三毛猫症候群――。
それは、いまだ原因も解明されぬ奇病の名だった。
発症者は生まれたとき、頭部に生きた三毛猫が刺さるように癒合した状態で誕生する。
猫は血を流すこともなく、胎児の成長とともに頭蓋、神経、血管の一部として融合していく。
その
異様な姿は、まるで人と獣の境界が崩れたかのようだった。
確認されている症例は、世界でわずか数名。
いずれも日本人だった。
そしてその多くが、猫の寿命とともに命を終えた。
最初の記録は、戦後間もない寒村で生まれた少年だった。
母はその子を必死に守ろうとしたが、村は「異形の子」「呪われた血」として家族を追いやった。
少年は、15歳のある冬の朝、凍てついた川のほとりで短い遺書を残して命を絶った。
――こんな姿で生まれたくなかった。
その言葉は、社会を揺るがせた。
国は急ぎ、三毛猫症候群保護法を制定した。
学校、職場、地域社会での差別を禁じ、彼らの権利を守る法整備が進められた。
だが、法律ができても人の心は変わらなかった。
好奇、恐れ、憐憫、差別――。
それらは形を変え、言葉を変え、発症者に降りかかり続けた。
そして今。
またひとり、その宿命を背負う命が、この世に生まれようとしていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-04 11:05:40
10995文字
会話率:20%
怪物騎士(オーガナイト)の伝説──
それは古より伝わる創世の物語。
”オーガナイトの名を受け継ぐ者は黒い血を流す“
ボルドー国の騎士ブラストは、その運命のもとに生まれ、医師として敬われる一方、人々の「畏怖」の対象でもあった。
そんな周囲
の噂を退け、ブラストに想いを寄せるメルトワの王女エレネーゼ…
“呪い”に縛られるブラストを解放するため、真実を求めてボルドーに行くことを決意する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-03 13:18:24
27762文字
会話率:53%
...80xx年、世界的大規模テロ、「ダイスフ・ノーウェル事件」が発生。世界中の都市部が崩壊し、世界が混乱に満ちていた。
テロの被害者の一人、葵野 美娘(あおの みこ)は両親と自由に動く体を失い、管理病室のコンピューターの中で生きていた。
ある日彼女の前に一人の男が現れ、自由に動く体をくれてやると提案され、機械仕掛けの身体を授かる。
これから仲間達と波乱万丈な生活を送ることに...!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-01 00:00:00
4737文字
会話率:48%
首筋に 牙を突き立て 血を流す
姿も見せず ステルス捨てる
最終更新:2025-05-22 22:57:56
1159文字
会話率:0%
「元終(げんしゅう)」と呼ばれる世界では、千年に一度、「熵煞(しょうさつ)」と呼ばれる恐るべき存在が蘇る。
そのたびに世界は破滅的な災厄に見舞われ、熵煞を討つことは、戦士たちにとって血を流す覚悟と、何よりの名誉とされてきた。
だが――この
物語の主人公、ヴィラクオンこそが、第二の熵煞であった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-16 02:18:03
8738文字
会話率:51%
三大陸に挟まれた小大陸。その中の熊獅国は隣国、宇關に侵攻されていた。宇關の呪術者が作った水のゴーレム軍。その巨体の中に戦士が入り槍を構えている。熊獅の剣士の刀も魔法団の火炎魔法も、ゴーレム表面に阻まれ中の戦士まで届かない。味方の死体が増え
ていく。額から血を流す黒髭の男こそ熊獅の君主、螺鈿。魔法団長が鼻髭を振るわせ馬を駆った。呪文を詠唱し火炎の大弓と二本の火矢を作る。水のゴーレムの拳を掻い潜り、中の戦士に火矢を放つ。穴が開くと突き出てきた槍を胸に受けながら二本目の火矢を放つ! 敵の喉に命中しゴーレムは水たまりとなった! 螺鈿王は困惑する。なぜ中の戦士を倒して、魔法が解除されるのか!? 団長は操作魔法の素材が敵の呪術者の魔力ではなく、戦士の生命力に由るものだと推理したのだ。魔力を持たない戦士に魔法戦をやらせるという驚くべき画期的な戦法。これこそ宇關の国が戦を仕掛けてくる動機となった事が明らかになった。熊獅の魔法団は団長の戦法を真似て犠牲となっていく。螺鈿王も愛馬に跨り剣を掲げて敵軍に駆けて行った。熊獅の勝利。
夜の盛大な酒盛り。螺鈿王も酒を飲み干している。そこへ黒髪の中年男が引きずられて来た。宇關国の国王、波多王である。彼の前に大樽が引き倒された。首の無い少年の死体が飛び出す。そこへ螺鈿が頭部を投げ寄こした。それは彼の息子、宇關の皇子、孔勳であった。咆哮し血涙を流す波多王。「熊獅を滅ぼす! 子孫を祟ってやる!」螺鈿が大剣を抜き、生々しい音と共に首を斬り落とした。
一年後。熊獅の王宮から産声が響き渡った。しかし赤ん坊を抱く助産師の悲鳴が。「これは悪魔の呪い!?」赤子の右腕は太く普通の四本分はある。戦士の様に褐色で傷だらけ。左腕は右腕の半分。しかし色白でしなやかだった。ただその顔は美しく姫の様な皇太子である。螺鈿王は一週間後、赤子を王宮から追放した。たった一人の世話係をつけて。
皇子は二十年間、苦労と愛情に包まれて成長する。そして三大陸の世界戦争の気運の高まりによって人生の大きな岐路に立たされる。デジタル科学力をもった新たなる敵の侵略。友好国だったはずの隣国からの宣戦布告。そして憎み続けた父、国王との死別。巨腕に憑りつきし呪いの力は果たして主人公・峻怜に何をもたらすのか。幼馴染み、年上の美女との恋や人工的に生まれた幻獣、更に地獄界をも巻き込む長編冒険譚が幕を開ける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-12 08:00:00
2157文字
会話率:11%
かつて誇り高き貴族だった青年・ルシエルは、一夜にして家と家族を焼かれ、すべてを奪われた。
裏切りと陰謀が渦巻く王国の闇の中で、囚われの身となり拷問に苛まれる彼。絶望の淵で出会った謎の“声”は、復讐の力と呼ぶべき闇の魔力を授けていく。
貪欲な
貴族たちが開く狂宴では、権力を笠に着た者が弱者を弄び、堕ちた聖女や魔族の影さえ暗躍する。快楽と欲望が満ちる宴と、地下で血を流す囚人たち――この歪んだ世界を変えられるのは、否応なく“闇”へ身を沈めたルシエルかもしれない。
追い詰められた彼が選ぶのは、この王国を破壊するのか、それとも新たな支配者となるのか。
苦悩や執着、かつての優しさと復讐心が綯い交ぜになったとき、“魔王”の誕生は避けられない。
これは、ざまぁ要素とダークファンタジーが交差する物語。愛と欲、信仰と裏切りが、深い闇の底で燃え上がる。
R15相当の表現を含みますので、苦手な方はご注意ください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-08 20:36:42
36580文字
会話率:33%
目覚めると、迷宮、義勇兵、異邦人、魔術。
迷宮を攻略する義勇兵の集団に拾われた少年は、生き残る為に金を稼ぐ為に剣の腕を磨いて迷宮に潜る。
運命はゆっくりと、少年に血を流す道を歩ませた。
最終更新:2025-04-26 10:17:24
28774文字
会話率:28%
神桜に血を吸わせる人身御供――”桜守”。七つの時からその役に就いていた寧衣(ねい)はある日一度だけ職務を忘れてしまい、責める群衆の前で刃を立てられ、腕から血を流すことになる。その夜、暗い目をした幼馴染の佐霧(さぎり)が寝所に訪れ、寧衣を組み
敷いて言った。 「俺と共に、呪われる覚悟はあるか」「どういう、意味」「今宵、お前の花を散らすと言っている」
── そして翌朝、彼は姿を消した。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-20 22:46:13
12353文字
会話率:29%
昆蟲戦機(インゼクト)。昆虫に酷似した特徴を持つ機動兵器が開発され世界のパワーバランスは大きく崩れた。
これまで世界を支配していたミツリン帝国に対し防戦一方だったシンリン王国が一機のインゼクトを投入。天を轟かし大地を震わすそのインゼクトは瞬
く間にミツリン帝国の兵を蹂躙した。
ミツリン帝国が白旗を掲げたのは言うまでもなかったがシンリン王国国王は敵兵であれ、これ以上血を流す事を良しとせず和睦を提案し、ミツリン帝国もそれを了承。
こうして、帝国の遺恨を残しつつも仮初の世界平和が成る事となった。
それから330年後の現代、再び戦火が上がる帝国と王国の戦乱の世で両国どちらにも属さない辺境の地、ソウゲン村に住む青年ソウジが一機のインゼクトに出会う事で物語の歯車が動き出す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-28 23:22:58
2978文字
会話率:21%
深い森の中、悪漢から逃げる一人の少女が出会ったのは、同年代の少年。 数奇な出会いの結末、「怪物」はその血を流す。
最終更新:2024-11-17 10:13:46
8392文字
会話率:25%
対立する帝国と同盟。幾度となく戦われてきたその戦場に、この奇妙な兵器が登場したのはまだ最近のことだ。装甲騎兵。馬とも蟹ともつかぬ四本から六本の多脚、その上に強力な砲を積んだ装甲キャビン。かつての戦場の華だった騎兵は今や鎧を装甲板に、美麗な
騎兵槍を砲に持ち替えている。しかし血を流すことを役割とする兵の現実は、中世の時代から何も変わっていなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-08 18:11:48
8575文字
会話率:33%
約三千年前の創成の時代、人族•魔族•精霊•神族は新しく作り出された世界で覇権を求め、血を流す日々を繰り返していた。魔族の王の称号を持つ初代魔王セント・ギメッシュは命を糧とし[時空魔法]リヴェリサルを発動させ四種族の争いを無くし未来へと転生し
ていった。...........折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-26 12:06:31
1985文字
会話率:66%
すべてを失ったら、あなたはどうする? どれだけ強く押し返す? 最愛の人を守るためにどこまで這う? 地球の主権を守るためにどれだけ血を流す覚悟がある? これは「くそったれな何者でもない」人物が世界を救うために奮闘する物語です。
最終更新:2024-06-23 01:34:42
11267文字
会話率:25%
身体の中に神の血を流すと言われる天使たちは、聖職者の間を巡って〈霊感〉を与えていた。変わり者の聖遺画師のもとで暮らすようになった「私」だったが、ある夜、亡くなったはずの兄の姿を窓辺に見た。
最終更新:2024-05-23 01:54:02
21113文字
会話率:25%
記憶に支配され、涙と血を流す一人の人間の話。
最終更新:2024-05-21 20:02:34
417文字
会話率:0%
――末期の共和国、全盛期の帝国。
強大な軍事力と二十を超える植民地を持っていた共和国にそれまで何でもなかった帝国に蹂躙された時に誰かが放った皮肉だ。
その言葉は共和国の現状を的確に表しているだろう。
帝国との開戦からすでにおよそ四年半
の月日がたっていた。
開戦以前、簡単に例えるならばまだ戦場で騎兵が猛威を振るってい時代。
共和国は世界の三分の一の土地を有した。
巨大な工業力と軍事力を持っており戦神と呼ばれるほどの英雄がいた時代。いつだって血を流すのは兵士だけだった。
共和国が世界の法であり戦争なんてしようものなら共和国の敗戦はあり得ないと一部の属国の国民が言いだしたほどまでだった。
そして、帝国との開戦。初戦での大敗北。次戦での敗走。
それまで、道でしかなかった属国の帝国に、共和国が大岩だとすればただの砂利でしかなかった帝国に共和国は大敗北した。
自国の絶対的勝利に自惚れていたこともあったかもしれないが一番の敗北の原因は工業の発展の差だ。
それまでの戦いは騎兵が主力だった。旧世代の剣と弓代わりに攻守両方に対応できるマスケット銃が使用され歩兵はリンチにされた。
しかし、実際のところその戦法は無力だったのだ。
実際、帝国初戦では地の利と兵士の人数の差もあってか勝利は共和国側にあったが武器の差において負けたのが原因であろう。
ひそかにマスケット銃を旧世代の遺物と知らしめたライフルの生産に帝国が成功したのだ。
もちろん、いちいち装填のかかるマスケット銃よりライフルのほうがはるかに優れているのは明らかだ。
猛威を振るっているはずだった騎兵とマスケット銃の哀れな兵士たちが蹂躙されるのはそう時間はかからなかった。
そうして、共和国の発展の遅さに気づいた植民地が離れていくのも時間はかからなかった。
もはや、共和国と他国との差は追いつきようのないものになっていた。
従来の戦法を重んじていたこともあってかやっとのことで軍にライフルが配備されるも、依然として軍事力の差は塞ぎきれなかった。
そうして呼ばれたので強国の皮を被った弱小共和国。末期の共和国だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-07 15:39:18
20132文字
会話率:26%
『禁呪術』
それは、対価を支払い力を得る魔法。
現代ではリスクを下げるため、主に血を使用するが、それだけでは真価を発揮しない。
それはかつて、神を屠るために振るわれた力なのだ。
血を流す。その程度で済む筈がない。
だから使えない。
主人
公──久賀 藍 少年は、偶然にもその失われた古代の魔法を手にする機会を得た。
これは、≪最強≫になることを運命付けられた少女と、『最強』を目指す少年の物語。
『最強』を目指す久賀家の物語完結編。
※タイトル詐欺です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-16 23:00:00
84383文字
会話率:43%
2000年代、蝦夷。
街に跋扈する『異端』を狩る少年。
両親を殺した『アカ』を探す少女。
『緑の地』に派遣された自暴自棄の少女。
銃を振り翳す赤い少女。
双子の姉の復讐を傍観する少年。
少年少女達がすれ違い、血を流す時、その『異端』は厄災と
成る。
ピクシブ、カクヨム、掲載中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-13 08:00:00
61082文字
会話率:20%
夜会で告げられた婚約破棄。
それに対し、伯爵令嬢トゥインディエーレはアーティファクト『嘘つきは血に沈め』(レッドライアー)を発動させた。
これは嘘をつくと出血する疑似空間を作り出すアーティファクトだ。
トゥインディエーレはその疑似空間で、
彼女の婚約者を奪った子爵令嬢リアラーナを追い詰めていく。
しかし、そこで明かされたのは、リアラーナの張り巡らせた陰謀だけではなかった。
はたしてトゥインディエーレは、婚約破棄を阻むことができるのか!?
※設定の都合上、生々しくはありませんが流血の描写があります。
そういうのが苦手な方はご注意ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-13 13:11:58
17704文字
会話率:35%