「俺は恋なんかしていない。
ただたまたま“日本の未来”と、少し近すぎる距離に座ってしまっただけだ」
神田吉兵衛、三十五歳。
月給で暮らす、ごく普通のサラリーマン。
誰かに注目されるような人生なんて、一度も考えたことはなかった。
ましてや、相
手が“日本の総理大臣の娘”だったなんて。
伊豆原真澄。
経済学博士号を持つ、致命的な美貌と知性を兼ね備えた若き女性。
彼女はただ世界を理解しているだけじゃない。
“世界そのものを変える”つもりでいた。
だが、その第一歩に必要だったのはもう希望を捨てたのに、まだ鋭く物事を見通せる男。
艶やかな笑み。
カフェ缶を片手にした軽い雑談。
気の抜けたような冗談。
その奥には、国家の権力構造、政策のベクトル、そして崩れかけた日本の未来が隠されていた。
彼女が差し出したのは恋愛でもなければ、英雄譚でもない。
それは、言葉にはされない“契約”だった。
愛人でも、救世主でもなく。
思考する“兵器”として、彼女の隣に立てるか。
そして神田は、人生に染みついた疲れた皮肉とともに、
誰も検索できない問いに向き合うことになる。
「もし“未来を与えてくれる”と言われたら、
自分にそれを持つ資格があるのかも分からないのに、君はどうする?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-24 00:09:03
41839文字
会話率:26%
書籍版「従魔とつくる異世界ダンジョン」全三巻、発売されています。
ひょんなことからマンションの自室に異世界への門を発見した主人公は、好奇心から門をくぐってみる。着いた先は異世界の洞窟。そこで瀕死の小動物たち(モフモフにあらず)を見つけた彼
は、動物たちに救いの手を差し伸べる。そうこうするうちに、自分がいつの間にやらダンジョンマスター(?)になっているのに気づいた主人公は、従魔となった小動物たちとの目立たず静かな引き籠もり生活を守るために孤軍奮闘する。ところが、この世界の異分子である主人公の行動は、本人が予想もしない方面に影響を及ぼし始める。挙げ句にはどこで間違えたのか、黒幕として亡国の陰謀を巡らす始末。引き籠もる予定はどこへいった。
自重を捨てた、あるいは熟慮を捨てた主人公の行動を誤解して振り回される王国首脳ほかのお偉方。そして、お偉方の反応に逆に困惑させられる主人公。両者が紡ぎ出す誤解と勘違いのスパイラルは、この世界の歴史に斜め方向のベクトルを与えてゆく。
主人公は可能な限り人との関わりを避けようとします。
ダンジョンコアは少し遅れて登場します。
一話の長さは基本的に短めです。
R15と残酷描写は保険です。
書籍版のストーリーも基本的にはWeb版と変わりませんが、新たに二名の女性キャラが追加になっています。カバーイラストおよび詳細情報については活動報告をご覧下さい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 19:00:00
2884846文字
会話率:60%
平凡でさえない兄、青山和哉の唯一の自慢は、2歳年下の可愛くて巨乳の妹がいることだ。
そんな妹に悶々としていた高3の春、意図せず彼女の秘密を覗き見てしまったことで、兄妹の関係が、思わぬベクトルに動き出す。
妹よ、頼むから俺をおかずに致すのは程
々にしておけ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-20 20:14:05
206169文字
会話率:47%
生まれ変わっても自分はモブだろう。
そんな男が死後生まれ変わった先は頭の中に勇者と魔王が住み着く赤ん坊だった。しかも生後数か月で捨てられ、廃墟の中の公園で途方に暮れる主人公。
なんとか生き残る手段を見つけるが、居候の片割れ(勇者)か
らは常に『品行方正』であることを強要され、もう片割れ(魔王)は常に『体を寄越せ』と脅迫してくる日々。
どうにかこうにか生活環境を整えた主人公は喧嘩の絶えない二人にサブカル文化を布教もとい洗脳――教育した結果、
勇者(くっころ系美女)「ょぅι゛ょ こそ至高。ただし魔王、お前はダメだ」
魔王(ロリババア系メスガキ)「究極はおねえさんに決まってるのじゃ。ただし勇者、テメーは除く」
一般人(女顔の主人公)「やっちまったぜ☆」
別ベクトルでやばくなった。
勇者&魔王&主人公「「「グッズ欲しい、円盤欲しい、推しにスパチャしたい」」」
けれど意外と仲良くなっていた。
これは現代ダンジョン系ゲーム(プレイ済み)の世界で、ゲーム本編にも登場する勇者と魔王の脳を焼いてしまい、キャラ崩壊という名の原作ブレイクを起こしてしまった主人公が世界崩壊(バッド)エンドを回避するため、女装させられたり百合営業させられたり、推し活したりしつつ奮闘する物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-20 19:04:13
82974文字
会話率:38%
白髪こそが“正義”であり、黒髪こそが“悪”である──
そんな国の政府の諜報部隊であり、白と黒の混色の髪を持つ皇剣真[すめらぎ けんしん]は、世の中の理不尽さに抗いながら、ある強い信念を持っていた。
そんな彼とタッグを組むことになった霞城瞳后
[かじょう ひとみ]は、彼とベクトルが違いながらも、様々な事件の解決や戦闘を通して、次第に同じ方向へと向き始める──
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-19 10:40:20
15398文字
会話率:39%
文章について思ったことです。
最終更新:2025-07-12 22:00:00
284文字
会話率:34%
数学的な図形に関する話しです。
最終更新:2023-12-30 13:19:50
772文字
会話率:0%
共に研究者をめざしながら、道を分つこととなった友へ捧ぐ。
最終更新:2023-06-10 09:00:00
412文字
会話率:0%
――2人とも真面目です。ほんとに。――
【世界観共有日常系学園百合小説企画群・『星花女子プロジェクト』(Twitter:@sjp_lilyworks)第14弾参加作品】
立成20年度の星花女子学園高等部1年1組。
そこにいる、とある
2人の生徒。
一人は、格好いい生徒会長を目指す真面目な女の子、葛城 直葉。
彼女は困っている人を助けようと……して空回りしてしまっても、気にせず日々努力を重ねているようです。……どこからかうじうじする声が聞こえるのは気のせいでしょうか。
そしてもう一人、これまた生真面目な女の子、鉄木志保。
吹奏楽部に所属する彼女は、チューバでとても正確なリズムを刻みます。……でも正確過ぎて、どこか機械のようですね。彼女の顔も、いつも強張っていて堅苦しく思えます。
真面目な2人の女の子。
似ているようで似ていない、でも確かに繋がるものがあるように見えますね。
志保と直葉。
方向性(ベクトル)の違う真面目女子同士が惹かれあう物語、はじまりはじまり。
※ラブコメで出しましたが展開によっては恋愛カテゴリに移るかもです
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-12 08:30:00
8124文字
会話率:39%
ろくでなし詩集
ろくでなし詩集1:ベクトルの違い
私は若い頃 結構馬鹿だった
そして今 やはり十分馬鹿だ
ベクトルは違うかな
それと 歳を取ってずるくはなった
まあいいじゃん もうすぐおわりなんだから
ろくでなし詩集2:あり
のままに
ボクは 頭が良い
ボクは 脚が早い
ボクは ケンカが強い
みんないいなあ
俺はどうしよう
ありのままなんていうなよ
ありのままが一番やばいんだから
ろくでなし詩集3:あの頃の自分に言ってあげたいこと
あの頃の自分に言ってあげたいこと
どうせなにをしてもろくなことにならないよ
あの頃の自分に言ってあげたいこと
時間は何も解決してくれないよ
あの頃の自分に言ってあげたいこと
希望があるから人は不幸になるんだ
あの頃の自分に言ってあげたいこと
人生は不公平で不条理だから意味があるんだ
あの頃の自分に言ってあげたいこと
取り返しがつかないことはある。でも、なんとかなるもんだよ。
ろくでなし詩集3:最終周回にて
私はエゴイストだ
そんなことはわかってる
私は優柔不断だ
そんなことはわかってる
私は運命なんて言葉に甘えるのは止めた
私は絶望なんて言葉に甘えるのは止めた
私は何かのために生きたことはない
私は誰かのために生きたことはない
私は赦したことも赦されたこともない
私は孤独も繋がりも
もう知ることはないだろう
ろくでなし詩集4:言葉はいつも届かない
言葉はいつも届かない
ぬくもりはいつも伝わらない
やさしさがポワポワとはじけて
はかなさがたち上ぼった
もどかしさがフルフルところがって
ゆっくりと浮びあがった
いとおしさがクプクプとふくらんで
静かににじんでいった
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-09 07:49:01
651文字
会話率:0%
諭羅と会うと、振られる話が決まっている。
大抵は最愛の妹の話か、俺と鏡花との関係である。
鏡花とは上手くやってる?
面倒臭くない?
率直に聞かないのが、本当に諭羅らしい。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳
御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
面倒臭さのベクトルが少し違うんだよ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 21:51:54
999文字
会話率:52%
ベクトルと標準を合わせる様に。
と兄さんから教わったが、自分の中でしっくりハマる事はなく、頭を悩ませていた。
テーマに沿った言葉を取ってこい。という事は分かったが、そのテーマって?
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら
申し訳御座いません。
注意事項2
創作部。の二人。
妹がどうやって言葉出しを行なえば良いのか悩む場面。
あんまり難しく考えなくて良いんですよ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-01 06:55:24
1103文字
会話率:39%
「場面描写して、今此処で」
兄さんに連れて来られたのは神社だった。元旦前日のせいか、人も少なく大人二人が棒立ちになっていても邪魔にならない。
「反省を生かして書いてね。ベクトルと標準を合わせて」
なんじゃそりゃ。
注意事項1
起承転結はあ
りません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
創作部。の二人。
大晦日に会うことにしました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-31 13:50:25
1142文字
会話率:49%
港街アーデルバードは、漁業も盛んだが、ダンジョンがあることで有名な街である。ダンジョンは、地下に広がる洞窟状の迷宮だ。そこには魔物が住んでいて、それを倒して素材をはぎ取り、地上に持ち帰ると金になる。古代の魔法使いが作ったものと言われている
が、詳しくは誰にもわからない。
浅層で小遣い稼ぎをする者、深層で己の実力を試す者、ダンジョンに挑戦する者に傷薬を売りつける者、街はダンジョン関係者で溢れていた。
働き口を見つけられなかった捨て子のパドマは、特例でダンジョンに入場することを認められた。誰にも期待されることのない薄暗い場所での金にならない仕事だった。だが、そこで少女は、ささやかな楽しみを見つけ、躍進していく。
奇跡の新星パドマとして、時に憧れられ、時にからかわれ、危険なことなど何もしたくないのに、力づくで深階層に挑戦させられる物語り。
最後まで書き上げることができたなら、最奥を覗くかもしれないし、全然関係ないベクトルに乗ってしまうかもしれない。物語りのラストは、きっとフライパンは活躍しない。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-27 13:13:55
2154988文字
会話率:51%
あなたのいる教室、職場、コミュニティは、本当に心地よい場所ですか?
物語の舞台は、どこにでもありそうな普通の高校の教室。
しかし、その空気は、見えない棘を含んでいつも少しだけギスギスしている。
その中心にいるのは、月影蓮。
容姿端麗
、成績優秀、誰からも慕われるクラスの「王様」。だが、彼の玉座は、友人たちの不平や不満、怒りといった負の感情を「共感」という名の蜜で吸い上げることで、かろうじて保たれていた。
「あいつが悪い」「社会が悪い」――その言葉は、悩める者たちに一時的な安らぎを与える、心地よい毒だった。
その、淀んだ世界に、静かな波紋を投じる少女がいた。
一色ひかり。
太陽のような笑顔と、物事の本質をすっと見抜いてしまう、不思議な力を持つ。
彼氏のことで悩む友人に「彼が悪い!」と断罪する蓮。
ひかりは「そのツラい気持ち、どうしたい?」と、問題のベクトルを本人へと向ける。
理不尽な顧問に怒る仲間に「わかる!」と寄り添う蓮。
ひかりは「その怒りのボール、キャッチしたのは自分だよ」と、世界の捉え方そのものを変えてしまう。
彼女の言葉の根底には、仏教の智慧や複雑系の科学がある。
だが、作中に難解な専門用語は一切出てこない。
「『私』って、色々な部品でできたブランドみたいなものだよ」という言葉は、容姿に悩む少女の自己認識を根底から覆し、「一滴のインクが広がるように、世界は勝手に変わっていく」という視点は、クラスの空気を劇的に変容させていく。
ひかりの言葉は、誰かを救済する「答え」ではない。
聞いた者が、自らの力で立ち上がるための「問い」なのだ。
その問いに触れたクラスメートたちは、ひかりに依存することなく、自ら考え、行動し、互いの「違う形の真実」を尊重し合う、成熟したコミュニティを、まるで生命体のように「自己組織化」していく。
しかし、この物語の本当の主人公は、最も大きな変化を遂げる月影蓮かもしれない。
絶対的な「正しさ」という名の壁に囚われ、孤高の王座から転落した彼が、いかにして自分自身と和解し、世界と再び繋がっていくのか。
「きみが世界を変えるんじゃない。きみが見ている、そのすべてが、きみの世界なんだ」
読後、あなたの目の前に広がる日常の景色が、昨日までとは少しだけ違って見えるかもしれない。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-23 20:00:00
45279文字
会話率:17%
長編を書こうと思って書き出して、アイデアが足らずに短編になったお話をまとめました。
青いスカートを履いた猫とはまたベクトルが違いますのでご了承ください。
最終更新:2025-06-03 22:45:54
18560文字
会話率:5%
「決めた! 私、学校に通うのよ!」
「諦めたらどうですか」
若干9歳で天才魔術師と言われ、「楽しい」をとことん目指すベリル帝国第三公爵家の長女、サラ・フィールズはそう宣言した。
だが、それは帝国でも有数の力を持つ彼女でも簡単なことではな
い。長年他国との交流を絶っていたため、他国の王族貴族の子女が通う【学校】に帝国は参加していない。通おうと思えば、まずは【学校】に出資するところから始めなければならないだろう。
だが、幸運なことに彼女にはそれを可能にできる友人がいた。
「私だけならともかく、あなたならできるでしょう。死神ノア・クロフォード」
「仕方がないですね。これも、【目的】のためです。」
こうして、学校に無事入学することに成功したサラとノアだったが、入学初日から大騒ぎになってしまう。
「友達、できるといいなぁ〜、接触できないけど」
「……」
その上、二人は別ベクトルで重度のコミュ障であった。
諸事情により、サラは人と目を合わせることができず、触れず、話しかけることができない。
ノアはそもそも意味のないことを話す気がない。
二人は無事、学校生活を遅れるのだろうか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-26 23:36:52
4346文字
会話率:43%
百年の時を経た現代に於いても、未だその正体の今一摑めないシュルレアリスム、ダダイスムについて、素人考えながら私こと色街アゲハが解説する文章です。割と思い付きで書いているので、合っているかどうかは保証の限りではありませんが……。
最終更新:2025-05-16 07:33:13
9030文字
会話率:20%
これからのAIの時代をどう生きていくかの1つの哲学童話
最終更新:2025-04-26 20:30:43
2455文字
会話率:32%
日記とかエッセイとか
最終更新:2025-03-14 01:00:31
987文字
会話率:0%
矢印は常に定まらない。
キーワード:
最終更新:2025-01-13 22:48:20
589文字
会話率:0%
☆ 猫被りの為のメソッド、連載中☆
「今までの提出書類の不備:0」の総務部高感度ダントツ第一位男が書類不備?
旅費精算のミスを発見してしまい、困惑する総務の梶川祥順(かじかわよしゆき)。
当の滝川浩和(たきがわひろかず)とのやり取りで判明
したミスの原因は、なんと失恋だという。
ひょんなことから始まった友人関係だったが、浩和は予想もしない祥順の一面を暴いてしまう事となる。
知れば知るほど振られるような人間には思えない浩和と、知れば知るほど私生活が枯れている祥順。
この二人、仕事では同じベクトルだが私生活はまるで正反対。
仕事以外は結構ダメンズな祥順とスパダリ系挑戦大好き男な浩和。
よくある仕事中のミスをきっかけに、男達(+α)の恋模様が描かれていく。
*リバップル、百合ップルあります。
*現時点における内容の三分の一は料理の話です。
*ムーンにて「書類不備の【裏側】」という番外編を掲載しています。成人している方は是非!
【毎週金曜、20時更新/1話あたり2,500~3,000字程度】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-25 23:00:00
514422文字
会話率:40%
西暦2157年
この国は人々が思い描いた楽園とは掛け離れた、超格差社会が到来していた。
中央集権制が崩壊し、『セクター』と呼ばれる自治区に分権化された国家となり、それをAIの『ADM』が統治する。
聳え立つ高層ビルの間を縫う様に自動車
は空を飛び、道路は発電装置で埋め尽くされ、その全てが人工物で覆われた世界。
そこに生きる人々は首元に付けたウエラブルデバイス『PICT』により、人と人の直接的なコミュニケーションが減少するも管理下の平和を享受していた。
そんな日常の中、突然起こる……。
──厄災の日──
『天魔』と呼ばれる、人類の天敵が出現する事で、人々は地下シェルターでの暮らしを余儀なくされてしまう。
その絶望の中、天魔に対抗する力を持つ少女『アクム』と、記憶喪失の少年『ナイン』という2人の主人公目線で物語は進む。
彼らは天魔の脅威を退ける事が出来るのか?
そして、最後に待ち受ける選択の先にある未来とは……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-20 19:30:00
194037文字
会話率:32%
ある日、小さな男の子のところに文字型のビスケット、カロピーが助けを求めにやって来る。
「おかしのくには、いま、たいへんな、ききに、みまわれているんです」
カロピーが言うには、謎の伯爵、ティンバー・ブートレグ卿が突如として現われ、数々の悪
さを繰り返しているのだとという。すでに大勢の仲間もブートレグ伯爵に浚われていた。折も折り、重力通信の-便りに、宇宙大怪獣「なんでもたべちゃうゴン」を退治した男の子たちの武勇を聞きつけたお菓子の国の住人たちは、そんなお菓子の国の窮状を打破するため、男の子の元にカロピーを送ったのだった。
「それに、お菓子の国には子供、少なくとも子供の心を持った人しか入れないのです」
闘志に燃える自在猫のシュレーディンガーと、いやがる飛行犬の弘左衛門を好物のジャムパンで説得した男の子たち一行は、
「本当に危ない目にあったら使いなさい」と、弘左衛門の飼い主、大乗寺啓之助翁から授かった三つの願望具現化球を携え、お菓子の国へと出発した。
自動販売機に食べられることによってお菓子の国への移動を試みた一行だったが、その行動を察知したブートレグ伯爵が販売機のベクトル指向を改変し、男の子たちを〈非在の森〉に落下させた。そこは恐怖の公害怪獣、なんでも欲しがる「タコペロリン」の生息地であった。ヌメヌメの体皮を持った、真っ赤な怪獣、タコペロリンが男の子たち一行に襲いかかる。タコを苦手なシュレーディンガーが気を失ってしまったため、テレポーテーションでで逃げることもできない。男の子たちの持ち物がひとつひとつと強力な吸盤に吸いつけられては消えていく。
「くれっ、くれっ、くれっ。今度はお前たちの命をくれっ!」
吸い取ったものを飲み込んで、どんどん巨大になってゆくタコペロリン。小さな男の子、絶体絶命の危機!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-20 09:08:46
107829文字
会話率:50%