豪商、大地主がお大尽なんて呼ばれて、そこの石畳を闊歩してた残り香が未だまだ漂って、午ひる下りになれば、お天道さんが傾くのとは逆に通りばかりか路地まで花街の色香が、ジトッと湧いて時分の話さ。初めて耳にしたときは、どこぞアタマの温あったかくな
った女の拵えばなしだとみんな思ったね。
家路へと歩き出すと、気配だけが二間と離れずに付いてくる。虫食いの明かりばかりの闇夜の道で、振り返らなくてもおとこの履き古して抜けた白いズボンから形の良いお尻が小気味よく左右に揺れているのは、わかっている。
翌朝、すぐに、そいつが鼻腔を擽ったくすぐったんだ。「お粥たいたから、食べようか」
鍋の蓋を開けると、開けるまでじっと中に潜んでいた蜂蜜の匂いが白い湯気と一緒になって四角い部屋の天井までを一気に包み込む。既におとこが用意してくれた茶碗と汁椀それぞれが湯気で綿帽子かぶったみたいになってちゃぶ台に並んでいた。熱いだろうからと、持ちやすいほうの汁椀を渡され、箸を入れる間髪もいらぬまま汁をすするように粥は腹に落ちていく。一息でなく、ゆっくり長い時間がかかっているのに、息をつかぬ長いときが挟まっても苦しくなることはない。水の生き物が故郷の海に戻った安堵感に抱かれた静かさのまま、経っていく。こんなにも鼻腔は蜂蜜の匂いで蓋をされているのに、お椀の中には白い米粒より見当たるものはない。
「米と小鍋、勝手に使ったよ」
三口で先に啜りすすり終えたおとこを見て、よくもこんなに熱いお粥を三口で啜れるものね、と思った。なにか言わなきゃと思ったが、一番に気になることに話が及ぶのが怖くて、二番目に気になることを聞いた。
「何が入ってるの、なんでこんな特別な味がするの」
おとこはそれには答えず、女が食べ終わるまで待って鍋と二つの椀を洗い始める。
「いずれ分かるさ」水の音に紛れていたが、振り返らずにそう言った。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-16 09:25:24
5777文字
会話率:36%
星進(ほしすすむ)はうだつの上がらない大学生である。
彼は不死蝶が引き起こす世界バタフライエフェクトによって破壊された地球から友人である茶碗冬来(ちゃわんふゆき)とともに異世界へ転移する。
破壊された地球を、そして全ての世界を救うため、不死
蝶の捕獲のために。
「爆弾老人!?あなたはいったい何者なんだ!?」「爆破せねば・・・我がダンプカーのため・・・」強い老人!
「ハアーッ!ハアーッ!貴様この高度文明を愚弄するか!?極刑!」「わかった!ぼくの言い方が悪かった!文明は高度だけどきみ達は」「極刑!」恐怖の高度文明!
「ホホーッ!地球世界人類!お前は勇者だ!」「あのぼくらある蝶を」「勇者!勇者!」ファンタジー!
「不死蝶の居所を知っているな」「本当に知らないんだって!」「インタビューは長引きそうだ」非人道的尋問!
地球常識を上回るドタバタ異世界冒険譚!
地球が壊されて異世界転移して蝶を捕まえる件、ご期待下さい!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-23 19:12:44
2435文字
会話率:26%
その日、僕は会社をリストラされて街をさまよっていた。
そして今生の縁を終わらせるつもりでその辺のお稲荷様に有り金を全部入れて走ってくるトラックに向かって飛び出そうとした。
カクヨムにも掲載しています。
最終更新:2019-06-09 18:36:15
5591文字
会話率:36%
歴史の影に人の業あり……
最終更新:2019-05-26 21:27:09
385文字
会話率:50%
太っていることからバカにされていた春野 剛太(はるの ごうた)は、ある日動画で自分と同じ太っている人がキレのある言い動きをしていたのを見た。
それを見た春野は、自分もできるようになろうと意気込んだがある言葉を言い続けていたらいつの間にか時が
過ぎていて……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-24 03:48:16
1149文字
会話率:9%
年齢35歳の平凡な人生を歩んできた、ただの冒険者がいた。
そこに突如として現れる元勇者の魔王!
魔王は自分よりも波乱万丈な人生を見てみたいが為に冒険者を魔法で実年齢10歳まで若返させる事にする。
若返った冒険者は新たな名前を与えられ、更
には魔王の手違いで戦闘能力が人間の領域を遥かに
超えた状態で新しい人生の幕があける!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-22 14:37:32
1017文字
会話率:60%
米田 米助の人生は突然終わりを告げた。彼が次に目覚めた所はなんと茶碗の上だった!?
◇ ◇ ◇
よくある転生モノです。壮大な冒険、剣と魔法、ハーレム、等をしなかったりしなかったりします
最終更新:2019-03-20 19:11:34
1383文字
会話率:7%
主人公の一色好一は、高校入学後、それなりに平穏で満足している学園生活を送っていた。
ある日、ひょんなことから茶道部の茶碗を割ってしまうのを部長に知られ、口止めとして入部を強要される。
最終更新:2019-02-27 12:35:06
115535文字
会話率:33%
真夜中のお茶碗たちは、食器棚の中でいろいろな話をしているのです。
最終更新:2018-11-12 15:18:25
1756文字
会話率:42%
パンを咥えながら…ではなく茶碗でご飯を食べながら登校中、妖精さんとぶつかって箸を右目に突き刺してしまった高3の久遠美春
その弱みを利用され魔法少女になり妖精さんの血を浴びた箸をマジックアイテムに今日も世界の平和を守る!
ギャグです
最終更新:2018-11-01 21:35:39
7654文字
会話率:44%
毒についてちょっと勉強しました。
お茶碗一杯分の塩をいちどに食べると、人間はしんでしまいます。
最終更新:2018-09-20 07:00:00
639文字
会話率:3%
人身売買が許されるようになった世の中。檻の中から私を睨みつけてきたのは、鈴木拓(すずきたく)という15歳の少年だった。
毎月2万払いで拓を買った私。無愛想なだけだと思っていたが、どうやら拓は喋れないらしい。
そんな拓の家庭力に驚かさ
れながらも、夏を越え、秋を越え、そして冬を過ごしていく。拓は少しずつ、笑顔を見せてくれるようになった。
順調だと思っていた。でもそれは、きっと勘違いだった。氷のような風が肌を刺す、真冬、拓は突然いなくなった。
仕事から帰ったら、いつもなら家で待ってくれていた拓の姿が、その日は何処にも無かった。
なんの前触れもなく消えた拓。1人分にしては多すぎる料理と、割れた茶碗を台所に残して――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-22 21:29:11
23936文字
会話率:19%
石徹白月夜(いとしろ つくよ)は鉄道好きの女子大生。念願かなって札幌発上野行き臨時寝台特急「北斗星」に乗り込んだ。月夜は車内で出会ったミケこと小鞠明海(こまり あけみ)とともに楽しい旅を満喫していた。ところが列車は朝になっても上野どころか北
海道すら出ていない。ちょっとしたハプニングに巻き込まれた2人は無事に上野までたどり着けるのか。鉄分大盛り、ミステリー分少々、2人のゆるふわドキュメントです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-19 14:27:11
31698文字
会話率:33%
両親を全く知らずに育った男子大学生が主人公です。不思議な力を持つ女子同級生。特別な能力を持つ主人公と血族。陶磁器史上、もっとも美しく、もっとも謎のある曜変天目茶碗をめぐる物語です。
最終更新:2018-04-29 10:36:43
18974文字
会話率:56%
現代の曜変天目茶碗をめぐる血族の物語です。
最終更新:2018-04-14 22:08:56
18907文字
会話率:56%
全てにおいてのび太以下のこうたは毎日学校が嫌だった。しかし、華の金曜日、こうたは新作漫画を見つけるために書店へ。そこで運命の出会いをする。
いそいで家へ帰ると晩御飯は大好物のトンカツだった。目をつむり手を合わせて一息つく。そして目を開け
て口一杯にトンカツを食べるはずが…
目を開けると草原の中だった。
その世界ではこうたは『最強』だった。
仲間達、不思議な世界…大好物のトンカツを食べるために現代日本へ戻ろうとする最強魔導師こうた。
なぜ、こうたは異世界へ飛ばされたのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-02-13 03:43:58
111610文字
会話率:30%
名家に生まれ育った主人公。
縛られるのがいやになり親友と家出する。
得たいのしれない少女はあんたがたどこさを歌い消える。
その歌の意味とは。
最終更新:2018-01-30 21:43:35
9658文字
会話率:33%
変態の俺。
変態ぶるものは許さない。
変態ぶるものは悪だ。
悪を倒す変態ヒーロー物語
最終更新:2018-01-24 20:24:52
2128文字
会話率:19%
守れず
奪われ
壊された
救えるだけの力を求め足掻いて死んだ爺は
次こそはと何にでもなく願い死んだ
見開いたその先に希望はあるか
明確な記憶があるわけでも知識があるわけでもない
失うことに対する漠然とした恐怖
ただ間違いなく一度失ったと
感じさせる頭の中の誰か
英雄なんかになれなくてもいい
たった一人
守り抜いてみせる
今度こそ
初投稿となります
見切り発車のため書き直しや矛盾が多々あろうとは思いますが
ご容赦ください
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-01-02 17:47:03
473文字
会話率:0%
あるお茶碗の思い出。
キーワード:
最終更新:2017-11-16 19:15:46
1240文字
会話率:0%
茶碗たちが見つめた、一組の夫婦――。
昭和もヒトケタの時代、東京府の下谷区。
新婚夫婦が持ってきた、それぞれの茶碗。
「彼等」は夫婦茶碗ではなくとも、何時も一緒。
あるときは仲良く台所の戸棚の中から、
またあるときはちゃぶ台の上から、
若夫
婦の日常を優しく見つめて、ささやき交わす。
やがてその生活にきざす大きな影、
「旦那さま」の浮かぬ顔、「奥さま」の涙。
そして、「あの日」がやってくる――。
〔注記〕
〇集英社webコバルト企画
「編集Fの擬人化小説賞」応募作品です。
〇「カクヨム」との重複掲載です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-29 10:18:17
12068文字
会話率:91%
ついに人類は皆ゾンビと化してしまった。世界中の人がゾンビとなった今私達は一体どうなるのか?生き残りサバイバルではありませんもう皆死んでますので…
ゾンビチートで大暴れ ミチコさんや、チートそこの茶碗を取ってもらえんかの〜
最終更新:2017-03-29 21:15:47
39495文字
会話率:51%
なぜか人に忌み嫌われる系高校生(自称) 鬼崎 青一郎。
そんな彼が、歩く茶碗という怪異を追いかけて迷い込んだのは、意味をなくした妖怪たちが集う場所。
マヨイガ【忌み無し荘】であった。
マヨイガに迷い込んだ人間に課せられる使命はたった一つ
。
【妖怪のご主人様になること】
拒否権はなく、一癖も二癖もある妖怪たち、そして妖怪よりも厄介な学校の生徒たちに囲まれながら、青一郎は現実と妖界の二つの世界で一体何を手に入れるのか?
これはそんな、意味のない物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-03-08 00:13:15
61441文字
会話率:47%