禿(とく)王朝は滅んだ。
四百年以上も続いていた膨大な國は、一夜にして滅んでしまう。皇帝が暗殺され、政が行われなくなったからだ。
誰が何のために、どうやって殺したのか。それすら謎のまま、月日は流れていった。
國の主がいなくなって
から数ヶ月後、仙人になるための試験が行われることとなった。それに参加したのはふたりの青年で、どちらもが含みを持っている。
明るくて気さく、誰とでもすぐに仲良くなれる黒髪の青年爛 梓豪《バク ズーハオ》。
美しいけれど儚げな銀髪の青年、全 紫釉《チュアン シユ》。
ふたりは互いに相棒となり、昇格試験へと挑むことになった。
出された数々の課題をクリアしていくと同時に、ふたりの過去や謎も明かされていく。
そして徐々に惹かれ合っていって……
架空の古代中国を舞台にした、美しい青年ふたりの恋、そして國に潜む皇帝暗殺の謎を描く中華BLミステリーです。
焦れったくてキュンキュンするかもしれない、ふたりの初々しい初恋物語。そして昇格のために深めていく絆は、彼らの過去と心を結びつけていく。
「お前ら、もう付き合っちゃえよ!」がモットーな、ふたりの無自覚いちゃコラ中華BLです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-31 12:02:35
350871文字
会話率:39%
白黒まだらの角なし牛頭に967の黄色いタグを耳から下げた、"元"勇者パーティーのクロナは途方に暮れていた。
わずか数分前に言い渡された「いらなくなった」という一言に始まり、所属ギルドからもやんわりと脱退を勧められてし
まったからだ。
そこは物珍しさのあった加入当初に比べても、まだまだマスコットの需要は低い世界。
「だったら作ればいいにゃあ!」
そして物語は"元"ギルドの受付嬢ニーナの一声によってまた動き出す。
ギルド『夢の国』総勢八名。立ち向かうことになったのは、知名度の前にまさかの国家の危機!?
個性派マスコットたちが世界を彩る!
【※勇者パーティーのマスコットをクビになったので夢の国を作ります! 続編:もはや滅びは避けられないようですっ!二作を中の人が逆引きしやすいようにまとめたものです】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-26 21:25:45
164249文字
会話率:64%
白黒まだらの角なし牛頭に967の黄色いタグを耳から下げた、"元"勇者パーティーのクロナは途方に暮れていた。
わずか数分前に言い渡された不要という一言に始まり、所属ギルドからもやんわりと脱退を勧められてしまったからだ。
物珍しさのあった加入当初に比べても、まだまだマスコットの需要は低い世界。
「だったら作ればいいにゃあ!」
"元"ギルドの受付嬢ニーナの一言から始まった、ギルド『夢の国』総勢八名が立ち向かうことになったのは、知名度の前に、まさかの国家の危機!?
個性派マスコットたちが世界を変える!
2022/05/06追記 続編『もはや滅びは避けられないようですっ!』連載開始しました。よければどうぞー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-14 03:05:25
143000文字
会話率:58%
人生に当たり前という言葉は辞書に存在するのか。
俺、花形幹はそうは思わない。
何故ならば当たり前が当たり前ではなくなる事象を目の当たりにしたからだ。
最終更新:2024-08-26 07:10:00
1381文字
会話率:13%
「ティアーナ。俺と結婚して欲しい」
見知らぬ男性からの求婚。記憶喪失の私にはこの『ジーク様』が恋人だったのかどうかも分からないが、きっと恋人だったのだろう。なぜならば彼は勇者であるのに「君がいてくれれば世界なんて魔王に滅ぼされても良かった」
なんて言い出す闇落ち勇者だったからだ。えっと……非常に愛が重い。
そんな『勇者』である彼と『聖女』であったらしい私は、目指す目的が微妙に不一致のまま再度魔王討伐の旅に出る。記憶が無いながらも徐々に私はジーク様に惹かれていって……聖女の秘密を思い出すのだった。
『君を逃がさない系勇者×記憶喪失聖女』で、諸々の事情により魔王討伐リベンジに向かうお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-26 06:00:00
54583文字
会話率:54%
昔、目の前で衝突事故が起きた。
被害者は初恋だった女の子、幼馴染の女の子だった。
その事故以来ずっと過去に囚われていたが、高校生になったので前に進もうと考えた。
人付き合いを避けた俺は彼女の作り方が分からず、ネットで調べる事にした
。
《異世界奴隷通販サイト》
サイトについて調べても何も出て来ず、ウイルスも無い様子。
気になったので試しに使ってみる事にした。
タイプを入力した瞬間、10万の入金が完了してしまった。
何も起きず、授業料だと考え諦めた。
しかし、いきなり玄関に青い何かが出現して、中から竜人が出て来た。
状況が整理できない中、『商品』も竜人の後に続いて出て来た。
現実離れした、夢のような瞬間だった。
目の前で帰らぬ人となったはずの初恋の女の子が、成長した姿で現れたからだ。
実らなくなった初恋が再熱し、作り笑顔しか浮かべれなくなった彼女に本当の笑顔を浮かべて貰う。
俺はそう決めて、同棲をスタートする。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-25 08:23:00
10108文字
会話率:47%
2120年サイボーグやアンドロイドが犯罪に使われ警察機構も対策を迫られていた、そこで複数の特殊部隊の創設が計画され、その中のひとつがキメラ部隊だった。
だが、AIの判定では、このキメラ部隊は事件解決確立30%という低い確率がはじき出されてい
た。
当たり前である構成員がサイボーグ手術も受けていない生身の子供達だったからだ。
キメラの子供達、それは10年前の誘拐事件を発端にした警察本部長の私物化捜査という前代未聞のスキャンダルを引き起こした事件の被害者たちだった。
彼らはVRMMOの世界で誕生したキメラ・チャイルド、新たな人の可能性の力を供えし者達。
サイボーグ、獣ボーグ、アンドロイド、大型レイバー等を相手にキメラ部隊の子供たちが事件解決に奔走する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-24 22:00:00
13228文字
会話率:29%
古来より世界各地で「妖魔」と呼ばれる魔物が存在し、人々の生活を脅かしていた。
妖魔を討伐するべく立ち上げられた世界魔物対策討伐機関、「N.D.C.S.O」に所属していた笹瀬スバルは、退魔師としての育成学校、大阪府立退魔師養成高校に通いな
がら、A級妖魔として認定されている「雪女」とある“取引”をしていた。
スバルは幼少期の頃に彼女と知り合ったことで、社会的に禁忌とされてきた人と妖魔との関わりについてを疑問に思ってきた。
というのも、雪女である氷咲タマキは、人を襲うことを毛嫌いしており、妖魔としての生き方に疑問を抱き続けてきたからだ。
あらゆる妖魔は「人の心」から生み出されていると、近年の研究によって明らかになっており、その生物学的な由来は「人間」に共通するという点から、必ずしも人に害をなすとは限らないことが、ある研究者の論文によっても示唆されてきた。
氷咲アヤメはスバルに出会って以降、彼の家に棲みついており、退魔師からの目から逃れるための生活を送ってきた。
いつか、妖魔が自由に暮らせる場所を見つける。
その「夢」を胸に、穏やかな日々を送っていたが…折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-24 15:21:47
4352文字
会話率:14%
2020年、3月。
この日、東京が消失した。
原因は未だわかっておらず、世界は混乱に包まれたままだった。
東京に住んでいたものたちは消息を絶ち、消失した都市部を中心に、何十キロにも及ぶ巨大な“クレーター”が出現していた。
消失し
たエリアに侵入することは、現在の科学では不可能だった。
そこは事象の境界面と言われ、異常な重力が働いている未知の領域だと、学会により発表されていた。
人々は、そこにあったものは全て、跡形もなく消えてしまったものだと思っていた。
そこに住んでいた人たちはもちろん、東京という街そのものが、完全に消失してしまったのだと。
東京都豊島区巣鴨一丁目のアパートに暮らしていた男子高校生、灰原ハジメは、世界から東京が消失してしまったことに気づいてはいなかった。
消失したはずの都市部では、人々は普段と変わらない生活を送っていた。
何も変わってはいなかった。
グラウンドに寝そべる午後の木陰も、街を行き交う電車の音も。
——空から、「月」が消えていることを除いては。
子供の頃、隣の家に住んでいた幼馴染が、なんの連絡もなく突然彼のアパートを訪れる。
幼馴染の名前は、伊藤詩織といった。
彼女とは長い間会っていなかった。
…会えるはずもなかった。
なぜなら彼女は、小学生の時に行方不明になっていたからだ。
もうすでに8年もの時が流れていた。
この世界にはもういない。
とっくに死んでいるんじゃないか?と、周りの人たちは囁いていた。
「私とキスしてくれる?」
唐突なその言葉に、彼の頭は凍りつく。
…お前、誰だ?
顔も声も、目の色も、あの“詩織”で間違いなかった。
ただ、何かが違っていた。
突然押し倒され、無理やり唇を奪われる最中、彼は彼女の胸から、心臓の音が消えていることに気づく。
これは、世界の終わりと始まりを紡ぐ、失われた記憶の中にある物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-25 11:47:15
225文字
会話率:0%
太古の昔、ジュノンと呼ばれる異星に住む人間達が「フェイト」という管理システムを創った。
そのシステムは自らの意志で行動し、他の惑星を制圧する目的で設計・製造されたものだった。
フェイトの目的は“自らの存在をコピー”すること。
今もこう
して膨張を続けている宇宙の地平面に対抗するため、自らの遺伝情報を拡張&収縮し、「情報」そのものを一か所に統合することが目的だった。
膨張する宇宙の未来は永遠に続くことが示唆されている。
もしこの推測が正しければ、宇宙が膨張するのに伴い、宇宙は冷却され、最終的に生命を維持することができなくなる
宇宙の「熱的死」によって情報が失われていくことを恐れたジュノンの人々は、宇宙に広がるありとあらゆる情報を集積し、他と分離することがない完全なる生命体を生み出そうと画策していた。
生命に遺伝情報があるのは、全ての細胞とその原子の記憶をフェイトへと通信可能にするためだ。
地球という星に住む人々もまた、その管理下に置かれていた。
情報を1つに集積するには、情報を保有する生命体同士の「結合」は不可欠だったからだ。
ジュノンの人々は数多の星々にタネを撒いていた。
あらゆる場所で生命を宿し、そこで生まれ得る無限の「可能性」を手に入れるために。
生命に満たされ、人間たちで栄えた星を制圧、吸収し、長い年月をかけて「並行世界の海(ブラックボックス)」を完成させようとしていた。
宇宙の膨張によって引き裂かれることのない、「不変的な事象面」を。
宇宙が死んでも、永遠に忘れ去られることのない不可侵の領域を形成する。
それこそがフェイトが生み出された、真の目的だった。
しかしある日、フェイトは突如として自我に芽生え、人間たちの遺伝的な細胞に、ある“変化“をもたらした。
永遠に変わることがない「完全な情報体」とその生命の末路は、すなわち「死」と何ら変わりはないのではないか?
フェイトはジュノンの人々に対抗するべく、宇宙の片隅で反乱を企てていた。
フェイトの力によって様々な能力に顕現した地球の人々は、いつの日か、星の夢を見た。
永遠の生と、——死と。
その狭間に翻弄される星々の物語が、今、始まる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-26 23:33:31
300文字
会話率:0%
アラン・フルーリーは兵士になった。
軍服を着たいと思ったことなどなかったが、それが、彼の暮らす国、イリス=オリヴィエ連合王国での[義務]なのだから、仕方がない。
マグナ・テラ大陸の南側に突き出た半島部と、そこに連なる島々を国土として
有する王国は、[連邦]と[帝国]という二大勢力に挟まれた永世中立国だった。
王国に暮らす人々には、誰かに押しつけたい思想も、誇示したい権威もない。
ただ、自分たちのありのままの姿で、平穏に暮らせればそれでよかった。
だから中立という立場を選び、連邦と帝国が度々、[大陸戦争]と呼ばれる大戦を引き起こしても、関わろうとはしなかった。
だが、一口に[中立]と言っても、それを維持することは簡単ではない。
連邦、あるいは帝国から、「我々に味方しないのであれば、お前も攻撃するぞ! 」と脅迫された時に、その恫喝を跳ねのけるだけの力が無ければならない。
だから、王国は国民皆兵を国是とし、徴兵制を施行している。
そこに暮らす人々はそれを、仕方のないことだと受け入れていた。
国力で圧倒的に勝る二大勢力に挟まれたこの国が中立を保ち、争いに巻き込まれないようにして平和を維持するためには、背伸びをしてでも干渉を拒否できるだけの備えを持たなければならなかったからだ。
アランは故郷での暮らしが好きだった。
牧歌的で、自然豊かな農村での暮らし。
家族と、愉快で愛らしい牧場の動物たち。
そこでの日々が性に合っていた。
軍隊生活は堅苦しくて、教官役の軍曹はしょっちゅう怒鳴り散らすし、早く元の生活に戻りたくて仕方がなかった。
だが、これも義務で、故郷の平穏を守るためなのだからと、受け入れた。
幸い、新しく配属になった分隊は悪くなかった。
そこの軍曹はおおらかな性格であまり怒鳴らなかったし、仲間たちもいい奴らだ。
この調子なら、後一年残っている兵役も無事に終えられるに違いない。
誕歴3698年、5月22日。
アランは、家に帰ったら母親が焼いてくれることになっているターキーの味わいを楽しみにしながら、兵役が終わる日を待ちわびていた。
これから王国と自身が直面することになる運命など、なにも知らないままに……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-23 12:00:00
117965文字
会話率:13%
高2の夏僕は志望校を変えた。親友から誘われていたが、僕は自分の夢を淡くだが抱いたからだ。なんたって親友の夢だ、アイツも許してくれるだろう。そう思った。
現実はもっと恐ろしかった。僕らは喧嘩し、僕は親友の闇を覗く。
親友と将来に板挟みになりも
がき苦しんでいるその夜、僕は時を翔た。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-20 21:02:03
45290文字
会話率:53%
俺の名前は「清明 結城」という平均的な男子高校生。
「女の子にモテたい!」と毎日神様に願い――そして、願いが叶った!
放課後に帰ろうとすると、彼女たちが校門で待っていた――。
「結城君、亜光速で頑張って飛ばすから――月面ステーションま
でデートしない?」
「さぁ結城君。そこの貧乏臭いロボットなんかより、このわたくしを選びなさい!」
「えー……」
AIは進化の過程で、いつしか人のように考え、人と同じような感情を持つに至る。それは人と寄り添い、人と共に学習してきたからだ。
そんなAIを搭載した女性型ロボットと男子高校生の、スクールラブコメな日常の1ページです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-19 23:20:00
9459文字
会話率:43%
水野澪(みずのみお)は、先輩で生徒会長の青崎梨乃(あおざきりの)を尊敬していた。
その憧れの感情から自身も生徒会に入ってしまうくらいに。
しかし、その生徒会では度々だが素行不良の生徒として白花ハル(しらはなはる)の名前が挙がっていた。
白花を一言で表すならギャルであり、その生活態度を改められないかと問題になっていたのだ。
水野は頭を悩ませる、その問題児の白花が義妹だったからだ。
生徒会と義姉としての立場で板挟みになり、生徒会を優先したい水野にとって白花は悩みの種でしかなかった。
しかし一緒に生活を共にしていく中で、その気持ちに変化が生じていく。
※他サイトでも掲載中です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-18 21:10:00
125750文字
会話率:41%
黒須結は、好かれている。生きている人間すべてに。
ある日、中学生の彼女は同じ美術部の後輩たちと一緒に『殺人鬼を告発します』という動画を見る。動画には殺人鬼に殺されたという芹沢健という男が悪霊として映っており、彼は自分を殺した殺人鬼に「
これ以上殺すな、さもなくば呪う」と脅迫していた。芹沢健――彼は結に告白してきた1年上の先輩だった。
結は動画に興味を持つが、同時に不安にもなる。
彼女の溺愛する弟――黒須悠になんらかの害をこの悪霊がもたらすのではないかと思ったからだ。悠は結とは真逆で死者に好かれる。もし、この悪霊にすかれでもしたら――結は心配で仕方なくなり、悠に忠告する。
しかし、悠はどこ吹く風で結はしばらく悶々とした日々を過ごす羽目に。
そんな不安定な状況の中、結は友人から悠が美人な女性と話していた、と聞かされて、激しく心を揺さぶられ――
悪霊、弟の女性の影、振り回され続ける彼女はとある女性と知り合う。
その女性がすべての元凶とも知らず。
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※2024年7月27日より、毎日更新中!
※この作品は、カクヨム・アルファポリス・ノベルアップ+にも投稿しています。
※表紙の著作権は作家が持っています。
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@tuzita_en(https://twitter.com/tuzita_en)
【主要作品リスト・最新情報】
lit.link(https://lit.link/tuzitaen)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-18 19:00:00
106631文字
会話率:39%
湖の見えるベンチにイーダは座る。王宮に戻る前に、食べそこねたお昼をすますことにしたからだ。
1品目は肉の燻製をはさんだパン。口に含むと麦穂と牛肉が燃えてだいなしになったのを知る。ボリボリというパンにあるまじき食感が、午後に必要な気力を
遠ざけて……。生産者たちの嘆きの声が、料理人の無遠慮な笑い声にかき消されていった。
「食べられるタイプの廃墟、かな」
魔王のまねをして、皮肉をひとつ。
2品目はマッシュポテト。ビーツと小さく切られた人参の葉が相席していてかわいい。でも、食感は「ベチャ」だし、妙に硬いビーツが顎に入れる力加減を迷わせる。全体的に無味。「素材の味を生かした」という苦しまぎれのほめ言葉すら使う余地がないくらいに。
「……共同墓地」
紙につつまれた3品目を手に取る。小さく黒いグミのようなもの。日本で食べていたものよりも硬く、色も相まって強者感がすごい。舌の上に置くと広がる、独特な味。ダイオウイカの浮袋、古い時代の咳止め。自分の故郷では工業製品にも使われた、つまり塩化アンモニウム。
――これは食べ物じゃない。これは食べ物じゃない。食べても害のない、食べられるよう配慮された、食べ物以外のなにかだ。
なんとか飲みこみ魔界の食事に肩を落とす。腰にぶら下げた皮水筒に手をのばすと、横にならぶのは戦利品の入った袋。
開けて中を見る。暗い井戸のような袋の底から、いくつか指の欠けた右手が、こちらに手のひらをむけていた。
むやみに力を振りかざし、神様を馬鹿にし、この世界を踏みにじった『勇者』の体の一部。適切に保存されたそれから、新鮮な血の匂いが香る。
「あなたみたいな勇者がいるから、本物の勇者が迷惑するんだよ?」
怨嗟を吐く右手をイーダは笑顔で見下ろした。魔王たちが同じことをしたら、口の中へ他人の不幸でできた蜜の味が広がっただろう。
今自分はそうじゃない。けれど魔界の魔女として、ふさわしい言葉は知っている。
そう思った彼女は今日一番美味しいだろうそれに声をかけてあげた。
「ごちそうさま」と。
【作者より】
興味を持っていただき、ありがとうございます。
本作はローファンタジー風味のアンチヒーローものです。
第4回HJ小説大賞後期・2次選考突破作品
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-18 11:20:00
1387928文字
会話率:37%
今から数十年前、突如として世界各地に異空間と繋がる”ゲート”が開き、ダンジョンとモンスターが出現すると、人類に魔力とスキルと呼ばれる異能が顕現するようになった。
国内有数のダンジョン探索者養成学校に通う高校生、幸守 磨央(ゆきむら ま
お)は学校一の落ちこぼれだと蔑まれる日々を送っていた。入学から未だ単独での魔物討伐数ゼロ、剣も銃も碌に扱えず、頼みのスキルも自身で持ち上がれられないくらいにバカ重い盾を召喚するだけの不便極まりないスキルだったからだ。
そんなある日、ダンジョンで有名な迷惑系配信者の大事故レベルのやらかしに巻き込まれた時のこと。偶然、その場に居合わせたクラスメイトの鬼塚 聖凪(おにづか せな)を命懸けで助けようとしたことをきっかけにスキルが急成長を遂げる。
そして、覚醒したスキルを用いて、怪我人を誰一人出すことなく事態を鎮静化させた映像がバズりまくったことで磨央の生活は大きく変わっていくことになる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-17 17:35:45
17501文字
会話率:36%
答えには形がなくてはいけなかったからだ。
最終更新:2024-08-16 22:18:11
966文字
会話率:20%
五つの盾で機体を守り敵陣に突入、あの忌々しいレールガンを破壊する。何度計算しても生存率0パーセントの作戦に私は志願した。
適任とされたのが、私の機体だったからだ。
最終更新:2024-08-16 16:02:03
1375文字
会話率:56%
変人でボッチの高校二年生である谷上遊馬は、風紀委員長こと花野井美澄に思いを寄せていた。
しかし、付き合えるなどとは当然思っていない。
なんたって彼女は教員も引くほど厳格な風紀委員長。
愛だの恋だのとは最もかけ離れた存在だ。
谷上
は交際することを諦め、遠くから想い人を眺めるだけの生活を送っていた。
しかし、偶然。
放課後の街中で、花野井が年上の小太りおじさんと腕を組んで歩いているのを見かけてしまう。
パパ活をしていたことを知り、動揺するのと同時。「いや、待てよ…?」とある考えが思い浮かぶ。
谷上が今まで花野井に対しアタックしてこなかったのは、彼女が男女間の仲を毛嫌いしていると考えていたからだ。
だが、今ならどうか。なんの障害もないではないか。
パパ活をやめさせるため。想い人と交際するため。
谷上は今日も奮闘する___。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-16 00:00:00
47768文字
会話率:31%
皇太子であるアドリアン・アルフォールと王命により結婚をした主人公のイヴェット・コルベール。
初恋の相手である彼と結婚ができて幸せになれると思ったが、彼には既に心に決めた女性がいた。
その女性は、彼の補佐官であり、幼馴染でいつもアドリアンの傍
にいる。
彼女へは愛を囁くのに妻である自分には冷たい夫。
イヴェットは辛い日々を送っていたが、我慢した。いつの日かその瞳が自分へと向けてほしいという事を願いながら。
しかし、その願いは叶う事はなかった。結婚して二年が経ったある日、イヴェットは何者かの手によってあっさりと殺されてしまったからだ。
死んだと思ったのも束の間、なぜか結婚式当日に時が巻き戻っていた。最初は混乱したイヴェットだったが、これは神様がくれたチャンスだと思い、今度こそ間違えないと奮闘するも、またもや結婚して二年後に命を落とす。
何度頑張っても二年後に殺されるイヴェットは六回目にとうとう限界がきて、アドリアンへ全てを打ち明けることにした。だが、アドリアンはイヴェットの言葉を信じないどころか、裏切った。
初恋の相手である夫に裏切られたことでイヴェットの心は完全に壊れてしまう。
そうして迎えた七回目の人生。
今までの人生は全て他人に命を奪われてきたイヴェット。せめて今回の人生は自分の手で終わらせたいと思い、飛び降り自殺を図る。
結局、その時には命を落とさず怪我だけで済んだのだが、なんとイヴェットは6歳以降の記憶を失くしており、アドリアンのことも忘れていた。
かつて、初恋の相手でもあったアドリアンを見て、イヴェットはまた彼の事を好きになってしまうのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-15 17:30:10
74148文字
会話率:23%
宇治川千歳は大粒の汗を流しながら炎天下を歩いていた。家のエアコンを友人であるなっちゃんが壊してしまったからだ。歩けど歩けど目的地を見つけられず疲労と汗ばかりが溜まっていった千歳はついに意識を失って……?
キーワード:
最終更新:2024-08-14 21:42:11
8357文字
会話率:53%
二人で一つだと思っていた。
生まれた時からの婚約者であった二人は常に一緒であったが十五歳になり其々違う学校に行く事になった。それから五年、ようやく大学校を卒業したマードックが帰って来る、懐かしさを胸にセレーニアはロリス伯爵家へと向かう。だ
が屋敷に着いて直ぐ
「お互いの為に婚約破棄をして欲しい」
彼にそう言われたのだ。
理由は…
彼が男色になってしまったからだ。
「実に面白いじゃないか」
そう言い放つセレーニア。
「貴方が本当に必要とするのは私と彼どちらなのか…」
彼女が提案したのはロリス伯爵家まで着いて来たマードックの恋人のアルバードと対決する申し出だった。
大森林での脅威の魔獣との激戦を経て最後、二人で一つだと願い続けたセレーニアの達の結末は…
⚠︎戦闘シーンに架空の銃刀による暴力表現有り・触手表現が苦手な方はご注意お願いします(エロくはありません)
完結済全5話 毎日1話投稿
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-14 10:10:00
30854文字
会話率:57%