魔物や魔法のあふれる世界。
世界樹に守られている世界。
そんな世界で暮らす、少女エルーシア。
ある事件をきっかけに昏睡し、世界樹の神子デルミーラに保護され、目覚めた時に前世の記憶を呼び覚ます。
成長したエルーシアは、世界樹
の神子の地位、膨大な魔力、前世の記憶で王国を支える存在になるが……それらは重責であり、悩みのもととなる。
同じように、過酷な運命を歩む、半獣人の冒険者ルークと出会い、二人は恋に落ちるが……立場の違う二人の想いは、困難が多い。
しかし、二人の出会いは、王国だけでなく、やがて大陸の運命を変える……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-17 18:07:22
1189529文字
会話率:42%
王子の婚約者候補であるユーフィリア、リズベットの二人は共に才女であり、優劣つけがたい存在であった。しかしながら婚約者に選ばれるのは一人、両家が争うのは必然であったが、当の本人達は違っていた。王妃になるという事は重責を担うという事、己の才能だ
けでは辿り着けず、努力と覚悟なくしては王妃足りえない。二人にとってお互いは同じ高みを目指す同士であった。王妃への道を知るが故、相手もどれほど努力しているか知っている。敬意こそ持ちはすれ、敵意はなかった。お互いの立場がある故、それを表に出す事はしなかったが。
ユーフィリアは思っていた。例え自分が王妃になれなくてもリズベットなら祝福できると。しかし決着は思わぬ形でついてしまった。リズベットの父、シュタイン伯爵が起こした公爵令嬢暗殺未遂によって。ユーフィリアの理想が音を立てて崩れ去った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-14 22:43:29
157998文字
会話率:58%
「君に必要なのはそう…………ハーレムを維持する力だ」
見えない脅威によって人類のほとんどが消えて各所の城塞都市に籠る僅かな人類のみが生き残る世界。都市に迫る見えざる獣と呼ばれる存在から都市を守る防衛隊に所属する昼月陽はある日の防衛線で死の
淵に立った時に宙を舞って獣を屠る一人の少女を目撃する。
生還した陽はその時見た少女を死の淵で幻視した天使かと思うが、予想に反してそれからすぐに少女と再会する…………但しその天使は公衆の面前でで全裸で興奮していた。
「ろ、露出狂…………」
「ち、違うの…………わ、わたくしは変態ではないの!」
これは長い孤独の中で戦い続ける見えざる魔女と呼ばれる少女達と、彼女たちの心のケアをしつつ内ゲバを防がないと人類が滅亡するという重責を押し付けられた一人の少年のお話。
※小説家になろうでも連載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-12 18:01:08
425757文字
会話率:56%
古来からの朝廷による統治体制が破綻した戦国時代、諸国では国家の仕組みの再構築のため、下剋上による様々な統治方法が試みられていた。その様な時代に尾張織田弾正忠家嫡男として生まれた吉法師(後の織田信長)は目の当たりにした戦乱の惨状に衝撃を受け
、この世に生を受けた自身の目標として天下の再構築を掲げる。
吉法師は将来の立場の重責や目標達成の困難性の高さに深く悩みながらも、様々な人との出会いを通じて新たな発見やそれまでに無い経験を積み、常識に捕われない革新性、時事の先を読む先見性、状況に応じた戦略の手法を身に付けていく。
やがて元服し尾張の領主となった吉法師は困難な状況を一つ一つ打開し、天下人へと駆け上がっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-05 22:05:32
713822文字
会話率:43%
元猫カフェ店員珠子が、真っ白モフモフなネコの異世界転移に巻き込まれてたどり着いたのは、戦後処理に苦心するベルンハルト王国だった。
とある事情と特性により、ミケことミケランゼロ王子の庇護下に置かれる中、捕虜となっていた敵国王子の護送に同行
することになる。
しかしその道中、さまざまな事件に巻き込まれて、珠子は絶体絶命の危機に──
世界征服を目論むネコ! 炸裂する猫パンチ! ミーミーかわいい子ネコちゃん! やはりネコ…! ネコは全てを解決する…!
ネコ一家に最弱認定された珠子だが、重責を担うミケを支えようと前を向く。
【完結まで毎日更新予定】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-20 19:26:04
178063文字
会話率:40%
魔法を修めて十年、戦いと休息を繰り返し二十年。疲れ果てた魔法使いは国を護る重責と、自らの利を天秤にかけ、ついに後者を取った。護るべきものが増えるのを嫌い、孤独のまま国のために戦い続けた男はあるとき思い立つ。戦いの果てに何があるというのか、燃
え殻の中に何が残っているのだろうか。
このままでは何も残らない。
――――――――――――――――――――――――――
ひょんなことから始めたふぁんたーじです。読んでね。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-07 13:54:35
2332文字
会話率:42%
魔術が絶えて一千年以上後の世界。第七王子のライナスは、王位継承や国政の重責とは縁遠い立場ながら与えられた公務をこなす日々を送っていた。その合間に、趣味で集めている古い魔道具を受け取りに訪れた親友が当主を務める侯爵邸で謎の爆発が起き、親友の妹
アリアが巻き込まれる。
爆発に原因は、その時アリアが手にしていたはずの魔法玉の行方は……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-07 23:20:52
99780文字
会話率:46%
ここは災害が世界を支配する自然世界。
主人公アイデルと若くして悲痛な重責を背負わされた悲しき王である青年が描く壮大なファンタジー。
この2人がどう出会い、どう成長していくのか…
国という巨大な組織を傍らに、多くの試練を乗り超えていく先に何が
見える。
彼らの歩んだ人生は二つとない貴重な一つの物語となって完結する。
そう、これは言ってしまえば彼ら二人の伝記なのだ。
未だ完成されることの無い人生の物語。
これを未完成伝記と呼ぼう。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-24 12:52:04
20506文字
会話率:34%
過去に謎と秘密を持つ青年ユリス・ファビオラ。
それは運命か必然か、彼は〝フルーヴィル王国〟における魔法使い・魔術師の重責、「慧師(ロード)」に選ばれた。
彼は仲間と歩む道の中で自分の過去と謎に向き合うことになる。
最終更新:2024-01-15 23:45:46
16460文字
会話率:45%
対魔戦闘員養育所である富嶽には、徹底して守るべき三原則があった。
第一原則、酋長の指令は絶対的である。
第二原則、第一原則に反しない限り、富嶽総員に危害を加えてはならない。
第三原則、第一原則第二原則に反しない限り、自身を守らなければならな
い。
そして、この絶対服従令とも言うべき第一原則により、酋長は第二原則を犯してよい者を指定した。
それを処刑刀という。
罪を犯した者、仲間を危機的状況に晒し出す者、内通者、嫌疑の掛かる者、気が合わない者、殺したい者。
酋長の判断を仰ぐ前に、己の意思を以て処断を下すことができる。
名もなき少年は、心の準備も整わないまま富嶽に迎えられ、処刑刀の任を司るよう絶対服従令を授かった。名を問われ、大昔に母が「坊や」と言っていたことを思い出し、自らを坊と称するほど何もない少年だというのに。
富嶽の改革には処刑刀が必要だ。
富嶽に在籍する処刑刀はただの一振り。
彼は全ての重責を、たった独りで背負うことになった。
※仲間はすべて処刑刀に好意的です。それぞれの愛の形があります。
※残酷描写あり、ご注意。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-13 21:00:00
24226文字
会話率:33%
ユユラング領主の次男セオドアは小さな城で本ばかり読んでいたが、ある日父と兄が死んでしまう。
急に一人になったセオドアは重責のあまり部屋に引きこもり、見えてはいけない者も見えるようになってしまった…と、思っていた……のだが。
その見えてはい
けない少女は言った。
自分は幽霊で、密偵だと。
この世界は領主には幽霊が見えるという秘密があり、各領につき一人幽霊が力を貸している。とも。
セオドアは、隣領に取り込まれそうになっているユユラングの領主になる選択を迫られる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-26 22:57:53
100382文字
会話率:37%
世界樹を統べる神はその強大な力故に星に降り立てない。よって神は己の力と親和性の高い代理人を選定するも、その重責に耐えきれず皆、死んでいく。しかし、幾重にも渡る負の繰り返しに漸く終止符を打つ者が現れた。
己が渇望<強欲>を性と受
け入れ支配し、自由に生きるケイト。
ケイトを主と仰ぎ付き従う
<破壊>のシヴァ
<快楽>のハデス
<慈悲>のルナ
「堕ちておいで・・・。モノも人も欲望も、全部私の強欲で可愛がってあげるから。」
ケイトは神の代理人として3人を引き連れ、様々な星を渡り責務を果たしながら己の渇望を満たしていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-23 19:00:07
58683文字
会話率:39%
望月孝司は二十三年ぶりに、東京の営業区に戻ることになった。若いころに営業を学んだ古巣だが、今度はエリア統括という重要なポストだ。
望月はこれまで歩んできた道を振り返り、決してきれいごとではなかった半生に若干の罪の意識を感じつつも、重責に
身を引き締めていた。
その日は、部下であり、新任の営業担当となった杉下美香に頼まれて、得意先のあいさつ回りに同行していた。ふたりとも東京に転勤になるのだが、まだアパートが決まっていないので、それまでは出張だ。
一日の仕事を終えたふたりは、先輩社員から特別に紹介されたビジネスホテル[紅葉館]に投宿した。そこは、信じられないくらい安いうえ、朝食ばかりか、夕食のブッフェまで付いていた。
紹介を介さなくては予約もできないホテルだけあって、そこには、望月が、今までの仕事で知り合った様々な知人が泊まっていた。
ブッフェで懐かしい面々と再会を楽しむうちに、次第に酔いは深まっていき、最後は、よく見知っている人が挨拶にきても、名前も由来も思い出せないほどになってしまった。
頃合いだと思った望月は、夕食を切り上げた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-17 10:38:48
15120文字
会話率:28%
桐島貴志は若き研究者だった。ある日、彼はブレインという次世代AIのセキュリティシステム開発を任されてしまう。ブレインは世にあるオートマタを一括管理するというAI。強大な力を持つブレインのセキュリティだけに、その仕事は責任重大だった。
不
思議な出来事はプロジェクトにアサインされてから始まる。研究室にいた幼馴染み松浦里乃が突然姿を消したかと思えば、彼女だと名乗る女性が現れた。貴志としてはまるで記憶にないことであったけれど、彼女だけでなく研究所員たちもまた貴志と彼女が恋人同士であったと語る。
更には妙な夢を見た。世界大戦が勃発したというニュースの夢。かといって、世界は歴史上最も平穏であり、戦争が起きそうな兆候すらなかったというのに。
夢と現実が貴志には判断できなくなっていた。精神が壊れていくような気がしてならない。
ただでさえブレインプロジェクトは重責であり、身に余る栄誉。貴志は奇妙な現実に悩まされながらも、任務を遂げなければならない。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-26 16:04:49
127005文字
会話率:43%
とある国に十数年前に設立された「重症患者保護法」は、逼迫する医療費の削減に向けた賛否両論の法律であった。その法の元に新たに作られた職業である看取り責任師、通称「安楽師」の資格を持つ主人公の丸は、日々命の重責を感じつつその仕事を全うしていた。
ある日、丸は重大な困難にぶつかりその仕事を続ける事が出来なくなってしまう。その時彼が導き出した答えは何なのか折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-11 00:00:00
6352文字
会話率:33%
舞台は、黄金竜オーディの支配する世界。
ヘルムダール大公家の公女パウラは、17歳の時に黄金竜オーディの花嫁、2番目の妻である竜妃として、聖地である黄金竜の泉地(エル・アディ)に召しだされる。
だがその実体は神官長として働くだけで生涯を終える
、名のみの妻だった。
世のため他人のために祈り続け重責を負わされて、位だけ与えられても。
聖女オーディアナ候補としてパウラと同時に召し上げられたエリーヌ・ペローは、さっさと候補を下りて美青年とよろしくやっているというのに!
数千年も名のみの妻、ただひたすらに神官の仕事をきよらかにこなすだけなんて、これを飼い殺しといわずしてなんという。
なんだか都合よく利用された。
生真面目な自分の性格を、その選択を後悔したパウラは、人生の最後に黄金竜オーディに要求する。
「わたくしの人生をやりなおさせて。」
今度こそライバルヒロインエリーヌに聖女オーディアナをおしつけて、実家へ返品されてやる。
そしてごくごく平凡な大公の跡継ぎとして、あたりまえの人生をおくってやると決意する。
6才から人生をやり直すことになったパウラの前に、次々と障害が現れる。
ライバルヒロインエリーヌは、なかなかの曲者で、黄金竜を支える4竜の代理人である4人の聖使は、それぞれ個性的な美青年で。
「めざせ、飼い殺しルート回避」
パウラは2回目の聖女選抜試験に挑む。
けれど4人の聖使は、パウラをほっておいてはくれなくて…。
ルート分岐した後、それぞれ溺愛ハッピーエンドにする予定。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-16 01:00:00
237893文字
会話率:17%
公爵令嬢クロエ・マリエル=アルトラムには、生まれついての婚約者がいた。国の頂点に立つべくして育てられた王太子である。
結婚するそのときになっても、ついぞ男女の情は持てなかった。
とはいえ、同じ重責を担う者として寄り添うつもりではあったのだ。
しかし、
「恋をしてしまったんだ」
その一言で、すべてが壊れ始めるだなんて誰が想像しただろうか。
相手が高位貴族であれば、側妃にでも迎えられたかもしれない。ところが、王太子が恋に落ちたとして王宮に呼び込んだのは平民の女であった。
「愛人にするの?」
「愛人になどできるわけがない!」
なるほど、と冷静な頭で考える。
聞けば、国王夫妻も彼女の存在を認めているというではないか。その瞬間、クロエの中で『大事にしたいもの』と『そうでないもの』が明確になった。
(よし、離縁しよう!)
クロエと王太子の婚姻はもともと王命であった。それを王自らが相談もなく反故にしようというのだ。これはもはや、クロエと王太子だけの問題で済むことではない。
そんなとき、折よく幼馴染みからの手紙が届く。
内容を確認してパニックに陥るクロエだったが、父公爵が乗り気なので「まあ、いっか」とその流れに身を任せてみることにした。
「離縁して、幼馴染みの国に嫁いできました!」
かくして、クロエ・マリエルの新たな人生が始まる――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-28 05:26:26
2973文字
会話率:4%
「父上、こんなちんくしゃが僕の婚約者なのですか?」
初めて紹介された自分の婚約者候補の第三王子ルーベンス殿下の発言にぽっちゃり公爵令嬢のリシャーナ・ダスティアは絶句した。
今なんつったよこの王子、えっこれが婚約者とかマジ勘弁!
いくら見目麗しい男子でも、王子でお世継ぎ筆頭だろうがこんな婚約者は要らん!
即行で婚約を全力回避、十五歳になったリシャーナの王立学院での悠々自適な生活は男爵令嬢に惚れ込んだルーベンス殿下と愉快な仲間達の起こした集団リンチで崩れ去った。
頭痛と共に甦った記憶、ちょっとまて、これって所謂乙女ゲームのエンディングじゃん。
しかも現実で逆ハーレムとか迷惑極まりないっしょ。
とりあえずプチっと逆ハーレムエンドは潰したけど、どうやら騒ぎを起こした子息や男爵令嬢、王子を逆廃嫡ザマァしてハイ終了には内政的に出来ないようなので、モブキャラなのに王様に顔だけ美形なバカ王子の更生を押し付けられました。
本当に美形に関わるとろくなことがない! なんで奴等は次から次へと厄介事を運んでくるんだ!? 私の平穏な日々をかえせー!
これは自分らしく生きたいモブ令嬢の奮闘記です。
注:自己中もぶ娘よ、お前はいったい何がしたいんじゃい! と作者が突っ込みたくなります。
本作品は<a href="http://ncode.syosetu.com/n0851cv/">「二度目の人生は男ですか!? 元喪女に王太子は重責過ぎませんかね?」</a>と同世界を舞台にした曾孫の作品です。
お気に入り登録、ブックマークありがとうございます。 御感想、誤字や脱字報告ありがとうございます。 今後もご指導、ご鞭撻を宜しくお願い致します!
注意書き
本作品の全ての権利は作者『紅葉くれは』に帰属します。無断転載はおやめ下さい。
アルファポリス様にも投稿中です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-27 18:00:00
511578文字
会話率:39%
魔法が存在しない異世界へ赤子として転生を果たした地球産の元喪女が、羞恥プレイを乗り越えて突き付けられたのは、男としての新たな人生だった。
転生によって特別な力など与えられず、弱小国家の王太子と言う重責を背負い生まれ変わった彼女は、群雄
割拠の時勢にさらされる愛する祖国を守ると堅く決意する。
動乱に揺れる大陸で祖国を守り、今度こそ大往生できるのか?
二度目の人生が今始まる。
注意書き
本作品の全ての権利は作者『紅葉くれは』に帰属します。無断転載はおやめ下さい。
アルファポリス様にも投稿中です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-07 06:00:00
351059文字
会話率:41%
戴冠式を終えた夏目優斎は、国から認められた陰陽師となった。
先代の陰陽師であった師匠の背中を追いながら国の平和のため、優斎は妖や土地神様などとの交流をしていく。
しかし、師匠が遺してくれた土地神様の入道は契約してくれたというのに、
優斎には全く心を開いてくれないようで。
重責に押しつぶされそうになりながら、新米陰陽師である優斎の奮闘が始まった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-31 19:22:10
88747文字
会話率:56%
試合前の控え室。プロレスラー、チョンボ・ヅルダ(次世代のエースと呼ばれ続けて、はや四半世紀。齢四十九)は葛藤していた。「勝ってしまってよいのだろうか」と。相手はあまりにも偉大なザ・ウルトラ・スペシャル・グレート・スーパー・ジャイアンツ・
パパ(生ける伝説。齢七十七)。戦後、なにもかもを失った人民を励まし、希望を与えているうちに、やがて気がつういた“誰か”によって、「人間宣言」以前の皇帝に代わる現人神に祭り上げられ、信仰の対象となった“沈まぬ太陽”。だが、ジャイアンツに往年の実力はなかった。「ジャイアンツ以外で唯一、超人と呼ぶに相応しい能力をもった自分ならば、これ以上自身も老いてしまう前ならば、勝てる」ことが、チョンボにはわかっていた。「世代交代」と「あり得ない現人神の敗北」。運命のゴングは鳴った。「果たして、この俺にこのとてつもない重責を担うことが出来るのか?」結局、チョンボの苦悩は闘いの間も続くのだが、それでも、ジャイアンツを絶体絶命にまで追い込む。しかし、最後は、魅入られたように“現人神”ジャイアンツ・パパの超必殺技を受けカウントスリーを聞く。ここに試合は決着した。
その時、ゼニニッポンプロレス最高幹部専用ボックスシートに二つの影があった。小柄な男は言った。「どうやら、“踏絵”は踏めなかったようですね」細面の眼鏡をかけた男は言った。「神は遥か天上にいて、ただ下界を見下ろしておればよろしい。哀れな愚民のために自らがすすんで負ったダメージにまみれ、リングの上で踊っていればよい。地上の権力は人間に与えておけばよいのだ。神を仕立て上げ、神の存在を知らしめた、神の最も近くに仕える者にな」
ゼニニッポンプロレス。本来はただの一プロスポーツ団体。焼け野原から屹立した、公とも私ともつかぬ超巨大企業。実質、この国を支配する巨人。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-03 06:21:56
24481文字
会話率:23%