「唯花さぁ……あたしらがやってるのに、なんでまだ“ティアもん”やってないの? 早くクリアしてこいよ」
「え……でも……私……ゲームってあんまりしたことなくて……」
「は? あたしの言うこと聞けないの? ペットはAIで戦うしドジなあんたでも出来るでしょ? 言っとくけどクリアしないと……絶交だからね」
ちょっと引っ込み思案なせいか、クラスでいじめられている女の子、市原唯花10歳は、いじめっ子の命令で今流行りの女児向けVRゲーム【ティアラ
ペット☆もんすたーズ!】を始めた。
偶然生じたバグによって唯花のペットモンスターとなったのは竜の顔を持つ筋骨隆々の戦士だった。
他と比べ全く可愛くないそのモンスターはAIで動いているはずなのに妙に人間臭く、そして何より——強かった。
同時に某ネット巨大掲示板でこんなスレッドが立ったという。
【悲報】致命的バグで俺氏、なぜかティアもん内の女児のペットになった件【バグ】
唯花にドラちゃんと名付けられたその変なペットモンスターは、唯花とストーリーを攻略していくうちに、このゲームが女児向けの皮を被った鬼畜クソゲーで、多数のトラウマを女児達に植え付けかねない最低なゲームだということに気付く。
そして唯花の事情を聞いているうちに彼女をこの理不尽なゲームから守る事を決意する。
「怖いけど……クリアしないと璃梨華ちゃん達に絶交されちゃう……されたら私……ひぐっ……えぐっ」
「ドラァ!(よし、こんなクソゲー誰がやるかと思ったが、良いだろう。ガチゲーマーな俺がヌルゲーにしてトラウマイベントは全部潰してやる! あとその璃梨華とかいうやつは二度とゲームできねえぐらいに叩きのめす」
これは、杜撰なゲーム開発と運営によって産まれたクソゲーを、攻略しようと奮闘する少女とそれを陰から支えるペットとなった廃ゲーマーの物語である。
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