その男は暗く黒くどこまでも深く染め上げられた外套に身体をすっぽり隠していた。
頭巾から見え隠れする双眸の瞳もやはり黒曜石のように黒く、左腕の鱗籠手は黒鋼で背中の両手剣の刀身、柄、全てが黒鋼だ。
幾重もの剣戟のなか白刃を受け流し叩き返してきた
籠手。その傷跡は死合う相手に幾度も死を呼び込んだことを伺わせた。槍襖を食い破るよりも多く首を跳ねたであろう黒鋼の大剣は切先から柄まで鋭く、黒光の珠が滑り落ちた。
世界はあまりにも曖昧で境界線が朧げとなった。
リードランを放浪するアッシュ・グラントは空を眺めそんなことを考えた。
今日この日を迎えるまでの出来事がそう思わせたのだ。それは昨日のことでもあったし、気が遠くなるほど昔の話でもあった。アッシュ・グラントの名を含む英雄譚は幾つかあったが、その始まりは百年以上も前になる。だから決定的にコレがといえる譚はなかった。いやどちらかと云えば、それを考えることが面倒だったのかもしれない。ただ漠然と曖昧さと朧げさを頭の片隅に置いておければ良かった。
今は行方をくらました友を探しダフロイトへ到着をしたばかりだ。
そちらに力を注ぐべきなのだ。
だから息を大きく吸い込み、アッシュ・グラントはダフロイトの南大門を静かにくぐった。
※本編は文字数が多いので本当にお時間あるときに是非。
※本作は、残酷描写|暴力描写|性描写 がございます。
これらが苦手な方はお気をつけください。
※本作は「カクヨム」「Nola」へも同様のものを投稿しております折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-05 00:42:33
833517文字
会話率:31%
五度目の世界大戦に見舞われた地球。政治家や軍事政権が何世代にも渡り、戦争を続けることで得られる利権などの為に、本来の目的や意味を失った戦争を続けている。そのような時代の潮流の中で、国家という共同体の概念はいよいよ形骸化し、市民達により世界中
に名も無きスラム街や自治区が樹立された。ある日、日本国の自治区「洲ガモ」の喫茶店「人参房」のマスター、ウサギマスクのバニ沢は、バイトの滝川(年齢・性別不詳)と共にいつも通り暇な営業時間を過ごしていたが、店に突如飛び込んできた、怪しげな謎の少女を保護する。その後すぐに、謎の黒い影が地面から染み出してきて、店の窓を破壊して襲いかかってきた。黒い影の正体こそ、大戦で猛威を振るい始めた兵器、“フロイト”。滝川がモップで抵抗するも、あっけなく敗北。絶体絶命の状況で、フロイトに飲み込まれそうになった少女は、バニ沢にある言葉をかける——。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-13 01:30:05
32136文字
会話率:54%
フロイトの防衛規制で言うところの合理化ですね。あぁみっともない。
キーワード:
最終更新:2023-11-16 12:14:17
277文字
会話率:0%
誰もが記憶の彼方にもっている不思議な思い出・・・フロイトによれば、その意味を自分自身、確実に知っているにも関わらず、知っていることに気付いていない。
この主人公の場合、二重の鍵によって、それは厳重に封印されていた。ある時、ふとしたきっか
けで、その鍵を拾ってしまう・・・
第一の鍵は、夢の中で開かれる。
第二の鍵は、現実の中で、それも無意識の自分によって開かれる。そして、何故それが封印されていたのか、次第に解明されていく。
平凡な人生を送っていた男が、封印された少年の頃の思い出に接した時、それが解き明かされる事への恐怖が、彼を襲う・・・それがひとつめの物語だ。
自殺の連鎖の意外な結末・・・妻の復讐を誓う、夫の異常な行動・・・それぞれの物語は、登場人物も背景も全く関連はなく、「無名墓標」が示す意味も、それぞれ異なっている。
ただひとつ言えること・・・生きた証としての名前など、無に等しいのだ。少なくとも、この物語の人々にとっては・・・
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-29 13:00:00
17878文字
会話率:35%
・性欲は「三大欲求」たりえるか
・「三大欲求」は「三大快感」なのではないか
・性欲が呪いである理由
最終更新:2022-09-08 07:25:46
2977文字
会話率:0%
《あらすじ》
星の街の学徒カサインは星が人生の中心であり、無償の愛を知らず、常に緊張の中にいた。それゆえ自分が失敗して無能だと分かるのが怖くて、天文台を忌避していても行動出来なかった。〈星讀祭〉の失敗に耐え切れず、人生を諦めて漫然とぶらつい
た挙句、キャラバン隊に救われるが、濃霧に襲われカサインはまた危機に陥る。満身創痍のカサインは色づいた生を取り戻せるのか。
ハイファンタジーなのに暗い話を書いてしまいました。許してください。
カクヨムとの重複連載です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-30 11:50:12
7721文字
会話率:16%
『ルーズ、そのフロイトと葬祭』・・・『詩の群れ』から
何を言いたいのか分からないのが、詩の特徴だとしたら、例えばこの様な詩も、形作られる訳である。詩集『詩の群れ』、から。
最終更新:2022-01-06 07:42:46
301文字
会話率:0%
やはり師匠はタダモノではなかった。高校二年生の頃。奇人であり、異能者である師匠の発見と出会い。師匠の過去と僕との接点が明らかになり、僕を作ってきたはずの時間と記憶は、それから大きく変えられていく、13日間だけの夏の出来事。
師匠直伝!人生
を明るく生きるためのヒントも満載?!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-28 10:14:41
10977文字
会話率:87%
お酒飲んでるときに降ってきたので急遽書きました。
最終更新:2021-01-21 18:41:59
607文字
会話率:0%
フロイト大陸に伝わる「聖女伝説」。
それは田舎に暮らす「語り部」だけが真実を知っている。
(なろうラジオ2参加作品になります)
最終更新:2020-12-11 14:39:39
998文字
会話率:44%
若干クトゥルフちっくな微ホラーです。
とくに深い意味はないポエムみたいなものです。
受けとれるように受け取ってください。
『call of cthulhu』
最終更新:2020-12-09 21:37:54
5645文字
会話率:7%
心療内科のクリニックを営むダンカン ミッチェム
3ヶ月前から不登校で引き籠もりの15歳の少年
アーロン フォレスターが通院するようになった…
ノベルアッププラス掲載中
最終更新:2020-11-02 15:39:17
3168文字
会話率:0%
異世界に親を殺された。
異世界が大嫌いなビジネスパーソン伊都府郎(イト フロウ)は気付くと可憐な美少女「フロイト」としてその大嫌いなテンプレ異世界に転生してしまっていた。
古式ゆかしい異世界転生。どこまでも自分に都合がよくてどこまでも
イージーで最悪な世界。
絶望と葛藤を抱えたまま,剣と魔法と魔物と戦争,激動する異世界を生きるフロイト。
願わくば,この話を読んだ人間が,二度と純粋に異世界転生譚を楽しめなくなりますように。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-09-12 16:06:53
189162文字
会話率:45%
異常性癖、そしてそれを持つ者『フロイト』
その者達が起こす完全犯罪を窓際敏腕女刑事『掃除屋』と謎深い検察官が解き明かす
『それは、地獄の始まりだった』
フロイトはどこから出てくるのか
黒幕は一体誰か
主人公、波風司の周りを取り巻く人物全
てが黒幕疑い!
フロイトが巻き起こす完全犯罪を暴け!
ピクシブ、ノベルアップ+でも連載中
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-08-16 10:46:17
6024文字
会話率:41%
ジークムント・フロイトの唱えた快楽原則について。
最終更新:2018-12-11 05:21:09
298文字
会話率:0%
のどかな農業国フロイトの王女アマリリス――リリスは病弱なためによく眠り、人々から〝美しきフロイトの眠り姫〟と呼ばれている。
しかし、病弱設定は表向きのもので、リリスは不思議な力を持っているのだ。
リリスが眠りの中で見る夢は、過去・現在
・未来の出来事であり、それは遠い地であったり、異なる世界のものであったりする。
そして、その夢で知識を得たリリスの助言もあり、ここ数年でフロイト王国は多大な発展を遂げていた。
だがそれに目をつけた隣国フォンタエ王国のフロイト侵攻計画を夢で見たリリスは、強大な軍事力を持つエアーラス帝国に同盟を求め、〝紅の死神〟と異名をとる皇太子ジェスアルドの許へ嫁ぐことを決意した。
幼い頃から呪われた皇子と呼ばれ、全てを拒絶するジェスアルドは妃となったリリスにも冷たく当たる。
そのため、故郷を遠く離れたエアーラスの地で、リリスは泣き暮らすことに……なるはずもなく、その性格と知識でジェスアルドをはじめとした周囲を振り回していく。
※主婦と生活社様「PASH!ブックス」より書籍発売中です!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-31 23:16:46
486390文字
会話率:37%
主人公である黒川カズは、アニマルマスクをかぶった連続通り魔強盗犯キャットマンに襲われ、恋人を殺され、自分も死にかける。生き残った黒川は事件の後遺症で記憶障害を負い、犯人の顔を見たはずなのに思い出せない。そして恋人が殺される場面を悪夢として
何度も見るようになる。さらには色盲になり、現実世界で色の判別が不可能になってしまう。
事件から一年経っても犯人は捕まらず、手がかりはない。あるとすれば自分の失われた記憶のみ。だが黒川は何も思い出せずにいた。
そのため犯人につながる手がかりを探ろうと、わらにもすがる思いで夢占いの館という名の店を訪れる。そこで夢占い師のアリスと出会う。
アリスの説明によると、彼女は精神分析家のフロイトが著した、夢判断という本を参考にした方法で夢を解釈し、その意味を教えてくれるという。
最初はただの占いだと思い、あまり信じてなかったが、夢を見る仕組みやその解き明かし方を聞いていくうちに信じるようになり、悪夢について相談する。するとその夢解釈によって、大学時代のサークル仲間のなかに犯人がいることが発覚する。
それを知った黒川は、三人の容疑者に接触して探りを入れる。そしてその影響で見たであろう夢をアリスに解釈してもらうことで、事件につながるヒントを得て、犯人であるキャットマンを特定しようと動き出す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-16 00:00:00
148387文字
会話率:69%
結城は修学旅行でたまたま訪れたフロイトミュージアムで、ノスタルジックな体験をする。それ以来、彼は、毎夜、毎夜、夢の世界で、遠い場所の見知らぬ人間になっているのだった。そこで、彼は、時代に翻弄されながらも、愛を求めあう一人の男として、行動する
ことになる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-07 21:59:15
1976文字
会話率:52%
このエッセイを読むと、みなさん、ランキング上位作品を書けるようになっちゃうかもしれない!?
!?をつけてたら、必ずしもそうでなくても問題ないって偉い人が言ってました。
最終更新:2018-06-05 06:38:44
2391文字
会話率:2%
僕とアリスは15歳の中学3年生。毎週土曜日、桜木先生は僕たちに仕事を持ってくる。
最終更新:2018-05-06 11:27:37
6408文字
会話率:36%