これは夜明けの物語。今ここから旅立とう――
エルディネ王国の北端、ルーベン辺境伯領にそびえ立つ黒い塔に住む錬金術師ナサニエルは、ある日塔の裏手の森で光の精霊に育てられた白い髪の幼子を拾う。その国では白髪の子は呪い持ちとして捨て子となる
運命にあったが、稀に精霊がその子を拾い上げて育てることがあった。かつて愛した人の言葉を思い出し、その子を育てることにしたナサニエルは、光を意味するレイリアと名付けてリアと呼ぶようになった。
魔法と錬金術の研究に明け暮れて独り塔の中で孤独に過ごし、子育てどころか人とあまり触れ合うことなく生きてきたナサニエルにとっては、何もかもが初めてで大変な日々。それでもリアとの触れ合いの中で少しずつ表情を取り戻し、家族や愛、生の実感、拾い上げた初めての感情を一つずつ理解し始める――
精霊の祝福によって動物の心が分かるリアは、ダイアウルフやイヌワシを始めとする森の生き物に囲まれ、自然の論理に従って育っていく。世界とズレて生きるナサニエルとリアは、森と塔と言う広く平和な箱庭から、外の世界へとやがて踏み出し道を分かつその時を、覚悟しながらゆっくりと寄り添い歩いていく。
不器用な父娘は出会いと別れを繰り返し、寂しさと温もりを抱えて、今日もその塔で生きている。
注)本作品は別筆名にて掲載されたものとその続きです。火曜日 朝7時更新。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-19 07:00:00
581112文字
会話率:36%
ある日、慧は生まれ育った町に新しくできた本屋へ立ち寄る。そこで、本当にただ、視界に入っただけの女性に恋をした。
一目惚れ、というワードを認識していたものの、それを実感をしたことのない慧にとって、この出来事は人生を見つめ直すほど、戸惑いを覚え
た出来事だった。
しかし、今更何かを自発的に変えることなど出来るわけもなく月日だけが流れる。
そんなある日、友人である菜々子から結婚式へ招待される。そのことがきっかけで、片隅にしまっていた高峰の記憶を想う。
学生時代、本来なら交わるはずの無かった3人の、儚い恋心と痛みの追憶。
大人になり再会した「今」なにが出来るのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-11 19:17:50
88441文字
会話率:59%
革新への道を選んだ配信者Kohは、三日月の夜に最高の幸せを実感する。
日本の伝統芸能を継承することが家族や師匠から強制された運命だった。定められた道に服従する代わりに、Kohは因習を抜け出し、異国で学んだ彼は独自の動画配信プラットフォーム
を立ち上げ、伝統芸術と現代テクノロジーを巧みに融合させる。伝統の枠を超えた若き起業家を描く掌編。
西暦2020年代の日本や西欧に似た架空の世界を舞台にしています。私の書いている他の物語と世界観を共有しているフィクションなので、現実と異なる部分はご海容ください。
今後連載版を書いたり、他サイトにも投稿したりする予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-08 06:51:25
1000文字
会話率:12%
特に何か功績を残した人生では無かった。
仕事は別に苦では無かったし、特に何かをしたい訳でも無かった。家族もこんな私を心配する事は無く、社会に出てから連絡を取っていない。
周りからは「冷酷な人」だと呼ばれていた。その自覚が無かった訳じゃない
。
だからこそ、誰かを、心から信頼する事も無かった。誰かを、心から愛する事も無かった。
……そんな毎日を送っていたから天罰が下ったのだと思う。
仕事が早く終わったので家に帰ろうと外に出てみれば急に明るくなる視界。あ、と思えばまるでジェットコースターにでも乗ったかの様に視界は揺れ、何かに激突した。
どうやら車に轢かれてしまったらしい。
周りの叫び声や、何かの焦げる匂いがしたけれど遠くなっていく。死の感覚がすぐそこまでやって来たと実感した時に私が思った事はただ一つ。
誰かを愛し、愛されてみたかった。
まるで恋愛小説の主人公とヒロインの様に。
優しくお互いを求め、微笑み、手を取り合う素晴らしく美しい関係になってみたかった。
ドラマやアニメで結婚式を挙げ、嬉しそうに微笑みながら涙を流す花嫁が羨ましかった。
もし、もしも出来る事なら……誰かに愛される様になりたい。
ゆっくりと落ちていく意識の中、そんな事を願いながらも目を閉じた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-21 23:54:16
6726文字
会話率:22%
「妖精と王子様のへんてこワルツ(https://ncode.syosetu.com/n0406gi/)」シリーズ最新作です。
戦争が終わり、後処理も順調。だけど、やる事はどんどん積もっていく!
ロスヴィータは女性騎士団長の職務の他に、新し
く創設された騎士学校の運営手伝いが増え、エルフリートはエルフリーデとして忙しくなったロスヴィータを支えるべく、精力的に副団長としての活動にまい進していた。
休まる時間がなく、どんどんやつれていくのを実感していたエルフリートは、同じく忙しい日々を送るロスヴィータを休ませようとするが……?
ラブコメ感復活!
隻腕となったルッカや、前作からのニューフェイスの活躍・成長も楽しみなストーリーに!
【毎週水曜・土曜、20時更新/1話あたり2,000~2,500字程度】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-18 20:00:00
169995文字
会話率:52%
自我というものを自覚した時、俺は人在らざる。いや、生命さえ持たぬ無機質な物へとなっていた。
その姿は俺という意識を持った、歪な形状の禍々しい漆黒の刃。──まさに魔剣と形容する存在になっていたのだ。
意識の中にある記憶はもちろん失われ
ていて、かつての俺が何者だったのか、そもそも人間だったのかどうかさえ分からない。ただ、唯一の思い出せる記憶が、今の俺が剣である事とその使用方法のみ。それを知った俺はひたすら待つ事にした。
──この暗闇の中でその時が来るのを。
─────
やがて、その自我のある漆黒の剣は、自由に動かせる自身の身体を手に入れ、己の持つ力の強大さを実感する事となる。そして『彼』は強大な力を持つ存在となった事に何か意味があるのではないのかと、強く疑問を抱き始める。
そう考えた『彼』は欲した。
─この見知らぬ世界で存在している己の存在意義を─
そして求めた。
─この世界で生きる為の己の目的を─
──その為に『彼』は冒険の旅に出る。
幾多の経験の後、やがて『彼』はひとりの少女と運命的な出逢いを果たす事となる。そして漆黒の剣の『彼』は彼女と交ざり合い、ふたつの精神がひとつの身体を共有する存在──
『一心同体の魔人』となる。
──これはひとつの身体で比翼連理のつがいとなった、二人組が紡ぎ出す冒険の物語──
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-10 00:37:18
974815文字
会話率:40%
ある朝気付いたらそこは異世界だった!?
ていうかほんとに異世界なの!?
異世界というにはあまりにしょっぱすぎる現実感…
スキルもない!チートもない!無双もない!!!!
ないないづくしの異世界!?
転生前?となんら変わらない日常…
あまりに
しょっぱすぎる異世界?に辟易しつつも日々を過ごしていくうちに段々と愛着が…
元の世界へ戻る道を探るのか、このしょっぱすぎる異世界?でこのまま過ごすのか…
いったいどうなるわたし!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-04 21:34:21
12255文字
会話率:67%
中華王朝の次期女王候補である愛新覚羅翠蘭第一王女は、ここ最近の宮廷料理にイノブタの肉が多用される事を不思議に感じていた。
そこで教育係である完顔夕華に意見を求めた所、彼女は実母である女王陛下の深謀遠慮の奥深さを実感するのだった。
(※こちら
の一品は、しいなここみ様御主催の「とんかつ短編料理企画」の出品料理で御座います。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-03 18:38:47
1901文字
会話率:42%
堺県立御子柴高校通常教室棟の屋上で、吹田千里達が粕汁を食べていた昼休み。
そんな貸切状態の屋上スペースに姿を現わして、奇怪な噂話を語る一般生徒。
それは、千里達に新たな戦いの幕開けを告げるメッセンジャーだった。
夜な夜な、堺県第2支
局管轄地域を徘徊する、牛の頭に人間の身体を兼ね備えた怪物がいるらしい。この怪物の角に刺された人間は、怪物の仲間入りをしてしまうのだ…
単なる都市伝説との見方を捨てきれなかったものの、一般生徒の相談した噂話を、とりあえず支局に報告し、家路についた千里達。
ところが、都市伝説を裏付けるかのような話を家族や特命警務隊から聞かされた千里達は、自分達の日常が邪悪な陰謀に蝕まれつつある事を実感する。
夜の帳に包まれた、堺泉北工業地帯の石油化学コンビナート。
そこに、巡回パトロール中の千里達が駆けつけた時、千里達は滅ぼしたはずの狂信者達の残党との対面を余儀無くされる。
戦え、防人の乙女達よ!
今こそ3年前の戦いに真の終止符を打ち、自らの信じる正義と友情を示すのだ!
(※ 未成年者の飲酒シーンが登場しますが、当作品は現実の未成年の飲酒を推奨した物ではありません。当作品はフィクションであり、現実とは別の歴史を辿り、現実とは異なる法律が施行された日本が舞台です。フィクションと現実を分けて考えて下さい。)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-06 06:18:50
84815文字
会話率:27%
引きこもりの高校生、宇佐見がコンビニに買い物にでかけたところ運悪くいじめっ子の同級生に遭遇してしまう。
気づかれないようさっさと帰宅しようとする宇佐見であったが呼び止められ、殴り飛ばされてしまった。
その際に後頭部を強打してしまい死亡………
…。
昔のトラウマと混濁していく意識を重ね、恐怖とともに消える宇佐美の命の炎。
次にウサミが目を覚ますと、そこにはガルタと名乗る虎のモンスター、タイガルがいた。
現実感のない状況に戸惑いつつも、冷静に現状を分析していると湖に自身の姿が映る。
そこに見えるはモンスターとなった自分の姿。
錯乱するウサミに差し出される手はガルタのもの。
ウサミは彼の手をとり、この世界を共に生き抜いていく──────折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-02 18:00:00
29618文字
会話率:49%
当たり前の日常。当たり前の生活。何一つ不自由ないはずの世の中で生きづらさを抱える主人公は、今日も義務のように神社へと赴く。決まり文句の願いを唱えて、息のしづらさを実感して。何かに縋りたくてたまらない主人公は、その日、不思議な存在と出会う。
主人公視点(果実)と不思議な存在視点(鉱石)の2部構成。
※本作には、自殺を示唆する描写が含まれておりますが、推奨をするようなものではありません。あらかじめご了承の上、それでも構わないという方のみ、注意してご閲覧ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-29 21:49:55
25501文字
会話率:43%
若くして事故で妻を失った准教授の留浦は研究に身が入らなくなっていた。学生の指導だけはきちんと行っているが、まるで抜け殻のような人生だ。
そんな留浦も55歳になった。新生制度を利用するかしないか、考えなければならない年だ。2年後にはDNAを採
取して新しい体の培養を始める。培養期間は10年。ざっくり『倍速』と呼ばれる培養速度で17歳まで成長した体に意識を写すのだ。
妻を愛しすぎたことが徒となって人生の後半を無駄にしてしまった。日頃からそう実感していた留浦は新制度を使って人生をやり直すことに決めた。
派手なアクションはありません。地味に淡々と話が進んでいきます。
プロローグは難解かも知れませんが、理論的にいい加減ですので異世界もののように「そういう設定なのね」と流していただければ幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-18 00:00:00
166813文字
会話率:46%
現在冷たい風が吹いている。
昨日は暑かったと言うのに。
もう秋が来たのだなと実感した。
それと同時に昔の記憶が蘇った。
最終更新:2023-10-14 12:02:16
5132文字
会話率:44%
支那事変に従軍した戦場の日々を詳しく書いたもので、戦争はお互い国民が恨みも、憎しみもない人間同士が国家の為との美名に隠れて殺しあいが繰り返される、お互いの国民が悲惨の限りを尽くすことになる。
戦争の無い平和な世界が如何に幸せであるかを実感し
て貰いたい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-14 00:00:00
66370文字
会話率:0%
シチュエーション: ディストピアな未来都市。大きな円形の監獄(パノプティコン)があり、中央の塔から囚人たちが監視されている。
チャップリン風のキャラクターが、その監獄の中央の塔に立っている。彼は監視員のはずだが、彼の手には双眼鏡ではなく、
大きなサンドイッチが握られている。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-12 23:48:26
959文字
会話率:46%
長年探し求めた前妻の墓所が思わぬ形で発覚。
そこには前妻一美の家庭を壊した張本人の叔父耕三に出会う。
幼少期の経験から独特の死生観を持つに至った真人だが
「量子物理学的に時間の存在は証明できない」
と言う実感の伴わない仮説を自ら体験する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-10 17:07:20
14837文字
会話率:43%
追加DLC第一弾当日、目が覚めたら見知らぬ草原にいた。
【第1章】
空気が美味しく、気持ちのいい風が優しく吹く。
満天の星空に、柔らかい草が靡く草原。
だが辺りにはモンスターが居て……ここがゲームの世界だと実感するも、リアル過ぎるグラフィ
ックや装備している鎧や剣に違和感を覚えながらも、進んで行く。
星空には見覚えのある青い星が。
ログアウトして空を見上げると、突如現れた青い星が。
夜21時〜1時までの4時間しか繋がらない異世界。
情報を集め、リアルタイム1時間で1日が回る異世界で、騎士のアオイはもうひとりのプレイヤーと出会う。
【第2章?】
……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-07 20:52:39
19966文字
会話率:32%
夏休みの実感って少しずつひしひしと感じだすあれ
最終更新:2023-10-07 07:31:37
384文字
会話率:0%
死を知り、初めて生の実感を得た少年——弑抒忍。
何者かであろうとするが何者にもなれないでいる少女——冷呈白空。
心を基とする術、心來式を扱う者——心來人。
コンプレックスに寄生された果ての怪物——心濫獣。
少年少女は心來人として心濫獣と戦い
、宿主の心を救済する。
物語の果て——忍と白空は人となる。
この小説はカクヨムにも投稿されています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-06 12:04:55
25618文字
会話率:23%
沖縄出身の内間智明は、勤務している会社の転勤で本社に戻ることになった。
智明には四年間交際して、結婚を約束している恋人の黒岩碧がいる。本社勤務に戻るのをきっかけに、二人は横浜にある碧の部屋で一緒に生活をする予定にしていた。だが、智明が大
阪から戻る予定の前日に、あるトラブルから同居する計画が頓挫した。
東京で住む場所が無くなった智明は、新小岩のビジネスホテルの近くにある不動産屋で、シェアハウスのような部屋を紹介される。人一倍の人見知りだが、大型家具や家電製品等の設備が充実していて、家賃も破格だったので、智明は契約をして入居することにした。
〈シンビオシス〉という名のハウスには、訳あり風で個性的な住人が入居していた。週末ごとにどこかに帰る元一流企業のお偉いさん。容姿端麗だがLGBTだという女性公認会計士。自活している高校生。バンド活動をしていて、デビューを目指している居酒屋の店員。風采の上がらないバツイチの中年男性。
当初は入居者たちと距離を置いて接しようと考えていたが、ハウスの中で過ごすうちに、入居者たちの肩肘を張らない接し方に、自然な感じで居場所を見つけていた。
そんなある日、会社の仲間と飲んだ帰りに碧と電車の中で再会した。だが、三か月ぶりに会った碧に、智明は気持ちとは裏腹に、冷たい対応をしてしまい、後悔をする。
年末年始のある日、〈シンビオシス〉に新しい入居者が引っ越してきた。実家に帰らず、寝正月を決め込んでいた智明は、新しい入居者を共用のリビングで見つけ、挨拶をしようと恐る恐る近付いて、後姿の女性に声をかけると、その女性は碧だった。
驚く智明に対して碧は動じることなく、〈シンビオシス〉を探しだして、引っ越してきたと語った。
そんな健気な碧の気持ちに智明も応えるように、再び付き合いをして欲しいと告げ、二人は部屋は別々だが、他の住人と共に生活を始める。
引っ込み思案で人見知りだた智明は、〈シンビオシス〉での生活を通じて、人との交流の仕方が変っていくのが実感できるようになっていた。
今までは人との付き合い方、コミュニケーションの取り方を難しく考えていた。相手の懐に深く入
何の取り柄もない今の自分と、損得抜きに付き合ってくれているのは誰なのか。肉親以外で、常に近くにいてくれ、いつも深い愛情を包隠さずに表現してくれているのは誰なのか……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-29 16:00:00
129720文字
会話率:45%
どこにでもいる普通の家庭を持つ父・中峯晋一はある日の居酒屋で出会った若者を手にかけてしまった。
そして中峯はそのことに何も感じず、自分は人ではなかったと実感することになった。
どうにかして人に戻りたい、そう強く思いさらに殺人に手を染めていっ
た。
そんな時、彼はある人の死に際に、不明な感情に出くわすこととなった。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2023-09-28 23:19:53
701文字
会話率:23%