西暦一八四〇年ごろから、西欧の脅威に晒されることになった清王朝。その事態を強く憂い、末期の清を支えるために尽力した者達の中に左宗棠がいる。
挙人の資格は得たものの、科挙試験に失敗した癖に、自らを「湖南の今臥龍」と称していたため、周り
の人間からは変人と見られていた。しかしそんな彼が、ひょんなことから高級官僚の陶澍に気に入られ、親戚となる。
そのことで陶の女婿、胡林翼とも昵懇になった彼は、胡によってさらにアヘン戦争の立役者であった林則徐にも知られることとなった。林は宗棠青年に「最も警戒すべきはロシアである」との言葉を残し、他界する。やがて太平天国の乱が起き、湖南巡撫の客としてようやく日の目を見た宗棠は、時の皇帝である咸豊帝の声がかりで曽国藩の帷幕に加えられた。この時の活躍が評価されたので、咸豊帝崩御後も北京へ呼び出され、今度は陝甘総督として捻匪討伐の任務に就く。
砂漠に面している、西の不毛の地。捻匪の背後にいた回民との戦いにもあけくれながら、彼は、陝西省及び甘粛省の産業の発展にも心を砕いた。彼によって整えられた、西安から玉門関へ至る道には、柳が植えられており、これは宗棠にちなんで左公柳と呼ばれている。
清朝廷に対して反乱を起こした捻匪や回民を討伐し、さらにタリム盆地のほとんどを占拠していたヤクブ・ベクも滅ぼし、イリ地区を占領していたロシアの理不尽な要求から何とか妥協を引き出して新疆地区を奪回した彼に、北京からの召還状が届く。軍機大臣及び内閣大学士という、挙人出身にしては異例の辞令を与える為だった。
だが、そんなポストは到底彼の気質には合わない。半年もせぬうちに病気と称して辞した後、両江総督として再び政府中枢から現場へ出た宗棠は、この時すでに七十二歳。ようやく念願であった海軍建設に着手し、曲がりなりにも形を整えた頃、清仏戦争が勃発、彼の築いた南洋艦隊は壊滅したのである。失意の上に、清にとって不利な天津条約を再び結ぼうとしている李鴻章への怒りが重なって「海軍を頼む」との言葉を残し、一八八四年九月五日、ついに清の大黒柱であった宗棠は帰らぬ人となった。
こちらも母が遺した小説です。
こちらにも掲載してます。 → https://www.alphapolis.co.jp/novel/452360109/106174441
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-08 08:00:00
135873文字
会話率:28%
「明日も葵の風が吹く」
現代では極普通のオッサンだった私が、若返って田沼時代を駆け抜ける泥臭いお話。
私、有坂総一郎は趣味である時代劇を見終わってベッドに入った。しかし、眠りにつくと同時に急激な落下感で目が覚め、そして意識を失った。
目
が覚めた場所は明和4年の江戸神田橋は田沼意次邸。側用人に就任したばかりの田沼意次といきなり遭遇。新領地経営に現代の知識を提供することで用人として側仕えすることになる。そして、平賀源内と邂逅。
そして田沼時代を終わらせないための悪戦苦闘の日々が始まるのであったが、想定外の第二の転生者の出現、私の発した一言、行動が思いもよらぬ時代の特異点となっていき、歴史の歯車が加速していく・・・。幕閣が、越後屋三井が、雄藩が、それぞれの思惑で歴史を塗り替えていく。
<NEW>
動き出す雄藩、幕府は先手を打ち京都・大坂への統制力強化を進める。そして、伏見城築城、伏見-大坂への鉄道建設、それを阻止したい地元反対派と裏で支援する長州藩……しかし、過激派の暴走で長州藩の行動は裏目に出る。国鉄副総裁神庭幸太郎とその一行は伏見において拉致される。拉致された国鉄職員を薩摩藩士がたまたま見かけたことで幕府現地出先機関の大坂総督府は出兵、長州藩蔵屋敷を急襲……。
基本スタイルとして、主人公視点での描写、ときに別の人物の視点と切り替わります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-23 07:00:00
400553文字
会話率:52%
地球を起源とする人類が宇宙の星々を支配し始めて数万年の時が流れた。
とある銀河が永遠と思える輝きを失おうとしていた時代。
銀河の覇権を手中に収めようと勢力を拡大しつつあった新カスメニア帝国皇帝ドルノア・デル・レイは豊富な資源を埋蔵する惑星
フォスを侵略する。
最大都市国家ハポーニャの指導者ジャジャトフ・ムは勝機の乏しい戦いを避け降伏。自らの命と引き換えに民衆を救う道を選ぶ。
ジャジャトフが永久生体冷凍刑に処された10年後ジャジャトフの息子ラカルトフとその一族は皇帝の意向により貴族に復権していた。
帝国の支配下に置かれた惑星フォスは著しい経済発展を遂げる。
フォスの民は豊かな生活を約束されたかのように見えた。
しかしレアメタルを始めとする資源の権益は帝国と帝国系企業に牛耳られ関連する職業に就く一部の市民がその恩恵にあずかるのみであった。
ジャジャトフが民衆を率いた時代の有力者たちは次々と貴族に取り立てられ帝国総督府の庇護下に置かれた。
ラカルトフもまた何不自由ない青春時代を送る中で自らの置かれた境遇に迷いを感じるのであった。
そんなある日、母トリシアの幽閉先である古城ガル・シュタン城に幽霊が現れると言う噂が広がる。
トリシアに懇願されしぶしぶ幽霊退治に乗り出すラカルトフだったが、彼の目の前に現れたのは時空の狭間を無限に彷徨うと言うタイムコンダクターの少年ノアだった。
ノアはラカルトフに
「君は銀河の命運を握る存在だ」と告げる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-04 14:54:05
108076文字
会話率:29%
ベルヌス族の族長には美しい双子の娘がいる。
男勝りな姉のウルスラと女らしい妹のギーゼラ。
北方の地にはうわさが流れていた。帝国の新しい総督にして副帝を兼ねる男は、ベルヌス族の娘を花嫁に望むのではないかと。
夏至祭の日、帝国の副帝がベルヌス族
の集落にやってくる。そしてその夕べ、とある事件が起こった。
ウルスラは副帝の命を救い、そして彼から婚約を申し込まれる。
政略上の理由で婚約を交わしたふたりだったが、次第に心惹かれあうようになっていき……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-13 18:00:00
27018文字
会話率:42%
バレンダウンで傭兵稼業を営むクルス・クライスト。
悪魔退治の任務で偶然知り合った美貌の剣士・アムネリアと行動を共にすることとなり、カナル帝国の秘宝<賢者の石>を巡る騒動に身を投じていく。
騎士にマジックマスター、亜人や悪魔が織りなす剣と魔
法のファンタジー小説。
<主要人物紹介>※一部ネタバレ有
●クルス・クライスト
傭兵総連盟<リーグ>バレンダウン支部に所属する傭兵。<疫病神>の通り名を持つ異数の使い手で、悪魔退治で高い実績を誇る。<戦乙女>を召喚する秘技を持つが、習得の経緯や過去はよく知られていない。
●アムネリア・ファラウェイ
素性不明な旅人。女だてらに剣に秀で、クーオウルの神官位をも有する文武両道の麗人。ベルゲルミル連合王国の出身らしい。
●ノエル
美しい金髪と挑戦的な紫紺の瞳を持つ女エルフ。マジックマスターとしての素養に恵まれ、わけあってバレンダウンを訪れる。
●ネメシス・バレンダウン
カナル帝国はバレンダウン総督の娘。伯爵公女。若いながらに高いカリスマを発揮し、国内で人気を博する。
●フィニス・ジブリール
ネメシスの傍らに控える忠義のマジックマスター。情熱的な赤い髪とは裏腹、冷静沈着な女性。
●ダイノン
剛健なドワーフの戦士で、軍神マイルズに帰依する神官。万事において思慮深く、男気に溢れる。
●ワルド・セルッティ
元盗賊の傭兵。傭兵総連盟<リーグ>につてがあり、よく依頼を回してもらっている。用心深く、工作任務に長じている。
●ゼロ
ミスティンで活動している傭兵総連盟<リーグ>の傭兵で、スコア800を超える熟練者。フードと外套で素性を隠している。
●サラスヴァティ・レイン
アケナス大陸で高名な女勇者。東部地域の不死の巨人討伐をはじめとした功績は、冒険譚として全土で広く語られている。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-16 20:55:11
798630文字
会話率:47%
激動の時代を生きる少年少女が、自らの起源を探し求めて、戦場へと身を投じていく物語。
物語の舞台、リリニア立憲王国が存在するリリニア地方は帝国ヴェルギニアの異教徒を集めたゲットーとして巨大なスラム街が点在する植民地のようなものだった。
産業
が栄えるとともに、リリニアの人々は帝国での自分達の不遇に抗うようになっていき、長い抑圧から解き放たれようという願望は強大な帝国を何十年にも渡って苦しめる内戦となって現れた。結果、ヴェルギニア帝国はリリニアの地に王国を設立する事を認める事となるが、国王として祭り上げられたのはヴェルギニア皇族の血を引く者であり、当然その実態がヴェルギニアの植民地であることに変わりはなかった。
帝国の傀儡王家の下でリリニア人は相変わらず劣悪な扱いを受ける。差別と迫害の中で、リリニア人達はますますその団結意識を高めていき、いつしか自分達の国を作ることこそがリリニア人の至上命題となっていった。
そうした民族意識を実現したのがリリニア立憲王国初代国王、アルフレッド・ルートヴィヒであった。
今から110年前、イルカイ・デーゲンハルト率いる革命軍は、リリニア地方を古くから治める小さな貴族の当主を国王に祭り上げ、リリニア立憲王国の設立を宣言した。7年間にわたる革命戦争は、帝立リリニア総督府の陥落と傀儡王家の逃亡によって革命軍の勝利に終わる。
以来、リリニアは鉱山から産み出される豊富な資源を武器に帝国からの独立を保ってきた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-12 21:10:47
14681文字
会話率:20%
Zero(本編)に度々名前だけ登場する「剣山総督」のお話を書いたものです。
剣山家創始者にして、伝説の紋章を使いこなす実力者であり、ゲーラ一族の最盛期を築き上げた張本人でもある、総督は「トリムール・ゲーラ」という世界三大美女とも言われた程の
絶世の美女と結婚した事によって、かつて、「武神」と呼ばれ恐れらてきた、男の運命を大きく変える事になる。
様々な伝説とも謂われる1000年前の屈強な戦士達に立ちはだかる総督。
現在では、そのほとんどが伝説の話として見透かされてるが、それらは紛れもない事実だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-09-21 11:38:43
59877文字
会話率:16%
大陸の大半を占める大国、瑞穂帝国の第三皇女胡蝶は女でありながら武官となり、属州エウルの総督として派遣される。そこは獣人の王国――獣の耳や尻尾を持ち、変化(へんげ)を行う異形の者たちが住まう国だった。
胡蝶は奴隷商から、ジルという獣人奴隷
を買い取る。従順で物腰柔らかいが、決して、心を支配することが出来ないジルと、胡蝶との奇妙な主従関係がはじまる。
ドS姫×忠犬のラブロマンス。
※この作品には虐待、暴力行為が含まれています。※折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-19 00:10:58
36776文字
会話率:27%
天空に浮かぶ学園都市を舞台に、若き騎士たちの活躍を描く『天宮の煌騎士』
本編では語られることのなかった彼らの日常を描く短編集。
【Episode 1: 聖地巡礼】
スベイレン騎士学校を追われた落ちこぼれ騎士、リドレックは凶暴な獣た
ちが支配する地上へと向かった。
辺境の村を訪れたリドレックは、村長から死んだ領主の代わりに村を守るよう依頼される。蛮族たちの襲撃から、リドレックは村を守ることができるのか?
リドレックが過ごした夏休みの一日を描く前日譚。
【Episode 2: 聖剣伝説】
桃兎騎士団寮の新入生三人組は、学校の課題で剣を作ってくるように命じられる。
工作が苦手な三人は上級生たちに助けを求める。しかし、それは新たなる混乱の始まりであった。
【Episode 3: リドレックは二度死ぬ】
リドレック・クロストはスベイレン騎士学校の劣等生。
大勢の仲間たちに囲まれ、日々怠惰な生活を謳歌していた。
そんなある日、リドレックは最新型戦闘歩兵の対戦相手を命じられる。その背後には、帝国を揺るがす陰謀が隠されていた。
スベイレン騎士学校の日常を描く、本編の前日譚。
【Episode 4: ライゼの就活奮闘記】
桃兎騎士団寮の監督生、ライゼ・セルウェイは焦っていた。
在籍七年にして今だ就職先が見つからず、忸怩たる思いを抱きつつ日々を過ごしていた。
そんなライゼに手を差し伸べたのがランドルフ総督。
『お前に就職先を世話してやろう』
甘い言葉に乗せられたライゼは更なる混乱の渦に巻き込まれてゆく。
崖っぷち騎士、ライゼ・セルウェイの明日はどっちだ?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-12-21 00:16:00
116748文字
会話率:41%
雪と氷に閉ざされながらも神々の加護を受け、確かな歴史と力を誇る強国フィリ。死神総督の娘ルルーは、親交のある女神と女王に招かれ、この国の春祭りに参加する事となる。そこで出会ったのは、生まれと容姿を蔑まれ、民の前に姿を見せず、己と世界を憎むこと
しかできない無力な姫君だった。「アンタを見ていると、昔の自分を思い出して本当に腹が立つわ」―――命と生を厭われた、二人の小さな『ヤミ姫』のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-06-01 00:51:22
107873文字
会話率:37%
エルトリア帝国の皇女エストリカは、病床の皇帝に代わって国政を取り仕切る枢密院から突如として「ゴルニア属州総督」に任命される。
総督に任じられたものの、エストリカはそれを素直に喜ぶことはできなかった。なぜなら、ゴルニア属州などというものは「ま
だ」存在しないからだ。
一方、諸部族の割拠するゴルニアでは、帝国の影響力を排除し、ゴルニアを統一すべく若き王ウェルティスが立ち上がろうとしていた。
新設の第十二軍団を率いて、弱冠十五歳のエストリカは蛮族の跋扈するゴルニアを平定することができるのか?
本作はカエサルの名著『ガリア戦記』第7巻を下敷きとしたファンタジー戦記です。
2014/5/7追記 一部、表記ミスを修正しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-05-01 00:14:11
142819文字
会話率:35%
紀元32年3月。エルサレム総督官邸地下牢に、父の子と神の子、二人のイエスが鎖に繋がれていた。
父の子とは? 神の子とは?
ラーゲルクヴィストの作品に同名小説がありますが、まったく別の方向から主人公イエス・バラバを描きました。
最終更新:2013-11-06 22:19:55
258526文字
会話率:34%
私の植民地総督としての任期はただ一つ。陛下の仰せのままに。
最終更新:2013-10-01 00:00:00
695文字
会話率:10%
1980年代後半 凶悪化・組織化する重犯罪に対抗すべくフィリピン政府は“フィリピン国家警察・凶悪犯罪特別捜査班”(略して“特捜”)を組織する。
それによってフィリピン初の女性刑事、ケイト刑事が誕生した。
実力派歌手の母と元在比米軍副指令であ
った父を持つ彼女はフィリピンをかつて征服し初代総督となったスペイン人レガスピの末裔である。
ずば抜けた美貌と身体能力を持ち、親戚の良人である日本人から“瀬戸の暴れ剣法”と呼ばれた葛葉流小太刀の指導を受けていた。
特捜の刑事として捜査を進める彼女はやがて巨大な闇組織の存在を知る事となり仲間たちと共にその悪に立ち向かっていく。
実際の出来事とリンクして構成された冒険活劇が、今はじまる・・・。
本作品は著者自身のホームページに於いて全文または一部の公開をする可能性があります。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-07-12 11:13:08
77365文字
会話率:29%
尾崎昇朗は幼少の時「アカンナムの棺」をあけてしまったことが原因で、執念を持って死後の世界に堕ちた魂を現世に拾い上げることができる能力を獲得する。それが原因で他者から疎まれてきたが、第3警察・通称「あかびん」の警察官・北条総督にその能力を買わ
れ、殺人事件の被害者の魂を呼び寄せ、犯人を言い当てるという役割を与えられる。総督の読み通りに、昇朗は次々に事件を解決していくが、あるときに彼は地獄の閻魔・断罪王ウェイルストンに人魂窃盗の罪で裁きをくらってしまう。その裁きとは、死後の世界から魂を呼び寄せている間、自身の魂は地獄へと拉致され苦しみを受け続けるというものだった。耐えがたい苦しみをうけてもなお、自分に存在価値を与え続けてくれた総督の為に魂の呼応を止めようとはしなかった。昇朗が葛藤に苦悩している間、総督も戦い続けていた。彼が追いかけているのは「漆黒の咆哮(ブラック・ロアー)」。巨大悪徳組織にして、「冥界の麻薬」という毒物を売買することで暴利を貪っている。総督は、この許されざる組織に最愛の息子を奪われていた。その復讐の念はすさまじく、過激派組織「漆黒の咆哮撲滅委員会(ホワイト・シャットアウト)」を立ち上げ、テロ組織を行っていた。しかし、彼は知らない。漆黒の咆哮の幹部が、自分の上司にして恩師である大瓜長政であることを。彼らの運命は着実に、ある一つの結末に向けて動き出そうとしていた・・折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-11-15 21:52:09
200文字
会話率:34%