「アドリエンヌ嬢、どうか……どうか愚息を見捨てないでくださらんか?」
ここガンブラン王国の国王は、その痩せた身体を何とか折り曲げて目の前に腰掛ける華奢な令嬢に向かい懸命に哀訴していた。
「国王陛下、私は真実の愛を見つけてしまったのです
。それに、王太子殿下も時を同じくして真実の愛を見つけたそうですわ。まさに奇跡でしょう。こんなに喜ばしいことはございません。ですから、そのように国王陛下が心を痛める必要はありませんのよ」
美しい銀糸のような艶やかな髪は令嬢が首を傾げたことでサラリと揺れ、希少なルビーの様な深い紅の瞳は細められていた。
「い、いや……。そういうことではなくてだな……。アドリエンヌ嬢にはこの国の王太子妃になっていただくつもりで儂は……」
国王は痩せこけた身体を震わせ、撫でつけた白髪は苦労が滲み出ていた。
そのような国王の悲哀の帯びた表情にも、アドリエンヌは突き放すような言葉を返した。
「国王陛下、それはいけませんわ。だって、王太子殿下がそれをお望みではありませんもの。殿下はネリー・ド・ブリアリ伯爵令嬢との真実の愛に目覚められ、私との婚約破棄を宣言されましたわ。しかも、国王陛下の生誕記念パーティーで沢山の貴族たちが集まる中で。もはやこれは覆すことのできない事実ですのよ」
「王太子にはきつく言い聞かせる。どうか見捨てないでくれ」
もっと早くこの国王が息子の育て方の間違いに気づくことができていれば、このような事にはならなかったかも知れない。
しかし、もうその後悔も後の祭りなのだ。
王太子から婚約破棄された吸血鬼の侯爵令嬢が、時を同じくして番い(つがい)を見つけて全力で堕としていくお話。
番い相手は貧乏伯爵令息で、最初塩対応。
『アルファポリス』に掲載中のものを移植しました。
執筆し始めて二ヶ月ほどの作品の為、拙いですがご了承くださいませ(੭ ˃̣̣̥ ω˂̣̣̥)੭ु⁾⁾
*今度の婚約者(王太子)は愚か者です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-21 18:11:07
60717文字
会話率:48%
トリマーとして働く貧乏伯爵令嬢レジーナは、ある日仕事をクビになる。意気消沈して帰宅すると、しかし精霊騎士である兄のクリフから精霊騎士団の専属トリマーにならないかという誘いの手紙が届いていて、引き受けることに。
レジーナが配属されたのは、
八つある隊のうちの八虹隊という五人が所属する隊。しかし、八虹隊というのは実はまだ精霊と契約を結べずにいる、いわゆる落ちこぼれ精霊騎士が集められた隊で……?
個性豊かな仲間に囲まれながら送る日常のお話。
※恋愛要素は薄いです。ご了承下さい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-31 13:02:08
109034文字
会話率:56%
侯爵令嬢グロリアは、最近ひどく元気がない。
それというのも婚約者のロバート王子と隣国からの留学生・アレクサ嬢がべったりだから。
グロリア嬢がやんわりいさめても、ロバート王子はアレクサ嬢を庇ってばかり。
面白くないのが、グロリアの父侯爵。アレ
クサ嬢の排除を図って、陰謀を巡らせる。
実家への援助を盾に、貧乏伯爵令嬢レイチェルに令嬢いびりを命令する。
――人は、なぜいびるのか。
なぜ、人の世からいびりがなくならないのか。
人が人である限り、いびりを捨て去ることはできないのか――
といいつつ、本音は
『相手が『ちょっとヤダな』と思う程度でお茶を濁してどうにかしたい……
わたしに与えられた選択肢は、絶妙にして微妙ないびりの境界線《ライン》ぎりぎりを目指す――
そう、いびりの道をきわめること――!』
と斜め向こうに必死のレイチェル。
一方、ヒロイン=アレクサ嬢はいびりなんてどこ吹く風。なぜだか距離をつめてくる。そのうえ、周囲がキナ臭い……。
いびりの道は険しく厳しいいばら道。
崖っぷち令嬢の明日はどっち!?
――そして、誰かがざまぁする――?
ムーンライトノベルズに投稿したバージョンからR指定描写を省きました。
R付きはアルファポリスとカクヨムにも投稿してます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-01 09:00:00
30611文字
会話率:22%
貧乏伯爵令嬢のジェシカ・ミッドロージアン。
亡くなった母の代わりに……
雇えなくなった使用人の代わりに……
ジェシカはいつも、家族と領民のために尽くしていた。
洗濯も掃除も、料理だってするし、時には木に登ってリンゴを収穫もする。
そんな
令嬢らしからぬ姉の姿に、弟のオリヴァーは焦っていた。
嫁の貰い手がなくなる……と。
大丈夫。見た目はいいんですから!!
さあ、なんとか用意できた資金で精一杯着飾って、二重にも三重にも猫を被って……
いざ、婿探し!!
はいいけれど、ジェシカが大人しくしていられるはずもなく、初めて参加した夜会でやらかしてしまった。
残念美人
そんなあだ名をつけられてしまったジェシカの、世にもおかしく、素敵な婚活事情。
貧乏でガサツで、令嬢らしからぬジェシカが捕まえた……いや、捕まった相手は、なんとあの戦の鬼と呼ばれるフェルナン・タウンゼンド騎士団長だった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-01 12:00:00
113145文字
会話率:48%
身に覚えのない罪を着せられ、婚約者である第二王子エルネストから婚約を破棄されたアンジェリクは、王の命令で辺境の貧乏伯爵セルジュに嫁ぐことになった。エルネストに未練はないし、誤解はいずれ解くとして、ひとまずセルジュの待つ辺境ブールに向かう。
初めて会ったセルジュは想定外のイケメン。恋など諦めていたアンジェリクだが、思わずときめいてしまう。けれど、城と領地は想像以上に貧乏。おまけになぜがドラゴンを飼っている!?
公爵家を継ぐために磨いた知識でセルジュと一緒にせっせと領地改革に励むアンジェリクだったが……。
改革を頑張るあまり、なかなか初夜にたどりつけなかったり、無事にラブラブになったと思えば、今後は王都で異変が……。
そして、ドラゴンは?
読んでくださってありがとうございます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-21 17:24:24
94084文字
会話率:32%
修道院で一生を過ごすつもりだった貧乏伯爵家の娘、シャルリア。
彼女のもとに舞い込んできたのは、まだ若いながらすでに二度の離婚歴がある資産家レオンヴァルトとの縁談だった。
彼がシャルリアに対して提示した条件は二つ。
一つ、夫婦の子供は望まな
い。
一つ、彼の“娘”を傷つけない。
これさえ守れば、シャルリアの生活と実家への援助は保障してもらえるらしい。
金がほしい高慢なシャルリア、妻がほしい腹黒なレオンヴァルト。
互いの利益が重なって成立した結婚という名の契約は、二人に何をもたらすのだろう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-02 00:04:13
192471文字
会話率:46%
わがまま姫と評判の公爵令嬢が選んだ結婚相手は貧乏伯爵家の三男坊!?
激高する王子に突きつけた婚約破棄の真相とはっ!?
婚約破棄からはじまる正統派ラブストーリー!
最終更新:2021-04-12 12:30:35
9109文字
会話率:64%
ソフィアはかつて、貧乏伯爵、ピアニー家の令嬢だった。清貧をモットーに楽しく生きてきたのに、身に覚えのない逆恨みから、呪いの鏡に閉じ込められてしまった。百年をすぎた頃、現実に呼び戻されたのはいいが、自分は当時の王太子との悲恋の”伝説の令嬢”に
なっていて居心地が悪い。その上、現在は裕福になってたピアニー家は、存続の危機に陥っていた。
呼び戻してくれた公爵令息のリアンは、当時の王太子のファン。その伝説のお相手であるソフィアは、いてくれるだけでいいというが、それに甘んじてはいられない。
すでに、ソフィアが戻ってきたことで、いろいろ影響が出始めていた。
ソフィアは、侍女たちと協力して、その問題に対応しようとするのだけれど、悩みどころは日々増えていくような……?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-11 00:05:52
433529文字
会話率:57%
ド貧乏伯爵家の令嬢レティシア・オルトンは、節約とお金稼ぎのために、住み込みで高給がもらえる聖女専属侍女の求人に応募して、見事合格を勝ち取る。張り切って仕事に臨むレティシアだが、聖女が実は美少年で、悪役令嬢からの追放を願っている!?
打算で手
を組んだ二人の奇妙なラブストーリーです。
※完結まで執筆済み。全27話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-17 13:31:55
59625文字
会話率:44%
貧乏伯爵家の家督をついだ兄のロレンスを支えるため、執事のサンドとして男装をして働くカサンドラ。
私と兄はハルティバト伯爵家を立て直す方法を考えた結果、兄であるロレンスは領主としての仕事をし、妹である私は執事として男性の格好をし、帳簿や資産
の管理をすることにした。
しかし世間知らずの母に言っても理解してもらえないだろうから父にだけこの事を伝えた。
兄は22歳。妹の私は18歳。
私にも兄にもそろそろ縁談が必要な年齢だが、今はまだそれどころではない。
カサンドラは表向きは、病弱なご令嬢だから夜会もお茶会も参加してはいない。だが国王陛下の命令で舞踏会に参加する事に!
どうするカサンドラ!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-13 16:35:13
13893文字
会話率:19%
貧乏伯爵の次男は婚約相手を求めていた。
貧乏であるが故に自身への申し込みは皆無。
しかし兄や弟には殺到、とも行かないまでも申し込みがあり早々に婚約を決めてしまった。
容姿や能力に自信のない彼は果たして婚約出来るのか?
最終更新:2020-09-07 01:13:01
35746文字
会話率:44%
「恋と憧れは別のもの――?」
平民のマリア・ヒュドールは、不運な十六歳の女の子。その類いまれなるドジのため、なかなか簡単なアルバイトでも長続きがしない。
そんな中、冷徹(だけど貧乏、そして本当は……?)と評判なテオドール・ピストリ
ークス伯爵から、恋人役を頼まれる。
敵は悪役令嬢ですか? 違います。むしろ彼が、悪役令嬢の弟でした。
彼が人嫌いになった本当の理由は――?
彼と彼女が結婚するまでの、勘違いで進む恋愛物語。
※1人称視点で進みます
※時々連載
※著者作品『記憶喪失の癒し姫』と世界観は同じです。だけど竜の話とは全く関係なく、恋愛だけ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-30 23:44:23
44843文字
会話率:31%
「なんでレディントン伯爵はこの婚約を白紙に戻そうとしてるんだ! お金が必要なんだろう! 」
商人の三男である僕、デリック・ミルワードの元に、愛しい婚約者・フローラとの婚約破棄を告げる手紙が送られてきた。
差出人は、病弱な一人娘のために財を
かき集めていたはずの貧乏伯爵。
この唐突な婚約破棄に納得できなかった僕は家を飛び出しーーー事故に遭い、幽霊になってしまった!?
どうして幽霊になってしまったのかは分からないけど、フローラが婚約破棄をしようとした理由だけはどうしても知りたい。
そう思った僕は、病で臥せるフローラの枕元に立ったんだけど。
……偶然、彼女を取り巻く殺意の存在に気がついて。
「フローラを死なせてたまるものか……!」
決意した僕は、唯一僕のことが見える実家お抱えの陽気な探偵を相棒に、事件解決へと乗り出した!
すれ違いから始まる、せつなくて、ミステリアスで、危険な事件。
ーーーたとえ死んでも、僕は君の事を愛しているよ。
※アルファポリス様にも連載中
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-19 07:00:00
46339文字
会話率:35%
貧乏伯爵令嬢のジルダ・イルケ。
嫁き後れな彼女に降って沸いたような、王弟との結婚。
これは、少し鈍感な彼女と生真面目な軍人とのすれ違ってんのか、なってないのか、どっちなんだの物語。
最終更新:2020-04-23 04:26:42
1876文字
会話率:37%
この前はクリスティンとジャンの物語を出しました。それと似たような、ロゼッタとクロフォードのサイドストーリーです。
残酷な描写は一応です〜
こちらも並行して見てくださると嬉しいです。
最終更新:2020-03-21 23:41:01
14578文字
会話率:29%
学費を稼ぐためバイト三昧の女子大生が過労で事故に遭い、大好きだった乙女ゲームに転生したと思ったらデブスの貧乏伯爵令嬢だった。ゲーム内の立ち位置としては悪役令嬢のセリフ内で名前のみ出演というモブ以下キャラ。前世と同じく華やかな世界とは縁遠いよ
うなので、ゲームのシナリオとは関係ない所で地味に生きる道を選んだら、いよいよ実家が火の車で、借金のカタに成金商家の息子(老け顔ブサメン)と政略結婚するハメに。互いに受け入れがたい容姿ではあったものの、ヒロインの心根の素直な所と、婚約者の真面目で優秀な経営手腕にそれぞれ敬意を抱くようになり、恋愛感情へと昇華させていく物語……の、予定です。
※初対面こそデブスとブサメンですが、物語中盤くらいには、ヒロインは化粧とダイエットでそこそこグラマラスに(スレンダーは諦めた)、婚約者の彼も成長に伴い年齢相応の相貌へと追いつきます。
※只今、不定期更新になっております。どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-29 01:00:00
189151文字
会話率:41%
貧乏伯爵家の長女ミリアは、寝ることが大好きな少女。学園ではいつも一人で、親しい友達はおらず、クラスメートとも禄に話さない日々。根暗で地味な彼女は、いつも日当たりの悪い場所に行くことから、「日陰令嬢」と揶揄されていた。人と関わるのが嫌なミリア
はそんな日々に満足していたのだが、第二王子と男爵令嬢の逢引に出会してしまったことをきっかけに、日陰から引っ張り出されるはめに。え? 婚約破棄? 政権争い? 最悪戦争になる? そんな大事に私を巻き込まないで……私はただ、ぐっすり寝たいだけなの。安眠妨害なんて絶対に許さないから。悪夢の原因は、速やかに排除してみせる! ……なのになんで、次から次へと問題が持ち込まれるのよ!? 返せ! 私の安眠生活を!!
○この作品はアルファポリス様にも掲載しています
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-25 18:18:48
26487文字
会話率:27%
王都のはずれの深い森、通称「悪魔の森」に建つ古城は、血なまぐさい過去と、その立地、見た目から「幽霊城」と呼ばれている。
恐ろしい噂ばかりの城に住まうのは、これまた良くない噂ばかりの第二王子。金色の瞳に、背中には翼をもがれた痕があるという
王子のあだ名は、モンスター。
次々と辞めてしまう侍女の後釜として白羽の矢が立てられたのは、貧乏伯爵令嬢のリーゼロッテ。高い俸給につられて侍女勤めを承諾するリーゼロッテだが、対面した第二王子は、なかなかの偏屈のようで、前途多難な予感がするが…。
ちょっと天然な貧乏伯爵令嬢と、孤独な王子の恋の物語。
目指せ王道!のつもりで書き始めたお話です。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-12 18:00:00
110993文字
会話率:45%
貧乏伯爵令嬢のレティシア・ロズベールは、公爵家令嬢ミラベルの専属侍女として日夜働いている。
しかし、ひょんなことからその公爵家令嬢がよりにもよってレティシアの部屋で魔王を召喚すると言い出したのだ。
何故そこに召喚用の魔陣牒があるのか?何故レ
ティシアの部屋なのか?
言いたいことはいろいろあるが、とりあえず一言選ぶのならまさしく「ふざけんなー!」だ。
魔法の衰退しかけたこの世界で、
――嘘でしょ?まさか、まさか本当に魔王が召喚されちゃったの!?
契約の為、魔王の屋敷で働くことになってしまったレティシア。
侯爵家跡取りのグレンに、魔獣のブラン、なんやかんやと大騒動に発展しそうです。
全部で12万字弱のお話です。書き終わっていますので、最終話まで毎日更新します。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-08-20 06:00:00
118735文字
会話率:41%
貧乏伯爵令嬢のルチアは、一度も会った事がない金持ち侯爵のレオポルトに求婚された。
お父様、騙されてませんか?
疑問に思ったものの、援助と引き換えに彼が提案してきたのは一年間の『期間限定の妻』だった。
援助によって持ち直した伯爵家、ルチアに
とってレオポルトは大恩人になった。
大恩人レオポルトの為に、『期間限定の妻』を頑張る決意をする。
例え、彼に秘密の恋人がいたとしても、彼に片想いをしてたとしても、あの人の為に結婚を決めたとしても…。
完結しました。
シリアスは殆どありません。たまにあるくらいです。
注意:同性愛を匂わす表現があります。苦手な方はご遠慮下さい。
※アルファポリスさんでも掲載しています。
無断転載禁止です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-16 18:00:00
116769文字
会話率:40%