銀髪の美女スピーシャは、父親を亡くし、肉親は妹のミーシャだけになった。
ミーシャは、父を亡くして以来ずっと沈んだ様子であり、スピーシャは心を痛めていた。
そんなある日、1人の男が姉妹に告げた。
ミーシャには、良くないものが取り憑い
ている、と。
不安に駆られたスピーシャは、呼び出しに応じて、ミーシャを連れて聖堂へと向かった。
そこで、スピーシャは恐るべき事実を知る。
実は、ミーシャの魂は、魔物によって食われようとしていたのだ。
これは、大切な妹を取り戻すために、この世の地獄へと身を堕とした女性の物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-30 19:15:56
149374文字
会話率:39%
魔女狩りが起こる遥か昔のこと。〈叙事詩圏〉の西部辺境ロカノンの地にて、ある巨大なプロジェクトが進んでいた。名付けて〈記憶堂〉、大いなる《記憶》を讃え、聖遺物を納める大聖堂の建造がそれだった。このプロジェクトは領主と教導会と異民族とが手を取
り合い、文字通り相争った歴史的記憶を埋葬し、〈女神の平和〉の到来を謳うための記念館になるはずだった。ところがそのプロジェクトの最新の現場監督、名誉市民ヘラルドはある朝呼び出しを受けて、プロジェクトの停止を命じられる。憤慨する老人ヘラルドは、この歴史の背景にあるものを知らされるが──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-23 20:30:00
10566文字
会話率:59%
ユーラニア伯爵家令嬢のエシェルは、10年に一度の聖祭で王都の聖堂に母親と共に参拝した。それは聖獣の加護を受けるユーラニア伯爵家と、それを守る王家、教会の10年に一度の秘儀の為だった。ユーラニア伯爵家直系、王家直系、教会のみの秘密だった。エシ
ェルは母親ロクサーヌと秘密の儀式をおこない、聖獣が降臨した。そして、聖獣から加護を得る。
「死んでも、一度、生き返る」
立ち会っていた王太子の息子ギルモンド王子も、同じ加護を得てエシェルを守ると誓う。
だが、その夜、エシェルとロクサーヌは父親に殺される。
途切れゆく意識の中でエシェルは、絶対に父親を許さないと誓うのだ。
ユーラニア伯爵家の秘密を知らない入り婿の父親は、エシェルとロクサーヌの遺体を森に捨て、獣に屠らせて二人の存在の消滅を画策する。
単純に取り戻すのではない、母の分まで、苦しんで、絶望に落ちさせよう。そして、復讐の後も生き残る為に、とエシェルは生き返る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-14 00:00:00
145465文字
会話率:27%
…………そういえば幽霊物件の悪霊とかも、死に相対する生のエネルギーだからって、エロとか下ネタに弱かったな……?
“聖都ドリオル・ガジューム”は、東西南北4つの聖堂によって人が悪魔から守られていました。
悪魔は人の悪意を好み、清らかな心や生
のエネルギーを嫌います。
ただし一度でも悪魔憑きになった者は、祈りを込めた銀によって、聖職者が浄化という名の処刑を行わなければなりません――。
「あなたには大聖女の儀式は行わず、聖都の西を守っている、我が大聖堂に次いで有力なセシューミュ聖堂の次期当主───ホエリオ・ブルーカン殿と婚約してもらいます」
北の大聖堂を守るベルローズ家の次期大聖女候補であるルアナ・ベルローズは、悪魔憑きの浄化に励んでいたにもかかわらず、不本意な噂で人から嫌われ、とうとう追放を言い渡されてしまいました。
追放――つまり政略結婚。西の聖堂を次に受け継ぐ男との縁談です。
「どうせなら、禁書でも外法でも、頼れるものにはなんでも頼って、不良聖女として奇跡の1つでも起こしてみせましょう」
不本意な追放と政略結婚を回避するため、ルアナは侍女(女装男子)の持ちだした禁術を使い、前世の記憶を取り戻します。
ルアナの前世の記憶――それは、趣味でアダルト小説ばかり書いていた大学時代の記憶でした――。
前世のエロ知識を使って奇跡の悪魔祓いを見せたルアナの、下ネタあり・ラブコメありの、大聖女としての快進撃が始まります……!
※青少年に不適切な性的な下ネタなどが含まれます。
※カクヨムにも同時掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-05 21:37:02
30369文字
会話率:43%
聖なる山がそびえる国、聖コーランド王国の第一王女は妹から虐げられていた。この国では聖痕をもつ者が稀にいて、聖痕をもつ者の周りでは幸福が訪れると言われていた。そして、王家に聖痕をもつ者がいれば、国が繁栄すると言われており、妹は聖痕をもって生
まれた。その為妹ばかりが両親からも弟からも、更には使用人たちからも可愛がられ、第一王女アリーチェは放置されていた。そんなアリーチェをことあるごとに妹は虐げてきた。アリーチェを聖痕なしと言ってバカにし、またアリーチェの物を無断で奪っていく。それを見ている誰もがとめはしない。それでもめげずに明るく育ったアリーチェの側には愛猫がいた。愛猫がいたから真っ直ぐ成長できたとアリーチェは思っている。
そんな中、隣国、フランディー王国から王太子の結婚相手として、婚約の申し込みがあった。その手紙は王女のうちどちらか、という曖昧なものだったが、聖痕ありの妹が候補になることはない。妹は入り婿をもらい、国に繁栄をもたらす存在なのだから。家族からも国民からも愛される自分は選び放題だし好きな男性を選ぶからと、アリーチェに政略結婚として隣国へ嫁ぐようにいう。そして顔合わせは、コーランド王国の建国祭の舞踏会で行われた。次の日無事に王都の大聖堂で婚約式を行い、一年後に結婚式を行うことが決まる。だが、美しく気品に溢れた王太子に一目ぼれした妹が婚約を譲れと言ってくるようになった。しかし、両親も国を繁栄へと導く妹を手放したくはないと思い、結果やはりアリーチェが嫁ぐことになったのだが、そんなアリーチェが許せず妹の行為はエスカレートしていく。流石に身の危険を感じたアリーチェは、わずかな荷物とお金を持ち、そして愛猫を連れて王城を脱出し、婚約者のいるフランディー王国を一路目指す。様々な人と触れ合いながら、唯一自分を選んでくれたフェリクスの元へと向かうのだった。
やっとの思いで辿り着いたフランディー王国では歓迎され、結婚式までこのまま住めば良いと言われる。好待遇で受け入れられ、また王妃に可愛がられ幸せを感じながら過ごしていたが、フランディー王国にいることを知った妹が、自分ができないことをアリーチェがするのは許さないと言って一緒に帰るように勝手に婚約解消の書類を作り乗り込んでくる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-04 09:36:48
67871文字
会話率:38%
大聖堂の教皇によって洗脳されていた聖女ユーフェミアは、巡礼中に暗黒教団に攫われ、闇の母として祀られてしまう。
そのショックで洗脳が解けたリコは、自分が前世で読んでいた小説のキャラだと気づく。
物語通りなら、このまま王国に戻れば魔女として処
刑されてしまう。
そこでエリスは生き抜くため、闇の聖母になることを決意するのだが……。
あ、あれ? この人達……善人なんですけど??
逃げ延びた隣国で、地雷系イケメン闇司教とのスローな布教生活が始まる――!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-21 06:50:19
7156文字
会話率:42%
生まれは歓楽街、誘拐されて育ちは教会。 筆頭聖女シャーレーンは次席聖女ルルミヤによって出自が暴露され、地位を失い王太子に婚約破棄され、しまいには襲撃に遭い瀕死になってしまう。地位も婚約も要らないが、命は惜しい。
「助けて、神様……あた
しはあんたの妻なんだろ!?」
呼び声に答えるように、黒髪の男がシャーレーンの危機を救い、彼女の傷を癒した。
彼は聖女とつがい国を守る大いなる土地神で、教会を出るシャーレーンについていくと言い出した。
「神様なのに、聖堂から出て大丈夫なのか?」
「あなたを利用し捨てるような国を、守る必要はない。俺にとって大切なのはあなたの傍にいることだから」
「いいのか……?」
シャーレーンは治療の影響で8歳の姿になっていた。聖女としての姿と身分を捨て、幼女の姿で初めての自由を謳歌するシャーレーンは、神に溺愛されながらようやく自身の生きる道を見つけていく。
その一方で、神の加護を失った教会も国は窮地に立たされていくことに……
溺愛重めの神様と、ガラは悪いけどまっすぐな聖女が幸せになる物語です。
※冒頭でヒロインが死にかけます。幼女化は2話より。
※ざまぁはしっかりやります。
※ヒロインの口調がとても悪いですが、理由は2話にあります。TPOは守る子なので許してください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-15 20:00:00
263765文字
会話率:44%
朱鷺の群れが舞い上がった時、男は異常に気付いた。
周囲には異形の群れ。突如として現れる、果てしなく続く団地。街には迷宮があり、誰もたどり着けない城が建つという。
人々は広大無辺の建造物に立ち向かい、狂気ゆえに正気に還る狂人を利用して、
無限の異界を攻略する。
ここは聖簾。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-15 07:44:44
5627文字
会話率:38%
ウル太は地球の支配種族たるネコである。彼は引州町(いんすまち)に住む奉仕種族ニンゲンの一家、片倉家を支配する領主であった。ネコたちはみな貴族にして戦士であり、弱き奉仕者たちをたぶらかす外界からの侵略者たちと、日夜死闘を繰り広げているのだ。
片倉家の一人娘、瑠璃絵(るりえ)の周りで起こる不穏な事件をきっかけに、ウル太は魔術師の影を追う。その途上で罠にかかったウル太と、ついに崩壊した日常に取り残された瑠璃絵。は深き者たちの大攻勢g始まったのだった。
町のネコだけでは兵力が足りない。同盟を結んでいる学園都市、赤虫(あかむし)市から援軍を呼ぶことが決定される。それは星辰を巡る一夜の大戦争の幕開けであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-15 10:53:34
48088文字
会話率:16%
東の果ての島国『狗那』で、父親と共に海賊兼用心棒をやっていたおえいは、雇い主の王信から光華の宮廷の侍女をやって欲しいと頼まれる。渡世の義理で受けたはいいものの、光華全土から恐れられる蛮族出身ゆえ正体を隠さざるをえず、来るのは厄介事ばかり。さ
らに襲いかかる忍者やら陰謀やら。大陸を揺るがす一大事変を侍女(さむらいおんな)が斬る!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-17 23:55:13
8627文字
会話率:48%
とある大陸の、北の果て。港町のはずれに、遠浅の海と、1つの島がある。
“島まるごと大聖堂”な彼の地には、「大聖女さま」がいらっしゃるのだ――
最終更新:2024-09-01 08:00:00
1390文字
会話率:40%
神星国(しんせいこく)アスティラン
そこは星女神ステラルの加護を受ける豊穣の国。
アスティランの国民は王族も貴族も平民も皆精霊と共に暮らしている。精霊(トワル)は15歳の洗礼の儀で神より賜る生涯のパートナーで、自身の人生を導いてくれる最大の
友である。
主人公アルマ・ブランは洗礼の儀を受けるべく、大聖堂の門戸を開こうとしていた。
それが茨の道になるとも知らずーーーー折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-29 18:21:50
35779文字
会話率:41%
精霊姫を二度も輩出した名家に生まれたフィーラは、精霊姫候補を外されたことで癇癪を起し、引き持った聖堂で転んで頭を打ったことで前世の記憶を思い出した。しかし、前世の記憶を思い出したことで、フィーラはこれまでの自分の行いを反省する。精霊姫候補を
外されたことを受け入れ、王太子の婚約者候補も辞退することに。身の程をわきまえ、謙虚になったフィーラの運命は徐々に変わっていく―。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-28 21:00:00
800660文字
会話率:50%
まず大地があり、大地は五柱の聖霊を産んだ。
ブラン、ノワール、ルージュ、ブルー、ジョーヌ。
五柱の聖霊は力を合わせ大地を守り育て繁栄させる。大地は国となり、人になって王となった。聖霊は国の住人の中から使者を選び、その使者に役割を譲渡した。
この国は、王都の周りにこの聖霊の名を冠する五つの領があり、それぞれの公爵が治めている。
公爵は聖霊に選ばれた使者が成る。領土の中の子供に、信託が下るのだ。
通常、20から30年に一度、12歳から18歳までの子が選ばれることが多い。
選ばれた子は候補と呼ばれ、聖霊の儀式を経て後継となり、現公爵の養子となる。
どのくらいで後継となるか、どのくらいで侯爵となるかはその時による。しかし、資質の問題か精霊の気まぐれか、後継となる前に神託が失われることもある。
そのため、候補となったものは、数年間を王都の聖堂で教育する習わしがあった。
連載中の、「 破滅する推しの義妹に転生したので、悪役令嬢になって助けたいと思います。」の転生先の物語の設定として作成しました。誰も転生していないので、話もキャラクターも違います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-26 07:00:00
15455文字
会話率:39%
聖女と王子の婚姻で沸き立つアイスゴニア王国。しかしその結婚に影を落とそうとする不穏な動きもあった。そこで、王国への謀反行為を知った存在は少女ガブリエラの体を使い、王国一の魔術師、イアン・アンドレアスに声を上げる。
結婚式が執り行われている大
聖堂の地下に設置された破壊具を解除して、と。
イアンこそ聖女と王子の結婚に異を唱えたい事を知っていながら。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-13 17:49:01
14524文字
会話率:29%
魔法使いフレデリカは、元の師匠の弟弟子サビーノの元を訪ねた。
サビーノにはフレデリカはごく普通の魔法使い。苦手はなさそうだが得意なものもなく、魔力も大したことはない将来性のない魔法使いにしか見えず、三ヶ月様子を見て弟子にするか決めることに
した。
聖堂で人手不足のため人をよこして欲しいと言われ、サビーノはフレデリカを派遣することにした。
治癒の力も強くないフレデリカは、聖堂の供物整理を任されることになった。
後に月隠の魔女と呼ばれるフレデリカが独り立ちする前の話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-12 15:00:00
13890文字
会話率:30%
二十二年ぶりに聖女に選ばれたフィーネは、最初の仕事として一年をかけて国にある四つの聖堂を巡る旅に出た。
この旅で思い人を見つけなければ、王家に嫁ぐことになっている。
巡礼の旅団では恋愛禁止、なんて言いながら、周りの人には出会いはあっても
自分は牽制されている。誰が王家を敵に回してまで聖女と付き合おうなんて思うだろう。
そして旅は最後の地、西の聖堂へ。
王子とのビジネス結婚を回避したい聖女フィーネの物語
一部魔物退治はありますが、あんまり怖いところはありません。
全9話予定折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-11 14:00:00
26700文字
会話率:32%
セレナは内戦で親を亡くし、隣国ヴェーナ王国へ逃げてきた。国境に近い養護院に拾われ、贅沢はできないが生きて行くには充分な衣食を受け、感謝して暮らしていた。
ある日、聖なる力に目覚め、セレナは聖女として聖堂で暮らすことになった。第一王子の婚約
者を聖女の中から決めることになり、五つの聖堂から聖女が一人づつ呼び出され、西の聖堂からはセレナが選ばれた。当然貴族出身のお嬢様聖女が選ばれるだろうと気楽に考えていたのに、神託により「力の最も強い聖女と王族が婚約」することになり、セレナが王子の婚約者になってしまった。
どう考えてもこの婚約はうまくいかないのでは??
王子の婚約者に選ばれてしまったふつーの平民聖女の物語
全10話予定 (予定は未定)
連休更新目指せど、スタートが連休三日目…
次の連休目指して更新折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-25 18:00:00
27592文字
会話率:33%
私立巡華学園。それは日本唯一の異能保有者が集う学園。
……遡ること数十年前、世界初の“異能”が観測された。
そんな学園にて奇妙な事件が発生する。文化祭を目前に控え、その準備にあわただしい最中、時間がループしていたのだ。その事実に気付いた
生徒会長【姫魅輝夜《ひめみかぐや》】とその妹【姫魅真昼《ひめみまひる》】たちは各々、その真相を掴むべく捜査を開始した。
ところが、学園内の捜査中、生徒三名が謎の死を遂げる。その現場を目撃した真昼の目には、美しい銀の鎧姿が。
日頃から優秀な姉に押し潰されてきた姫魅真昼はこの機を逃すまいと、姉の生徒会仲間とともに【銀翼】をおびき出し、あと一歩のところまで追いつめるも失敗。
一方輝夜は、生徒三名の死の現場にて、黒鎧の武者の姿を。その後再度現れた“黒鎧”との交戦中、熾烈極まる攻撃に意識を失い、異能の自動防御システムにて辛くも撃退。しかしながら取り逃がしてしまう……
その只中、この学園にある理由から異能を狩る者が現れる。イデアール・バルバリア。百載無窮の異能狩りである。
真昼と姉以外の生徒会メンバーによる共闘。輝夜は信頼する聖堂の神父【時裂光貞《ときさきみつさだ》】に支援を依頼。イデアールは、言葉巧みに生徒会メンバーを調略、切り崩していく……。
状況が混沌とする中で、イデアールと時裂の隠された過去が“今”を蹂躙していく。輝夜の時裂への淡い恋慕、真昼の姉輝夜への尽くせぬ複雑な思い。生徒会メンバーのそれぞれの“異能者”としての生き様が交差し、ループし続けていたはずの物語が動き始める。
異能が人生に与える意味とは。何故それを狩る者がいるのか。様々な人の想い、思惑をのせて、今ここに史上最大の異能戦が勃発する。
……やがてループが解かれた時。春の日差しの中、桜の木の下で彼は何に祈りを捧げるのか。それは神のみぞ知る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-29 18:00:00
103722文字
会話率:38%
死は常にその背に寄り添い、生に対して甘美な夢を囁く。
生まれた時から私の存在は生きていても死んでいてもそう大して代わり映えがなく、今となっては死んだ方がましという有り様だ。
私はもうずっと、どちらつかずのままその中間に佇んでいる。
その間にも生と死との境は曖昧に滲み続け、手を伸ばしたそこで私はいつでも死を掴むことができた。しかしながらこの死は触れた途端に嬌声を上げて身を捩り、まるで陽炎のごとくするりと私の手から逃れ去ってしまうのだ。そしてこの手の中には虚ろな生だけが残され、まるで陽光に晒され乾いた砂のようにさらさらと儚く零れ落ちていく。
私という存在は色もなければ味もない。音もなければ香りもない。
ただそこにあり、ただここで澱のように沈んでいる。
そのように鬱屈した日々を過ごしていたある日のことだ。私は古びて朽ちかけた教会でひとり夜を明かすはめになった。今では村人でさえ顧みることのない、森の奥の名もなき教会の、その中で。
あの日の私は、今となっては理由さえ思い出せない些細なことでウドと諍いし、煮えたぎる怒りを冷ますためがむしゃらに馬を走らせていた。そしていつしか森の魔性に捕まり、気付けば帰り道を見失い、情けなくも途方に暮れていたまさにその時、その教会は何の脈絡もなく、まるで影の隅からぬるりと抜け出すような不快さと唐突さで私の前に立ちはだかったのだった。
何とも妖しい教会だった。
その悍ましい外観を見つめるだけで私は身震いし、人の業では成しえない何かを感じて思わず息を飲み、そして胃の底から湧き上がる悪寒の前に戦慄した。しかし何の矛盾か、その姿は私の中に筆舌しがたい敬虔な気持ちも同時に掻き立てたのだ。私はただ、その異様の姿を前に立ち尽くすことしかできなかった。
何とも不思議な教会だった。
入り口の扉はすでに時の彼方へと消え去り、置き去りにされたように開いた暗い穴が静かな闇の息遣いを反射する。
しばらくして我に返った私は馬を降り、余計な音を立てぬようそっと中に足を踏み入れた。恐怖や畏敬の気持ちよりも、その瞬間だけは好奇の気持ちが勝っていたのだろう。
数歩を歩けばすぐに、聖堂の僅かな広がりが私を迎え入れた。
満月の夜だった。
月明かりが失われた天井から煌々と降り注ぎ、歳月に沈む過去を柔らかく照らし出していた。
私はそこで、見つけたのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-15 19:27:44
14793文字
会話率:12%
この作品は、勇敢な冒険者たちが失われた王国の秘密を解き明かし、闇の力を打ち倒すために旅するファンタジー小説です。物語は主人公のエリックや彼の仲間たちが古代の遺物や神殿、図書館、聖堂などの場所を探し求めながら、様々な試練や敵との戦いに立ち向か
う様子を描いています。彼らは勇気と絆を示し、新たな仲間と出会いながら、平和を取り戻すために奮闘します。次なる冒険に向かう彼らの旅立ちと、未知の地での新たな試練と出会いが物語のクライマックスを迎えます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-02 16:04:06
3008文字
会話率:4%
また新たな勇者が誕生した。
これで、何度目の勇者誕生だろうか。
勇者になった少年少女は、決まって魔王軍の刺客に殺されるか捕まるのである。既に、多くの勇者が誕生したが、全員が行方不明となっているのだ。
今日、大聖堂に来ていた市
民の多くが、新たに勇者となった少女を心配そうな表情で見ていた。
彼女もまた魔王軍の刺客に狙われるに違いないと。
そして、彼女が辿る末路も、また悲惨なものなるのだろうと。
だが、市民たちは知る由もない。
今まさに、勇者が旅を始めようとしている。
この旅が、いずれ世界を巻き込んだ空前絶後の大規模戦争に繋がるということを。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-23 20:51:48
23614文字
会話率:35%
現代において、聖女ドロレスは老人の守護聖女、貞節な人妻の守護聖女、そしてなにより、美しい乙女の守護聖女として広く信仰を集めている。 ……じゃあ、《美しくない乙女》は、いったい誰が守護するんだろう? 美しい乙女は聖女ドロレスの加護を受けるとし
て、その《残り》は?
大陸の侵攻の中心地である本山に併設された女学校。聖女≪ヘレン≫の名前をもつひとりの女学生が、深夜の見回りを行う。誰もいないはずの聖堂で出会ったのは、聖女≪ドロレス≫の名を名乗るひとりの少女だった──折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-19 19:40:08
4850文字
会話率:36%
冒険者と言う職業がある。
遺跡や墳墓を調査し、あるいは依頼に従って魔物と戦い日々の糧を得る、そんな職業だ。
灰色の猟犬(グレイハウンド)と言う6人パーティーで戦士役を務めていたペインは、最近の自分の異常な技の切れを自分でも不思議に思い。仲間
の勧めで鑑定を受ける。
鑑定結果、元々戦士だったペインの職業は『勇者』に変わっていた。おとぎ話の中でしか聞いた事のない職業に、最初は浮かれていたペインだが、大聖堂の実力者、司教ザッハール・ニルスに利用され、近年魔族の中に現れたという『魔王』を倒す為に利用されていく・・・
「放浪の元勇者、ペイン・ブラッド」の若い頃を描く前日譚。もちろん前作を読んでいなくても単品で楽しめます!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-19 00:00:00
49488文字
会話率:28%