「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛の予定です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品はアルファポリスでも公開します。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-18 21:00:00
207187文字
会話率:41%
「いったいどこで間違ってしまったのか」
悩む主人公が、ヒロインとの人生を振り返る物語。
最初から最後まで暗いです。
また、前半部分は成人年齢=20歳という設定で書いています。
「今は18歳でしょ」っていう突っ込みは無しでお願いします。
(
主人公は成人年齢が引き下がる前に成人していた設定のため。)
文章の違和感は、読み進めるたびに明らかになるように設定しています。
また、刑事警察モノの知識は趣味程度なため、有識者コメいただけると作者は喜びます。
ジャンル:恋愛/警察/ダーク/サスペンス/ヒューマンドラマ
時代設定:現代
注意すべき描写:暴力/流血/殺人/自死/遺体/無敵の人/テロ/年齢差/R15(ほのめかし程度)
どうぞよろしくお願い致します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-01 22:06:06
9124文字
会話率:15%
ジャンル:恋愛
お題:「おもちゃ」「おねショタ」「スライム」
昼下がりの休憩時間をコーヒーを飲みながら過ごしていると、同僚の高崎がやってきた。
「お前、泉さんと付き合ってるのバレバレだぜ」
さて……どう返答したらいいものか。
おきらく三題
噺シリーズ最新作。今回からジャンルも追加することにしてみました。
※カクヨムでも掲載しています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-20 12:57:35
1977文字
会話率:49%
【カクヨム様 日間一位、週間一位獲得(ジャンル:恋愛)】
俺の名は山岸 遼太郎。
中学時代にロクなことがなかったから、同級生が誰も来ないような遠方の高校に進学してやったぜ。
ここから俺の素晴らしい高校生活の幕が開ける……はずだった。
なぜ、中学の時に一番仲の悪かった女子が同じ高校に……?
……え、同じクラス? しかも前の座席?
なるべく関わらないように過ごそう……。
って、いや、帰り道被りすぎだろ!?
あ~、なんでお前不良に絡まれてんだよ、俺が助けるしかねーじゃん!
何とかバレないようにして……。
いや、助けたのは俺じゃない!
お礼とか言われても知らん!
なんでお前、そんなに俺に声掛けてくるんだよ!?
俺達、一番仲が悪かったはずじゃ……。
※カクヨム様に掲載されている内容から改稿したものを投稿しています。
※カクヨム様におけるランキング獲得日時(初獲得時):日間一位(2021/3/1~)、週間一位(2021/3/3~)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-18 17:11:28
82642文字
会話率:41%
とある国の勇者、平民生まれのシンは勇者としての力を認められて王女と婚約することになる。
しかしその話を国の内外に報じる前日、王女の手先である宮廷魔術師に勇者の力を奪われ婚約破棄をされた。王女は「平民と結婚なんてしたくないから勇者の力を奪った
」とシンに告げ、後釜のニセ勇者と結婚をした。
そんな失意のシンだが、故郷に帰ると家族から強く非難される。勇者だったことで国から出ていた手当てが無くなったからだ。シンは家族との絆も失った。
絶望のどん底に落ちたシンであったが、幸せそうな家族を見て「自分も幸せな結婚をしたい」と願う事で絶望から這い上がり、互いを裏切らず愛し合える「真実の愛」を求めて旅をするようになる。
その過程で勇者の力が戻ってきたりペットを飼ったりするが、「真実の愛」は見つからない。
これは勇者シンが、愛を求めさすらう話。
※ヒロイン不在。パートナーになってくれる女性は最後まで見つかりません。
※主人公最強ものですが、一時的に主人公最強ではなくなります。
※ジャンル:ヒューマンドラマを指定しましたが、ジャンル:恋愛(異世界)だと思った人は感想欄にて指摘してください。3人ぐらいから言われたら移動します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-02-08 00:01:20
50187文字
会話率:18%
とある日の(イケメンな)彼と(黙っていれば美人の)彼女の、「婚約破棄」という言葉から始まる会話。
※「婚約破棄」というワードが関わっているだけなので、深く考えずにどうぞ。
【2016.05.24 ジャンル編成に伴い、ジャンルを変更しまし
た。旧ジャンル:恋愛】
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-02-14 20:00:00
2855文字
会話率:35%
何でも卒なくこなすイケメン高校生の櫻井悠は、他人に興味がなく恋愛願望もない。だが、ある日偶然出会った少女に一目惚れをしてしまう。それが絶対に許されない禁断の恋だとも知らずに。
20代なのにバブル世代の名残を持つ謎の世話好きオネエ鼓太郎は、本
当の自分を一番大切な人に見せられないでいた。アイドルオタクの大は、学校で陰湿ないじめに遭い、自分自身を無価値な存在だと思い込む。医師の卵である修太は何不自由ないエリート一家に生まれたが、異常な女遊びから抜け出せず、ついにはナンパ相手を妊娠させてしまう。
――個性派の男子4人組が、不器用ながらもそれぞれの境遇に真っすぐぶつかっていく。
【ジャンル:恋愛要素の強い、学園/青春小説】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-02-27 19:00:00
134213文字
会話率:75%
中学生のマヒロと丼くん。淡い恋のはじまりの予感。
とある田舎で、中学生にケータイが普及したころ。持たせてもらえなかった作者のもやもやを青春仕立てで昇華してみました。※ジャンル:恋愛としていますが、恋愛要素は限りなく薄いです
最終更新:2013-01-07 15:48:05
3159文字
会話率:39%
Twitterのプロット作成TLから作成した物語。
ジャンル:恋愛、お題:ファブリーズ、野球部、川
最終更新:2012-01-06 16:11:26
4164文字
会話率:52%
僕は、何を望んでいたのだろう。平凡でなければよかった。特異な存在になりたかった。でも、本当は――。一人の少年は、陰鬱な気持ちで電車に揺られていた。そこで、彼は一人の少女と出会う。その出会いが、少年の全てを変える事になるのだった。運命が、廻り
始める――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2008-12-01 06:40:19
11284文字
会話率:19%
あることがキッカケで、私は彼を好きになった。でも、それを言えない日が続き、気が付けば明日はバレンタインデー。私はこれを機に、彼に告白しようと思った…。けど……学校に、彼の姿は無くて…(ジャンル:恋愛)
最終更新:2008-02-17 18:42:13
2591文字
会話率:32%
12月24日。今日は彼と、初めて過ごすクリスマス。でも、彼は信じられない提案をしたんだ…。(ジャンル:恋愛)
最終更新:2007-12-24 04:37:03
1424文字
会話率:24%