ゴミ漁りをしていた少年は、たまたま通りかかった奴隷商人に拾われた。
少年に与えられたのは体を覆うボロ布一枚だけ。
奴隷商人は少年に32号と名前を付けた。
番号で呼ばれ、奴隷として過酷な扱いを受け続けた少年は心を閉ざす事を覚えた。
それは少年に出来る唯一の自己防衛だった。
ある時、魔物に襲われ大怪我を負ってしまった少年は、奴隷商人に森の中に置き去りにされてしまう。
魔物の彷徨く森の中で一人。
不安と恐怖に震えながら死を待つだけだった少年の元に一人の老人が現れた。
老人の名はオルド。
木こりを生業としていた老人は、森で見つけた少年を不憫に思い、家に連れ帰ると看病を始めた。
献身的に看病を続けたとは言え、常人離れした速度でみるみる回復していく少年の姿にオルドは驚愕する。
魔物に受けた傷口は完全に塞がったものの、少年が心を開くことは無かった。
言葉は理解しているらしいが、黙っているばかりで喋ろうとはしない。
それでもオルドは少年を見捨てなかった。
服を与え、食事を与え、若い頃に冒険者として培った知識、人間として生きる為に必要な知識を夜な夜な語って聞かせた。
ある日、オルドは木こりの仕事の最中に魔物と遭遇してしまう。
もうこれまでだと悟ったオルドの前にあの少年が現れた。
「爺さん。まだ、死ぬな」
少年はそれだけ言うと、武器も持たず、素手で魔物をあっという間に倒してしまった。
オルドは安堵した。
自分の命が助かったからでは無く、少年が初めて言葉を発した事に。
だが、振り返った少年の目は魔物のそれだった。
指先から滴り落ちる魔物の血と同じ色。
全身に真っ赤な返り血を浴びて尚、紅くギラつく瞳は人間の物では無かった。
怯えた目で自分を見つめるオルドを見た少年はそのまま立ち去ろうとした。
去り行く少年の背中を見たオルドは、少年に別れの言葉では無く、名を与える事にした。
「待て。どうせ名も無いのじゃろ。たった今からお前の名はレイヴン。レイヴンと名乗るがいい」
「レイヴン……」
噛み締める様に名前を呟いた少年はそのまま姿を消した。
そして数年後ーーー
レイヴンと名付けられた少年は冒険者の街で第二の人生を歩み始める。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-30 08:00:00
1272911文字
会話率:42%
百日紅の花に香りがあるのだとは、この年になるまで知らずにいた。
だがその香りは盛りを過ぎていたのか、風に紛れて捉えがたく、優しい印象だけを残して消えてしまう。そしてそれは、どこか儚い。
最終更新:2021-08-25 15:32:54
639文字
会話率:5%
「別れようリリス。俺のことは忘れてくれ」
そう言った男の瞳には何の感情も浮かんでいないように見えた。縋ることも、問いただすことも、罵ることもできずに2人の関係は男の一方的な別れの言葉だけで終わった。
数年後リリスは聖女として魔王討伐
の旅に出る。リリスを便利な道具のように扱うハーレム勇者と、リリスを目の敵にする女性メンバー3人。そして、リリスに侮蔑と色欲の目を向けるパラディン。リリスは内心うんざりしながらも絶えていた。全ては己の本懐を遂げる為に。
注意事項
・勢いで書き上げた短編です。
設定等ガバガバなので、深く考えずさらっと読むことをオススメします
・予告なく修正することがあります
・同様の内容をカクヨムにも掲載しています
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-07 21:00:00
7907文字
会話率:33%
――2年前
「ごめん、わかれよう?私たち」
別れの言葉はそれだけで、主人公――夜桜優という男の人生初の彼女は、「好きって感情がよくわからなくなっちゃった」と言って別れを告げてきた。
結果、優の中には恋愛に関する苦手意識だけが、残った。
これは、恋に破れた少年が、幸せをつかみ取る話だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-09 18:57:54
11799文字
会話率:54%
幸太郎が使っている薬缶は、元彼女からの最後の誕生日プレゼント。
別れの言葉と共に貰った薬缶だった。
結婚を控え、新居に引っ越す為に準備をしているときに、婚約者の由美は由来を知っていても新居に持っていこうとしてる。
元彼女からのプレゼントな
のに、気にしていない婚約者の態度に少し拗ねて、でもそんな婚約者とこれからを過ごせる事が嬉しい男性視点のお話です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-04-21 13:54:51
6390文字
会話率:17%
普通の生活をしていたぼくは、親友である成安の最後に立ち会えなかった。
だから後悔を胸に必死になってその幽霊を探す。
悲しみを受け入れ別れの言葉を告げると、ぼくは前を向いて人生を生き抜いた。
これは、ぼくが報われた話だ。
最終更新:2021-03-03 18:01:22
3460文字
会話率:26%
「じゃあな」
三日前に告げられた夫の別れの言葉が、夢にまで出てきた。
離れてみてどれだけ夫を愛していたかを知った。
会いたい。触れたい。大好き。愛してる。
告げたい夫は側にいなくて……。
最終更新:2021-01-21 07:22:10
457文字
会話率:28%
「私の事を忘れてください」
そう言い残して先立って逝った、最愛の人。
泣きじゃくる貴方に、そっと寄り添えない私。
私が最後に残した言葉の意味。
そして私と貴方が愛した花の時期が来る度に、どうか───────。
最終更新:2020-12-17 20:49:46
1000文字
会話率:5%
奏という少女は、リゲルという犬を飼っておりました。時が経ちリゲルの命はつきました。けれどもそれは万物に起こることであり、星とて例外ではありません。リゲルと同じ名を持つ星と結ばれた星座の星と、少女は出会います。今日も確かにそこにいる、計り知れ
ない程遠い存在の彼らに、少女は別れの言葉をつげます。
前編と後編からなります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-10 15:19:23
3953文字
会話率:33%
高校3年生の夏休み、学生最後の夏に訪れた幼馴染との『一時の別れ』は『今生の別れ』となった。
告白はおろか別れの言葉すら言えなかった事を悔やみ続ける中、とても奇妙な形で幼馴染との再会を果たす。
最終更新:2020-10-26 20:00:00
35357文字
会話率:36%
復讐から始まる心と強さの自分勝手な物語
最終更新:2020-08-07 00:14:02
8461文字
会話率:57%
『地獄に堕ちろよ』
これこそ春宮響太郎が彼女であった、女王様気質な鷹瀬カンナに言われた別れの言葉である。その冷酷非道、一分の言い訳も許さないそれは響太郎の心にグサリと刺さった。
だがその言葉に疑念を覚えた響太郎は、その真意を探ろうとする……
。
これは春宮響太郎と鷹瀬カンナの既に終わった話。そしてその終わりから、一歩を踏み出す始まりの話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-15 21:04:30
103094文字
会話率:54%
受験が終わったことを知り、ただ静かに拳を下ろしていた俺は、疲れ果て、ただ静かに最新型フルダイブVRハード『Curious Cat』をその発売日に蒸着し、同時発売の最新型VRMMO『Final Experiment Online』をプレイす
ることとなった……。
それで意気揚々と案内人のAIのパンツを覗いたら蹴飛ばされて心と主に顔面がイタイイタイなのだった。おかしい。VRゲームに痛覚は搭載してはいけないはずなのに……。様子がおかしいので緊急脱出コード「ログアウト!」と叫んだら運悪く『ログアウト』って名前にされちゃうし、出れないし、挙げ句の果てにこの世界で死ぬと現実でも死にますだってさ。ところがどっこいこれが現実……! 別れの言葉もそこそこに突き落とされた俺は天から舞い降り(自由落下)、水面に降り立った(墜落)が、命からがら陸に上がると野蛮人の村だった! 捕縛され、尋問され、ようやく解放(追放)されると爆弾バッタが現れた! 俺は拳で抵抗しようと思ったが、AIの不興を買ってステータスを下げられ、攻撃力がマイナスになっていたので敵を回復していた!(その目は優しかった) 命からがら逃げ帰った俺は回復術師と名乗って一躍村の人気者に! 武器での攻撃は普通のダメージが通ると知った俺は村長から『どくばり』を奪い取り、束の間の冒険者生活に勤しんだが現実は非常だった。死にかけた俺の看病をしてくれる村長の孫、ミロスラヴァにバブみを感じつつ、暇つぶしに【優先度『-』のステータスウィンドウ】と【固定ダメージのどくばり】で最強雄筋肉チ◯ポバトルさせてみたら、バグって経験値が無限に入ってしまった! というところから始まるVRMMOファンタジー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-26 01:29:19
22395文字
会話率:70%
突然の連絡。それは途切れた声だった。
一方的に連絡を絶たれていた声が、竹内司の心を踊らせた。
約束の場所に彼女、山崎瑠香が現れると、そこに司の知らない彼女がいた。
困惑する司に突きつけられる別れの言葉。
遠ざかる背中に問いかけるし
かできない。
どうして?
声にならない声に、少し前の出来事が蘇る。
どうしてこうなったのか。
少し前はこうなると思わなかった。
これからどうなるのか。
司は声にならなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-12 22:19:20
60251文字
会話率:26%
恋をする優しい彼の顔を見て別れを決意した偽彼女の話。
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男視点を書くかもしれないので、連載にしています。
感想は受けつけていますし読ませていただきますが、返信は致しませんのでご注意下さい。
最終更新:2019-04-30 02:14:46
2820文字
会話率:37%
「数分後にはグラン・ホークショーは存在しない事になるのか……残酷だな」
「仕方ない。それがしきたりだからな」
目の前の少年の軽い口調に俺は苦笑いした。
そんな俺の思いを知ってか知らずか、足元で眠るエルフの横顔は酷く綺麗で、俺自身がまだあ
の日々に囚われていると理解した。
だけど、もうあの日々には戻れない。
「別れの言葉も告げないなんて親友失格だな……」
「どうせ忘れるんだから気にするだけ無駄だ。もう行くぞ」
「お前はもうちょっと気の利いた事は言えんのか…………
さらば友よ。お前との日々は永遠に色褪せることなく俺の心に残るだろうな。俺一人だけに……」
それだけ言うと鮮やかな赤髪は小さく揺れ、少年と共に暗闇の中へと姿を消していった……
これは人々の記憶から消え去った一人の男の物語である。
なお、同作はモバスペブックにも連載されております。(多少編集の違いがあります)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-03 17:37:28
36783文字
会話率:48%
ずっと一緒だと思っていた。このまま結婚して幸せな日々を送るのだと信じて疑わなかった。幼馴染の笑顔を、ただ見ているだけで充分だった。
けれどそんな未来は、一人の男によって簡単に崩れ去った。
最愛の幼馴染を勇者に奪われ、別れの言葉を告げら
れる。少年は居場所をなくし、失意の中で出会ったのは–––––
「私の手を取れハルト。世界を変えるためにはお前の力が必要だ」
––––これは、長い長い旅路を行く物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-03-02 01:00:00
106017文字
会話率:44%
―――――今年の夏祭りが最後だ―――――
決して結ばれない二人の、儚く切ない恋物語。
海と山に囲まれた、穏やかな風の吹く街で。潮風が夏みかんの香りを連れてゆく故郷で、もう一度、あの花火を……。
最後の花火を見るならば、あなた
は誰と見ますか?
別れを告げる灯火は、何色に輝かせますか?
彼視点の~最後の花火~と、彼女視点の~別れの灯火~の二つで一つの作品となっています。
二人の見ている景色は、同じ色なのか。なぜ二人は結ばれないのか。別れの言葉は何なのか。是非、二人の視点で楽しんで下さい! どちらから読んでも楽しめる短編小説です。
……別れの時、きっとあなたも涙する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-02-11 14:08:49
8727文字
会話率:36%
十八歳の夏、俺は神隠しに遭った。
夏休みの約一ヶ月間の記憶を喪った俺は、
それからというものかなりの頻度で同じ夢を見る。
決まって「さようなら」という別れの言葉で覚める夢に、
俺はずっとその声の主を知りたいと願っていた。
それから十年目の夏
を迎え、
同僚の三上奈津と一緒にいつものように帰り道を共にしていたところ、
身体に古い傷が浮かび上がって――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-11 20:54:49
34914文字
会話率:47%
――何故でしょう。
枯れてしまったのでしょうか。――
緩やかに過ぎていく高校最後の一年。
国立大学を志望していた藤山有乃 (ふじやま ゆうの) が、部門長の仕事に没頭する中、祖父は体調を崩し、病院に入院することに。
「私って冷たい人な
のかな」
「どうして今日なの?」
祖父の死をきっかけに、有乃はどう変わるのか。
誰でも経験のある日常を繊細に描いた物語。
※月一連載予定。
※有乃の手記と、一人称の視点の二つに分けて進めていきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-16 12:00:40
1371文字
会話率:5%