現代日本の防災科学研究所で働く若き研究員、結城莉央。ある日、最新鋭の実験施設で起きた予期せぬ事故により、彼女は一人、草木も生い茂る見知らぬ山中へと飛ばされてしまう。そこは、文明の利器など存在しない、日本の戦国時代だった。
絶望的な状況の中、
莉央を救ったのは、後に稀代の軍師と称される若き武将、黒田官兵衛。彼は莉央の持つ異質な知識と、困難に屈しない強い眼差しに、未知の可能性を見出す。
記憶を失った異邦の技術者を装いながらも、莉央は持ち前のサバイバル知識と、現代科学の断片を駆使し、戦乱と貧困に喘ぐ人々のために奮闘を始める。
疫病の蔓延を防ぐ衛生管理、治水技術による水害の軽減、効率的な農具の開発、そして戦場における負傷兵救護体制の確立――。彼女の知恵は、官兵衛の野望を支える力となり、徐々に黒田家の、そして日本の運命を動かし始める。
「私は、この時代で何ができるのだろうか?」
戸惑い、葛藤しながらも、決して諦めない莉央。彼女の「うつむかない」心と未来の技術は、知略に長けた官兵衛と出会うことで、歴史の歯車を大きく狂わせていく。
これは、一人の現代人女性が、戦国の世で自らの生きる道を見つけ出し、野望を抱く軍師と共に天下を目指す、波乱万丈の歴史IF物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-19 02:53:04
91864文字
会話率:22%
世界を侵食する領域。突然現れ、突然広がるその領域の中には、想像を絶する世界が広がる。
歪になった世界。人も、建物も、動物も、草木も、全てが変質する。
その領域を世界は『異譚』と呼んだ。
世界を蝕む力を持つ異譚に人々はなすすべもないと思われた
が、異譚を鎮める力を持つ少女が現れた。それが、『魔法少女』ある。
日本を壊滅の危機にまで追いやった異譚。その異譚を解決した魔法少女『アリス』。
日本の英雄であり、最強の魔法少女であるアリスだけれど、世間には言えない秘密がある。
彼女の名前は有栖川春花。十五歳の男子高校生だ。
そう、アリスの正体は男だったのだ。
これは、一人の異端な魔法少女の物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-18 21:45:01
1292407文字
会話率:44%
【本作書籍版1~2巻、MFブックス様より発売中】
【コミックウォーカーで、出店宇生先生によるコミカライズ連載中】
【コミック1巻、MFC様より発売中】
サンファレス王国の王子ヒールは、【洞窟王】という不遇な紋章を得て生まれた。
その紋章の
せいで、ついには父である王によって孤島の領主に左遷させられる。
そこは当然領民もいない、草木も生えない、小さな洞窟が一つの孤島であった。
だが、ヒールが洞窟の中でピッケルを握った瞬間、【洞窟王】の紋章が発動する。
その効果は、採掘に特化し、様々な鉱石を効率よく取れるものだった。
島で取れる鉱石の中には、魔力を増やす石や、寿命を延ばすような石もあって……
ヒールはすっかり採掘に熱中し、いつのまにか最強の国家をつくりあげてしまうのであった。
(旧題:追放されたので洞窟掘りまくってたら、いつのまにか最強賢者になってて、最強国家ができてました)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-18 06:04:27
803594文字
会話率:35%
姿を消してしまった少女、山田海を救うために変わった相棒『魚』と一緒に森にやってきた本田星は、そこで一人の少年と出会った。少年の名前は葉山澄と言った。澄は自分のことを森の門番だと名乗り、星と一緒にいなくなった海を探してくれると言った。星はそ
の申し出を受けて、澄と二人で海を探しに、森の奥へ奥へと進んでいく……。
長編作品 第二作目
演劇 迷子の星(あなたを救う、……ううん。違うな。このお話は、あなたに私が救われるお話)
まんまるお月様。
こんばんは。いつも明るいお月様。あなたも夜が怖いの?
見上げる冬の星空はとても美しかった。都市で見る空の何倍も美しい。たくさんの星が夜空で輝きを放っている。空はいつもよりも高く、空気は透明だった。
そこには巨大な月があった。白く輝く美しい球体があった。その球体に星の目は釘付けになる。明るい夜。とても素敵な予感がする夜だ。
森は濃い緑色の葉を生い茂らせていた。木の幹は太くて大きい。大地は焦げ茶色。そこには一本の獣道がある。数日前に雨でも降ったのか、森の草木は水気を帯びている。霧のような白い靄が浮かんでいる場所がある。
吐く息は白く、空気は凍えるように冷たい。今は冬だ。そういえば私が海と初めて出会った日も、こんな寒くて暗い冬の日だった。そんなことを本田星は久しぶりに思い出す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-15 17:33:46
367128文字
会話率:17%
北海道で発生した謎の灼熱現象。
草木は燃え、空気は歪み、人の立ち入りを拒む地帯が生まれた。
依頼を受けたのは、電脳探偵・ナズナ。
待ち受けていたのは、“炎の王”と呼ばれる存在だった。
武器は知性、戦場は理不尽。
少女は考える。世界の
仕組みを、怒りの正体を、そして──
命を賭けて、答えを出す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-15 07:41:09
4219文字
会話率:38%
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=
カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「アルファポリス、カクヨム」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-14 21:00:00
767159文字
会話率:53%
初老に差し掛かったオッサンの高梨栄一は、見た事も無い草木が生える森の中をさ迷っていた。到底日本とは思えない場所に困惑しながら、なぜこんな事になったのかと考える。
オッサンは日本の山の中で熊に襲われて死んだはずだが、目が覚めると見知らぬ少年の
身体になっていた。この少年の身体は躍動感に満ちていて、オリンピック級のアスリートさえ遥かに凌ぐ身体能力を有していた。
もう一度人生をやり直せるのかと思ったが、オッサンが居るのは無人の広大な森の中だった。しかも、そこに生息する動物は悪意に満ちていて次々に襲い掛かってくる。しかも、物理法則を無視したような空中移動や遠隔操作で物を操る超能力を繰り出してくる。
なぜそんな事が動物に出来るのか不思議だったが、死にたくない一心でオッサンは戦う。そして、戦っている内に自身も超能力が使える事を発見する。どうやら、ここに生息する動物たちは超能力が当たり前に使えるようで、日常的にそれを使った戦いが繰り広げられる弱肉強食の世界だった。
とんでもない世界に来てしまったと驚くが、それと同時に、自分以外の人間は誰もおらず、人工物さえ見当たらない自然が広がるだけの事実に愕然とする。
異世界に来てしまったのは確かなようだが、この世界に人間が自分だけだとは信じたくないオッサンは、他の人間を求めて森の中をさ迷うのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-13 20:00:00
423900文字
会話率:20%
戦いのない平和な世界で暮らす金髪の美少女・ルルー。彼女は家事手伝いをしながら、草木を愛で、動物と会話する心優しくも美しい少女。大きな変化も刺激もない日常を送っていたが、黒髪の青年の登場により生活は一変する。彼女の生活に、日常は戻るのか?そし
て、この青年はどこから来て、どこに行くのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-05 12:54:46
32177文字
会話率:29%
勇者として選ばれた、エストラント王国第一王子アレフ=エストラント。
そんな彼の勇者任命式にて、勇者の剣に選ばれる筈のアレフ殿下を差し置き、ただの村人に過ぎない男、フラン=リアネルが勇者の剣に選ばれてしまう。
騎士や貴族、王様と王妃、果
ては教皇の見に宿ったトトヘルス神の御膳、フランの右手には鳳凰の紋章が刻まれ、勇者の剣が降り注ぐ。
所有者として認めたフランに、勇者の剣が問い掛ける。
《汝の意志を示せ》
この時、フランが胸中に抱いたのは——幼い頃、仲の良かった高貴な人、アレフ殿下から勇者の剣を奪ったという罪悪感だった。
——彼の前から消えたい。
次の瞬間、光が突き抜け、次にフランが目を開けた時には、そこは鬱蒼と草木が生い茂る森の中だった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-03 04:55:22
9467文字
会話率:31%
愛する主を亡くした姫が煉獄の門を開け、天地を灰と化してから三百年。いま、希望の種が芽生えようとしている。草木を自在に操る樹法師タネと、斬った者を桜の花と散らす天下一の侍は、陸海空、更には時空を股にかけ灰の世界に花を取り戻していく。蔦を操りワ
イヤーアクション、和紙のカイトで滑空し、一太刀斬れば一刀桜散。映えるアクションに胸抉るほど切ない愛と命の大冒険、人間讃歌ファンタジー!
序章 芽ノ村編
第一章 獣ノ山編
第二章 武ノ里編
第三章 沖ノ島編
第四章 機ノ都編
第五章 天ノ島編 and round around
★第1話に表紙イラストあり
※全体構成は完成済みですが、書き貯めは無いため不定期更新です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-01 20:10:00
108594文字
会話率:54%
草木を操り、炎を纏い、瞬間移動。さまざまな異能を使う少年少女が闊歩する街、佐波沼市。そこで暴威を振るうのは「異能を使わない少年」と「異能を使えない人間」だった。
最終更新:2025-04-30 21:14:52
243904文字
会話率:51%
今回は藤風家が敵になった。
平和の為、政策を変える為、戦う。
草木家、讒家、最務家、が主体の戦いだよ
最終更新:2025-04-29 20:15:24
794文字
会話率:0%
異世界に転生したらしい主人公。
彼女が生まれたのは、『香り』で人生の伴侶を見付ける世界だった。
その、春夏秋冬とある国の中でも草木が年中花を咲かせる春の国、ア・レルピアに子爵令嬢として生まれた彼女には欠点があった。
彼女は前世と同様、重度
の花粉症だったのである……。
杉も檜も大ハッスルしている中で、彼女は今日も花粉と戦う。
これは、外見はプラチナブロンドの超絶可愛い美少女に生まれたにも関わらず、花粉に毎日を脅かされながらも懸命に生きる少女の、愛と涙(花粉由来)の物語である。(当社比)
(短編で書いてた話も混ぜていきます。ご了承下さい)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-21 12:46:22
106171文字
会話率:40%
ここはどこだ? この世のものとは思えない光景の中で目を覚ました男は、誰ともなしにそう呟く。――天正十年。天下を手中に収めんとしていた彼――戦国の魔王「織田信長」は、その志半ば、京、本能寺にて自らの腹心「明智光秀」の謀反に遭い、その生涯に幕を
下ろした……筈だった。しかし、魔王は死なず。燃え盛る本能寺の中で意識を失ってしまった彼は、次の瞬間、まるで覚えのない、異様な場所で目を覚ましたのだ。草木のない、荒涼たる大地が広がるだけの――そこ。あまりにも理解を超えた事象に、ただうちひしがれる信長だが、そんな彼に、突如として話しかける者があった。自らをこの世界の「神」だと名乗る少年「マクネロ」と、謎の少女「ミレイ」。奇妙な二人との邂逅に、信長は警戒心を露わにする。しかし、会話を重ねる内に、生死の境を彷徨っていた自分を救ったのがマクネロであることを知ると、彼は次第にその態度の軟化させた。大人しくマクネロの話を聞くことにした信長は、そうして、全てを理解する。今いるこの場所が、自分のいた世界とは異なる世界であるということ。それをやったのが、目の前にいる少年だということを。「なんのために?」。信長は問う。それに対して、マクネロは態度を改め、答えた。いや、それは寧ろ、懇願に等しいものだった。「どうか大いなる厄災を払い、この世界を救ってほしい。そのために僕は、君をここに呼んだんだから……」。そうして、信長は旅立つことになる。見も知らぬ異世界――「エドラ」の道程を。「――あ、ミレイちゃん。君は、彼を案内してあげてね!」「……え……?」。何故か、異界の少女ミレイと共に……。
ここから、信長の野望は再び始まった。
※随所に史実と異なる点がございます。あらか じめご了承ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-19 22:19:44
94416文字
会話率:37%
太古より「魔法」なる物が発明された。息を吹けば草木が生い茂り、手を振り上げれば誰もが驚く摩天楼を創り上げる、まさに「神の御業」と呼ぶに値する奇跡であった。
だが誰しもがその奇跡を崇めるわけではない。そうして一度「魔法」とその担い手は歴史
の闇に消え去った。
時は22世紀、「魔法」は再び世界へと舞い降りた。行き詰った人類を文字通り「救済」したのだ。人々はその神の御業を制御する術を身に付けた。人々はそれを「魔術」と呼んだ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-10 00:28:28
39056文字
会話率:53%
ブランタメイア王国最東端、人里離れた小高い丘にある古屋敷、通称“星霜の館”に住む魔女、エヴァリスは変わり者だ。
王宮魔術師として、この国の魔術師最高峰の地位にいたにも関わらず、現在人目を避けて隠匿を決め込み、なんでもない日常に現を抜かして
早5年の年月が過ぎていた。
エヴァリスは、忙しい王宮での日々に嫌気が差し、東洋のヒノモト国で使われている暦『星廻草木雑暦書』に基づいて、自然とともに時の流れを感じながらゆっくりと生きることこそが幸せだと考えていた。
『星廻草木雑暦書』とは、毎日の運を東洋の占術や民間信仰、思想から規則的に割り出し暦に当てはめた、いわゆる開運暦である。
吉日凶日に一喜一憂しつつ、暦に従い慎ましく生きる。それが彼女にとっての至福の生き方なのだ。
だが、そんなエヴァリスの意思に反して厄介事が舞い込んでくる。
王位継承問題を抱えた不遇の皇太子、50年前の猟奇殺人の殺人鬼…凶日に現れる数々の凶を振り払い、エヴァリスは穏やかな日々が送れるようになるのだろうか。
魔法の国を舞台に東洋の開運暦をねじ込んで平穏無事に暮らしたい魔女の開運厄除物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-23 21:26:51
58921文字
会話率:37%
始まりの舞台、【暗闇の森】。この森は危険とされているため、立ち入る人間は誰もいない。なぜなら、人が恐れる存在、魔獣と呼ばれる生き物が棲んでいるからだ。しかし、暗闇の森という名前とは裏腹に、澄んだ空気や水が流れ、朝は日に照らされてきらめく草
木や花々が広がる、そんな自然豊かな場所でもある。 そんな森に暮らすただ一人の少女、レイ。彼女は幼い頃に、とある力を持って生まれたために、この森に捨てられてしまう。その力とは、聖獣や妖精、魔獣などの人ではない者の言葉が聴こえるというものだった。 しかし、彼女はこの力のおかげで、森に棲む生き物たちと関係が築け、彼らから森での生き方を教わり、彼女は今もこの森で暮らしている。 そんな彼女が、新たな出会いをきっかけに、世界を広げ、成長していく物語が今、始まるー折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-15 22:00:00
45718文字
会話率:53%
伝説のラスベガスヘッドライナー香澄のボディーガード千。元々お笑いコンビ千三郎の突っ込み。篠崎歯科の3階。午前3時。スマホに向かって、小説を打っている。
新乃丞は新月の夜、砦の見張り台に登った。
この暗闇の中を馬を駆って城方から、影が来る。
「夜馬の法」と呼ばれる忍の術。黒装束に黒い頭巾。見事に木立を抜け、泥濘を飛ぶ。
「いかんな。砦の築陣に寄り過ぎ、いや、かわしたか?」
新乃丞は、見張り台を駆け降りた。そこは罠になっており、かわす方向は1ヶ所しかない。その1ヶ所に馬の脚を掬う縄が張り巡らしてある。
馬は前のめりにつんのめり、黒装束は投げ出される。その空中で、鞍から右にぶら下がって新乃丞は抱き留めた。金木犀の香りがした。
竹ブスマの穴を通り過ぎ、雑木林に黒装束を落とした。
さらに、放馬され猛る黒装束の馬の手綱をつかんで飛び降りる。闇夜にも輝くような白馬だった。
「白神?咲姫様?」
ドウドウドウ
馬を収める。手綱を持って、黒装束の落ちた雑木林に向かい、片膝を突く。
「失礼ながら。名馬白神。咲姫様であられますか?」
雑木林に捕まって、黒装束はもがいている。
「これをなんとかせよ」
「はっ。ご無礼」
新乃丞は黒装束を抱き上げて、馬の前に座らせた。
「助かった。礼を言う。名は何と申す」
「名乗るほどの者ではございません。名馬白神に乗られるは咲姫様とお見受けいたします。お怪我はございませんか?」
「怪我はない。見事に受け留め、草木に降ろしてくれた。見事な身のこなし。天晴れじゃ。褒美を遣わす。苦しゅうない。名を名乗れ」
「はっ。新乃丞砦、足軽大将槙新乃丞にございます」
咲姫は黒装束の片袖をチギリ、新乃丞に差し出した。新乃丞は顔を伏せ、にじり寄って、両手で差しいただく。
「新乃丞顔が見たい。顔を上げよ」
礼儀としては恐れ入って下がらなければいけないが、美丈夫で評判の咲姫を見たかった。
顔を上げると、闇夜にお互いの眼が合った。
「見事なまなこをしておるな」
「咲姫様こそ。麗しい眼をしておられます」
そのまま見つめ合う。
ニコッと笑ったと思うと、咲姫は立ち上がって、新乃丞の持っている手綱をつかんだ。
「帰る」
新乃丞は名馬白神の下に控えて、手を組む。
咲姫が足を乗せて、ひらりと馬上に戻る。
新乃丞は手綱を離して、ズズッと退いて。平伏する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-15 10:08:01
8295文字
会話率:62%
今から二十年前の一九八六年四月十七日未明、岡山県M市で未曾有の火災事件が起こった。
一斉に家や人に火の手が上がり、炎が草木を走るように燃え広がっていく様は、まさに鬼の所業だと言われるほど酷い惨状で、当時の死傷者は合わせて五百人を超えた。
複数の怪しい人物を見た者はいたものの、結局犯人は捕まることはなかった。
巷でこの事件は、通称『草鬼(そうき)事件』 と呼ばれている。
そんな事件が起こった隣町で生まれた岩崎均(いわさきひとし)は、大学進学を機に憧れていた東京へ上京した。表面上は普通の大学生活を送っていたが、心に蟠りを抱えたままの均は、東京に居るという実感がなかった。
しかし東京のシンボルとも言うべき東京タワーを直接見たことにより、東京に居るという実感が湧き、心にしまい込んでいた四年前の大川優香(おおかわゆうか)との出来事を鮮明に思い出す。
それをきっかけとするように出会った岡本雪(おかもとゆき)は自身を “自然の使者” と名乗った。
四年前の出来事が物語る真実を、大川優香から預かった七色の不思議な数珠を通して知ることになる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-24 23:57:16
46103文字
会話率:35%
何百年も旅を続けるアヤメは、次の世界で目の前に広がる荒れ果てた景色を目にする。赤黒い空、乾ききった大地、草木一つ生えないこの世界は、すでに滅びの時を迎えているかのように見えた。アヤメは一度は諦め、次の世界へ飛び立とうと決意するが、その瞬間、
異変が起きる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-23 21:40:53
848文字
会話率:48%