23世紀。第四次世界大戦により地上のほとんどが放射能等で汚染され、生き残されたのは頑丈なシェルターに避難した約1億人。月に本部を置く国際連邦が「レフュージ」という居住施設設置し、彼らを収容した。
2289年6月30日。「レフュージ」の一
つ、ネオ・トウキョウの統治府に勤務するSEであるミヤマ・ヒカリは、いつも通りに支度してオフィスに出勤した。いつもと違うのは、2年前に火星に移住した10歳の息子が受けた授業の記録をDLして読んだこと。そして数少なくなった出会う人と「よい残りの一日を」と挨拶すること。
その日の終わりに、彼女はいつも通りに夕食をすませ、いつもより多い睡眠剤を服用して眠りについた...折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-09 20:10:00
64529文字
会話率:19%
……意識が戻ったわたしは、ロボット二体に抱えられてトラックの荷台に放り投げられた。2289年7月初め、一斉安楽死の死体処理が始まっていた。わたしは、咄嗟にトラックから飛び降りると、ロボットに見つからないように部屋へと戻った。
6月30日
の「最終日」。わたしは、残っていた何人かの知り合いと、別れの挨拶を交わした。家族は、選ばれて火星に移住した一人息子のオガワ・マモル以外は、すでに安楽死処置でこの世を去っていた。火星の息子に最後のメッセージを送ったその夜、わたし、ミヤマ・ヒカリはこの部屋で「享年28」の最期のときを迎えるはずだった。
生まれ育ったここネオ・トウキョウで、一斉安楽死処置の失敗例は、確率的におそらくわたし一人のはず。月に本部を置く国際連邦のマザーAIに知られたら、再び処置を施されるに違いない。どうしよう…
かつて老占い師に言われた、「会いたいと思う者のところへ向かうとよい」という言葉を思い出した。会いに行ける可能性のある唯一の人物は、自分が生まれる前に大陸で行方不明になった、祖父のミヤマ・マモル。彼の写真と、その裏に書かれた「30115」の数字を手掛かりに、わたしは大陸へ向かうことにした。
マリンビークルという小型船で、AIによる追跡が来ないうちにネオ・トウキョウを後にする。航海のお伴をするビークルを、わたしは「アルト」と呼ぶことにした。「30115」をもとに指定した「北緯30度、東経115度」の地点は「到達不能」。代わりに、最寄りのレフュージを目指して東シナ海を航行し、長江河口のネオ・シャンハイへ到着した。
第四次世界大戦後、寄るべき国を失い、核兵器、生物化学兵器で汚染された地上に残された約1億の民。彼らを収容すべく、国際連邦が建設した大型シェルターであるレフュージは、ネオ・トウキョウ、ネオ・シャンハイを含めて地球の30ヵ所に設置されていた。
レフュージの外には、国際連邦管轄外のAOR(Aliens Outside the Refuge)と呼ばれる居住民たちがいる。その大きなコミュニティーが、ネオ・シャンハイの対岸に存在することをアルトから聞かされ、わたしは長江を渡り、上海へ向かった……
※事情があって削除した長編を、少し再構成して、再び連載の形で公開します。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-18 20:10:00
87681文字
会話率:23%
2105年。その日、世界中に衝撃が走った。
15年後、銀河の中心から地球に向かって、隕石群が飛来する。しかも、その数は1000を超えると。
この揺るぎない事実を突きつけられた人類の対応は速かった。すぐさま地球政府が結成され、打開策が検
討された。3日間にわたる協議の末、地球政府が下した決断は、【ワームホールを製作し、星ごと移動する】という物だった。
計画の全容はこうだ。
8年前に、完成したばかりのワームホールを地球ごと覆えるサイズまで巨大化し、【くじら座タウ星】のそばに超遠距離移動。
隕石群が太陽系を通り抜けるまでの半年間は、そこに滞在し、隕石群が通り抜けた後、再度ワームホールを使って、地球圏に帰ってくる。
馬鹿げた希望だった。だが、人類に選択肢は無かった。第四次世界大戦間近と言われていた人類は、手を取り合い巨大ワームホールの制作に取り掛かった。
この15年間は、ある意味平和な毎日だった。
【壱弦ラグド《いちげんらぐど》】は、その束の間の平和を生きてきた。
少し刺激が欲しい。友人にはそう言ったが、本当の動機は【人々の記憶に残るものを作る仕事がしたい】だった。ハイスクールを出たラグドは、ワームホールを宇宙空間に設置する仕事に志願した。
「ラグド。このパーツを取り付ければ、ワームホールが完成だ」
「シモン。いよいよだね」
人類は予定通り、超巨大なワームホールを作り上げ、無事に【くじら座タウ星】のそばに転移することに成功した。
見慣れない空には、双星の惑星が輝いていた。
「無事ワームホールを抜けたようです! 成功です!」
「「おーーーー!!」」
地球政府の司令室は歓声に包まれた。あとは隕石群が通り抜けるまでの半年間、この場所で過ごせば良いだけ。計画は順調に思えた……。
が、不測の事態が起こる。転移したばかりの地球が双星からの攻撃にさらされたのだ。
広がる戦火。双星の惑星が輝く地で、ラグドは命をかけた戦いに巻き込まれていく。
「戦え! ラグド! 私と自分の為に!」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-26 22:09:10
9999文字
会話率:61%
第四次世界大戦が勃発し、N列島も北から『極東共和国』の侵攻を受け、北K道が戦場となる。
この時代の陸戦主力兵器は『ファランクス』と呼ばれる、二足歩行の装甲兵器だった。そのファランクス部隊の若き小隊長の足立や、その恋人で、足立の帰りを内
地で待つヒロコら、戦争に巻き込まれた人々の群像劇。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-06 15:49:45
3884文字
会話率:45%
第四次世界大戦が勃発した。高校三年生の僕は、徴兵されてしまい、今、戦場の最前線にいる。
この時代の陸戦主力兵器は『ファランクス』と呼ばれる二足歩行の機甲兵器だ。全長は約3メール、長大な槍と強固な盾を装備していて、火器は、左肩に重機関銃
、右腰部に対人用の機関銃が付いている。
そのファランクスに搭乗して戦闘を経験した僕だが、敵の攻撃を受けて重傷を負ってしまう。結果、心臓、左肺、左腕が機械になってしまった。
機械の半身に防衛改造された僕は、ファランクスの『専用機』を用意され、さらなる過酷な激戦のなかに送り出される。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-17 19:16:55
10094文字
会話率:35%
時は西暦2600年代。ドローンと核兵器による世界を巻き込んだ第四次世界大戦の結果ディストピアと化した地球。そんな世界の中で生き残る二人の兄妹、ジンとミレイ。各地を転々としながら世界の謎を解き明かしていくような物語です。※テンプレ多数,パロデ
ィ多め,男のロマン満載折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-18 11:42:35
16336文字
会話率:37%
2200年――世界各国で人間の超能力開発が進められ、軍事、経済、あらゆる分野において超能力者の活躍が求められるようになり数十年が経った頃。
再び戦争の火種が燻り始めたこの時代に、一人の少女が陸軍超能力部隊に入隊した。
彼女の本当の目的は何か
?
これは第四次世界大戦に参加した軍人たちの、歪で真っ直ぐな恋の話だ。
※大昔(2018年)に他サイトで長期連載していたものの再掲です。
「カクヨム」、「魔法のiらんど」などにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-06 10:03:46
661517文字
会話率:43%
西暦2097年。第四次世界大戦後の東京──
国家は崩壊し、資本主義が肥大化した社会。東京は混沌とした多層構造を成し、経済的ヒエラルキーを形づくっていた。
旧市街に事務所をかまえる私立探偵〈本多ミチロウ〉は、今日も依頼を待っている。
最終更新:2023-07-22 08:24:07
2582文字
会話率:41%
25XX年、世界は第二次世界大戦から、既に二度の世界大戦を経ていた。
その第四次世界大戦も今から三十年ほど前、今の世界は復興の道へと進み始めていた。
しかし、宗教を発端とした第四次世界大戦は、終結から月日を経ても、人々の心に信仰への猜
疑心を植え付け、差別、弾圧といった行為を拭い去ることは出来ないでいた。
弾圧される人々を解放するレルアバドと呼ばれる集団。
赤土の灼熱の大地で、彼女達は解放を求めて戦う。
終焉に待つものは解放か、それとも・・・
※光波昂冶が送るSF作品。原案に似櫂羽鳥を迎え、世界設定にガチの光波が暴走する。
今作は、ロボットSF物ですが、設定の各所にファンタジー要素(科学的実証の取れない現象や技術)が織り込まれております。
また残虐な表現、一般的な倫理観(りんりかん)と乖離(かいり)した表現が多数含まれますので、ご留意ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-08 20:48:39
65905文字
会話率:48%
第三次世界大戦に於いて、日本国航空自衛隊が装備するF-15Jは多数が空に散った。
開戦当時、日本国航空自衛隊が装備するF-15Jは二〇〇機(※F-15DJを含む)を数えたが、終戦時には百五十二機まで減っていた。
純軍事的表現で言えば、
「潰滅」と言っても差し支えないと言えるだろう。
ところで奇妙なことに、戦中から戦後になって、墜落したF-15Jの残骸の数をOSINTによって数え上げていくと、被撃墜機の数は七十四機にまで膨れ上がる。
その中の幾つかは重複していると仮定しても、公称喪失数四十八機に対して、二十六もの差があるのは、端的に言って異常である。
戦中、日本国はアメリカ合衆国から、F-15に関する各種弾薬・消耗品の供与は受けているものの、完成品そのものの供与は受けていないことになっていたし、モハーヴェ砂漠でモスボールされていたものや、アメリカ合衆国を始めとするF-15ユーザーが装備している機体にも増減は見られなかったことから、「日本国は密かに員数外のF-15Jを多数、製造していたのではないか」という疑惑が持ち上がった。
無論、日本国、そしてその後裔であるムリーヤ国は、頑としてその疑惑を認めなかったし、その後、第四次世界大戦によりアメリカ合衆国が割れたことで、話は有耶無耶のままに闇へ葬り去られ、今日にまで至っている。
では実際問題、「員数外のF-15Jは実在していたのか?」と言えば、「実在していた」と言うのが正解になる。
尤も、それをF-15Jと定義するか、F-15Jの形式番号を冠する全くの別物であったと定義するかは、また別の話ではあったが。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-05 17:00:00
50041文字
会話率:34%
第四次世界大戦後の人類の99.999999%は自らの肉体から『部位』と呼ばれる武器もしくは道具を切り離し自由自在に扱う能力を持っている。
そんな世界で部位を切り離す力を持たない女は田舎町で古書店を営みつつ、死者が残した部位を二度と使用で
きない状態になるまで錆び付かせて弔うという副業を行っている。
※第16回書き出し祭りの参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-02 00:45:09
12990文字
会話率:41%
第四次世界大戦後、莫大な賠償金にあえぐ日本政府は公娼制度を復活させ、合法的にセックスワーカーを海外へ輸出していた。そこで日本人男性セックスワーカーと中国人女性の間に生まれた少年・ケンの青春と成長の物語。
最終更新:2022-05-29 04:00:00
1623文字
会話率:0%
第四次世界大戦が開戦したとき武器は「人間」自身だった。
最終更新:2022-03-17 20:00:00
8162文字
会話率:50%
第四次世界大戦によって大きく様変わりをした世界。それを舞台にしたガンシューティングMMORPG『Cross lords 〜after The world of war〜』。
深刻な環境汚染や人口減少、労働力の低下、etc。
それらの
問題を解決する為に作られた自律学習型のメンタルを搭載したアンドロイド、通称《|MA《エムエー》》。それがプレイヤーである。
元々は戦場での兵士の代わりとして作られたアンドロイド。
その設定通りにガンシューティングらしく国や軍隊に所属して戦闘を行うことや、フリーランスとして企業や民間の依頼を受けること。
はたまた、個人オリジナルの設定で戦場に残された壊れた兵器を演じてみたり、商売や人間の暮らしを模倣することも出来る。
それらを可能にしているのは各国に配備された楽園の名を持つ量子コンピュータである。
最新のAIテクノロジーを駆使し現実世界の情勢を反映し刻々と姿を変える仮想空間は国を越え多くの人々を惹きつけ世界的な一大ムーブメントを巻き起こした。
そして、開始から一年後の2050年、日本。
|C《Cross》|L《Lords》第三回目のワールドグランプリ。その戦いの火蓋が切って落とされるのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-18 00:00:00
480文字
会話率:0%
第四次世界大戦によって廃墟とかした世界を舞台にしたガンシューティングMMORPG『Cross lords 〜after The world of war〜』。
初めてその世界に降り立った少女は出会った仲間達の元、新しい歩みを始めようと決意
する。
しかし、システムが不具合を起こした後、彼らは全く異なる世界へと放り出されてしまう。
近未来兵装での異世界ファンタジー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-24 07:29:10
49093文字
会話率:22%
時に西暦2145年
第四次世界大戦から100年後、火星新出雲庄で機動兵器を一人の少女が発掘する。少女の名は貫木真琴、彼女が発掘し修復した機動兵器「リベリオン」をめぐり物語は動き出すのであった。
最終更新:2021-05-13 13:54:12
388文字
会話率:0%
核兵器が使用され、退化しきった地球は愚かしいことに、ついに第四次世界大戦をスタートさせた。
戦地で嬉々として戦うスロウスは、ある日、援軍として派遣されてきた男性士官のサーシャと出会う。
最終更新:2020-03-15 20:51:51
7991文字
会話率:42%
第三次世界大戦により文明の大半が滅んでから数千年。第三次世界大戦以前のほとんどの記憶が失われた人類は、再び同じ歴史を繰り返そうとしていた。
しかし第四次世界大戦は、第二次世界大戦と似た様相を見せながらも、少しずつ違う方向へと進みつつあっ
た…
ベースは第二次世界大戦の史実パクってますが、ご都合エンジンやらとんでも兵器が登場してあんなやことやこんなことするif戦記です
主人公は“日本”です。ハイ。
結構私個人の見解が多く含まれるので、あまり深く考えないで読んでもらえるとありがたいです
以前途中まで書いて放棄したやつを構成し直した(って言ってもかなり変えたけど)やつです折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-14 16:00:19
66083文字
会話率:45%
ある有名な物理学者はこういった。
「第三次世界大戦がどのように行われるかは私にはわからない。だが、第四次世界大戦が起こるとすれば、その時に人類が用いる武器は石とこん棒だろう」
※一度、所属した高校の文芸部にも掲載した作品です。
最終更新:2019-10-29 00:33:13
1966文字
会話率:13%
第四次世界大戦。
未来の未来での最終決戦。
最後の2国で死力を尽くして戦う、その先陣に主人公はいた。
敵陣に先手を打つために衛星から降下艇での強襲作戦中に、なぞの銀球が降下予定地点に出現。
よけ切れずに銀球に飛び込んでしまう。
衝撃で意識を
失い目を覚ました先は異様な世界だった。
某タイタンがフォールするゲームやら
某絢爛に舞踏するゲームやら。
米軍っぽかったりサイバーパンクぽかったりと、
私の好きないろんな設定まざった妄想爆発チラ裏小説になるとおもいます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-09-13 23:56:46
2378文字
会話率:21%
帝都__そこは見栄と権力の街。
舞台は、第四次世界大戦で文明社会が滅んだ後の世界。
再び人類の発展を目指して皇帝が統治する世で、圧政に苦しむ民たちが静かに怒りを募らせていた。各地では革命家たちによる反乱が頻発している。
現代に残るのは、世
界大戦時に開発された最強の兵器『失われた叡智(オーパーツ)』。それを使えるのは、古来よりその血筋を守る『あり得ない遺物(オーパーツ)』の人間だけである。最強の兵器は彼ら込みで、オーパーツと呼ばれる前時代の遺産だった。
だけどごく稀に、その血筋でなくとも使える人間が現れる。その名を『突然変異(ミュータント)』。
始まりは、次々に人を食らうジェヴォーダンの獣が帝都付近で目撃されるところからだった。
その事件でミュータントとしてオーパーツの適正反応が出た十七歳の大志は、片田舎の交番に立つお巡りさんから、突然世界最高の部隊であるグリーン・バッジに入隊することとなった。
就任初日に上司から言い渡された「重要な任務」__それは、近々開催される帝国軍武術大会で優勝してくること。
気勢を削がれた大志であったが、その矢先にとんでもない事態が発覚する。
失われた叡智(オーパーツ)が起動できないのだ。彼と無理やりチームを組まされた柴尾銀臣は、役立たずの入隊に苛立ちを隠そうともしない。彼は、なにかに怯えるように大志に冷たい態度を取る。
そうしているうちに、帝都には反乱軍によって生物兵器が拡散された。華の都は一瞬にして地獄へと様変わりする。
偶然か必然か、運命の中で集まるのは、街を彩るように鮮烈な人間ばかりだ。
なにかを恐れる冷たい態度の同僚。不審な行動をする上司。それを怪しむ彼の同期。嫌味な財閥の御曹司。紳士的なヤクザ。愛を信じられないヒモ男。体と心の性が一致しない幼馴染。家族さえ守れればそれでいい元警察官。
そして__まるで天使のように微笑む革命の指導者。
繰り返される争いの歴史の中で、彼らは自分の悪を貫き通す。
『家族』とは、なんだろう。
思い出のある者か。一緒にいる者か。それとも__血の繋がった者か。
誰も正解は、わからずにいる。
この作品はカクヨム様にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-08-20 20:33:00
143033文字
会話率:44%
第四次世界大戦により、文明は衰退した。新たな生態系が急速に形成され、生き残った人々は身を守る為に再び文明を発展させる。しかし現在では、帝国を築き上げた皇帝の圧政により民衆は静かに怒りを膨らませていた。
帝国軍に入隊した宮本大志は、幼馴染で同
期入隊のハルカと、新入隊員ばかりで構成されたチームで初任務に向かう。そのチームには『戦闘支援工作員』と呼ばれる者たちもいた。彼らは普通の人間より遥かに優れた五感と身体能力を有し、皇帝陛下に力を捧げてきた。しかしそれは、決して誉れ高い意味ではない。彼らは第四次世界大戦時代に、今はもう失われた人体実験技術の末に生まれた強化人間であり、世界を滅ぼした戦犯の子孫たちだった。その罪を償う為に彼らは生きなければならない。その一人である青年、柴尾銀臣と出会う。新人にはよく割り振られる安全な任務であったはずが、突如現れたS級危険生物によりチームは全滅し、ハルカも命を落とした。それを銀臣の所為だと、八つ当たりだと自覚しながらも大志は叫ぶ。
その数日後、大志にバディが付くと上官に紹介された男は、件の柴尾銀臣だった。
当たって怒鳴ったことへの気まずさを感じる大志とは裏腹に、銀臣は平然としている。二人に次に与えられた任務は、失踪事件が頻発している村への初動調査。村に向かう車の中、気さくに話しかけてくる銀臣に安心するのと同時に謝るタイミングをどんどん失っていく大志はやきもきする。そうしているうちに車がパンクし、通りすがった新渡戸ミカと名乗る少女と出会う。
事件を解決し本部へ向かう帰路、捜査中の頼りになり思慮深い銀臣の言動に、大志は素直に尊敬の意を伝える。
が、銀臣は急に不機嫌になった。自分のなにが彼を怒らせたのかわからない大志は、彼のはっきりしない態度に業を煮やし詰め寄った。
銀臣は「嫌でも命を張って戦わなきゃいけない気持ちがお前にわかるか」と睨みつける。「ぬくぬく大切に育てられたお前になんてわかるわけないよな」とも。それは今度は大志の逆鱗に触れた。どちらともなく殴り合い、力尽きる。そうして笑い合った相棒生活の始まり。
一方地方では、国への不満を募らせる国民を扇動する指導者が現れる。白い髪の、まるで天使と見間違える男。彼は群衆に言葉を投げかける。
「世界を変えようなんて、頭がおかしいだろう?」
そう、どこまでも優しい声音で。穏やかに。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-06-17 05:30:37
135128文字
会話率:46%
■物語概要
第四次世界大戦の影響で滅亡しかけた人類が戦争による武力行使をやめ、スポーツ競技の結果をもって物事を取り決める「世界競技平和協定」を結んだ世界。
様々な国が融合された連合大国オリンピアでは地区ごとに独自の自治権が持たされおり、そ
れぞれの国の特色が反映された個性的な文化が根付いていた。
ここでは「RAISE FLAG選手権」という「速さ・強さ・高さ」が試される総合競技大会が年に一度開催されており、それぞれの地区ごとに選抜された4名のメンバーが1つのチームとして代表する形で出場することになるが、
この大会の競技結果によりその年その地区に分配される交付金が決定される仕組みとなっているため、代表競技者はその地区の地位・名誉・金の全てをかけて全身全霊をもって競技に挑むことになる。
なお競技者は競技結果が先天的な身体能力だけに依存しないように、「E-GEAR」と呼ばれる身体能力強化装置を使用して競技を行うことが許されている。
この話はそんなスポーツ競技至上主義となった世界において、最底辺地区に住む不良が地区の代表選手になり、のし上がっていくまでの姿を描いた物語である。
■RAISE FLAGとは
年に一度開催される総合競技大会で実施されるスポーツ。
特殊な形をしたフィールドを二分する形で3本の旗が設置してあり、それを挟むようにした対角線上の位置に敵陣と味方陣のスタート位置がある。
この3本ある旗のうち2本の旗を先に敵陣にある保管ケースに設置したほうが勝ちとなるルールだが、相手の妨害にあたっては殺人以外のどんな手段も許されている。
競技者は「フラッガー」と呼ばれるそれぞれ異なるフィールドに設置された3本の旗を主に取りに行く攻撃的な役割と、
「ガーディアン」と呼ばれる敵の保管庫となる自陣で相手の侵入を妨害する防御的な役割に分かれており、
それぞれ「スピードラビリンス」「ストロングジャングル」「ハイマウンテン」という3ヶ所の旗の設置されたフィールドと、
「ガードクリフ」と呼ばれる敵の保管庫がある自陣のフィールドを中心に行動をする。
なおフィールドにはE-GEARの燃料となるカートリッジが疎らに設置されているため、競技者は燃料の配分を計算しつつ必要に応じで燃料を補充しながら競技を進めていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-28 22:13:26
27516文字
会話率:39%
架空の未来史をいろんな立場の人からの目線で書いた愛憎です。
西暦二〇一二年、第三次世界大戦が終わってまもなく始まった第四次世界大戦を見かねた宇宙人によって、地球は平定された。宇宙保護区域に指定された地球で暮らす人々の仕事は、文化を保護
しつつ生きること。
発展するようにと北半球と南半球にわけられた地球に、二十一世紀初頭、天才が現れた。
姿も歳も公にされない天才科学者ユークリッドはユーリの愛称で親しまれ、地球のアイドル的存在だった。
そんなユーリにあこがれる少年クリオネの元に、『ノースに天才がいる』と情報が入る。噂では、ユーリはサウスにいるはずなのだが、それでもクリオネは会いたい一心で双子の妹リマキナと一緒にノースに向かった。
そこで待っていたのは、ジーニィと呼ばれる天才少年だった。ジーニィはクリオネにユーリを紹介し、一緒に研究をしようと持ちかける。研究室には他にジーニィの双子の妹アンジュ、Y博士の腹心マリアがいた。マリアの仕事に巻き込まれるうちに、クリオネは知識を身につけていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-06-18 16:02:44
130356文字
会話率:53%