随分と大昔に大きな戦争があったらしい。もう、千年も、二千年も前のことで、正直今を生きる者たちには何一つ関係のない話だった。人々は過去の遺跡の残骸を掘り起こし、利用し、生活に便利なものを作り上げていく。曇った空の灰色にも、肺を侵す濁った空気
にも気づかずに、それが当たり前だと思っていた。
遺跡をあさりパーツを手に入れては修理、製作し、過去の技術を追い求める技師の一人エメットは、ある日好奇心から盗みを働いた。盗んだ木箱に入ったそれは美しい赤い玉。恨みを買ってまで盗むものでもなかったかもしれない。
そんなエメットの下に「遺跡に入る研究者が街に来る」と情報が入った。それもまた好奇心から覗きに行き――。
『初めまして、私はスカーレット。あなたのお名前を教えてください』
血のような赤い水溜まりの中で人と鳥を合わせたかのような美しい機械が、優雅に淑女の礼を取った。
――きっと、その時、恋をしたのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-21 11:00:00
43953文字
会話率:61%
「…名乗るほどの者ではございません」
サラは、教会の前で家族で治療を待っていたであろう、馬車事故に巻き込まれた犬を治癒魔法で治した。どうやら家族3人と1匹で出かける際に、いち早く異変に気付いて飼い主の奥様を庇って怪我をしたらしい。なんとい
う忠誠心。
「間に合った...よく頑張ったね。もう怪我しちゃだめよ。みんな心配するからね」
助かりましたよと家族に声をかけようとしたら、恐ろしく美形の男性が穴があくほどに私をみている。
え、ちょっと待って。
うわぁー、美形だー。帰ったら家族に自慢しよ。
そんな私の思いは奥様からの一言ですべて吹き飛んだ。
「これは奇跡かしら...教会の治癒魔法師の方でもだめだったのに」
…え?嘘でしょ?もう診せてたの?
この国では治癒魔法師は稀で、魔力量によって教会勤務>病院勤務になる。家の名誉にはなるけれど、給金が安く激務の教会勤務。それに比べて病院勤務は融通がきいて病院によっては給金が高い。だから私は試験でズルをした。魔力を少なく見せて病院勤務をしているのだ。
だからこの状況は非常にまずい。名乗れる訳がない。逃げたい。私の平穏な生活がーーー!!!!!教会勤務なんて絶対に嫌!!
そんな事を考えていたら先程の恐ろしい程のイケメンに声をかけられた。
「どうか...どうかあなたのお名前をお伺いしたい」
「...名乗るほどの者ではございません」
お節介な性格なサラが、名門伯爵家の愛犬をきっかけに次期伯爵に溺愛され、周りをも巻き込んで幸せになっていく物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-18 09:52:37
66185文字
会話率:51%
10年使っていた愛用の電話機が壊れたのをきっかけに、最新の機能がついた固定電話を買った“私”。
なんでも、この電話には、迷惑電話を防止する「あんしん応答モード」なる機能がついているようで…?
最終更新:2023-06-05 16:53:09
1037文字
会話率:0%
太陽の国が栄えて1000年の時が過ぎた。上には眩い光を降らせる太陽があって、ステンドグラスのように煌びやかに彩られた天井があった。下には大小兼ねた建物が立ち並び、人々が大地をかけている。
国の中心には巨大な塔が建っていた。周囲の町が
色とりどりに彩られているなか、この塔だけは白く、無機質さを醸し出していた。この塔は人々の間では『管制塔』と呼ばれている。
管制塔には守護者ガーディアンと呼ばれる天使たちが住んでいて、太陽の国を守るために敵と戦う使命がある。国が建てられたその日から彼らは国を脅かし続ける敵インプルススと永きにわたって戦い続けているのだ。
何度も何度も生まれ、発生する敵に対して、天使たちもまた生まれ変わる。打ち、打たれ、刺し、刺され、最終的には殺されてしまう哀れな天使達。殺されれば天使の魂は国を支える太陽の輝きの一部となって、国を見守り続ける。そして管制塔の頂上からまた新しい天使が生まれ降りてくるのだ。
そして今日、また新しい天使が管制塔の天井から降りてきた。国を護る太陽と、ほかの天使達が見守るなか、その新しい天使は白くなめらかな床へ降り立つと静かに顔を上げて、その場にいる同胞と太陽の姿を見回した。
「あなたのお名前は?」
太陽が暖かく彼に話しかける。背の高い青年をかたどったその天使は、「わかば」と自身の名前を明かしたのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-01 22:28:59
2757文字
会話率:44%
人間の住む世界とは違う世界に存在する精霊。彼らは気紛れに人間の世界を覗いては、物に宿って興味ある人間の元に現れ、興味が満たされるとお礼をして帰っていく。
精霊のお礼を受け取った人間は必ず幸せになれるという言い伝えから、精霊は“幸運の使者”と
も呼ばれていた。
『もしもーし、聞こえますかぁー? あ、聞こえてますね、良かったぁ! えーと、じゃあ早速ですが、あなたのお名前と人生について聞かせてください。あ、申し遅れました。僕はこのスマホ……じゃなくって、この箱に宿る“精霊”です。いやー、面白いサンプルがとれたら、是非お礼させてください。AIの予測データから、最適のものをマッチングしてプレゼントしますからねー!』
薄い板のような箱に宿り、眩い霊力の光を放つ“箱の精霊”は、人間からどんな話を聞き、どんなお礼をするのだろうか。
※オムニバス形式です。ひたすら暗かったり、アタマ悪かったり、倫理的にアウトォな話だったりしますので、ご注意ください。
第1話*暗めの話
第2話*やや頭の悪い話折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-19 18:00:00
115211文字
会話率:21%
エッセイでは定期的にあがってくるらしい話題
最終更新:2021-03-06 07:19:33
518文字
会話率:12%
友達がいない女子高生の天色のぞみと涼暮優希。二人の願いは唯一無二の友達を作ること。
しかし、コミュ障なのぞみと、周りから怖がられている優希にとってそれは難題。
そんなある日、願いを叶える流星群の噂をたまたま耳にした二人は奇しくも
同じ時間、同じ場所に流星群鑑賞に行く。
街で一番流星群の近い丘、願いの一番届く場所。
そこで二人は出会った。
「あ、あなたのお名前は……?」
「涼暮優希……です」
運命的な出会いを果たした二人。
少しずつだけど確実に近づいていく心の距離。
ちょっと変わった女子高生の日常を描いたほのぼの青春ストーリー!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-21 23:59:33
1363文字
会話率:0%
手にした一枚の用紙に書かれたお名前。
遠い異国の地で死亡したと通知されたあなたのお名前。
そこから始まる私のお話。
前作「泡となってきえてしまうのです」のIFになります。
前作をお読みいただけると幸いです。
三十二話から分岐後となり、やや
悲恋風味ですのでご注意を。
ようやく11/25に完結いたしました。ありがとうございました。
完結に伴い、あらすじを見直しました。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-11-25 17:30:42
134447文字
会話率:33%
あなたのお名前は何ですか?
最終更新:2012-04-15 22:23:30
556文字
会話率:80%