第一幕
刀根田村。
古来より。独自の神、八千矛神(やちほこのかみ)を祀るその村は、毎年神事に供物を捧げていた。
だが、十年に一度。
八千矛神に生きた贄を捧げていた。
そして今年、選ばれたのは『椿』という名の妙齢の女。
咲いたばかりの百合
の花の様に美しく、今にも散ってしまいそうなまでに儚げだ。目線は虚で視線は定まらない。
されど、椿は己が生贄の花嫁である事を知っていても尚、逃げる意思はなく、手を引かれるままに歩く。
その先にあるのは、八千矛神がいるとされる大きな蔵。
椿は七日、そこで花嫁としての勤めを果たす事になる。
日の光も届かぬ蔵の中にいる、神の花嫁として。
蔵の中。蠢く暗闇の存在と出会う――
第二幕
蔵から出た二人は、互いに人とは違う存在でありながらも、決して手放せない存在に寄り添って生きる。
春。
とある宿場町。
そこは山桜が有名で、特に丘の上から見る水鏡に映った山桜が絶景と有名だった。
二人もまた、その名所へと足を運んでいた。
だが、絶景と言われた山は枯れ野の様相。
何が起こったかは知らないが、旅籠で椿は山の方角を眺めるだけ。
そんな時、椿はしとしとした声を聴く。
今も、椿の耳は不可思議な声を拾うままだ。
その声に気取られて耳をすまそうとするも、朧が阻害する。
同調しすぎてはいけない。
二人は早々に街を出ようとするも、想いもよらぬ人物に足止めを喰らう。
春を嘆く女。その正体とは――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-19 20:48:36
90990文字
会話率:31%
無実の罪で王太子から婚約破棄を言い渡され、罪人にされてしまった侯爵令嬢のダリア。危機に瀕した彼女の目の前に現れたのは、美しい花の精霊ウィリアム。
ウィリアムは女神の庭園を管理する『花守』の役目を担う特別な精霊で、彼は生贄の花嫁としてダリアを
見初める。
「皆があなたの居場所を奪うのであれば、私が攫って花の楽園へお連れしましょう」
そう言い、ダリアの手を引いて女神の庭園へと誘う。
婚約者に疎まれて傷心だったダリアはウィリアムからの愛情に、孤独を抱えていたウィリアムはダリアからの愛情に、救われていく。
これは、悪女にされた令嬢と、そんな彼女を一途に想い続けてきた花の精霊の異類婚姻譚。
※カクヨム様、アルファポリス様にも掲載しております折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-30 20:00:00
9956文字
会話率:29%
多額の借金を抱えたシャムロック子爵家のマーガレットにひとつの縁談が舞い込む。借金返済と弟エリックの学費のために黒い噂のあるセイブル伯爵様のもとに嫁ぐことになった。
「地下室にさえ行かなければ屋敷の中で自由に暮らしてくださって構いません」
ところがある日、地下室に入ってしまって……。
借金返済のために嫁いだマーガレットが黒伯爵様にいつの間にか愛されていたというおはなしです。
全8話くらいで完結予定です♪
*遥彼方さま主催『共通恋愛プロット企画』参加作品です
*遥彼方さまの異世界恋愛プロットを使用しています
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-08 15:09:26
16504文字
会話率:46%
亜傘栗子は少女小説家。好きなコージーミステリは出版出来ないが、シェアハウスで楽しい毎日を送っていた。
栗子の担当編集者の滝沢亜弓も今まで恋愛は上手くいかなかったが、町に新しくやってきたイケメン陰謀論者に一目惚れ。
そんな中、子供が誘拐され町
は恐怖に包まれていた。過去にもこの町で子供の誘拐事件があったというが、奈良時代に生贄に捧げられた娘の呪いだと町に住む霊媒師が騒ぎ始める。町の唐揚げ屋店主も何者かに襲われ、年末の町は大混乱に陥ってしまう。
栗子が過去に書いた生贄になるヒロインの和風溺愛シンデレラストーリーが事件の謎を解く鍵…?栗子達は子供達を救う為に奔走する!
見た目は羊だが中身は強烈おばさま探偵×残念美人助手の本格和製コージーミステリ二弾。※未完工事中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-04 04:00:00
82490文字
会話率:49%
「竜の花嫁」になるよう言われたアメリア。それは王家の秘事であり、世間では生贄だと噂されている。不安を胸に旅立ったアメリアが会ったのは……。
竜の血を引く男と、その「竜」の番(つがい)になった娘の物語。
(お話の中で竜型をとることはありません
)
こちらはムーンライトノベルズに投稿した同名小説を、全年齢向けに改稿したものです。同内容を複数のサイトに投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-06 20:00:00
105175文字
会話率:43%
私生児の生まれゆえに冷遇されて育ったエリーゼは、婚約者を亡くしたばかりの心痛の中、残虐な野心家と評判のヴォルフリート将軍と強引に結婚させられる。戦勝の褒美として不遜にも王女との結婚を望んだ将軍を牽制するための、生贄のような立場の花嫁だった。
彼女の婚約者を戦場に散らせたのは、その将軍だというのに。
将軍にとっても彼女は押し付けられた妻ということになる。どんな仕打ちを受けるのかと震えるエリーゼに、けれどヴォルフリート将軍は穏やかに告げる。婚約者の復讐を望むなら叶えよう、と。噂される残虐な姿との乖離に驚いたエリーゼは、将軍の素顔を知りたいと思うようになる。
しかし将軍が心身に負った傷は深く、なかなか近づくことはできない。多くの命を奪ったことへの罰として、彼は自らの死を望んでいたのだ。それを知ったエリーゼは、彼を救いたいと思うようになるが──
蔑まれる令嬢と恐れられ嫌われる将軍が少しずつ心を通わせ、夫婦になるまでの物語。
カクヨム先行公開です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-04 08:02:06
181392文字
会話率:52%
男は玉座を掛けた戦いに勝ち、権力を手に入れ、遥かな高みを臨む存在になるために「悪」と契約をした。その代償として「花嫁を捧げる」と約束をして。そして男は絶大な力を手に入れ、戦争で勝利を治める――はずだった。
結果として男は戦争に敗れて死に、契
約だけが生き残った。やがて生贄の花嫁となる赤子が誕生する。己の運命の結末も知らぬ間に。
ヘタレヒーローとマイペースに突き進むお姫様の不器用な交流物語。
これは「悪」と呼ばれる存在と交流する者たちの、語られることのない日常のお伽噺。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-03 12:00:00
8958文字
会話率:45%
昔々、何処かの話。
山奥の櫻ヶ淵には、ヌシ様と呼ばれる水の神が棲んでいた。
これは、ヌシ様のもとに生贄の花嫁として輿入れした娘:さやの物語。
最終更新:2014-06-17 19:00:00
7059文字
会話率:28%
火事が起きた際に見知らぬ男たちに連れ去られてしまったエレン。着いた先は悪魔を崇拝するランズウィック家で、エレンは今年の生贄として儀式までの一ヶ月間地下に幽閉される。そこで出会った見張りの青年は、なぜかエレンを溺愛する。混乱と絶望の中で少しず
つ芽生える、彼に対する恋心。悪魔の花嫁と看守の恋は実るのかーー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-05-03 23:06:54
76405文字
会話率:35%