第Ⅰ幕:静寂なる《虚無殿》
星なき天。音なき風。
色も、音も、概念さえも希薄に溶けた虚空の中に、ただ一つ、そこだけが“意味”を持って存在していた。
──《虚無殿(ニヒル・ヴェイ)》。
それは、神話階層に属する制圧戦略本部。
宇宙の果てに
すら属さず、時間軸の外に在り、いかなる次元観測者からも干渉不能な「純粋思考存在」のみがアクセス可能な絶対領域。
この殿堂は空間ではない。“意思”のために構築された、“神格知性”専用の概念基盤である。
無限に広がる闇の中心に、それは浮かんでいた。
──惑星《アルティ=ゼノス》の立体投影。
天球儀を思わせる淡い蒼の光球が、幾重にも複雑な魔力演算構造を伴って、重層的に回転していた。
空間に浮かぶ軌道帯には、文明圏の活動密度、魔素流動図、神性分布、霊的干渉濃度、さらには次元横断の痕跡までもが、リアルタイムで反映されている。
ただの地図ではない。
これは惑星全体の“生命と魔法の構造式”を視覚化した“生ける星の投影体”だった。
そして、そのホログラムを、じっと見下ろしている存在がいた。
闇より深き漆黒の座、《玉座構造体エンド=ノヴァ》に鎮座するその巨影。
彼の名は──
《ヴァル=ザイン=ノワリア=レーヴァギア》。
エターナル・ノーブル・デビル吸血魔竜。
幾千の魔王を滅し、幾万の神の因果を刈り取った、神話階層における“禁域超越存在”。
神々をも超える存在でありながら、なお《創造》を欲する者。
彼は今、この星における“新たなる神話”の開始地点を選定していた。
「──ラムドゥ、出よ」
淡々とした命令に、空間が波打つ。
空間認識座標【N-∞】が開放。
幾何学的な魔術構造が光を描き、その中心から冷たい青白い光が展開された。
現れたのは、宙に浮く一対の魔術核と黒銀の杖型インターフェースを持つ存在。
人の形ではない。
それは《ダンジョンコア》、そして分析知性体にして、ヴァル=ザイン直属の補佐機構。
《ラムドゥ=ネイル・オルトラージュ》。
「認識完了。存在確認。貴殿の“観察”要請に応じ、アルティ=ゼノス全土の大陸構造、魔力構造、霊的流動、支配領域、神性分布を統合解析──」
「戦略的ダンジョン創造における最適候補群を提示する。進行を許可されたい。」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 21:08:10
18799文字
会話率:32%
~ 終わらない世界再生実験、繰り返される終末戦争、創造主を討つ ~
地球到着まであと十年。
宇宙を旅する移民船団ノアは、正体不明の戦艦に襲われる。
一人生き残ったキアラは、千五百年前に消滅したはずの天球儀船プトレマイス号に不時着する。
そこ
は中世ファンタジー、現代、近未来ファンタジーが交錯し、現実と仮想の境界が曖昧な世界だった。
プトレマイオス号の周りには、太陽や月が公転している。
このとてつもなく巨大な浮遊大陸船は、人類が造ったものではない。
しかし、誰一人として、宇宙船の中で暮らしていることを知らない。皆、地球に住んでいると思っている。
歴史、科学、文化が改ざんされていることを誰も知らない。皆、世界は神「ノルン」の手によって創られたものと信じている。
そして、プトレマイオス号が巨大な実験場であり、破滅の道へ向かっていることを誰も知らない。
プトレマイオス号全体を制御・管理している人型モジュール「ノルン」を除いて。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-25 22:20:00
56534文字
会話率:37%
夜空が泣くように散った火花
君の瞳は天球儀みたいだ
キーワード:
最終更新:2025-04-03 17:06:45
439文字
会話率:0%
一見ひとつに見えるが、その実態は、光と闇の2層のパラレル銀河が並行して存在するーーーそんな混沌とした宇宙を舞台に、銀河の中心をはさんではるか遠くの2つの星から、銀河の「光の意思」に選ばれた超能力者「銀河知覚者」、2人の少女が、暴走する「闇の
意思」と対峙するファンタジー物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-14 00:26:04
1395文字
会話率:31%
夜にだけひっそりと開くカウンター席のみの星喫茶(純喫茶風のお店)を営む店主の少女。
そしてそこに集う人びとの交流を描く日常の物語。
店外に出ている看板にある「星喫茶」という名にふさわしく、店内には古びた天球儀などの天体観測道具、骨董品や鉱
石などが並べられています。
店主(正式には代理)の上のの名はキピアといいます。
昼間はショーウインドウから外を眺めているビスクドール(西洋風のアンティーク人形)のが本来の姿。
しかし夜になると店主として「つかれた」お客さまをお迎えしているのです。
この物語の今夜の主人公は、あなたかもしれません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-24 21:32:20
7987文字
会話率:38%
「帰るんだ。いつか、わたしたちの世界へ」――
「英雄になり損なった男」宗谷俊平。日本から飛ばされてきた異世界・エリアム王国で日々を暮らす彼は、とある事情で結婚詐欺で傾いた貴族の家の再興を任されることになる。とにかくまずは人手を集めるために奴
隷商人の下に赴いた宗谷が出会ったのは、やはり同じ日本出身の風変わりな女、中林宿李。
かつての宗谷の冒険の結果、手元には異世界産の品質のおぼつかない望遠鏡が一本だけ。しかし中林は空を睨み、この異世界を解き明かして日本に帰ると宣言する。帰還の願いを持った中林と、冒険はもう嫌だという宗谷。二人は目的は違えど目の前の事態に緩やかに協力し、商売を成功させ、神殿との対立を回避し、トラブルを解決していく。そうして山を乗り越えた先に待っていたのは、たった一本の望遠鏡での観測を元に推論した、中林によるこの「異世界」の真の姿の暴露だった。
――突如として飛ばされた異世界で、選ばれた勇者でもなんでもなく、特殊な追加スキルや異能もない、そんな宗谷と中林。武器となるのは宗谷の機転と中林の科学知識のみ。エリアムの風習や文化に振り回され、手持ちの技術や資源の不足に苦しみ、貴族と神殿の対立に巻き込まれ、挙げ句にエリアムを支配する暴君マリイに目をつけられてしまった二人は、果たして生きて地球に帰れるのだろうか!? 異世界や魔法を科学でメッタ斬りにしていく冒険の旅が、いま始まる!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-30 08:00:00
179920文字
会話率:63%
「帰るんだ。いつか、わたしたちの世界へ」――
「英雄になり損なった男」宗谷俊平。日本から飛ばされてきた異世界・エリアム王国で日々を暮らす彼は、とある事情で結婚詐欺で傾いた貴族の家の再興を任されることになる。とにかくまずは人手を集めないと、と
奴隷商人の下に赴いた宗谷が出会ったのは、やはり同じ日本出身の風変わりな女、中林宿李だった。
――突如として飛ばされた異世界で、選ばれた勇者でもなんでもなく、特殊な追加スキルや異能もない、そんな宗谷と中林。武器となるのは宗谷の機転と中林の科学知識のみ。エリアムの風習や文化に振り回され、暴君マリイに目をつけられ、挙げ句に内乱にまで巻き込まれてしまった宗谷たちは生きて地球へ帰ることができるのだろうか!?
(作品ルール1:異世界召喚ものだが、主人公は『選ばれた』者ではないし、異能も持たない。
作品ルール2:主人公たちに都合のいい事物は、異世界の人々も使える。特に、知能的に異世界の人々が劣っているようなことはない。
作品ルール3:現実離れした発明品等は絶対に出してはいけない。
作品ルール4:以上のルールの下に、主人公が異世界で英雄となる話を書く。
この作品は、上記作品ルールに従って作られております)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-17 07:00:00
625769文字
会話率:59%
《あらすじ》
パラレル世界を見られる天球儀。それに憑いている妖精アーミはそれに惑わされる人間達を見てきた。
《作者コメント》
ノベルアップ+の魔法のお守りコンテストに応募している作品です。
お題「アーミラリ天球儀」 暦の計算にも用い
られた天球儀。星たちの動きを見ることで今生きている世界線とは別のパラレル世界を調べられる魔法具折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-17 15:52:01
2496文字
会話率:37%
短期集中連載、3話構成でいってみようと思います!
シロクマ帝国物語 異聞録
これはシロクマ帝国から見た異世界の物語。
(本作は他のシロクマ帝国物語とどこかで繋がっています)
南雲モモは新宿では有名だった。
『拝み屋 南雲』を営む巫女服女
子高生にして、国家認定三級退魔師。
冴えないアラフォー男のオジーを相棒に、今日も夜の街を行く。
そんなモモは、仕事の報酬としてひとつの「天球儀」と出会う。
ノベルアッププラスの短編コンテスト作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-27 23:20:38
9896文字
会話率:44%
閑静な住宅街を抜けて、街の外れにある寂れた博物館。
そこには世にも不思議な道具たちが展示されているという…
最終更新:2023-04-15 02:00:00
3748文字
会話率:11%
ムーンライト投稿の【永遠の天球儀】番外編小話。ほんのり自我が芽生えた新のひとり語り。
最終更新:2023-01-25 22:00:00
2863文字
会話率:29%
世界のどこか、緑溢れる美しい国。けれどそこは、魔法を使う男性「魔術師」が優遇され、女性の「魔女」は虐げられている国にて。
森の奥深くで、魔物のリアムと隠れて暮らす魔女ミリア。毎日変わりない日々を平穏に過ごしていた彼女は、ある日学園で学ぶ魔術
師の卵であるローリーに出会う。
立場を超えて交流を深める二人だったが、彼らはまだ、互いが深く悲しい因縁で結ばれていることを知らずにいた。
因縁の出会いが世界を変え、新たな真実を導く。魔法に彩られた世界のボーイミーツガール。
※こちらはカクヨム、ノベルアップでも連載しています折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-23 22:14:47
20431文字
会話率:41%
嵐で暴れる船から海に落ちた少年は、深い海の底で人魚の少女に出会いました。
少年は海の中で暮らすことになり、少女の話し相手になりましたが、深海で暮らしているはずの少女は地上のことにもとても詳しくて、少年の方が驚かされるばかりです。実はこれ
までにも深海へ何人か人間が来ていたのですが、その姿は今は見当たりません。彼らの行方はわからないと悲しそうな少女に、少年は自分はずっと一緒にいてあげると約束をしました。
けれど時が経つにつれて、少年の様子はおかしくなっていきました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-03-20 19:11:30
15208文字
会話率:34%
『三女神の破壊活動』と書いて《ホーライ・サボタージュ》と読みます。
青年、井上慧《アキラ》は、ある日突然見覚えのない部屋で眼を覚ます。
そこで出会ったのは泣き虫で人嫌いの魔女アーミラ。驚くべき事に、自身が板金鎧に転生してしまったのだと知る
。
迷い込んだ異世界には三女神と呼ばれる力が存在し、その刻印を宿した三人の娘――『継承者』は、与えられた神器の力を行使して、長きに渡る禍人との争いから神殿を勝利へ導かなければならない。
『天秤』 は世界を量り、
『天球儀』は世界を測り、
『柱時計』は世界を計る。
重い使命を科せられたアーミラを放っては置けないアキラは、『はかり』知れない争いの渦へと巻き込まれて行くのであった……
◤◢◤◢ 以下お知らせ◤◢◤◢
❖第一部完結しました!
❖第二部完結しました! 第三部を毎週木曜に更新しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-01 04:00:00
550967文字
会話率:25%
300字〜500字程度の詩を収録した詩集。つれづれなるままに綴りゆく言の葉たち。
最終更新:2018-09-23 21:28:27
3563文字
会話率:75%
天球儀が欲しかった、お爺さんのお話。
最終更新:2016-06-13 03:42:32
1394文字
会話率:0%
ほとんど君が、誘惑を仕掛けていた
ほとんど君が、憂鬱を持ちかけてきた
全てはそれが、何もかものあらゆる原因だって思えてしょうがない
あなたが憎くてしょうがないの
どうして私の思い通りにならないの?
思い通りの存在でいてくれないの、
あなたは!
それってジレンマ、私の我儘、分かってる、……でもね
少しくらい私の思い通りになっていったっていいじゃない
未来ってそんなに見えにくいものなの
だったら怖いわ、不安だわ
そしてあなたを嫌いになる
でもいつだって調子に乗っているあなたのことを愛しているの、本当よ
業火紅蓮少女ブラフ、天球儀の役立たず
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-08-23 11:20:37
97777文字
会話率:41%
近未来IT技術の進歩により実現したVRな現実世界(天球儀)ではそこに行き交うさまざまな人から人間の行動パターンや思考を解析し、経済、政治、科学技術などの未来を占星盤のように模索する巨大なシミュレーターを作り上げた。そのVR世界で偶然に宿星を
得た雑多な人々が世界を変えてゆくような出来事へと巻き込まれていく。
仮想と現実が境界を乗り越え、日常とファンタジーが交錯しながら、未来を創造する物語
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-01-24 20:32:48
11033文字
会話率:41%
ここはクラリオン女王が治める国、ミーナ。
悪の魔女・メリッサの天球儀を使った暴走をベラとグレンは食い止められるのか!?
誤字・脱字は教えてくださるとうれしいです。
最終更新:2012-06-02 17:44:01
12805文字
会話率:42%
ウェイの街の西区八番通りには不可思議な品物を扱う店がある。
睡月湖亭と呼ばれるその骨董屋の主人氷翠は、自分を尋ねてきた商人の娘の命を気まぐれに救った。
しかし、少女セアンは相手の行動が理解できなかった。
その夜、氷翠のいる睡月湖亭へ直談判に
向かったのだが……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-10-05 20:08:38
31455文字
会話率:35%
作者自身が2005年に訪れたギリシアの旅日記です。旅先で出会った人々…忘れられない出来事を、小説とは違った視点で描いています。
最終更新:2010-11-28 12:24:46
53098文字
会話率:6%
中学生最後の夏休みを故郷の香川県で過ごしていた受験生、楠真琴は、祖母から香川に伝わる不思議な『言い伝え』の話を聞かされる。言い伝えはその昔、平家と源氏の争いの中で許されぬ恋に落ち、非業の死を遂げた平家の武官が年に一度、光の船に乗って恋人のも
とへ現れる……と言うもので、受験勉強の息抜きになれば……と、真琴は言い伝えを見に行く事に……
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2007-07-10 23:16:19
13480文字
会話率:37%