初夏の日曜日、市内の百貨店を舞台にした一人の語り手の内面を丁寧に描いた抒情的な散文詩です。語り手は、もうすぐ迎える「彼女の誕生日」に贈るプレゼントを探しながら、街の風景や人々の表情に心を重ね、彼女への想いを深めていきます。買い物という日常の
行為のなかに、淡く切ない恋心と静かな幸福が満ちていく様子が、光と音、香りや手触りを交えて美しく綴られます。最終的に、語り手が本当に望む贈り物は「共に過ごす時間」であると気づく場面が、静かな感動を呼び起こします。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-06 23:18:21
1618文字
会話率:7%
――風の吹くたび、名も知らぬ君の面影が心を掠める。
東京で教師として静かな日々を送る「私」は、ある日ふとしたきっかけで故郷近くの山間の町を訪れる。そこで立ち寄った古い神社にて、「また、風の中で逢いましょう」と記された一枚の絵馬を見つける
。その筆跡に、不意に胸の奥が揺れる。記憶の底に眠る名もなき恋の残り香。だが「私」は、それが誰との想い出なのか思い出せない。
物語は、風に導かれるようにして紐解かれてゆく「私」の記憶と現在が交錯する形で進む。かつて、夏の終わりに滞在したこの町で、彼は名を知らぬ少女と心を交わしたのだった。出会いは偶然、別れは必然――。彼女は自らの名を告げず、ただ「風が好き」と語ったのみ。そして風のように現れ、風のように去っていった。
やがて「私」は、再びその神社を訪れることになる。時は移ろい、町の風景も人も変わったが、ただ一つ、あの風だけは変わらず吹いている。
そこに再び現れたのは――あの「君」なのか、それとも、風が見せた幻なのか。
本作は、記憶と風、そして名を持たぬ恋をめぐる抒情的な恋愛譚である。静謐な語り口で、人と人のすれ違い、そして心に残り続ける「名前よりも確かなもの」を描く。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-05-25 21:22:40
8148文字
会話率:21%
大学生の和美が、母親に会いに行くため山道を歩いていると、突然戦国の女武士の霊が現れ、「行ってはならない」と言う。そのわけは……。
抒情的な怪談、ホラーですが、多少ドタバタしてギャグっぽい。毒親・毒母設定、女装あり。
最終更新:2025-03-29 15:25:34
12238文字
会話率:44%
レントリア国の末姫エセルは、魔物の来襲から城を救ってくれた若い剣士と心を通わせるようになる。けれど彼には、隠し通さなければならない秘密があった。
エセルは彼の心にさらに近づこうとするが、秘密が明らかになったのは、彼が魔物と闘っているその
さなかだった。
相討ちのはてに川に転落していく剣士。けれど誰もがその死を信じた数日後、彼が川下の土地にある丘の上で生きているのではないかとの情報が入る。
会いたい一心で城を抜け出すエセル姫。道案内をしてくれる少年の助けを借りながら丘を登った彼女が、やがて出会った真実は……。
現在の状況と過去の回想が交互に語られ、結末に向かって収斂していく構成です。
人を好きになる気持ち、思いやる気持ち。切ない気持ち、うれしい気持ち。生きたい気持ちと死にたい気持ち。
そうしたものを、西洋中世の美しい自然と一緒に、きれいな文章で表現することをめざして書きました。
(自サイトにも転載しています)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-09 17:15:12
76763文字
会話率:22%
羽生という現代日本ではあるけれど架空の街を舞台に、旅の女性と街の人々の一週間の交流を描く抒情的作品。
最終更新:2021-01-04 00:19:02
184323文字
会話率:19%
街のはずれの川べりにある鍛冶屋の『ヴァルカンの焔亭』の飄々とした見習い少年タロー。まだ店番がほとんどだが、祖父の代に異国から移り住んできたタローは、工房の主でタローの師匠である親方とおかみさんにいろいろ教わりながら暮らしている。
その店を訪
れる数々の来客と依頼を通じて成長していく少年の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-19 18:00:00
59676文字
会話率:53%
風の音までも曲にしたいと言った方がいますが、朝子は詩人なので月の光までも詩にしたいと思いました。(他にも出します。)
最終更新:2018-09-16 22:58:18
223文字
会話率:0%
とくべつな おもてなしは しませんが、
遊びにきませんか?
料理は好きだけど ごちそうはありません。
ご飯が おいしく食べられて
共に 笑ったり 泣いたり 怒ったり
「そうそう。あるある。」
「うんうん、ばっかだな~(笑
)」
「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ、」
なんて、
ドンと盛った大皿料理のような
ワイワイ騒がしい詩集です。
季(とき)を映(うつ)す。
『季映』ときばえ
よろしくお願いいたします。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-05-07 00:06:48
91138文字
会話率:22%
秋の日の一コマ(他にも出します。)
最終更新:2017-08-09 16:29:28
198文字
会話率:0%
日常で繰り返される、なんの変哲もないピアスに穴を開けるという行為。だけれども、今の俺は、普通でありきたりな日常を切り取った風景の中で、ごく普通に繰り広げられる無数の男と女の交わりよりも、きっと隠微でそして崇高で濃密で、そして切ないほどに抒情
的な肉体の痛みを感じながら、この美しい女性と交わっているんだと。この耳たぶは、俺の処女膜だ。俺は一生、この痛みを海馬のどこかに留めておくに違いない。クランチマガジン重複投稿作品折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-03-30 15:12:41
45737文字
会話率:33%
宝石店の夜間警備を依頼された私立探偵の磯田明と境出水が事件に巻き込まれた。そして、他にも事件に巻き込まれた男性がいた。暑い夜の出来事を抒情的に描いた小作品。あなたの人生と影が重なりますか?
最終更新:2010-07-26 17:16:25
5488文字
会話率:18%