文芸社より2017年 自費出版。
1985年。排卵障害の不妊症である亜沙子は、不妊治療で病院に通っている。
夫の俊とは、大学時代に知り合い、不妊症であることを告げ、それを承知の上で結婚した。夫、俊の転勤先の浜松に住んでいたが、東京へ転勤で帰
ってきたのを機会に、HMG・HCG療法という排卵誘発剤による不妊治療を始める。学生時代に、医者の姉に紹介された病院で、結婚前に検査をした病院である。排卵しない体なので、妊娠は無理だと諦めていたが、病院の治療で排卵することが解り、子供が出来る期待が高まる。
俊の実家近くの湯島のマンションに住む。亜沙子は、結婚前から、俊の実家の楯端家の下町の家族の雰囲気が好きで、そこに家族の理想像をイメージする。長男の子供、舅姑に内孫となる子供を産みたいという願望にもなる。
注射の副作用に苦しみながら続けるが、排卵誘発剤で排卵させ、その時期に合わせて性交するタイミング療法では、なかなか妊娠せず、医者から人工授精を勧められる。戸惑いながらも人工授精を行って、やっと妊娠する。亜沙子の喜びは大きかった。病院スタッフや家族とも喜び合う。しかし、直ぐに稽留流産となって掻爬の手術する。その手術の日は、姉の3番目の子供の出産日と同じだった。手術後、亜沙子が静養していた実家に、姉が赤ん坊を連れて退院してきた。
気持ちの葛藤が有りながら、翌年から、また治療を始める。
直ぐにまた妊娠できると考えていたが、前年の治療期間を過ぎても、再度の妊娠は無く、医者から、不妊治療専門窓口の有る、体外受精に成功した病院を紹介され転院する。そこでの他の人の体験や、更に高度の不妊治療の情報を見聞きする。そのうち、その病院の雰囲気に違和感を感じ始める。
高度の技術のある病院での人工受精に期待が大きかったが、結局その病院でも人工授精に失敗して、不妊治療を続けることに疑問を感じ始める。
再び俊が浜松に転勤になる時期が近づき、俊の意見に従って、夫の良き伴侶で有れば良いと考え、不妊治療を諦めてしまう。
その後も不妊治療を自ら諦めたことに敗北と罪悪感を抱き続ける。一連の喜びと悲しみ、全ての想いを心の奥底に沈殿させた。
2012年。4月から東京に戻ることになった。25年の期間を経て至った今の心境。押し殺してきた『沈めた想い』を今一度、見つめ直したいという気持ちになる。。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-22 10:00:00
59632文字
会話率:26%
沈めた想い 続き
1985年。排卵障害の不妊症である亜沙子は、不妊治療で病院に通っている。
夫の俊とは、大学時代に知り合い、不妊症であることを告げ、それを承知の上で結婚した。夫、俊の転勤先の浜松に住んでいたが、東京へ転勤で帰ってきたのを機会
に、HMG・HCG療法という排卵誘発剤による不妊治療を始める。学生時代に、医者の姉に紹介された病院で、結婚前に検査をした病院である。
排卵しない体なので、妊娠は無理だと諦めていたが、病院の治療で排卵することが解り、子供が出来る期待が高まる。
俊の実家近くの湯島のマンションに住む。亜沙子は、結婚前から、俊の実家の楯端家の下町の家族の雰囲気が好きで、そこに家族の理想像をイメージする。長男の子供、舅姑に内孫となる子供を産みたいという願望にもなる。
注射の副作用に苦しみながら続けるが、排卵誘発剤で排卵させ、その時期に合わせて性交するタイミング療法では、なかなか妊娠せず、医者から人工授精を勧められる。戸惑いながらも人工授精を行って、やっと妊娠する。亜沙子の喜びは大きかった。病院スタッフや家族とも喜び合う。しかし、直ぐに稽留流産となって掻爬の手術する。その手術の日は、姉の3番目の子供の出産日と同じだった。手術後、亜沙子が静養していた実家に、姉が赤ん坊を連れて退院してきた。
気持ちの葛藤が有りながら、翌年から、また治療を始める。
直ぐにまた妊娠できると考えていたが、前年の治療期間を過ぎても、再度の妊娠は無く、医者から、不妊治療専門窓口の有る、体外受精に成功した病院を紹介され転院する。そこでの他の人の体験や、更に高度の不妊治療の情報を見聞きする。そのうち、その病院の雰囲気に違和感を感じ始める。
高度の技術のある病院での人工受精に期待が大きかったが、結局その病院でも人工授精に失敗して、不妊治療を続けることに疑問を感じ始める。
再び俊が浜松に転勤になる時期が近づき、俊の意見に従って、夫の良き伴侶で有れば良いと考え、不妊治療を諦めてしまう。
その後も不妊治療を自ら諦めたことに敗北と罪悪感を抱き続ける。一連の喜びと悲しみ、全ての想いを心の奥底に沈殿させた。
2012年。4月から東京に戻ることになった。25年の期間を経て至った今の心境。押し殺してきた『沈めた想い』を今一度、見つめ直したいという気持ちになる。。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-22 09:30:15
39970文字
会話率:24%
手術をしなければ助からないと言われました。
でもわたしは利用価値のない人間。
手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか?
少しでいいから誰かに愛されて
みたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。
生きることを諦めた女の子の話です
★異世界のゆるい設定です
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-12 05:00:00
56178文字
会話率:39%
本リプレイは「アリアンロッドRPG 2E」の公式シナリオである、「早苗は住民登録もしてはいない、殺しても罪にはならない、そして、極悪非道の教育が始まる」収録の「早苗は、健康的で明るい少女である、しかし、寿命は15歳だ、臓器移植提供され、短い
一生を終わる運命にある。」を使用しております。
該当シナリオの内容に触れておりますので、未プレイの方はご注意ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-10 16:13:36
3640文字
会話率:15%
白霧 柚鈴は小児科医。担当患児の病気の治療法がなく悩んでいたある日、偶然その病気の医療漫画を見つけた。
「病気についてここまで描ける人なら、治療法も……」
いてもたってもいられなくなった白霧は、どうにか編集者と連絡をつけて漫画の作者
に会いに行くことに。
しかしたどり着いた先で見たものは、お城のような洋館と―――――――――ペストマスクの妙な青年だった。
大学生で漫画家でもあるペストマスクの青年、もとい黒鷺 雨音。帰国子女で日本文化に疎い彼は、発表されたばかりの治療法の論文と引き換えに、漫画の監修を白霧に依頼した。
「僕と取引しません?」
渋々ながら応じることになった白霧。だが、手に入れた論文に書かれていた治療内容は、高難度の手術だった。今の白霧では、知識も技術も経験も足りない。
途方にくれる白霧を前に、黒鷺は発表前の論文を入手出来た理由を、美味しい手料理とともにあっさり明かした。
「それ、先に言いなさいよ!」
奇妙な関係から始まる、女医と男子学生との、仕事とご飯と恋のお話。
※エブリスタにも投稿しています
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-03 13:15:13
197347文字
会話率:51%
過疎地の医者である私は、二年間も妊娠し続けている嫁の診察を請われ、家人の話では、近頃では具合が悪いと言って寝てばかりいるので、診察をお願いしたという。
本人も、子供が生まれないことを気にしていた。明らかに想像妊娠である。手術を提案すると、腹
の中から子供の声で、切らないで、と頼まれた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-31 21:44:25
6229文字
会話率:27%
未華子は、二十歳。専門学校に通っている。学校が終わるとアルバイト先である個人経営の店【和食処 悠の里】へ直行する。その店の親方は、最寄り駅の商店街で和食店を古くから営んでいた。
ある日、親方は、辞めていった板前の補充をするつもりで、駅の
掲示板に求人広告を出した。それを見てやって来たのが善幸だった。
彼は二十三歳。高校を卒業し、職に就くも興味が持てなかった仕事は潔く辞めてしまう。一言でいえば、忍耐力に欠ける青年だった。
ところが、この店で見習いとしてひと月が過ぎた頃から、魚の捌き方に興味を抱くようになる。包丁など手にしたことがない彼が〝俺は料理人になる!〟と決断したのはこの頃だった。
ある日、事件が起きた。それは、善幸にとって〝なんでもない普通の女の子〟から、異性を意識させるステージへ格上げしなければならないほどの突発的な出来事だった。
未華子は、奥まった小上がりで、衝立て二枚を引き寄せ接客用の着物に着替えていた。突然、パーンッ、パーンッと、二度ほどケツを杓文字で引っ叩くような音を立てる。衝立てが倒れたのだ。露わな下着姿を善幸だけに見られてしまった未華子……。
ある日、未華子は善幸をデートに誘った。東京駅で遅い昼食を済ませ、夜景のきれいな【港の見える丘公園】へと向かった。その途中、山下公園に立ち寄る。山下公園を散策しながら、彼女は自分が大動脈弁膜症で、いずれ大手術を受けなければならない身体であることを打ち明ける。
その後、向かった【港の見える丘公園】では、複雑な家族関係であることをも話してしまった。今となっては、すべてを一気に話してしまったことを後悔した。ある日、親方が病で倒れ止む無く閉店した後、善幸からの連絡は途絶えてしまったからだ。
最初で最後のあのデートから一年が過ぎていた。
山下公園の桟橋に艫と舳を身動きできないように錨泊されている氷川丸。その姿を、未華子はひとりベンチから見据えている……。
善幸は親方から紹介された店で見習いとして再び働きはじめていた。その店で、精神力と忍耐力を身に付けようとしているのだろうか。ともあれ一端の料理人になるために頑張っているに違いない。
でも……もう迎えに来てくれてもいいのでは? と未華子は“ある覚悟”を持って待っていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-28 09:18:53
168449文字
会話率:38%
魔王と呼ばれる古代悪魔族の封印から解かれ、部下を引き連れ、転生者が異世界を命を使い、構築した環境施設を襲い始めた。
一つ一つに地球程の規模があり、日本やアメリカ等の建築物や生物等が再現された世界もあり、スチームパンクの世界などの世界が広が
る。
施設外は正に地獄絵図であり、七つの環境施設から七人の最強を選び出し、魔王討伐を目的とした。
が、集めた七人は一人一人が魔王を上回る戦闘力を誇るが、人格障害と呼ばれる頭のネジが二.三本飛んで産まれて来た異常生物。
そんな七人は奇跡的に性格はあったが、合理的な結論を出した。
「これ、場所教え合って一人で潰した方が早くね?」
「「それな」」
合理的、それ故の親頼で単独行動をし始めた。一人で過剰戦力、七人の性格と宗教嫌いな魔王討伐隊は《七つの大罪》と呼ばれるようになった。
一年後、ミィシェーレ国の王城の前で史上最強の魔王が現れた。駆け付けた現代最強の異能師である暁・ディアドル・レクス・アルドル・ウィンチェスターの一騎打ちが始まった。
古代天使の母の亡骸から産まれ、ベージュ掛かった灰色で、光に照らされれば青やピンクにも見える不思議な髪色を持ち、一つの瞳に二色のを持つ|金眼銀眼《ダイクロイックアイ》と皮膚の色素が不足している|白子症《アルビノ》の掛け合わせ。
オッドアイ+ダイクロイックアイ+アルビノの美しさは母以上と呼ばれ、生まれつきの"最強"であるため、若くして死亡した場合の条件で国家予算並の金額が死体に掛けられている。
左瞳の色は|虹色の瞳《アースアイ》と|深紅の瞳《レッドアイ》、右眼は|紫の瞳《パープルアイ》と|緑色《グリーンアイ》。
この二つの瞳は、集合魔眼と呼ばれる代物で一つの魔眼で二種の能力を持つ。
偶然にも七つの大罪メンバーの一人が救出を手伝うも、都市の四割が壊滅した。
死闘の末に頭部にダメージを受け、最強の肩書きは本人自身から手放した。利き腕である左腕を飛ばされ、右腹に穴が空いた手術に寄り、出力が半分以下に落ちた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-17 23:14:43
7431文字
会話率:40%
この物語は一作目の憧れのスカート、二作目の憧れの医療に続く三作目完結編です。
主人公今村飛鳥は幼稚園へ入園する時、性同一性障害であることが判明しました。しかし、友人の瑞稀、玲奈、久美、匠に支えられ成長します。飛鳥は小学生の頃美彩先生に出会っ
て医師に憧れを持ちます。高校の時は一つ年下の今井恵美子とお付き合いしていましたが、両親の都合でアメリカへ行ってしまいました。
大学では医師になるため勉学に励みます。その時二階堂義樹とお付き合いする事になりますけど飛鳥の心の中では申し訳ない気持ちがあったようです。大学を卒業後、飛鳥は性別適合手術を受けるつもりでしたが、春休みの日程が付かず、断念して北山総合病院で研修が始まります。その後研修も終わり四年目、看護師の南条雫が子宮頸癌になり手術を関連の大学病院でする予定だったが手術室の予定が付かず、知り合いの医師がいる城南医療センターで手術をする事に、しかも手術経験があった飛鳥が執刀する事になりました。手術は成功しましたが、この事が関連の大学病院から非難されす。そんな時、飛鳥は雫と結婚の話が…… 結局飛鳥は左遷される事になり雫と一緒になった後、清川村の出羽診療所で医療活動をする事になります。
ちなみにこの物語は、フィクションです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-06 06:44:09
219350文字
会話率:71%
2042年、駅のホームにて。
痴漢をした中年の男性に体当たりをされ、油断していた主人公は線路に落ちる。
完全に死んだと思っていたが、目を開けるとそこは手術室。
「手術室は成功した」とだけ言われ、別棟に連れていかれる。
ナースに「あなたは書類
上、死亡した事になっています」という衝撃の事実を告げられる。
改めて自分の体を見てみると、明らかに自分では無い体であった。
検査室に連れていかれ、能力があるはずだと告げれる。
言われるがままに発動した主人公の能力とは…?
※この作品は、カクヨムにも掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-04 14:00:00
9680文字
会話率:22%
この少女、大学留年貧困層。一か八か一生一度の大勝負にでる。
2053年、実質的な民主主義の崩壊。資本主義経済による大企業が世界を牛耳る世界情勢の中、ハンナはアメリカ、サクラメントの自身の育った小さな孤児院で暮らす幼馴染を手伝いながら暮らして
いた。
国からの補助金も打ち切られ、現状を維持するだけで手一杯な毎日。夜はコンセプトバーで働き、病みそうな身体を酒とタバコでごまかす日々。
そんな中孤児院の子どもが突然倒れてしまい、医者からは手術をしなければ助からないと言われる。
高額な手術費用を当然払えるはずもなく、募金活動を行うも資金がたまる気配はない。
手を尽くすも、行きつけの酒場で酔いつぶれることしかできないハナは、帰り道に空から降ってきた謎の少女「サティール」に出会う。
サティールは最強の手足となる代わりに、自分と契約をしてほしいと言う。サティールに泣きながら身の上話をした酩酊状態のハンナは、話を理解しないまま承諾してしまう。
翌朝、どうやら契約とやらを交わしてしまったハンナは、この状況を利用し、自分の人生を変えるための大博打に出ることを決意する。
一たび浴びてしまった大勢の脚光に、それまでに味わったことのない自分の存在意義と、多額の収益にハンナは配信業界という名の血の海(レッドオーシャン)に溺れていく。
乾くことのない承認欲求は、周囲を混沌(カオス)へと巻き込んでいき、やがてアメリカ全体を巻き込む大事件へと発展していくのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-01 04:49:01
25513文字
会話率:50%
「すいません。彼氏の高校時代の初恋を摘出して欲しいんですが、それって保険って効きます?」
「ええ、恋は病ですからね。きちんと保険は効きますよ」
最終更新:2023-07-28 22:46:25
3292文字
会話率:57%
性格を変える手術。あなたは受けますか?
最終更新:2018-11-09 21:13:34
2926文字
会話率:54%
理は売り切れたクロワッサンと同じものを今すぐ作ってもらおうと、事故に遭った少女を勝手に手術して助ける。そしてその事故を起こした犯人を殴ってやることにしたが、どうやら理と同じく人間ではないようで――。
最終更新:2023-07-21 08:26:19
8927文字
会話率:53%
地方競馬の北関東競馬にスターホース「アムロ」が出現する。それをスポーツ専門雑誌のヒーローの記者御子柴ちとせが取材するところから物語は始まる。御子柴は北関東のとちぎ競馬場(モデル:宇都宮競馬)でその馬アムロがレコードタイムで圧勝するところを目
撃し、その馬のとりこになる。
村井厩舎所属のアムロは軽度の屈腱炎を患っていた。レースにはだましだまし出走していたがそれでも圧勝していた。そしてその馬のオーナーの阿部の息子は心臓病で移植手術しか助かる道がなく、かつ自身が経営する工場が倒産の危機にあるといった不幸のどん底にあった。アムロは病気の息子祐介が牧場で見染めた馬でその馬の活躍が祐介の生きる希望だった。村井厩舎の村井の娘、歩美はその祐介の幼なじみで友人だった。歩美は馬の気持ちがわかる特技をもっていた。アムロの気持ちがわかるのである。アムロは祐介のために走る、祐介とアムロにはそういった絆があった。
アムロは復活できるのか、そうして祐介を救うことが出来るのか折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-19 12:48:17
215281文字
会話率:66%
心臓の手術を受けた彼方は、夜勤で訪室した看護師の彩をベッドに招く。
「おっぱいだって触り合った仲じゃん」
最終更新:2023-07-18 00:14:20
4658文字
会話率:50%
時は學暦《がくれき》千八百年代。
銀河内の交流が始まってから数百年が経ち、六十年かけて行われた対話による政治的取引の成果により、銀河内の多くの惑星は互いに無血開星に至った。
しかし、法的整備はさほど進んでいないのが現状。
なぜなら、
お互いの身体――生体組織には、医学的にも魔術的にも、計り知れないほどの価値があるからだ。
特にパンドラ星の煌珠《ファンジュ》族の身体はどの部分も地球人にとってはとても魅力的に映った。
理由は、地球人が長年憧れてやまなかった〈魔法〉を使いこなす種族が煌珠《ファンジュ》族であり、その生体組織を摂取すれば地球人でも魔法を使うことが出来るようになるからだった。
春辰《しゅんしん》の家族は十年ほど前、地球人の人身売買組織による『煌珠《ファンジュ》族狩り』の被害にあい、当時二十歳だった姉、鴉雛《あすう》を誘拐されてしまった過去がある。
誘拐された鴉雛《あすう》は、地球や他の星々の研究者グループと共同で、ある商品の開発を手掛けていた。
それは煌珠《ファンジュ》族から採取した生体組織を使って作る『香水』だった。
美容院でもらった髪や、手術中に廃棄になる血液や臓器などを使い、煌珠《ファンジュ》の持つ〈魔法を使う力〉を化学薬品として抽出。
何度かに渡る治験により、その香水を使えば、地球人でも一定時間魔法が使えるようになると証明されつつあった。
鴉雛《あすう》はその香水を販売することで、煌珠《ファンジュ》が狩られるのを防ごうと研究していたのだ。
販売まであともう少しだった。
春辰《しゅんしん》は、警察には言っていない、言っても無駄な、犯人のある特徴をずっと覚えている。
犯人も、それは知らないだろう。
なぜなら、姉が春辰《しゅんしん》をかばってくれたから。
あの時、本当は春辰《しゅんしん》が誘拐されるはずだったのだ。
春辰《しゅんしん》には、嗅覚で感じ取ったものを〈色〉として可視化する能力がある。
誘拐犯たちが求めていたのは、その能力だった。
(あのとき感じた〈赤い〉におい。あんなにも鮮やかで混じりけのない〈赤〉は、あれ以来、一度も目にしていない。あいつ特有のにおいなんだ)
春辰《しゅんしん》は自分に誓った。
姉を必ず取り戻すのだ、と。
※カクヨムにも併載
※平日更新折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-12 20:00:00
112818文字
会話率:39%
不幸というものは私たち人間が知らない間に爪を研いでいる。
「杉音さんは余命三ヶ月です」
余命三ヶ月になってしまった主人公と、寿命を譲渡する彼氏、葛。二人の悲恋の物語。
最終更新:2023-07-10 07:01:08
4074文字
会話率:36%
今すぐ心の整形手術が必要です。
最終更新:2022-12-19 15:00:00
2856文字
会話率:36%
この国の殿様は、否殿様の代々の家系は不老不死を求めてきた。
特に今の殿とその父は苛烈で、様々な諸国の数多ある逸話を元に、不老不死の妙薬を探し求めた。
初めは不老に効くと言う果物の採取から、植物、動物に至るまで収集し効果を報告させたが、そ
のどれもが効なく、さらに効能が確認できていない若返りの注射や外科的手術に至るまで、あらゆる実験を行ったが、全く変化がない又は一時的なものでしかなかった。
実験には、敗戦大名の赤子から老人まで多くの犠牲を払い、出来るか出来ないかもわからない薬を研究し続けた。
それも国の為ではなく、殿様個人の欲の為に。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-09 13:36:39
6354文字
会話率:13%
「お前、金と友情だったら、どっちをとる?」
親友からの質問は、孤島サバイバルの始まりだった――高2の一爽(イッソウ)は学園の真実を知る
葉月一爽(はづきいっそう)は、横浜の海浜高校二年生。人工島に作られた高校で寮生活をしている。平凡な
高校生活を送っていたある日、突然親友の永友優吾に身柄を拘束され、寮の地下にある施設に連行されてしまう。
優吾の説明では、一爽は特殊能力を持つプラチナベビーズのひとりであり、この島は彼らを人間と認めるかどうかの観察実験のために作られた島だという。優吾は一爽を担当する監視者だったのだ。難病の弟の手術代を稼ぐため、仕方なく監視者として契約したのだと話す。
そして、現在はプラチナベビーズのひとりである弥生真尋が監視の目をくぐって逃走したため、島の警戒レベルが上がり、一爽も身柄を拘束されたのだった。一爽は拘束中に、同室にいた元監視者でハッカーの芝虹太と仲良くなる。
やがて、プラチナベビーズのリーダー、吉住類に依頼された狩野理央が、大型銃器ガウスガンを持って一爽を救出にやってくる。
一匹狼を気取る虹太は、単独で脱出を目指すという。解放された一爽は、プラチナベビーズとと監視者との膠着状態の打開と、優吾との和解を求めて、キーパーソンらしき類の自宅へ向かうのだが……。
友情のため、島を放浪する一爽。やがて明かされる、分断と対立の構図。
「知識はないけど行動力だけはある一爽」と、「知識はあるが仲間がつくれなかった虹太(コウタ)」の二人は連携し、平和的解決を目指す!
※サバイバルホラーではなく、ヒューマンドラマ寄りの近未来SFです。ただし、やや残酷な描写や死亡シーンはありますので、苦手な方はご注意ください。
※この作品はエブリスタ、カクヨムにも投稿しています。(エブリスタが旧バージョン。小説家になろう、カクヨムが最新改稿バージョンになっております)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-06 15:00:00
160019文字
会話率:41%
栗須は緑内障を患ってます。そのおかげで日常生活にも色々と支障が出ている訳ですが、折角の経験ですので形に残そうと思いました。目は4回、それ以外を合わせると計10回の手術を受けて来たのですが、振り返ってみると中々に面白いものでした。
いつか
これを元に作品を作れれば、そう思ってます。全10話、眼科編は第4話からになります。よろしくお願い致します。
●症状に関しては、あくまで栗須の知識であり実体験です。調べてはいますが、間違った表現があるかもしれませんのでご注意ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-05 20:00:00
19646文字
会話率:8%
少し未来の話。人型兵器〈AFM〉が戦場に投入され、企業が軍隊を持ち、戦いは公然とした金儲けの手段になっていた。機械式臓器の埋め込み手術で多額の借金を抱えた傭兵のカイトは、携帯端末にインストールされた人工知能のヨナと共に、東南アジア海域に浮か
ぶ人工島『浮揚軍港』に住み着いている。潜行機を駆り、海賊を討伐する傭兵稼業をはじめて一年。謎の女社長、ユーミから期間契約を提案され、カイトのもとへ届けられたのは日本製の潜行用AFM。その名は『伊號』。それは、かつて企業軍人だったころ“ブルー・リッパー”の異名で知られたカイトの愛機だった……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-03 00:47:29
169142文字
会話率:52%