電車は、まだ来ない。
旅人は、日本海を望む小さな駅の待合室で時間を持て余していた。
壁際の古びた本棚に、背表紙の擦れた一冊の詩集がある。
なにか特別な気がして、旅人はそれを手に取った。
ページを開いた瞬間、一枚の手紙がふわりとこぼれ落ち
る。
和紙のような紙は黄ばみ、折り目は薄く裂けかけていた。
ところどころインクが掠れ、いくつもの言葉が黒く塗りつぶされている。
手紙は、どこか遠くへ旅立ってしまった愛する人へ宛てたものだった。
満州の風景を感じさせる遠回しな言葉。
珈琲の香り、夕暮れの街角、秋の風の記憶。
そして最後の一文——それは滲んで読めなかった。
旅人は静かに手紙を戻し、ふと詩集の頁をめくる。
そこには、一篇の詩が書かれていた。
「たとえ遠くても、君の影はこの頁にいる。」
旅人は、詩集をそっと本棚に戻す。
夜の海は暗く、波は静かだった。
遠くで、電車の音が微かに響いた——。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-15 16:14:09
2515文字
会話率:0%
前略籠絡中道反対全後退
最終更新:2025-01-14 23:06:24
1518文字
会話率:0%
私の名前はミリセント・アグエッドス。アグエッドス公爵家の娘。——そして七歳の今日、自分が乙女ゲームの悪役令嬢だと気づいた。
「……婚約者と仲良くならないと!! そうだわ!! 交換日記をしましょう」
悪役令嬢は、自分の破滅フラグをへし折るため
に婚約者と交換日記をすることを決意する。
僕の名前はティモ・リードレ。リードレ王国の第一王子。——七歳の時に急に婚約者の様子がおかしくなった。
「……ミリーと交換日記ねぇ? まぁ、面白そうだからいいか」
婚約者は面白そうだからとその交換日記を受け入れる。
――これは、悪役令嬢として生まれ変わった少女と、その婚約者の交換日記である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-13 13:17:01
218542文字
会話率:2%
この作品は、読書メーターでのお話企画「覆面お題小説」です。
【手紙文(書簡体)形式】のお題で書かれた物語集です。
どの物語も、読む人の心を震わすこと必至です。
ご期待ください。
最終更新:2024-02-21 00:32:03
48864文字
会話率:8%
手紙から始まる結婚生活
最終更新:2023-07-25 19:00:00
13658文字
会話率:0%
届かなくても手紙を書くよ。
最終更新:2022-05-04 15:29:19
7424文字
会話率:0%
これは遺書であり、告白文であります――。
ある従者が綴った、主と従者の狂気の記憶。
主と従者の性別は決めておりませんので、ご自由に想像していただければと思います。
舞台はざっくり明治〜大正くらいの日本を想定しております。
最終更新:2022-10-07 20:00:00
2877文字
会話率:0%
2022年コロナ禍、14歳の私は24歳の私に手紙を書く。
(この物語はmonogatary.com等のサイトに天野つばめ名義で掲載しています)
最終更新:2022-04-21 20:00:00
2150文字
会話率:27%
小説『大都会のセイレーン』で小説新人賞を受賞した覆面作家・朝海愛(あさみ・あい)の素性は謎に包まれていた。ベストセラー小説となった『大都会のセイレーン』の文庫版のあとがきは世間を騒がせた。
(この物語はmonogatary.com等のサイ
トに天野つばめ名義で掲載しています)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-20 14:00:00
3088文字
会話率:25%
遥か東方のカイラス山の破壊神を信仰する苦行僧が自身の苦行のために訪れた日の没するところの国々を破壊して回ったことを報告する書簡を主題として始まり、その地に住まう人々の記録から破壊の歴史の全貌に迫るオムニバス形式の手記・書簡体小説。
そのため
、作中の出来事はそれぞれの作者ごとの事実や関心に基づいた回想として記録されているため、所々で他者の記憶や記述と食い違うところが多々ある。
特に、主題となる書簡を書いている破壊神の苦行僧の価値観が非常に独特で、異国の習俗や世事に疎いことに加えて他者の名誉のために書いてないことが多いことに留意されたし。
また、信仰しているカイラス山の破壊神は決して正しい者の味方ではないので、絶対的な勧善懲悪にはならないため、
読む順番によって登場人物の印象が様変わりしていくはずなので、様々な意見や感想を寄せてもらいたいと思っているし、
オムニバス形式で1つの世界観を構築していくサイクル小説の実験作としても見てもらいたい。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-27 07:30:14
67504文字
会話率:38%
ネットの海に作品を公開している全てのあなたへ。
書くことをやめないでください。
最終更新:2022-02-06 17:25:25
1987文字
会話率:0%
異世界に転生した「マトバ・シュウ」は「カイト・エレハルデ」として魔術の才能を発揮し、妻をめとり、思うままになり上がって行った。しかし「カイト・エレハルデ」はある出来事を切っ掛けに自分の実存に思い悩むようになる。
最終更新:2022-02-06 09:23:48
2950文字
会話率:0%
一途な少年が愛する女の子に送る最初で最後のメッセージ。
※涙できる内容ではありません。少年に共感できる方ならもしかすると泣けるかもしれませんが……。
最終更新:2021-12-23 10:33:14
1019文字
会話率:0%
ー偶然か、あるいは運命の導きか、黄色いリュックカバーが誠司の目の前に忽然と現れた。
奇跡のような再会、そして24年前の遠い夏の日、北アルプスでの緑との出会いが甦るー
日奈子の父、誠司との死別がきっかけで見つかった緑との手紙のやり取りで物
語が展開し、やがて日奈子が知らなかった父、誠司の姿が明らかになっていく。
書簡体に託された心温まるヒューマンドラマが、山岳ロマンスという新しいジャンルを切り開く。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-01 14:00:00
16347文字
会話率:23%
『月夜の甘棠』の続編!
甘棠の木を奪還することに成功したが……
最終更新:2021-05-02 15:02:00
1377文字
会話率:38%
燕という中国に存在した国の二人の君主を題材にした話。
これは「書簡体小説」!二人の書簡によって、
ストーリーが展開していく。
最終更新:2021-05-02 14:19:29
879文字
会話率:32%
書簡体小説を書こうと思ったのだが、どうにも書ききることができないという不安に襲われたので、とりあえず公開。一番言いたいことは、こういうこと(幸せの永続不可能性に対する拒絶)なのかもしれない。
他にも書きたい風景はあるが、それはぼくの人生の根
本問題ではない。しかし、もし書きたい風景を書けたら、それはとても素敵だと思う。
それに一番近いことができた作品は、「先天性ブルーチョコレート」なので、ぜひ読んでほしい。
他にも書きたい思考があるような気がするのだが、それは自分の苦しみを終わらせる役には立たないんじゃないだろうか、という不安がある。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-25 00:38:53
1961文字
会話率:0%
とにかく生きてて欲しい、という過去の自分への願いを込めて。
最終更新:2019-08-23 15:00:00
513文字
会話率:0%
さらば、青春の日々。都会の絵の具に染まった彼に、お別れを。
※遥彼方様主催の「ほころび、解ける春」企画に参加しています。
最終更新:2019-02-15 08:00:00
552文字
会話率:0%
郷愁をテーマに書いた、書簡体(手紙形式)の小品です。
同名の曲のミュージックビデオで使用するために全文書き下ろしたものになります。
以下URLから聴けますので、ご興味があったらどうぞ。
https://www.nicovideo.jp/m
ylist/60864979折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-01-17 05:00:45
799文字
会話率:0%
クリスマスの夜、『私』は廃ビルから街を眺めていた。
時刻は深夜二時。憂鬱な感情を抱えつつ、『私』は恋人に送った手紙を思い出す――。
愛と哀れみと執着について。
書簡体小説(手紙形式)です。
※カクヨムにて同時掲載中。
https://k
akuyomu.jp/works/1177354054884740835折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-12-24 03:27:38
9227文字
会話率:0%
旅行に出かけた妻から届いた一通の手紙。
笹川は浮き浮きしながらそれを読み始めるが、そこには……。
最終更新:2017-06-22 20:13:18
6424文字
会話率:0%
これは、「この呪いには、恋を叶える力があります。」のもう一つの物語。
あわせてお楽しみいただければ、幸いです。
最終更新:2018-02-11 21:00:01
2862文字
会話率:0%
まだ誰も住んでいない家にこの手紙をおくります。
※ 恋文企画 参加作品です。
【企画概要】指定キーワード;恋文企画/お題;書簡体小説、ラブレター/開催期間;2018.2.10~17
最終更新:2018-02-10 19:00:00
2680文字
会話率:0%
「恋文企画」参加作。
勢いよく感情に任せて綴った恋文! の筈です……。
最終更新:2018-02-10 00:09:11
351文字
会話率:0%
「理系のおっさんが物理と魔法で異世界チート」シリーズからのスピンオフ。
魔族と人間の和平が成立して18年後、今度は魔王の娘ナーリンが、人間社会を学ぶため魔族の身分を隠して王都の学園に留学することになりました。
その学園生活をダラダラ
と日常風に綴ります。
話数は多いのですが一話一話はとっても短いのでお気楽に読めます。
たまに長かったりしますけど。
※完結しました! 新作連載始まってます!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-01-26 19:00:00
134002文字
会話率:11%