エメラルドの海に二つの太陽が輝く精霊の国、エルティア。人間である私は、記憶を曖昧なままこの地にいた。きらめく太陽の光に目を細めた瞬間、銀色の髪を持つ精霊族の青年シオンが現れる。彼の優しい眼差しに胸が震える中、足元には淡く光る可愛らしい幽霊が
現れ、そっと寄り添った。
再び空の太陽がきらめくと、ダイヤモンドのような「希望の光の涙」が降り注ぎ、乾いた大地に命を吹き込んだ。この現象は、私の中に眠っていた「視える者」としての能力を目覚めさせる。それは、闇に侵食されたエルティアの荒廃した未来を映し出すものだった。精霊族の長であるシオンは、この能力こそがエルティアを蝕む「太陽を冒涜せし者」を倒し、世界を救う唯一の希望だと悟る。
私たちは、幽霊を案内役に旅に出る。灼熱の砂漠を進み、水も生命も枯れ果てた最果ての町に到着した。疲弊しきった人々、ひび割れた水筒を差し出す幼い少女。その姿に心を痛めながら、私たちはわずかな食料と水を分け与え、シオンは精霊族の知識で彼らを癒そうとした。子供たちは、姿は見えない幽霊の温かい光に安らぎを見つける。
枯れた井戸を前に絶望する町の長老を見た時、私の脳裏に「視える者」が映し出す、緑に覆われた町の未来が鮮明に浮かんだ。シオンと目を合わせ、静かに頷く。再び空を見上げ、目を閉じると、「希望の光の涙」がこれまでよりも強く降り注ぎ、乾いた大地は瞬く間に息を吹き返し、枯れた井戸からは清らかな水が湧き出した。町の人々の歓声が上がり、その表情には紛れもない**「終わらないMiracle」の始まり**が刻まれていた。
この奇跡は、闇に対する私たちの勝利の狼煙だった。シオンとの間に深い絆を感じる一方で、奇跡が起こるたびに故郷の記憶は鮮明になり、エルティアでのシオンとの記憶が薄れていくことに気づく。エルティアを救う「終わらないMiracle」は、私自身の記憶と引き換えに起こる、切ない代償なのだと、漠然と感じ始める。
それでも、シオンの憂いを帯びた瞳と、隣で跳ねる幽霊、そして再生した大地に輝く希望の光を見るたびに、私はこの旅を続けることを誓った。やがて私たちはエルティアの闇の根源へとたどり着くだろう。その記憶がたとえ薄れても、心に刻まれた輝きは永遠に私を照らし続けると信じながら。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-16 15:17:57
4047文字
会話率:12%
雨妹(ユイメイ)には秘密が二つある。
一つは前世の記憶があること。もう一つは崔(サイ)の国の皇帝のご落胤――かもしれないということ。
大往生した前世で華流ドラマオタクだった雨妹は、生後宮を見たいという欲望だけで後宮の宮女募集話に頷く。
※第4回カクヨムWEB小説コンテスト、キャラクター文芸部門特別賞受賞、カドカワBOOKSにて書籍化されています。大量加筆の新エピソードてんこもりなので、気になる方はチェックしていただけると嬉しいです!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 17:00:00
1053754文字
会話率:27%
祠の生贄として祠に閉じ込められて死を待つだけだった春代は、死にたくないと願う。そして、その声に応えるように返事が来た。目を開けると祠は崩壊し、春代は紅蓮に抱き抱えられていた。嫁になれば一族の命を助け、異能を貸すという。その条件に春代は頷くし
かなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 09:50:03
34247文字
会話率:38%
南国ルリハナ島へ向かう船が停泊する港は、朝の光に包まれていた。
セナは大きな鞄を抱え、早くも潮の香りに胸を膨らませていた。
同級生たちの笑い声、はしゃぐ声。幼なじみのリオは、荷物を軽々と肩に担ぎ、セナのほうを振り返って爽やかに笑う。
「や
っとこの日が来たな、セナ!」
セナは頷くものの、心の奥では別の高鳴りがあった。
(この旅で……伝えたい。でも……言葉にできない)
幼い頃に受けた、家の古いしきたりでかけられた「心の言葉を縛る呪い」。
恋心を口にすれば声が出なくなるという、それだけのささやかな魔法。
それが、今となっては重くのしかかっていた。
船が出航し、水平線が広がると、セナの不安はしばし潮風に流されていった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 17:37:05
5094文字
会話率:22%
毎晩、私は夢を見る。
そこでは、夢のような光景が広がっていた。(まあ、夢なんだけど)
鳥はもう澄んだ声で歌うし、大きな湖は信じられないほど美しい。
自然保護団体が見たら泣いて喜ぶような場所だ。
その夢の世界で、私は“狭間の賢者”と名乗る
中二びょ……ゲフンゲフン!不思議な青年に出会う。そして、なんだかんだ仲良くなって、彼の国に招待された。
彼は色々なものや景色を見せてくれた。
そして、自分の国に住まないかと提案もしてくれた。
けれど、私は目が覚めるとその夢の国から消える。
そして、眠ると現れるのだ。
そんな不安定な存在が居住権を得ていいとは思えなかった。
だから、断った。
彼は笑って、「そうか」と頷くだけだった。
その日からだ。
私は現実の世界で度々、頭痛と眠気に襲われるようになった。
大学生最後の一年間という事実に目を背けようとしている体の意思なのかと思っていたが、実は違った。
あの夢が原因だった。
いや、正確にはあの夢にいる“狭間の賢者”が犯人だった。
彼はいつの間にか、気の置けない相手である私を執愛していた。
「美味しいか?もっとやろう」
「ここは綺麗だろう。ずっと見ていたいと思わないか?」
「…………帰るのか?」
夢の世界の住人に苛まれるようになった私は、現実世界で夢を見ないよう、抵抗に抵抗を重ねた。
どうせ夢だ。しばらく堪えれば終わる。
あれをただの夢だと思っていた私はただそう思っていた。
…………あの夢が、別の世界の現実であることに気づきもせず。
これは、夢だとはっちゃけて厄介な人物に気に入られてしまった平凡な彼女の物語。
あなたの見ている夢も、もしかすると別世界の現実かもしれません。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-28 19:43:57
29052文字
会話率:39%
いつもひとりでいる矢崎は、ある日、人気者の瀬尾から告白される。
瀬尾とほとんど話したことがないので断ろうとすると、「友だちからでいいから」と言われ、友だちからなら、と頷く。
矢崎は徐々に瀬尾に惹かれていくけれど――。
〔攻め〕瀬尾(せお)
〔受け〕矢崎(やざき)
外部サイトでも同作品を投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-14 02:28:38
9677文字
会話率:65%
熱しやすく冷めやすいと有名な倉津先輩を密かに好きな悠莉。
ある日、その倉津先輩に告白されて、一時の夢でもいいと悠莉は頷く。
外部サイトでも同作品を投稿しています。
最終更新:2025-05-21 04:13:09
4097文字
会話率:39%
「新郎、マイケル・トーミウォーカー。
あなたはここにいるリリー・カサブランカを、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「はい、誓います」
神父の言葉に新郎マイケルは頷くが、新婦の返
答は……?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-26 17:43:48
2672文字
会話率:32%
「だってさ、忘れちゃったんだからしょうがないよ」
恋人の透からそう言われ、約束を何度も破られたユイ。「次はちゃんと覚えてるから」と言うその言葉に、ユイは「うん」と頷くが、ユイの心の中はだんだんと冷えていった。
二度目はあっても、三度目に
なると、もう、約束するのが辛くなった。
ユイの心を少しずつ、温めてくれたのは、いつもコーヒーをくれる人だった。
*久しぶりの現代恋愛の話です。全八話、二万字ないくらいの短めのお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-24 19:28:04
89892文字
会話率:56%
「あれ? 私どうなったのかしら?」
私は、メイドとして働いていた伯爵家で倒れていた。
正確に言えば、ここの家のお嬢様に足をかけられて、転んだのだ。
私はリビドー・ダンロ男爵の庶子アガサ。
母が亡くなり引き取られたが、男爵夫人マーブ
ル様は優しい人だった。
「女はいつの時代でも生き辛いわね。私も父の言うままにここに嫁ぎ、夫になった男には何も言えないのよ」
なんて疲れた顔をして、明け透けな話もしてくれていた。気心が知れる程好きになり、私は本当の母のように家事や身の回りのことを手伝い尽くした。一人でも味方がいるのは、とても嬉しいことだった。
逆に血の繋がった筈の、リビドー様の顔を見たのは数える程度だ。
リビドー様はマーブル様のことはほったらかしで、多くの愛人を囲っている。本邸であるここに、戻ることは殆どない。
領地経営はマーブル様が行い、本人は社交と言って遊んでいるだけ。親に決められた結婚を嫌がり、マーブル様には指一本も触れていないそうだ。当然子供もいない。
かと言って平民庶子の私が、後を継ぐことはないと思う。
きっと政略結婚と言う駒に使うつもりだろう。
そうでなければ、今まで歯牙にもかけず祖母と暮らしていた私を、15歳になってから引き離すことはない。
そのことをマーブル様も気づいているのだ。
何か月か過ぎた頃、マーブル様がこう告げてきた。
「貴女は外で働いて、お金を貯めなさい。いつでも此処から逃げられるように。大丈夫よ、リビドー様には学校に行ってるとでも言っておくから」
私は瞬いてマーブル様を見た。
頷くマーブル様は言う。
「貴女は逃げなさい。何の誓約もないのだから」
その話をした後、伯爵家への仕事の紹介状を渡してくれたのだ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-13 17:21:57
29492文字
会話率:23%
『建国以来きっての優秀な王太子』
そう呼ばれ将来を期待された王子が恋をしたのは婚約者ではなく身分の低い娘。愛されなかった皇妃はアレより先にと子を望みましたが産まれたのは女の子。
愛されたいともがく第一皇女は、母親が亡くなれば許嫁と定められた
家に行くよう命じられた。愛される第二皇女と比べられ「ハズレ姫」とあだ名がついている皇女は頷くしかなかった。
これは誰にも望まれなかった第一皇女ソフィアの物語。
*胸糞かなりあります。
ヒロイン自傷、差別表現など前半!結構辛いの続きますので注意お願いします。ちゃんと後半!巻き返します!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-04 07:20:21
75180文字
会話率:31%
魔王一家の住む魔王領を隣の領に持つ村。
そのには魔王の幼馴染が異世界の知識をよういて悠々自適に暮らしていた。
魔法を惜しげもなく使う。
いつの間にか、幼馴染が魔王の息子という肩書きを持つこちらにいつも結婚したいと強請る魔王子息ルイス。
何度
言われても、絶対的な前提が取らねば頷くことはないといい加減、わかってほしい。
まったりのんびり、魔法を使って暮らすシスティーナにとっては結婚はゴールではないのだ。
今日も強制的に魔王城へ連れて行かれては父親の魔王にたしなめられる光景を見る。
平和だなぁと思う日々に、システィーナはルイスの真の愛を感じ取りつつも幸せが続きますようにと願う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-26 05:50:00
4227文字
会話率:33%
公爵家の跡取り娘として育てられていたベアトリーチェ。
王家主催のパーティーでベアトリーチェを一目見気に入った王太子から顔が好みだからと無理やり婚約者に指名される。
何度断っても断り切れず、むしろ酷く執着されるようになってしまいベアトリーチェ
は頷くしかなかった。
女神に愛された国も、この王太子では先が怖いので、侍女のニナと協力して今後を考えていく話。
この世界が乙女ゲームの『愛は執着のみ』だと気付いた時が、本当の意味での始まりだった。
《ガールズラブ要素にチェックを入れてますが、明確な表現などはないです。》折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-23 20:20:31
47953文字
会話率:51%
主人公アンジェに義兄ドナータスが毎日のように壁ドンで迫って来る。
アンジュは密かにドナータスに思いを寄せているけれど、彼の口からは叶えてあげられない要求が。
けれど、彼の本当の気持ちを知ってしまい、ついに、彼の壁ドンに頷くことに。
ほのぼ
の、すれ違いの恋愛です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-10 07:32:49
3904文字
会話率:34%
シリルは名誉も称号も全て剥ぎ取られて領地から追い払われた。
彼の財産は今や亡き妻の忘れ形見の五つになったばかりの息子、ディオンだけ。
「ちちうえ!首都でちちうえは剣のせんせいになるのですね!」
「そうだ。貧乏暮らしになるやもしれんがな」
そ
んな首都への二人旅、シリル達は賊に襲われる。
けれどそんな窮地を助けたのは、天使のような美少女だった。
「一緒に俺と首都に行きやせんかい?」
シリルはフォルミーカの申し出に頷くしかなかった。
追手が掛かっている自分なのだから、断るべきであるのに。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-31 21:28:39
77675文字
会話率:33%
コーレンシュトッフ王国の王女、オリクト・コーレンシュトッフには婚約者の伯爵令息がいる。
自国の婚約者とは政略結婚であるのも解っている。しかしオリクトはこの結婚を喜んでいた。婚約者のドルドンがドストライクにタイプだったからだ。
政略結婚
でありながらも愛に充ちた生活を夢見るオリクト。そんな彼女に人生の転機が訪れる。
「見つけたぞ。オリクト、お前こそ俺の妻。竜の花嫁だ」
超大国の皇太子から突然の求婚。ドルドンとは天と地の差もある大物だ。普通の令嬢ならば目の色を変え、ドルドンを蹴落とし頷くだろう。伯爵令息と大国の皇太子なら比べる間でもない。
しかしオリクトは転生者。彼女の価値観は他の令嬢とは一味違う。
「え? 俺様系スパダリとか無理。…………じゃなかった。申し訳ございません。私には婚約者がおります」
ハイスペ男子?運命?そんなの知るか。
何よりも真実の愛を貫く。それが彼女の第二の人生なのだ。
(褐色銀髪低姿勢イケメンサイコー! 俺様キャラなんぞアウトオブ眼中だもんね)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-21 19:03:35
168100文字
会話率:47%
頷くしか能のない首など、どこかに捨て置いてしまえ。
キーワード:
最終更新:2025-03-01 01:25:22
1556文字
会話率:0%
相良三咲は不思議な夢を見た。
夢の中で、気持ちの悪い虫を殺してしまった彼女は、なぜか次の瞬間空から落ちていて・・・!
しかも、実は虫は神様で、自分は神様に成り代わってしまった・・・?
出会ったフェンリルの長に、世界を旅することを勧められて、
三咲は頷く。
これからの三咲の活躍に乞うご期待。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-15 19:56:53
10789文字
会話率:17%
王女がふたりいるフリーゼグリーン王国へ、十年ほど前に友好国となったコベット国から見合いの申し入れがあった。
周囲は皆、美しく愛らしい妹姫リリアーヌへのものだと思ったが、しかしそれは賢しらにも女性だてらに議会へ提案を申し入れるような姉姫ジュデ
ィスへのものであった。
「何故、私なのでしょうか。リリアーヌなら貴方の求婚に喜んで頷くでしょう」
誰よりもジュディスが一番、この求婚を訝しんでいた。
※「伝える前に振られてしまった私の恋」に出てくるエルドレット殿下のお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-11 22:21:43
50436文字
会話率:34%
――この国のすべてのチョコレートは、君のものだ。
「今年はチョコレートが欲しいから、作ってくれない?」
もうすぐ訪れる、甘いチョコレートを意中の人に贈り合う「愛の日」。
我儘で浪費家な第三王子ラッセルは辛党で、毎年「チョコレート
はいらない」と婚約者の侯爵令嬢・ルイーズに言っていた。
だから突然言い出したのは、また、ただのわがままな思い付きに違いなかった。
――とある小さな王国には、三人の王子がいた。
類まれなる美貌とカリスマ、そして知性を備えた第一王子、武勇と軍略に優れ、他国を退けてきた第二王子。
そして王様、お妃様の美点を兄たちに絞り取られて、残りカスだと言われている、思い付きで動く第三王子と、その頷くだけの婚約者。
これはそんな第三王子と婚約者の間の、苦いチョコレートと、突拍子もない甘い夢の話。
「……それで、愛の日を永遠に、僕たちの日にしてしまうんだよ」
※この作品はカクヨムにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-07 12:13:04
6135文字
会話率:45%
あなたに命令される度に感情が消えていく。
頷く事しかできない私。
幼馴染に婚約破棄をされた私は……
※短編「婚約者に否定され続けて〜」を全面改稿した短編です。
最終更新:2024-12-15 22:54:53
10870文字
会話率:33%