恋に免疫がなかった頃のあなたを思い出して欲しい。
私も負けじと、その頃を思い出すから。
扉をあけて、蝶が舞いおりてきた。
美しいものを蝶に例えるなんて、陳腐だと思ったけど本当にそうだったから仕方がない。
噂話は信じない。お化けは信じない
。占いは信じない。
実際に自分の目で見たもの、見えるものしか信じない。
例えばスローモーションに見える、あれもそうだ。有名な野球選手がボールが止まって見えるといった。それなら打率10割だ。
死に瀕するとゆっくり時が流れると誰かがいった。不幸を演じるのは結構だが脚色はいらない。
時間はみな平等で公平だ。それは今までの体感から、自分自身が自分自身に認定している。
この時までは。
彼女が扉をあけて入ってくるとき、スローモーションに見えた。滑らかに蝶がひらひらと舞っているように見えた。
カラオケルームの暗がりに色白の肌がぼんやりと、うきあがる。ミラーボールの光が肌の白さに挑むように近づいては離れていく。無数の光は鱗粉に見え、纏う姿が妙にしっくりきて妖艶さを演出していた。
そう、まさに私にとって蝶だった。
真冬という時期も相まってとても現実とは思えなかった。
彼女の視線が私を捉えたのは一瞬だったは救いだった。さながら夢うつつで、ずっと見惚れていたからだ。
隣の席にとまった「蝶」が再び私に視線を向ける。
意思が強そうな大きくて生命力を感じる目には、何メートル先からでも分かるような二重が上に寄り添っている。
時を閉じ込めた写真のように動けなかった。彼女の視線はさながら画鋲のように、空間のコルクボードに私を突き刺した。
この時はあんな風になるなんて思わなかったんだ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-26 00:29:52
437文字
会話率:0%
「……ええ……ああ……は、はい! お、おーい! みんな、ちょっと手を止めてくれるかー!」
そう言ったあと、咳をするほどの大声を出した上司を見て、これまで寝起きのような浮遊感、あるいはじゃれ合う動物の幼子を眺めているときのような幸福感、夢
うつつであった彼は目を見開き、そして口を閉じていられなかった。
人間の、彼に備わっている危機察知能力が警報を鳴らした、というよりは、少し前からこのオフィスの出入り口で上司と何か話していた体格が良い黒いスーツの男たちの視線が彼の方を向いていたことから察したといったほうが正しいだろうか。
なんにせよ、彼は今すぐにここから逃げ出すことよりも勘違い、杞憂、これより上司が口にする名が自分以外のものであってほしいと祈ることを選んだ。いや、選ぶしかなかった。
「いやーおめでとう! みんな拍手拍手! ん、おーい! ははは、感無量といったところですなぁ、はははははは!」折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-04-04 11:10:00
4377文字
会話率:58%
メランドリ伯爵は自領をいくつかに割り、地主領主を立てて統治をしている。そのうちのひとつ、トリヤーニ家の長女がベアトリーチェだ。
気位の高い母が自死すると、父は直ぐに愛人だった女とひとつしか歳の違わない異母妹を家に連れ込んだ。
虐げられこそし
なかったものの冷遇されて育ったベアトリーチェだが、ある日、愛されている妹にすら普段は与えない貴族のようなドレスを父から貰う。
そのことから身の危険を察したベアトリーチェは、邸宅と隣接した森から、逃亡を決意。
森の中で出会った美しい男性──それこそが『好色伯爵』と噂されているメランドリ伯爵、アウグストであった。
夢うつつで彼との婚姻を了承したベアトリーチェは、メランドリ伯爵家には国と神の契約から土地の加護が与えられていることを知る。しかし、それは呪いのようなモノだった。
※設定はユルいですが、以下の感じ。
・絶対王政。
・身分差はそれなりにある。
・貴族はいるが地主貴族とは限らない。
・爵位のない支配階級(ジェントリ)もいる。(※主人公の家)
・騎士もいる。
・魔術も魔法もある。(体内に魔力を有する者がいて、ほぼ貴族な為、血筋は大事。ただし、詳細設定アリ。本文に記載)
・魔法はあるが、ほぼ使えない。
設定はユルいです。(二度目)
色々気になる方にはオススメ致しかねます。
尚、登場人物はほぼイタリア名ですが、統一感の為のみ。単語は通りの良さそうなものから使用しています。イタリアは全く関係ないですし、拘りもない。
完結後感想欄解放。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-18 00:00:00
143438文字
会話率:23%
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も掲載しています。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-02-19 22:46:31
1323文字
会話率:0%
僕の住む山にぽつりと建った屋敷に一人で住む少女。
彼女と過ごす日々はキラキラしていて、暖かくて、幸せでした。
ですが、少女と過ごす日々は徐々に終わりへと近づいていきます。
終わってしまう前に、僕は少女に想いを伝えたいのですが……。
狐の
僕と、人間の君のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-06 23:31:50
2309文字
会話率:45%
永野一樹は独自の趣味を楽しむ森のなかで、麗しきひとに出逢う。
果たして、その正体とは……?
最終更新:2023-10-20 15:35:47
16728文字
会話率:17%
新しい世界は目で見える範囲の外へ行くこと。それは元々そこにあるもの。
最終更新:2023-09-08 19:59:53
1535文字
会話率:0%
魔法が絶え、錬金術が進化して最先端技術となった世界。
成城学園魔法考古学科の三塚亜樹はある日、不思議な夢を見る。
その夢は、伝説の魔法使いエリィ・アルムクヴィストが仲間と共にモンスターと戦う姿であった。
亜樹は妹の美優から頼まれてい
た調べものをするついでに、日中にみた夢の意味を調べるようと錬金術師博物館に向かう。
だが、魔法使いに関する情報はほとんど得られず、亜樹は諦めかける。
しかし、帰ろうとした時、幻覚を見てしまう。
そこには伝説の最強の魔法使いの少女が現れ、亜樹に微笑む姿があった。
それが何か分からない亜樹は家に帰るが、その夜、夢うつつに訪れた錬金術師博物館の地下で夢に出てきた少女を見つける。
なぜ滅んだはずの魔法使いがここにいるのか。
少女の目覚めと共に、魔法使いと錬金術師の戦いが再び動き出す折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-15 19:26:01
45727文字
会話率:40%
皆さんは夢を見たことは有るだろうか。これはそんな夢の奇妙なお話
最終更新:2023-05-13 04:20:05
685文字
会話率:0%
ネット 注文 を していて 瞬 時 に 風邪気味で 起きた 主人 公 。
玄関へ 向かう・・・が 夢うつつ か ? 現 実 か ?
信じられない 信じたくもない 光景と ひとり 出遭ってしま;っ た
半分 ノンフィクション 。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-27 08:32:23
3282文字
会話率:4%
オリノ・カズキという肩書き:浪人生
その男が乗った道はどこに続くのか!?
最終更新:2023-02-23 22:43:24
24063文字
会話率:63%
エレノアはタロットカードで占うことが大好き。
そろそろ結婚相手を探さないといけないと思いつつ、いい出会いがありますか?とタロットカードで占った結果は”新しい出会い”
きっといい出会いがあるはずと喜んで参加した夜会で、偶然隣国の王子と出会いお
誘いを受けてしまう。
美しい異国の王子にエレノアはドキドキして、夢うつつ。
きっと運命の出会いなのだと喜んでいたエレノアだったが、数年ぶりに会った城の警護をしていた幼馴染のアドルフに王子だけはやめておけと言われてしまう。
口煩いアドルフのいう事など聞かずに、美しい王子を忘れられないエレノアは王子の滞在先へとに向かってしまた。
行く前に引いたタロットでは10本の剣が男に刺さっている絵柄の”ソード10”のカード。
占の結果が悪く引き返そうとするも、王子に掴まりそうになり逃げて帰って来たのになぜか、
翌日城の騎士がエレノアを連行しにやって来た。
どうしてこうなってしまったのか。私はやっていませんと訴える占好きのエレノアの恋のお話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-23 14:13:46
79004文字
会話率:45%
先輩。風邪引いたって、本当?
最終更新:2022-11-29 23:52:08
8203文字
会話率:35%
これは筆者の、実際に見た夢の話。不思議な話もあれば、怖い話もある。その多くは未知で、刺激的で、そして創作意欲を掻き立てられるもの。絵描きとして、創作をする上で、とても参考になった夢も中にはあった。
最終更新:2022-09-11 18:02:07
6429文字
会話率:1%
過去に書いたホラー作品をまとめた短編集です。
それぞれの話の繋がりはないです。
1.学校のかわい……怖いお化け
2.コーヒーの妖精
3.賢い犬の話
4.いないよ
5.スイッチが切れる
6.イタズラの結果
7.観覧車と夏の記憶と噂の秘密
8
.白くてつやつやして細長いちいさなつぶつぶ
9.血まみれの女
10.夢うつつ
11.連続殺人犯の卵
12.ユキノテ
13.画面の向こうからこんにちは
14.音楽室の小さな女の子
15.嵐の山荘
16.吸血鬼
17.洗濯日和折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-07 17:10:50
101853文字
会話率:19%
夏の夕刻 夢うつつ
いつまでもみていたい
キーワード:
最終更新:2022-08-01 22:36:38
379文字
会話率:0%
あなたの邪魔をしないように
月影から良い夢を
キーワード:
最終更新:2022-03-09 22:50:14
336文字
会話率:0%
懐かしさの塊が道に落ちていた
亡くなった祖母の笑顔とか
昔亡くした抽斗の鍵とか
でもあの黒い影だけは
思い出したくない
懐かしさの塊は風に吹かれて
遠い故郷へ帰ってしまった
門前橋の手前で
黒い影が背中を押して
私は鬼やらいを呼ばなくてはと
必死で耳を塞いでいた
郷愁には必ずつきものの亡霊
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-30 16:56:23
1862文字
会話率:0%
血の赤が好きだ。ぽたり。口裂け女に噛まれて、首筋から垂れる赤い血液。
あんまり血が好きなものだから、人を殺してみた。
近所の美しい女の人だった。
金魚鉢にその血を垂らして呪いを唱える遊び。
誰もゐない夜、靴を脱いで、全裸で宿場町を駆ける遊び
。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-11 17:28:44
539文字
会話率:8%
京都と大阪を繋ぐ京阪電車。
この電車には不思議な噂がある。
最終電車に乗ると、不思議な夢を見るという。
現代人の疲れた心を癒すため、電車に乗ってる間に見るつかぬ間の夢。夢うつつ。
目を覚ませば少し気持ちが楽になっているという、そんな不思議な
夢。
その夢とはいったいーー?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-30 13:25:10
22361文字
会話率:38%
2人を飼うことになりました。
夢のような現実は、案外捨てたものじゃなかったりする。
最終更新:2022-04-09 11:51:36
2698文字
会話率:13%
わたしは長い長い病院生活の中で、いつの間にか妄想の中に入り込むようになっていた。
現実はつまらない。
だけど頭の中はいつもわたしに変化をもたらしてくれる。 本の内容やテレビの影響で頭の内容はいつも変化する。それが嬉しかった。楽しかった。
ず
っと楽しく妄想の中で過ごしたい。
だけど現実は残酷だ
日に日に病気はわたしの身体を蝕み、殺しにくる。
タイムリミットはあと1年間。
だから綴ろう。紙に綴ろう。そして残そう、生きた証を。
これは、頭の中で起きた出来事のレポート。
これは夢じゃない。そう信じてみたい
これは、わたしが起こした本当の出来事だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-09 04:58:43
5539文字
会話率:1%