狂う河のようだとして、いつしか「荒河(こうが)」と呼ぶようになった。武術界に身を置く者たちも一般社会を静かなる湖に例え、「静湖(せいこ)」と呼んだ。
荒河には『正道(せいどう)』と呼ばれる荒河(こうが)と静湖(せいこ)の平和と秩序を守るために日々修行を重ね、切磋琢磨(せっさたくま)する武術家集団があった。そして、正道と敵対する『魔道(まどう)』と呼ばれる勢力もまた存在し、数百年来、正道と魔道の戦いは果てしなく続き、長きにわたる終わりの見えない死闘は日を追うごとに激化していった。
正道の剣士、凌開雲(りょうかいうん)と魔道の女剣士である殷緋宵(いんひしょう)はお互いの関係に戸惑いつつも絆を深めていった。しかし、そんな2人の関係を正道と魔道は許さなかった。
正道と魔道の戦いが激しくなるごとに2人の愛は深くなっていく。
数々の困難を乗り越えて結ばれた2人は結婚し、第一子の誕生を喜び合う凌開雲と殷緋宵。
そして物語は新たな局面を迎えようとしていた……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-05 17:00:51
262845文字
会話率:52%
今より遥か昔のこと。度重なる分裂と統一を繰り返していた武術界は衰退の一途を辿り、善と悪、正と邪の戦いは混迷を窮めた。
そうした一般社会とは異なる武術界に身を置くのは武術家だけに留まらずに武者修行をする旅人や芸術を愛する風流人(ふうりゅうじん
)だけでなく、
盗賊や通り魔などの犯罪者も身を潜めるようになってしまった。正と邪が入り乱れ、争乱を繰り返す武術界を一般社会の人々はまるで荒れ狂う河のようだとして、
いつしか「荒河(こうが)」と呼ぶようになった。武術界に身を置く者たちも一般社会を静かなる湖に例え、「静湖(せいこ)」と呼んだ。
荒河には『正道(せいどう)』と呼ばれる荒河(こうが)と静湖(せいこ)の平和と秩序を守るために日々修行を重ね、切磋琢磨(せっさたくま)する武術家集団があった。そして、正道と敵対する『魔道(まどう)』と呼ばれる勢力もまた存在し、
数百年来、正道と魔道の戦いは果てしなく続き、長きにわたる終わりの見えない死闘は日を追うごとに激化していった。
凌開雲(りょうかいうん)もまた正道(せいどう)の剣士の1人であり、魔道(まどう)に所属する者たちを殲滅(せんめつ)すべく、血で血を洗う闘争に明け暮れていた。
しかし、そんな彼が愛した女性は魔道の女であった。
凌開雲が愛した女性、殷緋宵(いんひしょう)もお互いの関係に戸惑いながらも絆を深めていく。
そんな2人を残酷な運命が待ち構えているとも知らずに……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-03 03:18:12
11681文字
会話率:35%
殷明こそ蒼貴は前世の記憶のある仙女。彼女は前世読んだ戦記物の太子をずっと守り育て、物語のような死を迎えさせないように導いた。物語のような死も回避できて、さてと思ったらその親代わりに育ててきた太子涼藍に愛を告げられて――。
最終更新:2024-10-27 13:00:00
3135文字
会話率:32%
魔法のある世界で、魔法の使えない主人公ルドルフは小さな国の小さな城で働いていた。とある体質のせいで一部の人から目を付けられている彼だが、ひょんなことからお姫様と交流を持つことに。
お姫様に振り回され、時には頼り、成り行き任せの帰郷ラブ
ロマンス。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-21 07:35:21
75686文字
会話率:42%
ある夜のこと。家出をし途方に暮れていた少年は一組の男女に拾われる。
怪盗を名乗る青年と素性の分からない少女だったのだが、その翌日には顔を合わすことができなくなっていて……
最終更新:2024-03-31 09:43:19
11345文字
会話率:30%
安全な日常を過ごしていた少女。その平穏を破壊しようとする巨大な影が………。
両親は死んだ。少女に運命をかえる力はない。自らの身をどうやって守り、どう生活するのか。少女は考えた。するしかなかった。邪魔なものは全て殺すことを。
一方その頃、
世界中では同様の事件が多発していた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-11 09:21:17
90410文字
会話率:24%
オレ加藤化殷(かとう けいん)はアラフォーオッサン、妻子あり。目が覚めると突然の頭痛、そして髪と言わず全身の毛がなくなっていた。
元居た世界と微妙にズレのある世界、その先に果たして何があるんだろうか。
拳も魔法も入り雑じり、物理法則が崩壊し
ない程度に世界は回る。
*ストックが続く限り毎日更新。でも大分見切り発車デス・・・
*登場する人物や場所はすべてフィクションです。実在する事象とは関係ありません。関係ありません。関係ありません。
・レベルやスキルはないけど、フィドルやチェロはあります。・
・HP/MPはないけど、HR/HMはあります。
・ステータスは表示されないけど、コヒーレンスは干渉します。
・神はいないが、宗教はある。
・UR(ウルトラレア)やSSR(スペシャルスーパーレア)はないけど、SSSR(Soyuz Sovietskikh Sotsialisticheskikh Respublik、旧ソヴィエト連邦)なら出るよ!
・VRMMOなんて知らん、ロックだよ全員集合!
・配信より背徳・・・フヒヒ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-03 07:00:00
326941文字
会話率:22%
龍に愛され、永く繁栄を誇る殷国の巫女・黎琳は、子供のまま成長が止まってしまったことを理由に太子である薛郗との婚約を解かれ、汚名を着せられて国を追われてしまう。王宮からの命により、呪われた国として大陸中から忌み嫌われている隣国・紅に仕えること
になった黎琳だったが……?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-19 21:30:00
58608文字
会話率:52%
あまり友人との関係が上手くいっていない街風美祝は塾の帰り道、見知らぬ男性、穏田陽向に誘拐される。美祝は現実から逃げたい一心で陽向と共同生活を過ごすことを決めるが…。天涯孤独となった陽向の本質を示す、とある事件と共に物語は動き始める。陽向の妹
の夢を叶えるために海へと向かう二人。それは生きることを忘れた人たちのかけがえのない思いが繋ぐたった一つの真実へたどり着く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-13 19:13:48
27667文字
会話率:43%
紅殷は市中の人間に『昼行灯』と目されている放蕩人だが、その正体は芙颯国きっての巫覡にして現皇帝第三皇子・金簪仙君その人。
自分の元に届けられる前に握り潰されていく民草の声を自ら拾い上げるべく、今日も紅殷は己の御所である玉仙宮を抜け出し、『
暇人放蕩息子の紅殷』として市中をうろつく。
そんな紅殷が今回気になったのは、廃墟街に現れるという幽鬼の噂。噂の裏に表面から見える以上のきな臭さを感じ取った紅殷は、己の相方兼護衛兼幼馴染の晶蘭を引き連れ調査に出向く。しかし現場で遭遇した幽鬼に対処していくうちに、かつて玉仙宮が封印した『厄介事』の蓋を開いてしまうことになり……!?
祓魔の主従が行く、中華退魔奇譚!
※この作品は「カクヨム」で連載していたものを修正・改稿した作品です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-08 22:00:00
106206文字
会話率:33%
刑事としてシリアルキラーを追い、ビルの屋上から転落した『敏腕刑事(本人評価)』獅子王朔(ししおう・さく)。
目覚めると、そこは中華風後宮。
彼は、皇太子の側室である魅婉(ミウァン)姫、17歳に転移していた。
「身長183センチ、73キロ
、体脂肪10の俺が38歳が少女の身体にだって?」
思わず自分の身体を詳細に確認して、いい気持ち。いや、混乱したまま、その世界で同じ様な事件に巻き込まれる。
現代社会で追っていたシリアルキラー事件と同様の事件が後宮で起きる。犯人の手口は同じ。
父親の謀反で罪人となり宦官になった幼馴染と、同様に遊んだ皇太子との三角関係のなか。
異世界にあらわれたシリアルキラーを追う。
【魅婉(ミウァン)に関わる三人の男たち】
・ 幼馴染の宦官、黄暁明(ファン・シァミン)
「ずっと、あなたを影から見守っています」
・ 殷麗孝(イン・リキョウ)皇太子
「そなたは余のものだ」
・ 秘密警察の長で宦官である天佑(チンヨウ)
「あなたの能力に惚れました」
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-03 20:10:00
108454文字
会話率:35%
紀元前11世紀の中国、殷王朝の時代。時の王・紂王は文武両道とうたわれた名君の誉れ高い人物だった。しかし、絶世の美女・妲己をその妃に迎えて以来、魂の抜殻のような状態になってしまう。実は妲己は邪心を持つ妖怪であり、誘惑術によって王を操り、仲間
の妖怪たちをも王宮に引き込んで贅沢三昧の日々を送っていた。
一方、はるか天空に浮かぶ仙人界・崑崙山の教主・元始天尊は、人間界が妲己の魔手により荒廃していくことを憂慮し、人間界・仙人界にまたがる「封神計画」を実行に移すこととし、その実行者として道士・姜子牙を任命する。
元始天尊は太公望に「封神計画」とは、悪しき地仙や仙人以上の力を持つ道士の魂を新たに創設する「神界」に封じこめる計画であるといい、姜子牙に宝貝・打神鞭と霊獣・四不象を与えた。かくして姜子牙は計画実行のため人間界におもむくことになり、次々と襲ってくる妖怪・仙人たちと戦うことになるのだった
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-25 23:07:18
255206文字
会話率:34%
高校三年生の始業式、泉地零は双子の弟、霞とともに前日クリアしたばかりの『朱殷の瞳』という乙女ゲームの話に花を咲かせながら登校していたが、トラックに轢かれ死んでしまう。
トラックに轢かれて死んだと思ったのにも関わらず、目を覚ませば血溜まり
の中におり、何故か死にかけだった。何故死にかけなのかわけもわからないまま、意識を失う前に見たものは鈍く光る朱殷の瞳だった。
再び死んだと思ったのに、悲鳴とともに目覚め、前世と前回何者かに殺された記憶を思い出した時、零は自分が乙女ゲーム『朱殷の瞳』でどのルートでも必ず殺されるアビゲイル・ミッチェルへと転生していたのだと知る。
果たして零はアビゲイルとして死亡フラグを折る事が出来るのか。そして、何故殺されてしまう事になるのか、解き明かす事が出来るのか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-24 15:00:00
4491文字
会話率:33%
中華の史書、二十四史を淡々と訳していく、
淡々史書シリーズ。
三皇五帝、夏、殷、周、春秋、戦国、
楚漢戦争、前漢まで、茫漠たる歴史が
約52万字に収められた
司馬遷の名著「史記」を
マイペースに抄訳してゆく作品です。
最終更新:2023-05-19 00:00:00
330182文字
会話率:10%
筆者が思い立ったときに中国史の人物(主に三皇五帝から唐代にかけて)についてまとめたものです。
不定期ですが皆さまの小説づくりに貢献できればと思っています。
もしも内容の齟齬を見つけられた際にはご連絡の程よろしくお願いいたします。
最終更新:2023-01-03 15:40:10
28271文字
会話率:16%
蠱術師の老婆に育てられたナアハ。
中央政府からの通達で必要に迫られ造蠱したのは養い親も驚く程の鼠蠱(そこ)だった。
産みの親の手がかりを手に、首都へ上がる事となったナアハ。
養い親の過去、ナアハの両親の素性、傾国の佳人……
ナアハと
その鼠蠱である"ちゅう"は、様々な運命が交錯する時代の大海原に引きずり込まれてゆくのだった。
*
スマホで横書きのまま読まれる事を前提にしている為、本作品では、
一文を短めにする、
改行後一行の空白行挿入、
代わりに一字下げは使わない、
というスタイルをとっています。
意図的にやっている事なのでご指摘・ご批判等はご容赦ください。
*
誤字報告の受付は停止しております。
感想欄等でのご指摘もご遠慮ください。
受付停止に至った経緯は、別に投稿した、
"長編を完結させ1ヶ月経っての所感”
の、
"誤字報告を受けない設定って?"
に書きました。
あしからず。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-01 11:11:13
121762文字
会話率:23%
誰もが知る物語とは似て非なる物語。
とある高校生、清宮涼は、趣味の博物館巡りを終えて帰宅する途中、不思議な占い師に声をかけられる。
「貴方、これから大変な運命が待ち構えて居ますよ。」
そう言われて一瞬不安になるも、持ち前の楽天家な性格
で直ぐに打ち消した。
その占い師が居なくなっているのも気付かずに。
BaseSon原作の「真・恋姫†無双」を元に、自分なりの「三国志演義」を書いていきます。
因みに今の所、全年齢対応です。
尚、恋姫シリーズは二次創作が認められている作品です。
「恋姫†無双」シリーズ以外の参考文献
「三国志」作画・横山光輝(潮漫画文庫)
「項羽と劉邦」作画・横山光輝(潮漫画文庫)
「史記」作画・横山光輝(小学館文庫)
「殷周伝説 太公望伝奇」作画・横山光輝(潮漫画文庫)
「図説中国史 三国志地図」(東光書店)
「歴史人別冊 完全保存版三国志の真実」
「教えてあげる諸葛孔明」(角川文庫)
「三国志ナビ」渡邉義浩(新潮文庫)
「三国志 英傑たちのその後と謎」監修・武光誠(宝島社)
「史記の風景」宮城谷昌光(新潮文庫)
「春秋の名君」宮城谷昌光(講談社文庫)
「春秋名臣列伝」宮城谷昌光(文春文庫)
「戦国名臣列伝」宮城谷昌光(文春文庫)
「楚漢名臣列伝」宮城谷昌光(文春文庫)
「三国志読本」宮城谷昌光(文春文庫)
Wikipedia
ニコニコ動画
※「モバゲータウン」、「Eエブリスタ」で連載していた作品です。
更新は遅いですが、宜しくお願い致します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-01 00:00:00
664109文字
会話率:38%
中国最古の《殷王朝》を破滅に導いた暴君《紂王》。その寵愛を受け、贅沢の限りを尽くし、残虐性を好んだ《妲己》。心優しき冀州の姫を、稀代の悪女へと変貌させた手紙と、彼女の正体が明らかになる。
最終更新:2022-10-16 21:55:18
2125文字
会話率:24%
★ご報告★
【ヒストリアノベルズさまより、2020年2月15日に書籍化いたしました】
古代中国、殷王朝中後期。
王の妃でありながら、武器を取り、戦いに明け暮れた女性が実在した。
彼女の名は婦好(ふこう)。
婦好は女性でありながら、高い戦闘
能力と統率力をもつ英雄である。
このころ『文字』は王室の秘密だった。
十四歳の乙女サクは幼少より『文字』を学ぶ。
サクは『文字』を覚えた罪を問われて婦好軍に入隊する。
やがて婦好とサクは中華の命運を握る存在へ──。
古代文字誕生の秘密。そして、誰も語ることのなかった英雄譚。
◇…挿絵あり(自作しています)
◇同時代の戦記化の前例なし(国内商業作品含む)。いままで語られなかった時代の巾幗小説です。ありがたいことに、大河ドラマのよう、という感想をいただいています。
※マグネット版は毎話挿絵あり。なろう版は先行更新。
※不定期更新
※無断転載は固く禁じます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-02 21:23:58
376658文字
会話率:35%
ローファード・ハウス所属のジム、リオード、グレイは、とある人物の依頼を受け、歩けば死体に出会えるバーニーズ・タンドを抜け出し、はるばる桜殷島までやって来た。どうやら、拓乃町では連続放火事件が起きているらしく……?
※春の推理2022参
加作品です。
※一応以前投稿した「暴力探偵ジム」(https://ncode.syosetu.com/n3949hi/)と同じ世界線の話です。読んでいなくても特に支障はないと思います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-22 19:49:28
25846文字
会話率:68%
突然割れたいわくつきの殺生石。
果たして起こるのは悲劇か……それとも……?
だれもが知っている九尾の狐だけれど、意外と知らないかもしれないあれこれ。
お暇なら読んでね~!!
最終更新:2022-03-13 07:00:00
3989文字
会話率:0%
吸血鬼の人間支配という目論見から始まった歴史的大戦。それから時は流れ現代の世界は大きく姿を変えていた。かつて唯一人間の上に立っていた種族、吸血鬼。だが現代の吸血鬼の生き残りは忌み嫌れその存在を隠し人間社会に紛れひっそりと生きていた。
高校
2年の春。初めてクラスになった鬼塚 燈に気が付けば恋心を抱いていた彼は勇気を振り絞り告白を決意。少し予定とは違ったが呼び出した彼女と顔を合わせた彼は緊張に包まれながらもその胸に秘めた想いを口にした。だが彼女から返ってきたのは予想外の言葉だった。
「アタシさ...。実は――吸血鬼なんだよね」
現代社会で吸血鬼としての苦悩を抱え生きる少女と吸血鬼に恋した少年。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-23 19:00:00
100500文字
会話率:47%
耳を塞ぎたい。口を塞ぎたい。目を塞ぎたい。そして、心の穴を塞ぎたい。
主人公の瀬川華那(せがわはるな)は美術部の高校2年生。
華那は自分の意思に反して、過去のトラウマを度々思い出してしまう。
特によく思い出してしまうのは、クラス
メイトの女子たちから嫌がらせを受けていた小3の頃の記憶だ。
理不尽な嫌がらせは華那の心に一生残る深い傷をつけた。
華那の唯一の異性の友人である清水雪弥(しみずゆきや)。
華那は不器用な自分とは違って、器用な雪弥の事を心底羨ましく思っていた。
五月十五日。雪弥が華那が飼っている猫たちに会う為に自宅に遊びに来た。
遊びに来る直前、学校で雪弥の異変に気づいた華那は雪弥の事をとても心配していたのだが……。
思いの外、楽しい時間を過ごす事ができた。
安堵していたのも束の間、帰り際になって華那と雪弥の二人の間に不穏な空気が流れ出す。
やがて、雪弥は自分の悩みを打ち明けてきて──?
仲の良い部活の先輩と喧嘩してしまった男子生徒。
「怪物」に執着し続けて、虚無感に苛まれながら生きている男子生徒。
「過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)」という病気を患い、自殺したいと思うようになった女子生徒。
心優しい性格なのだが、自分を「異物」だと認識しており、排除しなければならないと思っている男子生徒。
過去に、男子生徒がクラスメイトに嫌がらせしている様子を目撃しながらも見て見ぬ振りしてしまった事を、ずっと後悔している女子生徒。
大切な友人を支えるために今まで生きてきたのに、ある日その友人の秘密を後輩に暴露して友人を追い詰めてしまった男子生徒。
そして──……過去のトラウマや苦手な音に怯えながら、毎日を過ごしている女子生徒。
みんな異なる悩みを抱えていて、「独りぼっち」で「もがき苦しんでいる」。
誰かと繋がる事で、凍ってしまった心がほんの少しずつでも溶けていったらどんなに良いだろうか。
……多分、懸命に信じ続ける事しか他に方法はないのかもしれない。
これは、未だ脆く繊細な10代の彼女たちの灰色、青色、鮮紅色、そして朱殷(しゅあん)色が醜くこびりついた物語。
※この小説は、『カクヨム』・『アルファポリス』・『エブリスタ』でも掲載しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-04 20:50:54
127699文字
会話率:34%