太陽の沈まぬ帝国とまで謳われた、かつての世界最強国も零落して久しく、落日が万民の目にはっきりとしていた時代――
啓蒙派の開明君侯を父に、自由闊達に育った公女セシーリアは、姉シャルロッテの随員として、姉の婚約者である皇帝エルディナントが滞在中
の避暑地へおもむく。
ところがそこで告げられたのは、皇帝からシャルロッテへの婚約破棄宣告。帝妃となるべく徹底的に躾けを受けた、完璧な淑女シャルロッテを若き皇帝は敬遠し、奔放に振る舞う妹のセシーリアへ惹かれたのだ。
落ちたりとはいえ王の中の王、皇帝の求婚を断れるものではない。セシーリアはにわか仕込みのお妃教育を受け、礼儀作法もままならぬまま皇宮へ放り込まれる。
そこでセシーリアを待っていたのは、黄昏の帝室の旧弊さであり、落ち目の帝国をどうにか支えようと、冷たい糸を紡ぐ女郎蜘蛛のごとき太后ゾラとの確執だった……
※落日の帝国の花嫁として、政治への関与を禁止されているヒロインの視点で、異世界の19世紀風中欧・東欧っぽい地域の国際情勢の激動を描きます。ラヴ要素もあるけど、歴史と政治の話がかなり大盛りですのでご注意ください。めんどくさい部分を、ほどよく飛ばしながら読むのがオススメ(めんどくさいパート自体を書くの自重する、という選択肢はないのがこの作者)です。
※残酷な描写はありませんが、高校生以上を推奨する内容です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-10 18:01:24
105022文字
会話率:25%
アンジェリカ・レリオーズには前世の記憶がある。それは日本のヤンキーだったということだ。
そんなアンジェリカだが、完璧な淑女である姉クリスタルのスパルタ指導の甲斐があって、今日はデビュタントを迎えていた。クリスタルから「何よりも大切な
のは相手に下に見られないことよ」と最後の教えを、アンジェリカは「舐められなければいいんだな」と受け取る。
順調に令嬢方への挨拶が進む中、強い視線を感じるアンジェリカ。視線の先を見つけると、どうやら相手はアンジェリカのことを睨んでいるようだった。「ガン飛ばされたら、睨み返すのは基本だろ」と相手を睨み返すのだが、どうやらその相手は公爵様だったらしい。
※毎日更新を予定しております。
※アルファポリス、カクヨム、エブリスタでも投稿しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-09 00:10:00
76763文字
会話率:48%
アンジェリカ・レリオーズには前世の記憶がある。それは日本のヤンキーだったということだ。そんなアンジェリカだが、完璧な淑女である姉クリスタルのスパルタ指導の甲斐があって、今日はデビュタントを迎えていた。クリスタルから「何よりも大切なのは相手
に下に見られないことよ」という最後の教えを、アンジェリカは「舐められなければいいんだな」と受け取ってしまう。順調に令嬢方への挨拶が進む中、強い視線を感じるアンジェリカ。視線の先を見つけると、どうやら相手はアンジェリカのことを睨んでいるようだった。「ガン飛ばされたら、睨み返すのは基本だろ」と相手を睨み返すのだが、どうやらその相手は公爵様だったらしい……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-06 09:30:00
18181文字
会話率:47%
「やはり素晴らしいな、聖女ミレーナは」
王太子アルナルドが心酔した様子で言った。アルナルドの婚約者であるザナルディ侯爵令嬢ガブリエラの前で。
完璧な王太子アルナルドに並び立つ為に完璧な淑女となったガブリエラだったが、最近のアルナル
ドは聖女ミレーナを褒め称えるばかり。
学園内でもあからさまに聖女への愛を示すアルナルドに、生徒達は、もしや婚約者を変えるのでは、と噂していてーー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-23 01:34:21
16856文字
会話率:37%
国を守るために悪女のフリをしていた王女クラリッサは、初恋の相手である隣国の皇子ラウレンツに嫁ぐことが決まった。
ようやく悪女のフリから開放されると思っていたクラリッサだったが、誤解したラウレンツはクラリッサを冷たく突き放す。
しかしクラリ
ッサは、その声に夢中で何も聞いていなかった。
「貴方の声になら罵られてもいいわ……!!」
幸せな新婚生活を守るため、今度は完璧な淑女を目指して頑張ります!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-20 09:07:11
193197文字
会話率:30%
ある日突然マリアベルは「真実の愛を見つけた」という婚約者のエドワードから婚約破棄されてしまう。
新しい婚約者のアネットは平民で、マリアベルにはない魅力を持っていた。
だがアネットの王太子妃教育は進まず、マリアベルは教育係を頼まれる。
「君は
誰よりも完璧な淑女だから」
そう言って微笑むエドワードに悪気はない。ただ人の気持ちに鈍感なだけだ。
教育係を断った後、マリアベルには別の縁談が持ち上がる。
だがそれを知ったエドワードがなぜか復縁を迫ってきて……。
「真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!」
【日間総合ランキング・1位】
【週間総合ランキング・1位】
【月間総合ランキング・1位】
【異世界(恋愛)四半期ランキング・1位】
【総合年間完結済ランキング・1位】
をいただきました。応援ありがとうございます。
双葉社様より書籍化とコミカライズ決定いたしました!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-22 16:23:24
195095文字
会話率:30%
公爵家の令嬢であるリーゼロッテは、どこに出ても恥ずかしくないような完璧な淑女。しかし、婚約者であるアドルフが王女と恋仲になり、全く身に覚えのない罪をでっち上げられて断罪され、悪女の烙印を押されてしまう。
失意の中、リーゼロッテの元に王家から
寄せられたのはラフォン辺境伯であるテオドールとの婚姻の命令。
テオドールは2度目の結婚で、前妻を殺した残虐な男という曰くつき。リーゼロッテは断ることもできずに、辺境の地へ。
ラフォン領に到着した日、案内された部屋にリーゼロッテが大嫌いな蛇が出てくる。部屋の入口で護衛をしていた騎士がとっさに蛇を殺して助けてくれる。
リーゼロッテ、思わず近衛騎士にしがみつき「ああ。最悪の気分だわ。あなたがいてくれてよかった」と漏らし、ちょうど部屋を訪れたテオドールに聞かれてしまう。
テオドールは、リーゼロッテが自分との結婚が嫌で『最悪の気分』と言っていて、早速近衛騎士を誑かしている噂通りの悪女だと勘違いしてしまう。結果、初夜にテオドールは現れず、ふたりは白い結婚となる。
嫌われていると知ったリーゼロッテは、いつか追い出されるかもしれない日に備え一人で生きていけるように生活の基盤を作ろうと考える。法律で離婚が認められる二年後、リーゼロッテはテオドールに離婚を提案するが、彼はそれを拒否。
さらに、偶然のアクシデントからリーゼロッテは幻獣になつかれる珍しい人だということが判明して──。
※冒頭、ヒーローがクズです。また、女性に対する暴力的表現が出てきます。苦手な方はブラウザバックをお願いします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-03 17:00:00
96519文字
会話率:41%
アリアナ・ローズ侯爵令嬢。彼女はとても愛に飢えた。
それを表に出すこともなく、第2王子の婚約者として完璧な淑女を演じ続けた。
家族からは政略結婚の道具としてしか見てもらえず心はすさみきっていった。
エドガー・リンデロン王子は優しくてアリアナ
にいつも愛を囁いてくれた。
そんなアリアナを絶望に突き落としたのもエドガーだった。
いつからなのか、あろうことかエドガーは親友のヘレン・ジーナ子爵令嬢と親密な関係を持っていた。それがバレたからなのか、アリアナはエドガー殺人未遂の容疑で捕まってしまう。
身に覚えのない罪状に必死に訴えるも、冷たく暗い牢屋に閉じ込められ処刑の日を待つしかなかった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-01 18:08:16
420121文字
会話率:21%
事故死し、妹が好んでいたweb小説の世界に転生してしまった主人公の愛。
転生先は悪役令嬢アイリーン・ライセット。妹から聞いた情報では、悪役令嬢には破滅が待っていて、それを回避するべく奔走するのがお決まりらしいのだが……。
「何よあんた
、わたくしの体に勝手に入ってきて! これはわたくしの体よ、さっさと出ていきなさい!」
「破滅? そんなの知らないわ。わたくしこそが王妃になるに相応しい者なのよ!」
「完璧な淑女になるだなんて御免被るわ。わたくしはわたくしのやりたいようにするんだから!」
転生先の元人格である本当のアイリーンが邪魔してきて、破滅回避がままならないのだった。
同じ体に共存することになった愛とアイリーンの物語。
※第十九回書き出し祭りに参加した話を連載化したものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-17 20:01:23
124000文字
会話率:29%
異母妹を虐げたことで断罪された公爵令嬢のクラウディア。
地位も婚約者も妹に奪われた挙げ句、修道院送りとなった道中で襲われ、娼館へ行き着く。
だが娼館で人生を学び、全ては妹によって仕組まれていたと気付き――。
本当の悪女は誰?
きまぐれな
神様の力で逆行したクラウディアは誓いを立てる。
娼館で学んだ手管を使い、今度は自分が完璧な悪女となって、妹にやり返すと。
けれど彼女は、悪女の本質に気付いていなかった。
悪女どころか周囲からは淑女の見本として尊敬され、唯一彼女の嘘を見破った王太子殿下からは興味を持たれることに!?
完璧な悪女を目指したはずが、完璧な淑女になってしまい溺愛される、見た目はエロいけど根が優しいお嬢様のお話。
誤字脱字のご報告助かります。漢字のひらがな表記については、わざとだったりするので報告の必要はありません。
番外編は別ページにまとめていますので、シリーズリンクからお飛びください。
あらすじ部分の第一部完結しました! 現在、第二部を連載中です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-17 07:00:00
740447文字
会話率:27%
皇太子ファスターの婚約者であるリザーフは、表情を変えることのない完璧な淑女だ。
ある日、暗殺者に襲われたリザーフは、意識を失ってしまった。
目覚めたときには、前世の記憶を取り戻していた。
この世界って、乙女ゲームの世界!?私が直前まで楽しん
でいた、イケメンとの合コンは!?
自分がリザーフに転生していたと気づいた彼女は、ヒロインに奪われる前に最推しファスターを襲ってしまおうと画策するのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-15 22:47:22
18183文字
会話率:76%
6歳の誕生日に王国きっての神童と名高い王子様から求婚されたカナリアは、自分が転生して乙女ゲームの悪役令嬢になったことを自覚した。このまま行けば未来に待つのはテンプレートな婚約破棄と国外追放!そんなの困る!
そこでカナリアは考えた。
『だったら今から頑張って、ヒロインはもちろん誰も代わりが勤められないくらいの完璧な淑女になればいいんだわ!』
そうして月日は流れて15歳。ゲーム開始の直前となり、誰もが憧れる高嶺の華にまで上り詰め『さぁヒロインさん、いつでもかかってらっしゃいな!』と迎え撃つ気満々でいたカナリアに『お前は完璧な王子の婚約者にふさわしくない!』と勝負を挑んできたのはなんと……!?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-10 10:01:51
60527文字
会話率:48%
オーレリア・ベルジュ公爵令嬢。
彼女は生まれた頃から王妃となることを決められていた。
その為血の滲むような努力をして完璧な淑女として振舞っている。
けれど婚約者であるアラン王子はそれを上辺だけの見せかけだと否定し続けた。
つまらない女、笑っ
ていればいいと思っている。俺には全部分かっている。
会う度そんなことを言われ、何を言っても不機嫌になる王子にオーレリアの心は次第に不安定になっていく。
そんなある日、突然城の庭に呼びつけられたオーレリア。
戸惑う彼女に婚約者はいつもの台詞を言う。
「そうやって笑ってればいいと思って、俺は全部分かっているんだからな」
理不尽な言葉に傷つくオーレリアの目に咲き誇る白薔薇が飛び込んでくる。
今日がその日なのかもしれない。
そう庭に置かれたテーブルの上にあるものを発見して公爵令嬢は思う。
それは閃きに近いものだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-07 12:35:35
3120文字
会話率:24%
「よし、今世の目標はオールマイティよ!」
伯爵令嬢シャーロット・ライトは、ひょんなことから前世の記憶を取り戻す事態に。
前世での達成できなかった[完璧な淑女になる]を、今世ver.に改め、[オールマイティ]を人生目標に掲げた。
目標を
達成すべく、聖女、騎士etc…という5つの顔を使い分け、今日も頑張ります!
…とかなんとか夢に向かって走ってたらいつの間にかとんでもない悪女になってないかしら!?
斜め上な思考をもつ、猪突猛進な変わり者令嬢が、たくさんの人との関わりで成長していくお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-06 20:00:00
49796文字
会話率:36%
アデリンダ・エーレンベルクは完璧な淑女と称されていた。
しかし王太子と結婚して一年、夫は浮気相手の元に入り浸り、彼女の寝室を訪れることはなかった。
そのためアデリンダは、「自分は女としての魅力にかけているのでは?」と思い悩んでいた。
アデリンダを心配した侍女が、彼女の自信を取り戻すために「王太子妃に泥をつけ高貴さを損ね、モテモテにするぞ! 芋掘り大作戦」を決行することに。
当日芋掘り会場に集まったのは、自国の宰相の息子に、騎士団長と魔術師団長の息子、隣国の皇太子に、精霊王に、妖精王、竜人族の王子などそうそうたるメンバーで……。
【こんな人におすすめ】
・ハッピーエンドが好き
・くすっとした笑いが欲しい
・ほのぼのした作品が好き
・ざまぁは添える程度
※無断転載を禁止します。
※ペンネーム変更しました。
※小説家になろう先行投稿。
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
ペンネーム変更しました「九頭竜坂まほろん」→「まほりろ/若松咲良」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-01 18:20:03
9149文字
会話率:35%
公爵令嬢ソフィア・ファビアスは完璧な淑女だった。
婚約者のギルバートよりはるかに優秀なことを隠し、いずれ夫となり国王となるギルバートを立て、常に控えめにふるまっていた。
にもかかわらず、ある日、婚約破棄を宣言される。
「お前が陰で俺を嘲笑っ
ているのはわかっている! お前のような偏屈な女は、婚約破棄だ!」
どうやらギルバートは男爵令嬢エミリーから真実の愛を吹き込まれたらしい。
事を荒立てまいとするソフィアの態度にギルバートは「申し開きもしない」とさらに激昂するが、そこへ第二王子のルイスが現れる。
「では、ソフィア嬢を俺にください」
ルイスはソフィアを抱きしめ、「やっと手に入れた、愛しい人」と囁き始め……?
※ヒーローがだいぶ暗躍します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-16 22:43:45
8950文字
会話率:31%
モノレス王国に誕生したクラリッサ。その美しさから女神カロンの生まれ変わりだと言われ、生まれたその瞬間から父親の溺愛を受けた。
しかし、それは溺愛という名の束縛であり、人から羨望されるようなものではなかった。
王族であろうと学校へは行かなけれ
ばならない決まりがあるが、クラリッサだけは特例として入学さえしなかった。家庭教師をつけることもせず、完璧な淑女になるレッスンだけを受け続ける日々。
そして十九歳になる頃にはクラリッサはこう呼ばれるようになった。
【鑑賞用王女】
一目見れば誰もが見惚れる美貌を持つ王女だが、妻にすれば必ず手に負えなくなる。その美しさを保つためにはどれだけの金が必要なのか想像もつかないと誰もが口を揃える。
クラリッサの仕事は国王が開催する名もなきパーティーに主役として出席して長蛇の列を作る男達に計算された完璧な笑顔で対応すること。
椅子に座って笑顔を見せる人形のような毎日を過ごすことに“うんざり”していたクラリッサはある日の夜、いつも通りテラスで風に当たっていると森のほうで何かが光ったのを見た。
裏庭から通じる森には残虐なダークエルフが住んでいるため、けして近付いてはならないと言われていたが、クラリッサは屋敷を抜け出して森へと行ってしまう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-05 08:00:00
79174文字
会話率:56%
ある日、悪役令嬢メルティア・フォン・ライトバードに転生した佐藤優有。前世で悪役令嬢転生モノはよく読んでいたため死亡フラグをバッキバキに折っていく。さらに、きっとすぐに興味を失いそうな完璧な淑女になり着実にシナリオを変えて行ったメルティア。し
かし、攻略対象としても貴族としても一番会いたくない王太子が全然離れてくれなくて……!?これは平穏を望んだ神々のいとし子である【元】悪役令嬢が結局いろいろトラブルに巻き込まれる物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-17 18:48:10
6861文字
会話率:29%
【短期集中連載作品】
シェルガルド王国に誰からも認められる完璧な淑女がいた。
その美しさは周辺諸国に轟き、高い知性を持ち、聖女と讃えられるほどの慈悲を見せ、王太子の婚約者として完璧な公爵令嬢……
これは、彼女を取り巻く青年たちの、愛と苦
悩を綴った物語である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-30 18:00:00
13640文字
会話率:37%
ーーー〝氷の剣姫〟スオーチェラ=ベラ・ドンナ。
ペンタメローネ王国の社交界で誰ともなくささやかれるようになった、ドンナ侯爵家令嬢の異名は、その容姿とともに広く知られている。
妖精のように可憐な顔立ち。
藍色の、艶やかな髪。
そうして静かに佇むさまは、誰もが一瞬、目を奪われるほどに美しいと称えられていた。
しかし同時にベラは、その微笑みを見た者はいない、とも言われるほど、全く表情を変えないことでも有名であり、一部の貴族子弟の無礼を、一言で切り捨てる舌鋒(ぜっぽう)の鋭さもまた、名が広まる理由の一つだった。
さらに剣の腕も立つ、文武に優れた完璧な淑女。
その様子と、立ち振る舞いの一分の隙もない完璧さから、氷になぞらえられているのだ。
そんなベラに憧れる貴族の乙女らは多い。
が、逆に家柄も高く微笑み一つの愛嬌もない〝氷の剣姫〟に手を出す度胸のある男はいなかった。
ゆえに嫁ぐ相手は、傑物と名高く、縁戚にある公爵家嫡男か、第一王子であろうとまことしやかに囁かれていたが……。
「隣国の軍に属する、参謀に嫁げ……?」
ベラに父親が告げたのは、そんな一言だった。
つい先日終戦協定を結んだばかりで、自国隣国ともにきなくさい情勢の中での、政略結婚。
それを受け入れたベラが隣国に向かうとーーー婚約者は、逃げていた。
「どういうことですの……?」
追いかけて会ってみると、平民からありえないほど出世をした彼は、人間社会で差別される獣人だったのだ。
それでも両国の友好のために結婚しろと迫るベラに、白磁の獅子の容姿を持つ彼は言う。
「俺の嫁になるなど、自分がどんな目で見られるか分かっているのか?」
「気にしませんわ。わたくし的に、その獅子のご容姿も悪くはありません。……不安がおありでしたら、お互いをよく知るために、婚前旅行などいかがでしょう?」
説得するための提案を呑んだ彼とともに、ベラは二人で旅に出る。
これは徐々に愛を育む、美女と野獣の婚前旅行のお話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-16 22:51:41
73218文字
会話率:42%
護国の英雄と謳われる屈強な騎士デメトリオは、三年に渡る隣国との戦の間に右目を失い、婚約を解消した。
終戦後、帰国したデメトリオが会いに行ったのは、元婚約者の妹にして新たな婚約者でもあるアリーチェだった。
デメトリオを「クマのおにいちゃま」と
呼んで懐いていた幼い少女は、心の内を読ませない完璧な淑女へと成長していた。
社交下手な朴念仁と元婚約者の妹が、周囲に見守られながら少しずつ近づいていくお話。
※本編はすべて書き終わっているので、完結まで投稿予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-17 23:10:52
66605文字
会話率:53%