春川樹(はるかわ・いつき)は、どこにでもいる高校生だった。誰かと挨拶を交わすこともなく、話しかけられることもない。そんな日常に、慣れていた。けれど、まったく寂しくないかと言えば、それは嘘になる。
特別な才能はない。だが、自分にしかない価値
を、いつか見つけたい。そうすれば、自分を少しは誇れる気がする――そう願いながらも、何もできずにいた。
ある日の授業中、廊下から乾いた足音が近づいてきた。突然教室の扉が開き、ひとりの少女が現れる。遥川桜(はるかわ・さくら)。彼女は樹をまっすぐに見つめて言った。「ずっと、あなたを探していました」
非現実的な出来事に戸惑いながらも、樹は彼女とともに未知の世界へと足を踏み出す。
辿り着いた先は、江戸と清朝が混ざり合ったような異世界『和華国』。そこは、『術理』と呼ばれる魔法と、異形の魔物が蠢く世界だった。
「何者でもない」樹は、「誰からも必要とされる巫女」桜の存在に打ちのめされながらも、『護政府』の軍人・滝沢慶周(たきざわ・むねちか)や、治癒術師・東雲葵(しののめ・あおい)らの助けを受け、少しずつ成長していく。
樹と桜の命を狙う者の正体とは。 『護政府』と『瑞帝府』――二つの勢力の確執の裏にあるものとは。 そして、『神』と『神託』の真の意味とは。
すべての謎が、やがて明かされる――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-16 07:00:00
32529文字
会話率:38%
喉が乾いた時、そこに水があったら飲むでしょう?
◎第一部 ヒヤシンス 1話~10話
特殊な能力を持つ家系を特殊貴族と敬い、人々に恐れられている世界。10歳を越えると始まる、貴族としての特殊な教育を受ける前に両親が事故死し、謀られ、貧民街に
捨てられた少女が、優しい人に拾われて、生きていくお話。
◎第二部 夜香 蘭 11話~31話
大学を休学し、仕事を始め、貴族の役目を全うし生きていく。
◎第三部 貴族交流 32話~59話
蘭以外の貴族たちと関わっていく。
◎第四部 神隠し 60話~61話
世界の崩壊。
◎捕捉 昔話 62話
毎日更新・全62話 全話投稿済み折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-16 00:00:00
26055文字
会話率:62%
戦火に奪われた家族、廃れた村に残る一人の老人。幼き日、飢えと孤独の中で出会った兵隊青年の温かな救い。たった一度の優しさが、命を繋ぎ続けた──。
『紙一重の救い』は、戦争の残響と儚い希望を繊細に紡ぐ、心揺さぶる感動ヒューマンドラマ
最終更新:2025-07-15 20:12:56
19947文字
会話率:12%
それは、破滅の世界に奏でられる人類の曲終(コーダ)――
三つの災厄が襲い、文明が崩壊した世界。デモンという怪物化した者は力を以て命を奪い、力無き者も生きる希望を失わず、戦いに明け暮れた荒野。そんな中である一人のデモン、キョウジは記憶消
失の少女ミユを連れながら旅をしていた。彼女の記憶を取り戻す為に。当てのない旅だが、気ままでもあった。
しかし旅路の行く手を様々なものが阻んでくる。巷に蔓延る血に飢えた野盗。デモン跳梁跋扈の撲滅を掲げる組織、〈ザ・ラウンドテーブル〉。そしてその意志を明らかにしないまま暗躍する〈フォー・ライダース〉と名乗る面々――
乾いた荒野でキョウジとミユは戦い続ける。その先にあるがなにかも分からず、しかしどこかに希望はあると信じながら。
世紀末(21世紀だけど)ポストアポカリプスバトルアクション。枯れた世界に生きる意味は果たしてあるのか? これはその意味を見出す物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 15:18:29
496202文字
会話率:48%
死んだはずの俺が目を覚ますと、なぜか全身ぐるぐる巻きの“ミイラ男”に!?
蘇生したのは中世風の異世界、しかも術者は怪しさ満点の死霊術師。
声も出ない、顔も怖い、でもなぜか強い……?
これは、乾いた体で無双(いや、乾双)することになった元・博
物館バイトの俺が、異世界で巻き起こす、ちょっと不気味で、でもどこか笑えるミイラ冒険譚!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-14 11:40:00
90344文字
会話率:18%
男子高校生とアルビノの少女の物語。
優秀な中高一貫校に通っていた相沢哲人(あいざわ てつひと)。
勉強も運動も一度教えてもらうと誰よりも早く、要領良く覚えることができた。それはまるで乾いたスポンジが事もなげに水を吸い込むように。
そ
のスポンジがある日を境に乾くことがなくなり、新たな水を吸うことができなくなる。
逃げ出すように転校した通信制高校でアルビノの少女、逢川深雪(あいかわ みゆき)と出逢い、生き方を模索していく物語。
思春期の『根拠のない無敵感』を失ったすべての人へ折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 17:00:00
52863文字
会話率:21%
登場人物:
周防 蓮(すおう れん): 40代前半。理論物理学者。専門は量子重力理論と宇宙論における時間の矢の問題。マサチューセッツ工科大学で博士号を取得後、国内外の研究所を渡り歩き、現在は京都の高等学術研究所で主任研究員を務める。怜悧な
論理と、森羅万象の根源を求める純粋な探究心を併せ持つ。趣味は、江戸時代の和算家や天文学者の古文書を収集し、その思考の軌跡を辿ること。
三枝 朔(さえぐさ さく): 蓮と同年代。比較文化学者・思想史家。パリ第4大学で博士号を取得。専門は18世紀ヨーロッパの博物学と、非ヨーロッパ世界の知の体系との比較研究。現在は東京の大学で教鞭をとりながら、文芸誌や思想誌に精力的に寄稿している。該博な知識を縦横無尽に駆け巡らせ、自明とされる概念の系譜を暴き出すことを得意とする。皮肉屋を気取っているが、その根底には人間という存在への尽きない好奇心がある。
舞台:
八月、盂蘭盆を過ぎた京都。観光客の喧騒が嘘のように静まり返った、嵐山の麓に佇む古刹。その一角にある書院が、今日の二人の会見場所である。この寺は蓮の実家であり、彼は住職の次男として生まれた。今は兄が跡を継いでいるが、奥の書院は蓮が帰省した際の書斎として、今も自由な使用を許されている。
蝉時雨が容赦なく降り注ぐ午後。書院は南側の庭に面した障子を開け放っているが、風はほとんどない。庭の苔は深く、濃い緑色が目に痛いほどだ。時折、軒先に吊るされた南部鉄の風鈴が、忘れた頃に「ちりん」と乾いた音を立てる。部屋の中央には、拭き清められた黒柿の座卓が置かれ、その上には冷たい麦茶の入った硝子の水差しと、二つの薄い切子のグラスが、汗をかいて置かれている。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-11 22:51:35
9519文字
会話率:53%
乾いた部屋で、人は溺れ死んだ。
現場に水はない。
ただ、微かな潮の香りだけが漂う。
それは水に宿る“想い”の仕業。
事件を追う刑事もまた、逃れられない罪悪感から、じわりと水に侵食されていく。
最終更新:2025-07-11 22:02:54
5777文字
会話率:26%
学校からの帰り道。暑い日差しを避けるように足を向けたのは、いつもは通らない裏通り。そこで目に入ったのは、建物の間に建つ小さな神社。何故か涼しげな雰囲気のその神社には、水の無い乾いた小さな手水屋と龍の置物があった。
ホラー風味の不思議な話。弱
冷房の日陰のような涼しさ、ぐらいのお話です。日陰で一息つく、くらいのイメージでどうぞ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-11 18:10:00
3387文字
会話率:0%
お母さんが私の傘を買ってきた。でも、私の好きな赤じゃなかった。
赤い傘が欲しかったのに買ってきたのは白い傘だった。
お母さんは私の好きな色も知らない。言っても買ってきてくれない……
ならどうする?
そうだ!赤く塗り直せば良いんだ!
お母
さんに手伝ってもらってね!
でも、濡れたら薄くなるし、乾いたら黒くなるし私の好きな色じゃない!
じゃあどうするの?
そうだ!奪っちゃえば良いんだ!笑折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-07 22:02:11
977文字
会話率:62%
「クソッタレがよお!」
マークは突然、三歩ほど前へ踏み出し、道に降り積もった黄色い落ち葉を思いきり蹴り上げた。舞い上がった葉は、ほんのひととき命を吹き返したかのように宙を舞い、すぐに力尽きたように地面へ落ちていく。
その蹴り上げた足が
大して高く上がっていなかったことに、ピーターはどこか哀愁を感じた。
再び二人は肩を並べて歩き出す。乾いた風が吹き抜け、道の左右に等間隔に並ぶ木々の枝から葉をもぎ取り、まるで子供がケーキにチョコスプレーを振りかけるように、道や停まっている車の上へと降らせた。
「どうしたんだよ、マーク」
ピーターが訊ねた。不機嫌な理由の見当はついているが、他に会話の糸口がなかった。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-06 11:00:00
5074文字
会話率:34%
年の瀬も押し迫った大晦日の夜、一人の男がタバコをくわえて街をぶらついていた。
行き交う人々は慌ただしくも、どこか幸せそうな表情を浮かべて通り過ぎていく。その笑顔を見るたび、男は目を伏せた。煙たがられるのは慣れていたが、あの満ち足りた表情
にはどうも耐えがたかった。
びゅう、と冷たい風が吹き抜ける。男は肩を縮め、コートの襟で顔を覆った。すると、タバコが唇から滑り落ち、乾いた音を立てて地面に転がった。
「チッ……」
舌打ちし、ポケットを探る。しかし、出てきたのは空っぽの箱。
男はため息をつき、吐き出した白い息が冷たい夜空に溶けていくのを、恨めしそうに見つめた。
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最終更新:2025-04-24 11:00:00
1887文字
会話率:33%
……う~ん、いいですねぇ。夢のマイホーム。新築二階建て。広すぎず狭すぎず。
窓から差し込む陽光は植物にも人にも優しい。程良い弾力のソファーは腰に優しい。
唇を潤わせるのは紅茶。愛しき淑女、マリアージュ。
静謐、平穏。白い壁には掛け時
計がない。どうしてですか? 必要ないからです。本のページを捲る乾いた音だけが部屋に溶ける。でも、少々物足りない気もしませんか……?
はい。そんな時は歌でも歌おうか。
「マァイ……ホオォォォォォォォォムッ! ホォォォフォォォォ!」
と、オペラ歌手になった気分で歌っても近所迷惑にはならない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-20 11:00:00
2006文字
会話率:40%
車との正面衝突の勢い(?)で天国(?)に飛ばされてしまった佐藤結衣。疲労の蓄積と現実逃避から「露天風呂があれば」と願い、突如として露天風呂が現れ、これ幸いにと満喫する話。
「喉乾いたなぁ…」
口をついた言葉は『飲み放題(ドリンクバー)』と
いう脳内音声と共にファミレスでよく見るコップにキンキンに冷えたコーラがどこからともなく湧いて現実となり。
「お腹空いた」
『食べ放題(ビュッフェバイキング)』の音声が流れたと思ったらお皿とトレーがいつの間にか置かれていて、はたまた脳内にはメニューが表示されていて選び放題で。
大自然の絶景を天国(?)で満喫する。
そう、ここが天国か…!
※異世界転移です。主人公は「あ、これ死んだわ」と欲望に忠実なお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-06 00:10:00
4451文字
会話率:25%
土埃舞う冷たく乾いた風がふたりを包む。
セーラー服を身にまとい、長い黒髪をなびかせるカウントJK・香織。
そして、相対するのは最強のカウントバトラーである父親だ。
「香織、お前にワシは倒せん……」
「やってみなけりゃ分からないだろ」
「や
めておけ。若い命を無駄にするな……」
「私はアンタを倒して……最強のカウントバトラーになる!」
「……やってみろ!」
最強の座を賭けたふたりの戦いが今始まる!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-03 17:00:00
1609文字
会話率:57%
ハルエの父が経営する喫茶店&バーに、いつの間にか入り浸るようになったユウジ。乾いたレコードの音はどこか懐かしく、売れっ子シンガーソングライターの彼にとって素が出せる数少ない場所の一つとなっていた。
ファンクラブに入るほどユウジのファ
ンだったハルエは、いつしか彼が来店する日を心待ちにするようになった。
大学四年目の春を迎え、彼と会える時間はより大切なモノへと変わっていくが…………
『君のうた』seasonsの立案者でもある雄治と春江の若かりし頃の物語折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-28 12:00:00
36413文字
会話率:50%
錆びついた剣の柄が、乾いた掌で軋んだ。
ライルは、いつものように薄暗い鍛冶場の片隅で、使い古された金槌を振っていた。十歳になったばかりの腕には重すぎるその道具で、叩き出すのはいつも廃材同然の屑鉄ばかり。だが、それも仕方ない。彼は、この世界
で最も忌み嫌われる「鑑定不能」のスキルを持つ子供だったからだ。
この世界では、誰もが生まれながらにして何らかの「スキル」を授かる。それは剣術の達人となる「剣聖」のスキルであったり、魔法の才を極める「大魔導師」のスキルであったり、あるいは物を生産する「鍛冶師」や「農夫」のスキルであったりと、千差万別だ。スキルがその者の価値を決め、人生の全てを左右する。だが、ライルにはそれがなかった。彼に与えられたのは、ただ「鑑定不能」という、意味不明で何の役にも立たない、まるで存在しないかのような表示だけだった折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-20 12:32:41
22815文字
会話率:32%
同盟は狩猟から帰還した一団に湧き立つ外野の者達の奥から無事を願っていた事を体一杯に抱き付く身内なのだろう、その少女を足蹴にするそぶりを汚れた靴底で見せるが、両者は互いを笑う一団の同胞に恥ずかしく感じながらもその場の平凡な日常のある場所に身を
許す。
その隅に…2席の椅子にカビを含んだ臭いがする布を掛け、その下で背を横たえ汚れた木の床で寝ている。髪はここの泥やハコノ葉が引っ付き、少女らしい体格を感じない程に着込み、汚れが目立つ着こまれた制服。
私はそういう物しか持ち得ない、誇れないだろう仕事を職場で待ち続ける…。
少女が横になった身体から顔をその一団の方に寄越し、どうしようもなく聞こえていたそれに乾いた唇でそう独りの不甲斐なさを吐いた。
もし、本物でなくても無事を祈ってくれる人がいるならば、本物でなくても大きなパンにハコノ葉のペーストを少し塗って焼いたのを沢山食べれたら。本物でなくても、生きたいと願えたのならば。
少女は帰り道、そう考えながら一つの涙を流す。
それに答えるかの様に一箇所の叢が揺れ、少女はそれを掻き分ける。そこにはオオカミの特徴を持つ亜人の少女に転生した男子高校生の穀持に出会い…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 06:04:51
571文字
会話率:13%
十二月の末。十二時二十五分たけびしスタジアム京都のスタートラインには静寂が満ちていた。ベンチコートの背面に学校名を背負い、仲間たちの気持ちを背負った選手たちがそこにいた。凛と張りつめた空気のなか、選手は無言のまま立ち尽くす。十二時二十八分コ
ートを脱いだ選手たちにはそれぞれの町、それぞれの思いが詰まった襷がかかっていた。
「一人ではない、みんなと走っているんだ。」
そう語りかけている気がする。いや、違う。皆が私たちに語り掛けているのだ。
「On your mark」
スターターがゆっくりと手を上げる。風が襷を揺らし、スタジアムを超え、日本全国が静寂に包まれる。鼓動が高鳴る。次の瞬間――
乾いた号砲が空を裂き、約26.2マイルの物語が始まった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-07 10:35:16
4210文字
会話率:51%
人間と死神が共存する世界、対するは犯罪者の成れの果て、罪人<ギルト>。
ある日、自らを不幸体質と嘆く藪坂透は、脱獄中の罪人に行き遭い、襲われる。
身体を刻まれ意識が遠のく中、そこで現れたのは。
「見ーつけた。はは」
酷く乾いた声音で
笑う、謎の死神、秋宮紅葉であった。
そして幸運か不運か、死神の力を手にした透は、紅葉と共に、罪人に立ち向かう事になる。
死神の力を上手く使いこなせない透だが、果たして透の真の実力とは。
「いつだって僕は愚者で、運が悪い。でも、だからこそ、やれることがある」
これは、僕が”死神”になるまでの物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-20 00:11:26
55004文字
会話率:34%
そこは砂砂漠(すなさばく)だった。
気温は熱かったが湿度は乾いていたため苦痛ではなかった。そんな場所での出来事だった。
目の前には1人の女性が居た。
それは美しい女性だった。
長い髪をなびかせ、ドレスアーマーを身に着ける。
けれど、仄暗い黒
い目をしている。
手には槍が握られていた。
「貴方を愛してます」
それは告白だった。
女性は照れくさそうに笑い、今か今かと俺の返事を待っていた。
「答えはNOだ」
俺は手に持っていた剣で彼女の心臓を突き刺す。
「がっ・・・」
「悪いが、俺が愛してる女性はお前じゃないんだよ」
剣を強引に力で回転させて心臓へのダメージを増やす。そうしてから剣を抜くのだった。
「げほっ」
彼女は喀血する。
そして、その場に倒れこむのだった。
乾いた砂漠には彼女の血が実に良く染み渡る。
「これで30・・・」
俺は呟いた。
血塗られた剣をしまう。
そして自宅へと帰るのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-04 09:12:31
125080文字
会話率:52%
高校2年生の蛇原スミ子は、蛇のような異質な体質を持つ少女。
彼女は興奮すると神経毒を分泌し、噛みついた相手を数時間気絶させてしまう。
そして、その毒牙にかかるのは、決まってクラスメイトの根津ミキオ──通称「ネズミ」だった。
ある日、根津が
別のクラスの女子と楽しげに話しているのを見たスミ子の嫉妬心が爆発。
彼の背後に忍び寄り、静かに詰め寄る。捕食者のような冷たい視線、熱を帯びた瞳、乾いた指先
──その異様な雰囲気に気圧される根津だが、恐怖と共に妙な高揚感を覚えてしまう。
「さっきの女、誰?」
執拗に問い詰めるスミ子に、根津は狼狽。
しかし、言い逃れは許されない。逃げ場を失った彼の腕に、鋭い牙が食い込む──。
クラスメイトたちはもはや日常茶飯事の出来事として笑い飛ばし、根津はいつものように保健室送りに。
果たして彼は、スミ子の“獲物”として生き延びることができるのか?折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-05-02 21:44:26
46167文字
会話率:29%