最初、咳を出し始めたのはある民家の椅子だった。人の口のような裂け目が椅子の座る部分の凹みにできて男のように低くてそして痰がのどに絡んだように咳き込むのだ。その現象に初めて会ったある民家の女性は悲鳴を上げて椅子から立ち上がった。何しろ、いき
なり激しい風が自分のお尻に吹き込んできたのだから驚くのも無理はない。その女性はお尻にべっとりとついた粘着きを手のひらで拭い取りながら咳き込む椅子を見ているしかなかった。次に咳き込んだのは教会のじゅうたんだった。やはりこれにも人の口の大きさの裂け目ができて今度は女の声で咳き込んでいるのだ。飛沫交じりの咳はずっと収まらずに祈りをささげるどころではなかった。そして、この病は人にも伝染し始めた。街の人々はほとんどが寝込んでしまうほどだった。街から咳払いの音が消えることはなく夜はお互い耳障りで眠れもしなかった。
少年は同い年の友達ハスと共に弓を背負って街の外の丘の上に来ていた。丘の上かららせん状に爬虫類のしっぽをちぎったような紐が少しずつ重ねられてふもとまで渦巻いている。少年たちはそのらせんに沿うように丘を下って行って渦巻の端までやってきた。そこにいたのは羊の少女だった。羊の少女は爬虫類のしっぽみたいな紐を渦巻の端に重ねた。「これはね、竜のしっぽなんだよ」少年が訪ねるのも待たずに少女は答えた。「殺さなきゃだめだ」ハスが叫んだ。少年は震える手で弓に矢をつがえる。「ごめん、サーヤ」と少年が顔をゆがませ弓弦を引き絞った時、丘からふもとまで渦巻いていた竜のしっぽの連なりがうごめき始めうねり少年の頬をはたいた。少年は少しよろけながらも矢の切っ先を少女に合わせて弓弦から指を離した。矢は彼女の胸を貫いて、彼女は虚空に消えた。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-05-11 13:33:29
48681文字
会話率:40%
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ
放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-09 20:00:00
1689388文字
会話率:43%
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
ある日、一人の夫から、目をつむったまま、夫たち一人ひとりに後ろから抱きしめてもらい、それが誰なのかを当てるというゲ
ームを提案される。
果たして、妻は愛する夫たちを全員当てられるのか?
*この作品は『明智さんちの旦那さんたちR』から抜粋したものですが、このままでも十分楽しめます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-02 18:00:00
14255文字
会話率:54%
『大人の隠れんぼ=妻編=』の続編。
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
ある日、夫の提案で、夫婦だけで隠れんぼをすることになるのだが、何だかおかし
なルールが追加され、大騒ぎの隠れんぼとなってしまう。
しかも、誰か手引きしている人がいるようで……。
*この作品は『明智さんちの旦那さんたちR』から抜粋したものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-17 18:00:00
42686文字
会話率:34%
それは、旅の道なかば、気まぐれに降り立った白く瞬く地でのことだった。深く藍色の夜空に三日月が浮かび、ほのかな灯しが純白の砂丘の上をきらきらと輝いていた。冷麗な彼女に、すっかり時を忘れ見惚れていると、背後から生暖かい風がふうと私の頬をかすめ、
次に真横をまたふうと何かがかすめていった。咄嗟に振り返ると、遠くに、どんよりとした雲か霧のにじんだ点が、次第にゆっくり形をとってふくらみ、そのうちに、一頭の立派な馬と、馬にまたがった一人の青年の姿となった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-09 14:38:49
156580文字
会話率:49%
無気力な二十八歳、樹・仁木が送る少し不思議な日々の話
最終更新:2024-05-08 18:30:00
41552文字
会話率:7%
ようこそ、丘の上のシェアハウスへ。
シリーズ「妖魔夜行絵巻」の登場人物の日常や恋模様をなるべく一話千字前後の短編として投稿します。お題形式。色々なタイプの話を入れたいですが、恋愛、コメディー的な表現が多くなるかと思います。将来的に、ごく軽
いですがGLやBL描写が入ると思われますのでキーワードに入れています。思い出した時に書くので更新は不定期になります。
「Novelee」にて掲載済みのものを改稿してこちらに掲載した作品もあります。
本編(現代ファンタジー、微ホラー)
「妖魔夜行絵巻 -しょうけら-」【完結済】(https://ncode.syosetu.com/n9695fz/)
「妖魔夜行絵巻 -傀儡-」【考案中】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-29 00:52:44
4419文字
会話率:44%
秋葉原を見下ろす丘の上の病院の女医が殺されます。捜査線上にヤタラ愛想が良いイケメン看護士が浮上しますが、彼は恋人の脱獄のために病院関係者を利用していただけでした。犯人は、女医を潜入捜査官と勘違いした麻薬王の弟なのでした。
最終更新:2024-04-13 19:07:55
20045文字
会話率:72%
掌編。丘の上の木の話。
※「カクヨム」との重複投稿です。
キーワード:
最終更新:2024-03-31 09:27:16
1025文字
会話率:0%
主人公は丘の上で彼女と言葉を言い合う、それは彼らなりの別れの挨拶であった。
最終更新:2024-03-22 14:08:51
700文字
会話率:15%
とある農家の畑の上に国道が通ることになる
その国道沿いでレストランやることになりレストランのオーナーとなった農家の話
初小説 遅筆 大目に見てください
最終更新:2024-03-21 00:09:55
1050文字
会話率:72%
第一幕
刀根田村。
古来より。独自の神、八千矛神(やちほこのかみ)を祀るその村は、毎年神事に供物を捧げていた。
だが、十年に一度。
八千矛神に生きた贄を捧げていた。
そして今年、選ばれたのは『椿』という名の妙齢の女。
咲いたばかりの百合
の花の様に美しく、今にも散ってしまいそうなまでに儚げだ。目線は虚で視線は定まらない。
されど、椿は己が生贄の花嫁である事を知っていても尚、逃げる意思はなく、手を引かれるままに歩く。
その先にあるのは、八千矛神がいるとされる大きな蔵。
椿は七日、そこで花嫁としての勤めを果たす事になる。
日の光も届かぬ蔵の中にいる、神の花嫁として。
蔵の中。蠢く暗闇の存在と出会う――
第二幕
蔵から出た二人は、互いに人とは違う存在でありながらも、決して手放せない存在に寄り添って生きる。
春。
とある宿場町。
そこは山桜が有名で、特に丘の上から見る水鏡に映った山桜が絶景と有名だった。
二人もまた、その名所へと足を運んでいた。
だが、絶景と言われた山は枯れ野の様相。
何が起こったかは知らないが、旅籠で椿は山の方角を眺めるだけ。
そんな時、椿はしとしとした声を聴く。
今も、椿の耳は不可思議な声を拾うままだ。
その声に気取られて耳をすまそうとするも、朧が阻害する。
同調しすぎてはいけない。
二人は早々に街を出ようとするも、想いもよらぬ人物に足止めを喰らう。
春を嘆く女。その正体とは――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-19 20:48:36
90990文字
会話率:31%
小高い丘の上に何かいるような気がして網戸を開けると、何かと目があった
最終更新:2024-02-15 11:00:00
1327文字
会話率:0%
高校生の女の子が中学校時代の友だちから長い手紙をもらい、動揺する。土曜日の課外授業後、丘の上にある学校から駅に向かう坂の途中で同級生の男の子に声を掛けられた。その男の子に女の子は自分の気持ちを聞いてもらう。
最終更新:2024-02-09 19:55:23
5186文字
会話率:3%
とある田舎の町外れ。丘の上に建つ、小さな小屋には、かわいい黒猫と目の細い魔導書やさんが住んでいます。生来のお人好しを遺憾なく発揮する魔導書やさんは、今日も誰かのお手伝い。ちょっぴりお節介が過ぎてお客様の人生を変えちゃうこともあるけれど、細か
いことは気にしない!
■毎週水曜日に更新できたらいいのに(願望)
■初の連載挑戦ですがエタらないようがんばります。R15は念の為。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-12 12:00:00
300014文字
会話率:40%
目が覚めると、仲麻呂は一面桃の木が咲き乱れる、趣のある佇まいの丘に寝そべっていました。
彼が目を開けた刹那に、桃の花びらがひらりと風に乗って流れてきて、彼の頬に落ちて来ました。彼は咄嗟にそれを掴み、払いますと、おもむろに辺
りに視線をやって眺めたのです。
丘の上には、桃の花びらで覆われた実に美しい景観が広がっておりました。それはまるで桃色の絨毯のように見えて、とても幻想的な風景だったのです。
彼は『ここはどこだろう…』と、上体を起こします。すると彼の身体を着飾っていた花びらが、スルリと抜けて落ちたのです。彼はその時になってようやく、記憶が蘇よみがえって来ました。[本文抜粋]折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-24 05:00:00
24876文字
会話率:21%
王都を見下ろす小高い丘の上で、サクラはひとり、三日月を眺める。言葉も常識も違うこの世界でも、三日月は故郷と同じ形をしているから。どんな理由があったのか、突然故郷と異なる世界へ呼び寄せられたサクラの物思い。なろうラジオ大賞5に応募している超短
編です。ハッピーエンド、だけど少しビターな雰囲気を目指しました。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-20 10:11:57
908文字
会話率:22%
小高い丘の上の洋館に住んでいる少年と少女のお話。
最終更新:2023-12-08 17:05:36
2284文字
会話率:17%
夕暮れ迫る小さな丘の上、夜の女の子が見守る中、わたしはホウキに跨り空を飛ぶ。
最終更新:2023-11-25 03:04:20
1304文字
会話率:33%
ある丘の上に一本の樹がぽつんと立っていました。
ある日一人の女の子が自分のもとに根本で泣いていました。
樹は女の子を慰めるために花を咲かせ女の子を喜ばせました。
その日から樹は女の子にとっての居場所になりました。
樹と女の子の少し変わった
関係性
あなたには自分が変わってしまっても変わらずに待っていてくれる人はいますか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-19 02:33:24
2906文字
会話率:5%
とある街のはずれの丘の上に住民から音を奪われた時計塔が建っていました。
そこには緑のスーツをまとった白髪の翁と妖精に四肢と右目を盗まれたお嬢が住んでいました。
誰からも人間として見られず心に傷を負ったお嬢と仕える主を探し求めていた翁。
この
2人の歪な関係が生み出すちょっと変わっているかもしれない日常ストーリー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-23 20:00:00
1863文字
会話率:18%
何の変哲もない俺の住む街
都会でもなければ、田舎でもない
そんな街の丘の上にある、少し有名な桜の木
俺の日常は、とある女の子との出会いから急変する
夢と記憶、未来と過去が交錯する
最終更新:2023-11-16 01:39:42
3939文字
会話率:28%
レントリア国の末姫エセルは、魔物の来襲から城を救ってくれた若い剣士と心を通わせるようになる。けれど彼には、隠し通さなければならない秘密があった。
エセルは彼の心にさらに近づこうとするが、秘密が明らかになったのは、彼が魔物と闘っているその
さなかだった。
相討ちのはてに川に転落していく剣士。けれど誰もがその死を信じた数日後、彼が川下の土地にある丘の上で生きているのではないかとの情報が入る。
会いたい一心で城を抜け出すエセル姫。道案内をしてくれる少年の助けを借りながら丘を登った彼女が、やがて出会った真実は……。
現在の状況と過去の回想が交互に語られ、結末に向かって収斂していく構成です。
人を好きになる気持ち、思いやる気持ち。切ない気持ち、うれしい気持ち。生きたい気持ちと死にたい気持ち。
そうしたものを、西洋中世の美しい自然と一緒に、きれいな文章で表現することをめざして書きました。
(自サイトにも転載しています)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-09 17:15:12
76716文字
会話率:22%