すでに夜の闇がすべてを支配していた。
ちらちらとまたたく星と青白い月の光だけがこの世界を見下ろしている。
小さく打ち寄せる波が湖面で星と月の光を反射していた。
海とも思えるほどの巨大な湖を一望する摩天楼が闇を突き刺し立ち上がっている。
これほどまでの高層建築物はかつてなかった。
最上階にはかなげな灯火のまたたき…
低く小さくはあったが、その声は朗々と板敷きの広間全体にしみわたる。
広間の壁面に灯火が揺れ、板敷きの四方にある雪洞が明暗をくっきりとさせていた。
人間五十年
下天のうちを
くらぶれば
夢まぼろしの如くなり…
敦盛の一節を謡いつつ舞う男。
見事な銀の総髪。高く結い上げたもとどり。
鼻筋が通り引き締った口元は、見様によっては酷薄とも思われがちな薄い唇。
獲物を狙う猛禽類の如き爛々とした眼光の先になにがあるのか…
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-06 09:39:15
20810文字
会話率:58%
『だから僕も、目指すんだ。いつかこの、摩天楼のような高みへと』
色んな人々の、当たり前の日常の物語。
けれどそれは、他の人から見ればどこかおかしかったり、不思議だったりするもの。
そんな日々を集めた、ショートショート群です。
どの話も単独
で、サラッと数分で読めるので、軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。
※2024年7月にX(旧Twitter)上で行われた、「文披31題」でお題に沿って書いたものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-12 16:11:47
2863文字
会話率:16%
The Swords of Doom末世神剣
僕は暗いホールの奥にある時計に目をやった。世界の終わりまであと12分7秒。
窓の外には、摩天楼とネオンに彩られたニューヨークの12月の空のはずの夜空に、巨大な爪で引き裂かれたような大きな穴が
開いていた。その穴の中に巨大な惑星が現れた・・・・・・。銀色の蛇のような稲妻が、周囲の不気味な厚い雲を乱暴にいじくっている・・・・・・。まるで世界の終わりの秒読みをするかのように、風が叫び、低い轟音とともに大地が揺れた。
僕は深呼吸をして集中しようとした。
窓の外では風が吹き荒れていた。夜空の4分の3を占める巨大な穴の縁で、稲妻が暗い雲を裂いた。洞窟の中心には、地球とほぼ同じ大きさの惑星が横たわっている。
僕は深呼吸をして集中しようとした。潜在意識の奥底に埋もれていた秘密の言葉が徐々に浮かび上がってくる。
大陸を破壊するほどの強力なエネルギーが私の体内を駆け巡り、まっすぐ上空の洞窟へと飛び込んでいった。
あと11分。
銀蛇のような稲妻が窓の外の暗い空を切り裂く。ビルの下には、どんどん人が集まってくる。警察の特殊部隊がビルのすべての出入り口を取り囲み、施錠された列の外には世界中から集まった報道陣のバンがビルを埋め尽くしている。
僕はいつも黙示録的予言には無関心だった。
心配するのはくだらないことだと思ってきた。時々、友人と議論しているときに、「世界の終わりが本当に来たとしても、どうせみんな一緒に死ぬんだから、何を心配する必要があるんだ」と言うことさえある。
しかし......。
世界の終わりが近づくにつれ、僕は気づいた。
僕は、世界の残り10分を冷静に迎えることができないのだ・・・・・・。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-09 17:00:00
5992文字
会話率:2%
かわりに泡沫を寄越す、おまえはバブル ディーラー。
最終更新:2024-09-20 07:00:00
282文字
会話率:0%
水面に映るは、想い出と面影。
誰もが、おのれの船の船頭ならば。
舳先に抱いた女神と、今宵、月の下で踊るがいい。
最終更新:2022-01-18 00:00:00
283文字
会話率:0%
拝み屋の息子として育った高校生の憂太はある日、クラスごと異世界に召喚される。
エルフや猫耳の亜人たちが生活する、まるでアニメの世界のようなファンタジー世界。
だがそこには「人食いダンジョン」と呼ばれる魔のダンジョンが存在していた。
──通称「TOKYO」。
そう。「人食いダンジョン」の正体は、怪異や妖怪たちがひしめく、別世界の「東京」の街だったのだ。
その人っ子ひとりいない摩天楼にはある伝説があった。
それは「すべての願いが叶う」という宝物がどこかに眠っているということ。
しかし「TOKYO」では、ファンタジー世界の剣や魔法はそれほど高い効力を得られない。
怪異に対抗するのに必要なのは「陰陽師」の力。
つまり現実世界ではまったく役立たなかった憂太の力が。
安倍晴明の末裔・土御門の血を引く憂太の能力が、まさにこの地で求められていた。
しかし。
その憂太には禍々しき悪霊が取り憑いていた。
異世界転移の際、憂太の魂に惹かれ、現れたのは。
安倍晴明のライバルで悪名高い闇の陰陽師。
あの「蘆屋道満」の怨霊。
かくして拝み屋の息子・憂太と、悪霊「蘆屋道満」タッグ、そしてファンタジー世界の美少女たちとの「TOKYO」攻略が始まる!
剣と魔法のファンタジー世界と、現代の東京、そして怪異や呪い、怪談や怨霊が入り混じったホラー風異世界転移譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-01 19:22:05
149024文字
会話率:30%
大丈夫。心配はいらない。阿部千代さんの書く文章だ。つまらないわけがないじゃないか。
キーワード:
最終更新:2024-08-18 23:05:27
310059文字
会話率:7%
春も未だ遠き日、運命の王子は愛した少女の亡骸を抱いて慟哭した。
摩天楼に浮かんだ煌びやかな貴種の微笑みを血涙する憎悪の眼で睨み上げ、復讐を胸に帝国を発った。
春も未だ遠き日、運命の聖女は未だ世界の悪意を知らない。悪なる者と善なる者の
区別さえつかずに落雪する大地に横たわる者どもを見つめていた。
春も未だ遠き日、野良犬は旅立った。
世界を知るために、好奇心を満たすために、そして己が死を覆すために。俺は運命の駒じゃない、俺は俺だと遠吠えを謳いながら野良犬は世界を駆け抜けた。
時は来た。春はもうすぐ傍だ。さあ聴こえるだろう運命の足音が!
舞台はすでに整った、帝国はすでに沸騰しているぞ。無限に積み重なる憎悪の負債が大量の死を願い、悪意の聖歌を唱え始めている。
これより始まるは嵐の春。狂気と裏切りがルールの狂った宴。何も知らぬでは絶命は必死。何一つ欠ける事のない準備は整っているのだろうな!
お前が立ち向かうは死の運命。生半可な決意ではまた犬死にだ。今度は誰を信じる、その友を信じていいのか? 馬鹿め、幾度裏切られれば学ぶのだ。どうせ裏切られるのなら先に裏切ってしまえ。友も女もすべて裏切ってしまえばお前は無敵だ!
野良犬よお前に守り抜けるのか? 愛した公女を、憎めぬ友を、兄と慕った閣下を、そして己が身を、お前の積み上げてきた全てが試されようとしているぞ。
春はすでに眼前にあり、革命の聖女の物語が幕を上げる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-16 10:22:51
1916555文字
会話率:51%
Season 1
マンホールに転がり落ちて意識を失った俺は、見知らぬゴミ捨て場で目を覚ました。
そこで出会った盲目(?)の少女、シーナに誘われるがまま辿り着いたのは、ネオン彩るきらびやかな摩天楼――などではなく、砂漠のど真ん中にあるボロ
アパートの一室。
「現代ではヒトとアンドロイドが同化を果たし、かわりに自我を持たないBOTという名の機械が人類に奉仕する役割を担っている」
ところが俺にそう告げた当の本人(?)家政婦BOTのイオンにこそ、感情の兆しと思しきものが見られるようで……?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-18 22:42:00
95297文字
会話率:45%
かつて数千万人が住んでいたという高層都市は疫病発生を受けた管理AIの行き過ぎた隔離政策により無人となった。
消費する人間も住まない高層都市には管理AIが補充する様々な物資が行き渡り、あふれた物資は地下へと廃棄される。
そんな廃棄物が山
と積もる地下には生き残った人類が積層都市を作り出していた。
地下積層都市の住人、紀野晴斗は小型人型機械、怪機を使って地上の高層都市から物資を持ち出しては地下の商店に卸す、地卸を営んでいた。
ある日、紀野は亡霊の噂話を聞く。
無人となったはずの地上で何者かに食べられた缶詰が見つかったという。
「亡霊ねぇ……」
紀野は愛機、鉄鼠を繰り出して噂の亡霊を地下に招く計画を立て始める。
――これは、いずれ地上を人類の手に取り戻す二人の出会いのお話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-09 10:00:00
9798文字
会話率:32%
転生先の世界は巨大な世界樹の上に住居を建てて暮らす世界。
転生者アマネは魔物っぽい虫を狩ったり、家を建てたり、橋を架けたりしつつ、徐々に村を発展させていく。
目指すは摩天楼!
後日談編、開始します。週一回の投稿予定。
最終更新:2017-08-18 12:00:00
1026388文字
会話率:44%
第三次世界大戦が終結した後の世界。
退役したAIたちや役割から解放された有象無象たちは、地べたに取り残された。
人類の栄光は酸性雨の中に立ち並ぶ摩天楼の先端か、果ては宇宙の闇の先にある。
これは地べたを這いずるアンドロイドの短い物語
。
https://ncode.syosetu.com/n0300hi/ の続編。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-08 20:24:54
19978文字
会話率:50%
第三次世界大戦が終結した後の世界。
退役したAIたちや役割から解放された有象無象たちは、地べたに取り残された。
人類の栄光は酸性雨の中に立ち並ぶ摩天楼の先端か、果ては宇宙の闇の先にある。
これは地べたを這いずるアンドロイドの短い物
語。
https://ncode.syosetu.com/n5716ge/ の続編。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-15 11:44:34
9274文字
会話率:24%
第三次世界大戦が終結した後の世界。
退役したAIたちや役割から解放された有象無象たちは、地べたに取り残された。
人類の栄光は酸性雨の中に立ち並ぶ摩天楼の先端か、果ては宇宙の闇の先にある。
これは地べたを這いずるアンドロイドの短い物
語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-26 20:24:55
4661文字
会話率:16%
人は上に上に登ってく、上に希望を魅せられて。どこまで、どこまでも登ってく。
最終更新:2024-03-20 17:59:13
229文字
会話率:0%
都会の街に重鎮する摩天楼の、一鶴のケーキ屋さん。
そこで戴いた苺のタルトのお話です。
酸味が強く、故に飽きが来ない。
幾ら食べても構わない。そう思わせる一品……。
しかしそのお話をすると、ご友人は一言。
「気に入らなかったんだ」
注意事項
1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
渡が苦手な物を食べた時のお話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-17 12:27:21
1185文字
会話率:40%
今日もまた、明るく。
明日もまた、明るく。
これからずっと。この先何処までも、明るく。
雨を祈れば雨が降り、夜を願えば夜が来る。遠い、遠い昔の話。誰かがそんな機械仕掛けのカミサマを作り上げた。
分け隔てのない幸福の鎖は続
く。惰性も悪性も全てを飲み込み、障壁もしがらみも無くなったその場所は、永劫を約束された理想郷と相成った。
されど、視界に映る世界は少年達の瞳に映る彩を曇らせる。明かりがある世界には同じだけの『陰』が有る事を知った少年は、捨てられた街『サイハテ』から摩天楼の煌めきを睨む。
赤錆覆う廃材に、巻き付けた布切れをはためかせ。サイハテの少年達は口々に嘯く。
『これは、理想への反抗である』と。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-24 08:45:27
55138文字
会話率:41%
心がない少女は旅をする。西へ東へ、自然に溢れた土地から摩天楼が空を突く大都市まで。その旅の中で彼女は多くのヒトと出会っていく。
そしてヒトとは何かを学んでいく。
全ては心を手にするために。それを体現するために。それが彼女の存在理由だか
ら。
果たしてヒトではない人工知能はヒトの心を学べるのか。
それは今の人類は知らない。
それでも、彼女は求め続けた。
ーーーーーーーーーー
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-30 18:00:00
1934文字
会話率:2%
時計塔から降るは狂気。月光の檻の中、猟奇めいた殺戮の舞踏が今、始まる。
──孤島に集められたのは対立する二つの勢力。時計塔で笑う魔人に告げられたルールは、殺戮、ただそれだけだった。
ゴーストタウンじみた島に潜む因果律、憎悪、裏切り、狂気が
飛び交う地獄。
月が沈むまでに生き残った者が勝者となる猟奇めいた檻の中で、──『助けて』、その少女はただ、涙を流し呟いた。
※この作品はカクヨムでも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-23 21:38:23
68363文字
会話率:35%
8年ほど前、このジパング国では一定よりも魔力の高い者を老若男女問わずありとあらゆる手段で殺害や拷問、拉致などをしたり、服従させたりする【魔女狩り】が起きてしまった。
被害者(死者)はおよそ10万人を超えてしまい、その影響で孤児となった子供の
人数も9000人を超えるんだとか…。
主人公、小槻(コヅキ)ツバキもその中の1人で、母親を殺され孤児となり、聖都トウキョウの第二区画<シンジュク>の孤児院に60人くらいの子供たちと住んでいた。
そんなある日、その【魔女狩り】に終止符が打たれたことが発表され、大親友の近衛(コノエ)ユノと将来について話し合っていた朝のことだった。
異端撲滅同好会を名乗る男が孤児院を襲撃、毎日ランダムにジパング中の孤児院を襲撃することを宣言した。
ツバキはユノと共に異端撲滅同好会を倒すことを決意し、旅に出る。
これは、理不尽に孤児となった少女たちの復讐の物語…であり、互いに互いが大好きな少女2人がイチャイチャする現代ファンタジーである。
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-10 00:10:18
8133文字
会話率:63%
天を突かんとする摩天楼、ユナイテッドシティを舞台にヒーロー、ヴィラン、一般人の好きな職について遊ぶ事が出来るVRアクションクライムゲーム『WCS』。
圧倒的なグラフィック、優秀なUIを兼ね備えた神ゲーに人々は歓喜した─────────のも束
の間。
蓋を開けてみれば、一般人がヒーロー、ヴィランを不意討ちし続ける無法地帯。ヒーローはデメリットの為に一般人を攻撃出来ず、ヴィランは一般人のぶっ壊れスキルの前に為す術ないという環境にかつての神ゲーはクソゲーへと成り果てた。
だからこそ一人のヴィランとその仲間達が立ち上がる。
全ては憎き一般人とその子分のヒーローにヴィランの恐ろしさを刻み込む為。
『WCS』の歴史に残るショーの幕が今、上がる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-11 16:06:59
20732文字
会話率:46%
2020/9/1(火)防災の日 公開
最終更新:2023-04-06 00:15:11
941文字
会話率:43%
高層ビルから飛び降り自殺を決行した、ある女性の話。
最終更新:2023-04-01 19:04:05
506文字
会話率:24%
雨の滴る摩天楼。
ビルの頂上にて、二人の男は対峙していた。
どちらも、人ならざる風貌で。
男は口を開く。
「そろそろ終わりにしようか」
改造を施されて人間を捨てたトカゲ型の怪人『マザラン』は、『黄昏の三連星』という組織の幹部、
四天王の最強角である。
組織の邪魔をする正義のヒーローである男と対峙し、死闘の末敗北した。
満足しながら死を待つ怪人。
だが、彼には安らかな眠りなど用意されておらず……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-31 07:00:00
262741文字
会話率:46%