日本の隅で、縮こまる様に生きていた1人の男は、予め決めていた自分の命日に命を絶った。
人畜無害を絵に書いた様に、善人で。
善人の例に漏れず、繊細だったから、段々と生きるのが苦しくなって選んだ結末だった。
彼は最後の最後で、頭に望み
を描いた。
それすらも随分と遠慮がちで、聞いたこちらが叱咤したくなる様な謙遜まみれの願いだった。
私はその願いを尊重した。
こういう人間は、稀だが、そう少なくも無い。
もっと我を通していいのに、死んでなお高潔であろうとする。
それは美しいけれど、同時に苦しい事なのに。
だから少し痛い目を見てでも、私は彼らをわがままにしたいのだった。
………今回も、そのつもりだった。
だが、どうしてか、この男の行く末が気になる自分がいた。
こういう気持ちは何時ぶりだろう。
およそこの銀河が生まれるより以前の周回で、1度すらあったかどうか。
何故は膨れ上がり、疑問は頭を蝕んで離さない。
その正体を、私は知りたくて仕方がない。
ーーー故に、私も転生しようと、思ったのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-15 18:50:15
6556文字
会話率:15%
与田克也は、似た名前の依田克典からイジメを受け、ついには名前を変えないと死ぬほど虐めると宣言される。
自殺しようとした克也を止めた祖父は、よだかの星のヨダカほど必死で羽ばたいてみろと彼を叱咤激励し、それを受けた克也は生まれ変わったつもりで
頑張って生きてみる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-22 00:35:12
3101文字
会話率:20%
前作の金太郎で多数の叱咤叱咤をいただきました。
確かにエンターテイメント性が低い作品だし、書いてて楽しくありませんした。
なので背中を押してもらい、本気で書き直しました。
お時間いただければ幸いです。
金太郎の物語です。
最終更新:2022-08-28 23:48:25
8760文字
会話率:0%
大勢の前で婚約破棄を言い渡され、相手を返り討ちにしたことから令嬢としての評判を地に落とした伯爵令嬢・ウィレミナは、気にせず弟妹の世話をして一生を過ごそうと決めていた。
しかし、その心身ともの頑丈さを見込まれ、亡くなった先代妃の代わりに二人目
の妃として国王陛下の元へと嫁ぐ。夫となったライアン陛下には「愛することはないだろう」と言われていたものの、共に過ごす内にウィレミナの方が彼のことを愛するようになってしまった。先代妃の忘れ形見、聡明なお子様ディーノ殿下に叱咤激励されながら、腹を括ったウィレミナは恋の成就へと果敢に挑む!!
連載版を始める事にしました!恋が実るまでの基本的なストーリーは同じですが、短編版ではカットしたエピソードなどが入っています。その後も続きます。どうぞよろしくお願いします!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-03 12:28:58
117001文字
会話率:40%
7年間連れ添った最愛の婚約者であるジルベールの目の前で、コレットの体重に耐えきれなかったハイヒールの踵は、無残にもまっぷたつに折れた。
ことを重大にとらえた彼女は、意を決してダイエットに励む。オフシーズンに領地に籠り見違えるほどの変貌を遂げ
たのだが――
時すでに遅く、舞踏会シーズン初めに婚約者のジルベールの浮気現場に遭遇してしまい、7年越しの婚約はあっさりと解消されてしまったのだった。
やけ食いによるリバウンド!
友人からの叱咤激励!
新しい恋の予感!
翻弄されるコレットの舞踏会シーズンが今はじまる?!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-27 07:00:00
105212文字
会話率:43%
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノ
アに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※ざまぁ全振りの作品です。苦手な方はスルー推奨
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※アルファポリス・ピクシブ様でも掲載中折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-23 19:36:50
19813文字
会話率:39%
でもまたきっと新しい
人格を作り出してしまうのだろうか
最終更新:2022-03-22 06:12:55
227文字
会話率:0%
スオン歴百二十一年。乱世に突入したロウランダ大陸で、二人の少女が立ちあがる。
その名はフォートリア・フォートレムと、ラー・ダークナス。一庶民の娘と、義賊の頭領といった立場の二人は、互いの知らぬところで〝皇帝〟を目指す事になる。
従妹で
あるジェンナ・フォートレムを軍師にする為、村を占領するフォートリア。
かたや、大罪人であるルウ・ジャンを軍師にする為、国をも奪うラー。
その噂を聞き、嫉妬にも似た気持ちを抱くフォートリアと、危機感を募らせるラー。
やがてラーは奇計を以て他国の軍事介入を封じ、スオン皇の奪取に成功する。一兵も損なう事なくスオン家の争いに決着をつけ〝皇帝〟の座に後一歩まで近づく。
その時、初めてフォートリアは気が付く。自分が誰よりラーを恐れていた事を。だが、彼女さえ居れば自分など要らないとまで思いつめる従姉をジェンナは叱咤する。改めて共に命を懸け、この難局に挑む事を誓う。
そのジェンナの機転により、ルウの正体を暴かれたラーは逆に窮地に追い込まれる。しかし彼女はルウがサイゴまで仕えた王だった。
この逆境さえ乗り越え、フォートリアが仕えるマーナム国に侵攻するラー。そこで同じユメを抱く両者は、初めて激突する事になる。今まで他人を蔑にしてきたフォートリアは変わり始め、ラーはやはり〝皇帝〟の座を諦めない。
二人の少女がしのぎを削り合う中、ロウランダ大陸は依然、大乱の只中にあった。
時にして、スオン歴百二十二年――三月三十日。
平和への道は、未だに遠い―――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-16 01:00:00
128903文字
会話率:47%
日本人としての記憶を持ったアリスが拾ったのは、日本から召喚された聖女様だった。
聖女様曰くこの世界は乙女ゲームで世界は危険な状態、世界を救うのはいいけど生活環境になじめない、取り巻きと恋に落ちたくないから城から逃げ出した。
お人好しのアリス
は聖女様の事情に自ら巻き込まれていき、叱咤激励飴と鞭で聖女に仕事をさせつつ彼女の心の平安を守るのだった。恋愛成分は少しずつ増えていく、はず?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-08 16:00:00
558365文字
会話率:44%
【フェルディナン・バダンテールは壊れた彼女の心を取り戻せるか】
https://ncode.syosetu.com/n4581hl/
【コレット・アルノー男爵令嬢は侯爵子息を叱咤する】
https://ncode.syosetu.com/n
7359hl/
【カロリーナ・ベランジェ公爵令嬢は元婚約者の願いを叶えなかった】
https://ncode.syosetu.com/n8784hl/
こちらの作品の、アベルをメインとしたお話。悲恋タグは王子用です。
王子の婚約者だからとカロリーナへの想いを秘めていたアベルの、その後。
誤字報告及び感想や評価、ありがとうございます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-12 01:04:10
9478文字
会話率:35%
【フェルディナン・バダンテールは壊れた彼女の心を取り戻せるか】
https://ncode.syosetu.com/n4581hl/
【コレット・アルノー男爵令嬢は侯爵子息を叱咤する】
https://ncode.syosetu.com/n
7359hl/
こちらのシリーズの、心を病んでしまったカロリーナのさらにその後のお話です。
前向きに生きていく彼女と、もう取り戻せないことを知った王子。
王子にとっては決してハッピーではない展開です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-07 22:04:40
8412文字
会話率:35%
【フェルディナン・バダンテールは壊れた彼女の心を取り戻せるか】
https://ncode.syosetu.com/n4581hl/
こちらのお話から少し時間が経った頃。コレットとアベルのお話です。
カロリーナとの思い出と、これからのこと
。
前回のお話への感想、また誤字脱字報告感謝です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-04 23:37:18
5488文字
会話率:36%
無精子症を理由に、妻と別れた主人公は、仕事にも身が入らない空虚な日々を送っていた。見かねた女上司は、異国に飛ばされたくなければ新企画を立ち上げろと彼を叱咤する。
主人公の練った企画は、自分の様な不妊症患者をメインターゲットにした、子を持
たない事が前提の結婚紹介事業だった。
事業は順調に進んだが、予想しなかった顧客への対応に迫られる事となり……
思考実験的な短編です。
※「カクヨム」にも併載しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-02 21:33:19
9931文字
会話率:22%
愛し、愛され。思い、思われ。蔑み、蔑まれ。憤り、叱咤され。悲しみ、嘆く。
無数の思いと感情は無尽蔵に存在する世界で巡り、記憶を紡いでいく。
これはその片隅の一片。『愛』を胸に進む者たちの小さな物語。
『第一幕≪俺は冴えない≫』完結(
第二部改稿中。流れに変更は無し)
冴えなくても満足な生活送ってたやつが、冴えてる異世界に来たのに変わることもなく冴えない生活を望んで生きていく。そんな物語。
――≪変わることなく、いつも通りに≫
『第二幕≪俺は輝く≫』連載中(最終となる第三章開始)
輝いて、ハチャメチャで、たまに初々しくラブラブしたり、世界の命運をかけて戦ったり。そんな物語。
――≪どんな時でも輝く光のように≫
(第一幕改稿作業中:現在第二部『47』まで改稿完了。追加分は投稿日時が新しいものになります)
(第一幕第二部改稿は次話投稿と並行して行っています)
※※※
・次話は書きあがり次第の投稿となります。
・どんな些細な事でも感想いただけるとありがたいです(懇願)
・諸連絡は『活動報告』又は『最新話追記』に記載するので、そちらをご覧ください。
※※※
・『カクヨム』にて同一作品名、同一名義で重複投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-05 20:47:21
1519032文字
会話率:55%
死にたい、でも自分が死ぬことで親がかけてくれたお金、今まで出会ってきた人達に迷惑がかかると思って死ねない。
辛い、苦しい
そんな感情の発露を誰かに見てもらいたくて書きました。
自己満足です。
自慰行為と捉えていただいてもかまいませ
ん。
叱咤してくれても、同情してくれてもかまいません。自分の気持ちを誰かに知ってもらえるというだけで幸せです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-12 23:21:53
842文字
会話率:0%
ヘアーサロンのガラスに映る、精彩を欠いた厭世主義者のような男――
それは、営業成績が振るわず、上司や同僚から毎日のように叱咤激励を受ける私だった。
そんな私をバカにするカラス。実家地方に伝わるカラス料理の「『カラス田楽』にしてやる!」と息巻
くが、カラスは全く動じない。それどころか気持ちを逆なでするようにバカにしてくる。その鳴き声のする方を見ると、小さなお堂が目に入る。毎日通勤する道にも関わらず、今までそこにお堂があることには全く気付かなかった。八咫烏が神武天皇を導いたと言われる伝説のように、これもカラスのお導きなのか?
これも縁と思い、お堂―弁天堂―にお参りする。「営業成績が上がりますように……」。お参りが日課となって一ヵ月経つが成就されない。そんなある日、目の前に弁天様が降臨した。弁天様特有の姿である『びわ』を持って。弁天様に会ったのは晩夏だが、まだまだ夕陽の強い夕方。左脚に少々ハンディキャップをもつ70代女性。買い物袋を重そうに持っている。亡き祖母と姿が重なる。その買い物袋に、前から来た青年の運転する自転車が接触してし、そのはずみで袋を落としてしまう。何事も無かったかのように拾い上げた瞬間、今度は持ち手部分が切れて、再び袋を落としてしまう。悪いことに今度は袋が倒れ、買った商品が歩道に散らばってしまった。
その落ちて散らばった商品を拾い集めることから、私の妄想ヒーローが始まる。荷物を助けたおばあさんは裕福そうだ。そして物事は私の都合の良いように展開していく。見返りを求めないのがヒーローなのでは? 多くの人のヒーロー像だ。しかし、私は見返りを求める。ギブ・アンド・テイクであってこそ私の求めるヒーロー体だ。
そんな妄想が「営業マンさん」の言葉の一撃をくらい、現実に引き戻される。そこには、今助けたおばあさんがいた。普通のマンションに住む、普通のおばあさんだった。
マンション入口に着くや否やババ友からお茶に誘われる。おばあさんの手には、お茶受けのため、スーパーで買った『びわ』があった。
『びわ』を持つ女性……。弁天様なのか? おばあさんの背中から溢れる西陽は光背のようだったが。
この作品は「第14回銀華文学賞」に応募したものを加筆修正しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-26 00:00:00
16133文字
会話率:36%
ダンジョンが地球に発生してから50年。
可もなく不可もなく順調に某有名企業で営業として過ごしていたところ、身に覚えのない濡れ衣を着せられて極貧生活へと転落。
財産は全て差し押さえられ、口座は凍結、手元に残った僅かな資金を元になんとか生活を続
けるがそろそろお金がヤバイ。
新たな仕事を求める為にハロワへと足繁く通うが、求人をしているのは女性限定か、安い月給でダンジョンから取れる素材を集めて企業へと献上するだけのダンジョン土方のみ。
無職で金もなく、スキルさえも持っておらず、このままでは生きていけるのかどうかさえ分からない。
ハロワのおばちゃんに叱咤され、仕方なくダンジョンへと潜れるライセンスを取得。
とりあえず、ダンジョンに潜ってその日の生活費を稼ぐ事にしたが、ハロワの横のダンジョンは最弱のスライムダンジョン。
そんな最弱ダンジョンで生活費を稼ぐ為、色々なスライムと戦っていくのであったが…
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-22 04:35:54
1174196文字
会話率:53%
仕事よし、容姿よし、スタイルよしの完璧な女性、花巻馨は自宅玄関のドアを通ると別人になる。
姿勢を糺し、常に自信に溢れている表からは想像も出来ないほど小心者で恥ずかしがり屋の彼女は38歳にして恋愛経験がまさかのゼロ。
このまま恋愛を知らずに墓
まで行くつもりだった馨が出会った恋に流されていく。
寂しい老後を懸念していた彼女の両親からの応援あり、大学から続く友人からの叱咤もあり、馨は未知の世界に足を踏み入れるが…
はじめての感情に揺さぶられ、泣いてばかり。
もうすぐ四十路女の初心な恋愛話です。
お付き合いくださると嬉しいです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-06 09:00:00
14596文字
会話率:32%
不死の怪物が蔓延る世界で、ヨゾラは旅仲間の少女の唇を奪った。
少女の名はアマネ。
彼女の性格を表現するのなら、我儘で、自信過剰で、男嫌い。
第一印象は最悪で、彼女との旅は喧嘩ばかりだった。
「呆れたぁ……」
「早く荷物を運びなさい」
「
あんたみたいな根暗野郎は大嫌いよっ!」
いつか絶対に泣かすと心に決めていたヨゾラだが、一緒に旅をする中で、奴隷商人に売られそうだった彼女を助け、落ち込んでいる時に叱咤激励され、彼女との絆が生まれていく。
「男なんて大嫌い。だから、あんたのことも嫌い…………でも……少しだけ、信用してる……」
そして、旅の最後に、ヨゾラは彼女の唇を奪う。
これは、無能だった青年が成長し、我儘少女と共に、残酷な世界を救う物語だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-26 23:10:01
26866文字
会話率:40%
「イザベラさん!! あなた、また聖水を飲みましたね!!」
床に倒れ込みうずくまっている彼女の毛先が分解されて、パラパラと宙を舞う粒子が、ステンドグラスから差し込む太陽の光を反射して光り輝いています。ほんの一瞬、その神々しささえ感じられる
情景に呆けていた自分を叱咤し、彼女の傍に駆け寄りました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-29 20:07:13
3158文字
会話率:53%
これは僕の中にずっと燻っていた情熱とそれにずっと目を背けてきた自身に対する叱咤かもしれません。拙いこの詩をどうかご自身の人生と照らし合わせて読んでみてください、新しい何かが開花するかもしれません。
最終更新:2021-06-23 01:24:28
616文字
会話率:0%
ボクの名は、ルティ。
ボクは今……。
「はぁはぁっ…ごめん、皆ごめんっ!」
ボクは今、死の恐怖に負けて逃げていた。
生死共にした仲間達を囮にして。
『死にたくない』……そう思って逃げ出した。
◆
今から一時間前の話
ボク達は冒険者ギルドの依頼を受け、カノン大森林の奥にある湿地帯に沈んだ魔法王国フィルシャーナの遺跡周辺で魔物狩りをしていた。
遺跡の名は『|湖岸都市《こがんとし》フールーン』。
フールーンは魔法王国時代、湖に浮かぶ水上都市だったらしい。
王国の滅亡と共に機能を失い、今では遺跡の大部分を湿地帯に飲み込まれ、沼の底に沈んでいた。
そしてクエスト中に突然……
あまりにも突然……
…………………………仲間の一人の頭が消えた。
「え??」
ボクは一瞬理解ができなかった。
でもすぐに分かった。
…………喰われたんだ。音もなく背後から襲ってきた魔物に。
仲間の死はあっけなかった。
千切れた首からピンク色の肉が見えた。
と、同時に肉から深紅の血が吹き出した。
ここで初めて気づいた。
ボク達が、魔獣の大群に囲まれていることを…
仲間は、すぐに武器を手に取って応戦した。
(み、皆の援護をしなきゃ!)
そう思い、ボクは魔術を行使しようとした……が、次の瞬間、ボクの心は黒く塗りつぶされた。
……そう、真っ黒に。
……心が……………………恐怖に塗りつぶされた。
気づいたら…………ボクは……ボクは逃げ出していた。
死への恐怖に負けて………仲間達を置いて…………
逃げ続けたボクは、大森林の外縁部まで来たところて足を止めた。
心臓が口から飛び出そうな程疲れはて、その場に倒れ込んだ。
「ご、ごめんよアレン、コーク………………エリー……」
ボクは懺悔した。
置き去りにした仲間達の名を口にして。
そして、慰めるかのように両手で自分の体を包み込んだ
ただ、震えていた。震えるしかでかなかった。
「村に戻らなきゃ。た、助けを……」
ボクは震える体を叱咤し、最後の力を振り絞り立ち上がった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-22 08:01:38
5401文字
会話率:19%