「────あたしは、あたしを好きなアキが大好きなの」
高校入学前に失恋した「彼女」はいつも、まるでボクのことなんて見透かしてしまったかのようにそう言って微笑んだ。その言葉に、声に、自分はきっと彼女しか好きになれないのだと思いこんでいた─
───そうであって欲しいと、心の何処かで願っていた。
過去の失恋がトラウマとなり人と深く関わることを恐れる少女・塩瀬晶は、星花女子学園で自分に自信が持てない少女・川蝉弥斗と出逢い、様々な人の協力を経て友人関係を築いてゆく。人と関わることを怖がりながらも穏やかで誠実な弥斗と関わってゆく中で、晶は彼女に対する自分の感情が友情とは異なるものであることを知ってしまい────
***
柔い花の香りと、熱い夏の風の香りが鼻腔を擽った。目の前に呆然と立っている彼女は酷く悲しそうな顔をしていて、その表情に結局最後まで君を困らせることしか出来なかったな、なんて考えて自嘲する。それでもこうでもしなければ君をますます傷つけるだけなんだ、なんて頭の中で呟いた自分の声が、やけに言い訳めいて聞こえた。
どうして、と夏の風に紛れて彼女の細く澄んだ声が聞こえた。この関係の始まりはボクだったのに終わらせるのもボクなのかなんて、どうしようもないそんなつまらないことを考えてしまう。
ボクは「さっき言ったとおりだよ」なんて呟いて彼女に向かって笑いかける。彼女の目に映る自分が酷い人間であるようにと願いながら、何度も何度も練習してやっと上手に言えるようになったその言葉をゆっくりと舌先にのせて「川蝉さん」と名前を呼んでから、出来るだけ彼女に冷たく聞こえるように呟いた。
「────今まで、本当にありがとう」
***
主催:楠富つかさ様、星花女子プロジェクト
協力:星花女子学園、星花女子学園写真部、園芸部、空の宮市
キャラクター原案:桜ノ夜月(塩瀬晶)、今際ヨモ様(川蝉 弥斗様考案)
星花女子プロジェクト概要:架空都市S県空の宮市に建つ、中高一貫型私立女子高等学校「私立星花女子学園」を舞台とする世界観共有日常系学園百合小説企画の第7期参加作品。現在は10期まで開催中
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※不定期土曜更新(時々日曜更新)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-16 01:43:18
244981文字
会話率:29%
主人公真奈はへんぴな田舎に住む少女、そんな娘の楽しみは父健太郎と毎日じゃれ合うことだった。父もまた娘とじゃれ合うことが唯一の楽しみである、じゃれ合う二人の農家ストーリー
最終更新:2023-03-26 11:31:01
544文字
会話率:59%
ボクの入学した学校は、とっても怖い(もといとっても素敵な!)お姉さまたちが牛耳っている、不思議いっぱいの少女たちの大伽藍。 花の香りむせる女学院で起こる、謎の事件に巻き込まれたボクたちの運命やいかに!! やさしくやさしく楽しい気持ちになれる
ように一生懸命かきました!!
この作品は「エブリスタ」に載せたものを改訂したものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-20 08:00:00
100109文字
会話率:35%
ホームへ降りたら
湯の花の香り
最終更新:2023-02-17 23:27:19
267文字
会話率:0%
王太子候補の長兄、騎士団に入団した次兄。自分は、蔵書を誇る図書室に入り浸り、ただ本を読んで日々を過ごすだけの第三王子。
そんな時に、また婚約者候補の打診がやって来る。どうせまたお断りを入れられるのだろうと思っていたのに、顔合わせで少しばかり
のミスをしてしまってから、今までとは違うパターンが始まった。
令嬢に勘違いされてしまったけれど、少しばかり退屈していたしこのまま様子を見させてもらおうか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-03 22:06:43
6168文字
会話率:53%
建安25年(220年)3月、魏王曹操没す。
曹丕の手には、『魏王薨御』の4文字を記した水仙の花の香りに似た蛇霊香が焚き込められた絹が握られていた。
魏王曹操の死は、何事にも先置いて、秘するべき国家の大事。
これを外に漏らそうとする者は
、処罰せぬわけにはならない。
しかし、後宮で、蛇霊香を用うる妃はただ一人。
そう、彼の妻 甄夫人である。
妻の罪と処罰すべき罪の間に挟まれ、曹丕はその心を悩ませるのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-02 09:00:00
10887文字
会話率:7%
ある夜、俺は人を斬った。
愛しい許婚からの手紙にそうしてほしいと書いてあったからだ。
そして一月後、俺は報告を書いた手紙を届けてもらうため、薬売りのお夏の来訪を待っていた。
最終更新:2022-09-23 20:36:19
3619文字
会話率:44%
夢の中でみたとても残酷で、そして美しい人の死。
それは一体誰で、そして何を意味しているのか_。
主人公である、優は常磐紗良(ときわ さら)に恋をしていた。しかし自分の性別は女。優は自分が女に生まれてきたことを憎んでいる。そんな日常の最中、
放課後突然、紗良から好きな人がいるとの告白を受けた。
優はそれがショックで紗良を__。
百合(女性同士の恋愛)と百合の花をかけた、短編恋愛小説です。
この話は、短く、そして儚い。
まるで本物の花のように___。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-11 10:00:00
4561文字
会話率:22%
甘ったるい、花の香りがすればいい
キーワード:
最終更新:2022-03-14 21:42:34
211文字
会話率:0%
あたしは植物が大好き。どんな劣悪な環境下でも懸命に生きようとする姿が、あたしにいつも元気を分けてくれるから。その中でも特にあたしは花が大好きだった。
ここは花の香る庭園……誰もがうっとりと多幸感に浸ってしまう植物たちが生み出した華やかな楽園
。
そんな花の甘い蜜に誘われて外に広がる森の奥地から、今日もたくさんのお客様がふらふらと甘い蜜を求めて訪れる。
あたしはそんな素敵な世界の頂点に君臨する花の女王……というのは、少し言い過ぎかもしれない。せめてそう、この花の香る庭園に佇む主とでも名乗っておくことにしよう。
「ようこそ、誰もがうっとりとしてしまう花々が織り成す楽園へ……。この楽園の主として、皆さまのご来訪を心から歓迎いたします」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-29 17:19:21
1790文字
会話率:18%
唐突に、花の香がした。
一度ばかりではない。
スマホが鳴った。
もう花の香はしない。
それは、こういうことだったのではと、思う。
最終更新:2021-11-20 13:00:00
360文字
会話率:0%
関東大震災を基にした作品です。
そのせいか、第一稿を書いている最中に阪神・淡路大震災が起きたり、サルベージ中に東日本大震災が起きたり、地元が震度5で被災したりと、とにかく地震・震災に深い因縁があります。
なお、一部大正時代の頃の文語体綴りで
書いていますが、文法等正確性に欠けていますので、予めご承知ください。
また、主人公の名前が作者名と被りますが。ペンネームを用意する必要に迫られたとき、当時書きかけのものから彼らの名を急遽借り受け…そのまま今に至るという…ごめんなさいな事情なので、突っ込まないでやってください <m(_ _)m>
盛夏を過ぎたとある夕刻。大学生のさいかと隣室の美大浪人みしろは、友人を待ちながら花火を始めていた。
次第に興が乗り、徐々に派手な花火に移行しつつあるところに遅れてやってきた友人は、金木犀の小枝を差し出す。
その花の香りに、見知らぬ、けれど懐かしい記憶が溢れた。
浅草凌雲閣で、「私」は「十二階の乙女」と再会の約束を交わした。
その僅か数日後、帝都が激震に襲われることを知らずに。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-01 19:55:58
18671文字
会話率:12%
百日紅の花に香りがあるのだとは、この年になるまで知らずにいた。
だがその香りは盛りを過ぎていたのか、風に紛れて捉えがたく、優しい印象だけを残して消えてしまう。そしてそれは、どこか儚い。
最終更新:2021-08-25 15:32:54
639文字
会話率:5%
幼馴染みの浅田の部屋に入り浸って夏を過ごす僕は頭ではこのままじゃいけないと思いつつも一緒に堕落していくこの生活も悪くないなと思い、また1日が過ぎていく。そんなある日の日常。
最終更新:2021-07-24 02:14:08
2284文字
会話率:46%
主から預かった"娘"の記念日に、男はかつての主に想いを馳せながら花の香りが高い酒を飲む。
"娘"に真実を告げたとき、彼女はどう答えるのか。
そして、彼は覚悟を決めることができるのか。
※20
18年12月に本サイトで掲載しておりました作品の再掲載作品となります。
※サークルぽっぷこぉーん様合同誌『POPCORN vol.16』に掲載していただきました作品の再掲載作品となります。
※上記両作品では『鳳凰の羽根と翡翠の湖面』として掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-28 21:14:01
10961文字
会話率:25%
辺り一面を覆いつくす野花の中に浮かぶ、揺れ動く影・・・。
そしてその影の前に、男が一人立っていた。
男が影へ手を伸ばすと、影はその腕に絡まった。
『頼んだ』―。
男には、影がそう言っているように感じた。
すると一陣の風が吹き
、影は花の香りと共に塵となって消えた。
男が呆然とその様を見ていると、
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
その跡から、赤子の声が聞こえてきた。
男は黙ってその赤子を拾い上げると、その場を後にした。
そして赤子は、いつしか少女となっていた。
これは、一人の少女の運命を辿る冒険譚――――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-27 22:00:00
44079文字
会話率:26%
東京の大学で学ぶ主人公が恋と友情に恵まれ、戦時ながらも充実した学生生活を送る様子が前半に描かれ、後半では、徴兵された主人公の海軍航空隊での生活と、訓練の合間になされる婚約者との交流、および、特攻隊要員に指名されてから出撃に至るまでが描かれる
。序章と終章は戦後における後日談であり、この小説のテーマを集約的に表している。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-01 18:02:29
149322文字
会話率:40%
朝の世界に
雫の音と花の香りが広がるそんな皮肉
最終更新:2020-05-22 18:41:40
322文字
会話率:29%
0987654321
最終更新:2020-02-16 22:33:27
204文字
会話率:0%
東雲沙那は、春が好きだ。
甘い花の香り、暖かい春風、青い空…
窓から見える世界は狭いから、もっと色々な所へ行こう。
大切な人と、ゆらりゆらり。
手を伸ばして。
東雲沙那は、春が好きだった。
最終更新:2019-10-26 15:24:20
4096文字
会話率:63%