アーバインという男がいる。覚えていて欲しい。
彼は、青年実業家だ。後ろ盾もないところからのし上がった。
のし上がっただけに、卑劣で卑怯で、何よりあくどい。彼のためにどれだけの同業者が泣きを見たことか。
だが1つだけ同情してやってほし
い。
彼は、初恋に敗れたのだ。
絵画を習った家庭教師に抱いた淡い——それでいて強烈な恋心は、名前も知らない青年実業家に破られた。片思いの家庭教師とその青年実業家は早くに結婚したのだ。
とにかく彼は、その青年実業家を越えるべく絵筆を折った。
やがて巨富を得るが、恋敵だった青年実業家は若くして他界し見返してやることはできなかった。一方のアーバインはというと、純真だった瞳の輝きが変わってしまうほど経済界の競争ののめり込んでいて初恋の相手のことなど忘れていた。それでいて他の女性を愛するなどということもなかった。あるいは、初恋にこだわっていたのかもしれない。
そのアーバインが恋をした。15歳年下の娘だ。
初恋の相手と結婚相手の間に生まれた娘だった。
娘の名は、セリシアという。
アーバインがセリシアの存在を知ったとき、セリシアは不治の病に冒され病床に伏せていた。
が、アーバインはセリシアに若き日の初恋を感じた。金はある。医者に交渉するも不治の病は不治の病。
結局、王国の建国伝説に頼ることにした。
妖魔の森の中にある、虹の湖を目指すのだ。そこにいる「3つ願いを叶えてくれる魔物」を探すため軍隊を組織した。
そして激闘の末、虹の湖に。
3つの願いも叶えてもらった。
セリシアの病の完治と、彼女と恋仲になれること。
最後に——。
この悪徳を重ねた自分で彼女と付き合っていいのか、と自問する。
「いや、それは願う必要もなく自ら取り戻しているようだ」
魔物は言う。彼女のために、という純真な願いで在りし日の若者がよみがえったのだ。
それならば、と最後の願い。
「それじゃあ、私に上等な絵筆を下さい」
彼の最後の願いも叶えられた。
純粋な彼に、その後の打算などあろうはずもない。
他サイトに発表したことのある、三題縛りの旧作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-12-18 10:41:29
3412文字
会話率:30%
私の彼はアイドルバンドのメンバー。
もうすぐライブが終わって関係者と打ち上げをやって帰宅してくる。彼のために紅茶を淹れておかないと。
「ただいま」
帰ってきた彼はいつものように花束やプレゼントボックスを抱えている。
「ほら、お土産」
いつものように小さな箱を投げてくる。すべて取れるわけがない。私は実業団バレー部にいたけど足を故障して身を引いた。1年以上前は笑い合ったり文句を言い合ったりしたけど。今はもう、そうはいかない。
「すまん」
彼も素直に謝る。
プレゼントの中身は、また指輪。ファンの子からもらったのだろう。
「最近は、指輪をつけてるお前が好きなんだから」
分かってる。
他サイトの同タイトル企画で執筆、発表した旧作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-12-03 09:04:26
1123文字
会話率:35%
八幡実業高校3年、江崎久志。名門高校の陸上部で絶え間ないトレーニングを積んできたが、その努力は結果として報われることなく3年間を終えることになってしまった。自信を無くし、「走る」という心の拠り所を失い自棄になっていた久志だったが、体育祭の
スウェーデンリレーのメンバーに誘われて……
誰だって持っている、何かに一生懸命取り組んだ自分への誇り。時に強くて時にもろい、そんな誇りを取り戻そうとする少年たちの群像劇。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-12-15 01:26:37
4225文字
会話率:49%
千年を生きた大妖狐の千古(ちふる)は現代に蘇り、渋谷音楽高校に事務員としてやってくる。
一方、音コンで全国一位にまでなった元音大生で実業家の丹羽子は飛行機事故で死んでしまうが、同じ飛行機に乗っていた水音という少女の身体に憑依して、渋音に
入学してくる。
これは千古と水音が作曲家志望の美少年、裕也君をめぐってダークに恋のバトルを繰りひろげながら彼のために「渋音を世界一の音高にする」べく奮闘する物語です。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-12-06 10:09:59
109409文字
会話率:67%
女子向きです。
音大生で実業家の丹羽子(にわこ)は巫女であった母の能力を受け継いでいた。
ある時、遠い親戚で十歳年下の裕也君が交通事故で半年も昏睡状態だったところを、ヴァイオリン演奏によって目覚めさせる。裕也君は憑依体質なので、大蛇の
精霊に憑かれて昏睡していたのだ。それ以来、霊に憑かれる度に除霊をしてあげていた。
丹羽子は二十五歳の時に飛行機事故で死んでしまうが、なぜか同じ飛行機に乗っていた中学生女子に魂が乗り移ってその子の身体で生活をする事になる。そしてその子の中学に登校して驚く。裕也君が同じ学年だったのだ。
もともとすごくかわいい顔をした男の子だと思っていたが、同年齢の視線で見ると、どきどきするほどかわいくて、すらっと背も高くてすてきだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-10-28 12:09:46
19104文字
会話率:30%
勉強は苦手、でも工作と体育は好き!
バカだけど良い子が、ろくでもない大人に狙われたり、良い大人に守られたり、とんでもない大人に捕まったりするお話です。
※自身のブログhttp://takashima1.blog45.fc2.com/からの
転載です。改稿してR15を目指します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-10-14 00:00:00
4217文字
会話率:32%
テレビ業界を舞台に進むサスペンス劇場のようなもの
懐かしテレビ番組を作るため、かってのアイドルに注目したディレクターが
事件に巻き込まれる。
アイドルが暴漢に襲われ・グラドルがドラッグにおぼれその裏には青年実業家
まるで今の日本みたい…さ
らに殺人・整形・親子の愛憎・・・・・
クライマックスは、番組の中で!!!
・・・・・完結ですが・・・たまに書き直しますので・・・・折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-09-07 18:05:27
90167文字
会話率:23%
実業家として成功し現在は第一線を退き、悠々自適な日々を送るレイク。非業の死を遂げた妻との間に残されたふたりの息子を育て上げた。そんなある日、離れて暮らす二男のエヴァンが恋人を伴い帰省。セクシュアルマイノリティ、LGBTに対する偏見、和解を描
く家族の物語。シリーズ第1話
[登場人物]
レイク・ギルバート……ロックバンド「ロートレック」の元ギタリスト イーサン……ギルバート家の長男 シンディ……イーサンの妻 エヴァン……ギルバート家の二男 ラルフ・アンダーソン……弁護士 スーザン……レイクの姉
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-07-26 08:54:06
11299文字
会話率:48%
“恋愛ってどうやって始まるの?”
お嬢様育ちで、海外で医学を学んだ女医の立石 美晴。
派手な見た目と大きな胸は彼女のコンプレックス。
恋愛には不器用で夢見がちな彼女。彼女の見た目に惹かれ、近寄ってくる男性はいても、自分からは動けない。
そん
な臆病で、恋愛初心者の彼女に出会いが・・・。
これは運命の出会いなのか?
アラサー女子の理想と現実、そして本音・・・。
初投稿です。
*英国の大学での記述がありますが、執筆者本人が英国にいた10年以上前の事が元になっています。実際と違う場合もございますので、ご了承下さい。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-02-17 23:00:00
60773文字
会話率:30%
婚約者と親友が駆け落ちし、ひとり取り残されたエラ。海に身を投げかけたところを、中東の実業家イーサーに拾われる。夜の相手として囲われたエラは次第に男に惹かれていくが、男がエラを拾った理由は謎めいていて。
ハーレクイン風を目指して挫折した現代恋
愛中編。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-09-28 07:00:00
21579文字
会話率:38%
バブル時代、実業家として順風満帆だった小路康成は、十数年後、忘れかけていた連帯保証の責を負わされ自己破産。その後、一人息子、健太の親権を得て離婚する。
以前から飲み友達で、やがて不倫関係に陥る同い年の樹梨は、康成のその一連の顛末を傍らで見
守り、やがて待ち望んでいたプロポーズを受ける。
だが、リーマンショックによって失業した康成は、年齢の壁に阻まれ再就職すらままならない。
そんな康成を支え、励ましながら、次第に距離を置こうとする樹梨。
愛情とお金。
理想と現実の狭間に揺れる中年女と、金のない自信満々な中年男の心の機微を、『遠くて近きは中年男女の仲』では樹梨の目線から紐解いていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-08-24 20:00:00
11898文字
会話率:1%
蘭は銀座の高級クラブで働くホステス。実業家であるイシオカの妾で、彼のいいなりになることで何不自由なく生活している。ある日、イシオカは愛車の外国製スポーツカーで蘭をドライブに誘う。蘭は、助手席から見える田舎の風景に、遠い記憶を呼び戻されて……
最終更新:2011-12-19 22:38:01
10490文字
会話率:43%
資産家・一条院家の嫡孫である幸人だが、祖父・重蔵により、相続試験を課せられることになった。それは「大貧民で勝負し、大富豪で終わった者に遺産相続させる」というものだった。参加者は、大富豪出身の幸人のほか、富豪に実業家/平民は幸人の同級生/貧民
に季節労働者/大貧民にはホームレス。はたして幸人に遺産相続はできるか……いま、数十億の資産を賭けたトランプ・ゲームが始まる。漫画原作の脚本形式です。(他所で公開済みですが転載に問題ありません)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-09-16 04:08:16
8784文字
会話率:61%
美しく拡がる機械、【こころみ】。
世界を一点に収束させるという機械を生み出したひとりの科学者と、
そのパトロンである実業家。
彼らの前で、【こころみ】が動きはじめる。
最終更新:2010-08-26 20:43:51
8114文字
会話率:44%
中年の実業家ダニエルと、その愛人リンダ。妻の留守にフロリダ旅行を計画した二人だったが、その途中、リンダのワガママで予定にはない土地に一泊することになる。そこはリンダのふるさとで、不思議な魔力が横溢する異常な土地なのだった……。
最終更新:2008-09-10 21:42:11
6599文字
会話率:65%
主人公谷川隼人は甲子園出場を夢見て広島県内屈指の野球強豪校、大田実業の受験するが失敗、まったくの無名校、というより正確には去年まで女子校だったため野球部そのものが存在しない二ノ宮高校へ入学することになってしまった。しかしそこから始まる高校球
児達の熱い物語。目指せ、甲子園!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2008-05-21 21:56:48
25713文字
会話率:18%
類稀なる経営の才能と知性。モデル並みのルックス。世界に名を馳せる地位と有り余るほどの資産を持ち、手に入らない物などない筈だったが、華やかに見える表の顔とは裏腹にその私生活は凍りついた大地のように人を寄せ付けない、誰よりも孤独な男関村堅。(せ
きむらけん)決して交わる事の無い筈だった二人が偶然に出会い、始まる若き実業家の片思い。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2007-10-02 00:11:09
111972文字
会話率:24%
ここ日本の首都東京では様々な街がある。夜にホストクラブで賑わう、「眠らない街」歌舞伎町。マニアックなグッズを求め、マニアックな人間が集まる「ヲタクの聖地」秋葉原。昼夜、沢山のギャルがパラパラを踊り歩く「家出少女の町」渋谷。さらには多くの実業
家が拠点とする「ヒルズ族の原点」六本木。とまあ、他にも沢山あるのだが、この物語は東京に住む5人の若者が東京を少しでもおいしく味わいたいと思い、沢山の計画に奔走し、いずれは東京全ての、ホスト、キャバ嬢、ヲタク、ギャル、ヒルズ族、他にも続々いる人々を巻き込んでいく戦いの記録である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2007-06-29 17:40:46
12728文字
会話率:24%