最初、咳を出し始めたのはある民家の椅子だった。人の口のような裂け目が椅子の座る部分の凹みにできて男のように低くてそして痰がのどに絡んだように咳き込むのだ。その現象に初めて会ったある民家の女性は悲鳴を上げて椅子から立ち上がった。何しろ、いき
なり激しい風が自分のお尻に吹き込んできたのだから驚くのも無理はない。その女性はお尻にべっとりとついた粘着きを手のひらで拭い取りながら咳き込む椅子を見ているしかなかった。次に咳き込んだのは教会のじゅうたんだった。やはりこれにも人の口の大きさの裂け目ができて今度は女の声で咳き込んでいるのだ。飛沫交じりの咳はずっと収まらずに祈りをささげるどころではなかった。そして、この病は人にも伝染し始めた。街の人々はほとんどが寝込んでしまうほどだった。街から咳払いの音が消えることはなく夜はお互い耳障りで眠れもしなかった。
少年は同い年の友達ハスと共に弓を背負って街の外の丘の上に来ていた。丘の上かららせん状に爬虫類のしっぽをちぎったような紐が少しずつ重ねられてふもとまで渦巻いている。少年たちはそのらせんに沿うように丘を下って行って渦巻の端までやってきた。そこにいたのは羊の少女だった。羊の少女は爬虫類のしっぽみたいな紐を渦巻の端に重ねた。「これはね、竜のしっぽなんだよ」少年が訪ねるのも待たずに少女は答えた。「殺さなきゃだめだ」ハスが叫んだ。少年は震える手で弓に矢をつがえる。「ごめん、サーヤ」と少年が顔をゆがませ弓弦を引き絞った時、丘からふもとまで渦巻いていた竜のしっぽの連なりがうごめき始めうねり少年の頬をはたいた。少年は少しよろけながらも矢の切っ先を少女に合わせて弓弦から指を離した。矢は彼女の胸を貫いて、彼女は虚空に消えた。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-04-27 12:01:59
31389文字
会話率:34%
この世界は|妖《あやかし》という存在に蝕まれている。人の心の闇に巣食い、生まれ、人の命や感情を糧とし生きる存在。
最初は表現のしがたい姿をしているものの、次第に爬虫類や鳥類や哺乳類へと変わり生物の頂点へ、最終的には人と大差なく、強大な存在に
なればそのまま人として生活している。
生活している。表面上は。
その内では人の皮をかぶった獰猛な異生物で、彼らは感情を持ちながら平気で人を襲う。絶対に分かり合えない存在だ。
世の中にはそんな妖を退治する"術士"という存在がある。
彼らは生まれては成長していく妖を倒すための力を持った人間で日本の各地に点在していた。
中でも山々に囲まれた篠崎という名の町は妖の中でも哺乳類や人の姿を保ったモノが多く、また各地で生まれた妖がこの町を目指している。
いわば数多の妖が行き着く最終地点。
この話はそんな篠崎に住まう術士が妖と立ち向かい戦う物語…――ではない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-26 20:00:00
2181573文字
会話率:39%
オルデンベルク侯爵の三男クラウスは、ドラゴンの呪いにより右上半身に鱗が現れ、右目が金色に変化してしまう。鱗のせいで婚約は破棄、女性に怯えられるのが当然の状態に。生涯独身の一騎士であろうと決意していたクラウスに見合いの話が舞い込む。見合いの相
手はアメリア=マイツェン子爵令嬢。アメリアはクラウスに恋しているに違いないと周りは言うがクラウスはそれを信じることが出来ない。果たしてアメリアの本当に気持ちとは。
<第1部29話で完了予定>
【★爬虫類注意★軽く爬虫類を愛でる表現が登場します。苦手な方はご注意ください】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-26 12:34:29
43803文字
会話率:26%
生き物好きの匠は日々生き物の事を考えながら生きている。爬虫類や虫類、鳥類や哺乳類と挙げればきりがないほどに。そんな生き物好きが未知の生き物を求めてVRMMOの世界を旅する物語。
最終更新:2024-04-15 10:54:23
25213文字
会話率:15%
俺はただの高校生だった。そしていつの間にか美少女になっていた!!助けて!!!
最終更新:2024-04-11 10:10:00
1512文字
会話率:64%
醜さ故に家族から虐げられ、絶望の中死んだ少女がいた。彼女は祈った。「生まれ変わったら、美しくなりたい。誰からも愛されるように」目が覚めると彼女は美しくなっていた。ただし白い蝶として。「思ってたのと違う…」
ある日、隻眼の王子にカマキリに襲わ
れていたところを救われる。一目惚れした彼女は無力な蝶なりに彼を助けるが、ついには蜘蛛に捕まり命を落とす。そして気づいた。「あれ。蜘蛛になってる…」食べられた相手に進化していく少女。虫→鳥→爬虫類→獣となって王子を守るために奮闘する。
臆病な娘×孤独な王子の食物連鎖なラブ。全13話。アルファポリスにも掲載。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-27 21:00:00
27210文字
会話率:44%
ウル・ヤークス王国に仕える騎士、シアタカ。沙海へ進軍する中、爬虫類人『鱗の民』の軍勢と激突することとなる。
激闘の末、一人となったシアタカは、そこで奇妙な生物を連れた人々と出会った。
その出会いが、シアタカの、そして沙海の運命をかえ
ることとなる……。
アフリカ、中東、オリエント風のファンタジー世界を舞台にした、様々な人々、民族、種族が歴史を動かしていく物語です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-20 00:08:59
1124895文字
会話率:45%
《あなたのお城の小人さん ~ご飯ください、働きますっ~》の続編です。
交通事故で亡くなった独身アラサー女子、相模千尋は、紆余曲折して王宮料理人のドラゴの子供に生まれ変わった。
神々と懇意で同じ魔力を持つ幼女は、世界中に森を作り、そ
れを魔力で繋ぎ、世界に魔法を復活させるよう神々から頼まれる。
神々とは関わりのない、アルカディア独自の魔法文明を築くため、新たな金色の環を完成させなくてはならない小人さん。
神々の代行者、御先(仮)な小人さんの冒険が、再び始まります♪
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-10 00:02:27
802190文字
会話率:24%
西暦2XXX年。地球にエイリアン「サウリア」が襲来。
サウリアに噛まれ、その因子に感染した罹患者は「フェイク・サウリア」と呼ばれた。
軍人ドールは、爬虫類の獣人のような醜い姿のフェイク・サウリア罹患者だった。ドールが指導するのは、同じ罹患
者ながら世にも美しい容姿を持つ少年兵。
対局の二人は「罹患者」と「軍人」という奇妙な共通点で結ばれていた。
※エイリアン系SFです。暴力表現含みます。
※他小説サイトでも公開しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-09 01:23:16
25088文字
会話率:32%
田舎に引っ越してきた主人公。
のんびりしようと思っていた矢先に不可解なことが…
最終更新:2023-12-02 15:56:42
1828文字
会話率:29%
僕のヤモリ愛を聞いてくれ!
最終更新:2023-11-06 17:34:43
827文字
会話率:0%
魔女見習いのハルピィは、鳥と爬虫の特徴を僅かずつ併せ持つ亜人である。
ある日。鳥にはアレが無いこと、爬虫類のアレは体の中にあることを知った母より、自分は男だと告げられ、魔女(母)打倒を心に誓う。
最終更新:2023-10-19 05:15:45
7068文字
会話率:27%
東北動物大学爬虫類学専攻中の坂巻聖は卒業論文作成のために離島へ向かう途中、暴風雨に見舞われ難破。気づいたら蛇語の国!なんか蛇の卵が狙われたり、蛇がアクセサリーになったり色々あって、なんとか帰れることに。蛇の王と戻る約束を交わすが…。
最終更新:2023-09-30 15:10:43
207文字
会話率:0%
1995年突如恐竜が大量発生した。
国々はこれを新たな災害として取り上げる。日本の防衛力では恐竜に終わらされるのも時間の問題だったが
終わることはなかった。
森の中一人の少年は歩いていた。
とぼとぼ歩いている彼は何なのか。
最終更新:2023-08-20 04:14:28
1203文字
会話率:16%
これは、ひとでなし(比喩)の少女と、ひとでなし(物理)の青年が出会い、夫婦として歩き始めるお話。
「これから結婚生活を送るにあたって、まず確認して置きたいことがありますの」
ひとでなしの化け物王女と名高いホーデリーフェは、夫となったコトリ
ャロフ公爵ガヴリイルに問い掛ける。
「あなたの子種を受け取って、わたくし身籠れまして?」
外見が天使で中身がひとでなしの少女が、外見がひとでなしで中身は善良な青年と結婚させられた、その新婚一日目のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-19 12:00:00
14528文字
会話率:57%
『私が恐ろしくはないのか?』
竜を目の前にしても、臆することのない巫女に、竜皇が語りかける。
「何故恐れるのでしょうか? これほど美しいのに」
竜を見上げ、巫女は心からそう答えていた。
『竜皇の巫女姫』シリーズ第2弾。『竜皇といっしょ
。』より数世代前の竜皇と巫女姫の物語。
竜皇、巫女姫ともに残念仕様のため、コメディ寄りです。
(個人サイト「双月界」http://garten.whitecafe.jp/sougetsukai/index.html に掲載していた作品の転載になります。完結済みにつき、予約掲載。3話+αです)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-13 20:00:00
21146文字
会話率:38%
10年前、国でパンデミックが発生した。ウイルスの名前はイロード。
イロードに感染し発症すると人を食らう爬虫類型の化け物、イロディアンへと変貌してしまう。
イロディアンはその脅威的な再生能力で徐々に国を、国民を恐慌に陥れ、戦争に発展してし
まい、
イロードのパンデミックは文字通り人々を蝕んでいった。
国は秘密裏に建設された地下都市、コンコルドに国民を避難し、地上に核を投下。
地上は住めなくなってしまい、人々はコンコルドに住むことを余儀なくされた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-22 17:30:22
88895文字
会話率:33%
様々な獣人が住まうディヴィエナ星獣国
そこで小さな店を営む猫獣人のラシェル。
彼女は薬師だが、同時に種族文化研究をしている。
そのため彼女の店には、悩みを抱えた獣人たちが訪れる。
「お嬢さん、ラッコ族の暴力は、実は限りなく純粋な愛情
表現なんです。以前は鼻を噛みちぎられたなんて方も……あら、お嬢さん? 待ってください!」
「お隣さんが垣根にマーキングを? まぁ、それは大変ですわ。ちなみにお隣は犬族ですか?
まぁ、カバ族……あの方達は尻尾がお強いですからね。夜行性に近いので、お昼の間に垣根を切り倒してしまっては?」
ラシェルは持ち込まれる大小様々な相談事を種族の習性から解決していく。
*地球に住む動物の習性を元に、獣人になったらどうなるんだろうという妄想小説です。実際の動物たちとは異なる部分もあります。
*不定期連載です。エピソードごとに一気に掲載します。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-15 14:00:00
14247文字
会話率:19%
人類の文明による化石燃料の大量消費と森の消失は、大気中の二酸化炭素の増加と温暖化をもたらし、地球環境を悪化させていた。
そして、高緯度地域の氷河・氷床が消え去った時期を境に、まるでアイスコーヒーの氷が溶けてしまったかの様に、大気温度は急激に
上昇し、人類にそれを止める手段はなかった。
空気は呼吸に耐えない酸素不足の熱気となり、動物はあえぎ苦しみ、鳥たちは姿を消した。
気温上昇による気候変動と大規模な自然災害は、深刻な食料危機をもたらし、海面上昇は、多くの陸地を海中に沈め、領土領海をめぐる度重なる紛争をもたらした。民族・国家間の核戦争が頻発し、人類と環境に壊滅的な被害を与えつづけた。
大地は放射能で汚染された沼地に、空気は有害な毒気と化し、地上に生きるほとんどすべての動物の生命を継続不能にした。
それでも人間たちは暫くの間、狭くなった陸地で食糧を作り酸素タンクを背負って、飢餓と疫病の中で生き延びていた。
しかしやがて、自らの存続を諦めたかのように、地上から消え去っていった。
残された地表には、二酸化炭素の増加に対応した赤い色の植物だけが繁茂し、小さな爬虫類と、昆虫と、もっと原始的な生物だけが生き残った。
そして、地球のほとんどは灰色の海に覆われていた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-29 20:13:26
1455文字
会話率:0%
ある日、オオトカゲを助けたら爬虫類の国に連れていかれ爬虫類の姫、リザという美少女にもてなしを受けた。
しかしこのもてなしってのが……うん。ごめん。正直嬉しくない。
「爬虫類こそ至高のペットだとニンゲン界に広めるのじゃ!」
(……今のままじゃ
無理だろ……)
蜥蜴姫と俺は強力して、爬虫類の魅力をアピールすることにした。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-07 17:02:07
5592文字
会話率:48%