小さな猫は、捨て猫だった。
大きな猫は、よそ者の猫にも優しく、手を差し伸べてくれた。
「もうチビすけに教えることはないにゃ。にゃーより上手にゃ」
食べ物だけでなく、大きな猫は狩りの仕方まで教えてくれて、独り立ちするまで見守ってく
れた。
そのため、小さな猫は大きな猫のことを育て親のように慕っていた。
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最終更新:2025-01-27 17:46:27
3561文字
会話率:34%
人の命のはかなさは、まるでカゲロウのようだ。
カゲロウは風に舞うかのように空中を浮遊する。
カゲロウという名前は空気がゆらめいて見える陽炎が語源らしい。
はかなく弱いカゲロウは、成虫になって数時間で死んでしまうらしい。
しかし、数
時間というのは成虫となってからの命だ。
意外にも、幼虫の期間は昆虫の中では長い方らしい。
幼虫の時は何度も脱皮する。私たちも脱皮して成長してきたような気がする。
成虫の姿は生ある時の一瞬の姿だ。
カゲロウの幼虫から羽化したものは、亜成虫と呼ばれているらしい。
|翅《はね》があって空を飛び、成虫と似ているのだが、まだ成虫となってはいない。
亜成虫は、まるで私たちみたいだ。
ゆらゆら揺れる心。大人になりかけているのに、大人ではない。
無色透明な翅。私たちは見えない翅を持っている。羽ばたく準備をしている。
「死ぬ前に、俺と友達にならない?」
優し気な声が背中越しに聞こえる。
声の主は同じクラスの同級生。
飛び降りようとしている同級生の私に向かって平然と笑顔で手を差し伸べてくれた。
彼は不思議な光に包まれて私るように見えた。天使のように救いをあたえてくれる存在に思えた。
温かなぬくもりを全身に纏ったような人。
こんな状況なのに驚くこともなく、笑顔で対応する同級生の名前は羽多野空。
華奢で透き通るような肌色で中性的な雰囲気の少年だった。
「今、死ぬ必要ある?」
彼はそう言った。
「なんか疲れちゃって」
「俺は生きたくても長生きできないから、人生の長さを選択できる人が羨ましいよ。生まれつき病弱で成人まで生きられないと言われている。いつ、人生が終わるかわからない毎日を過ごしていっる」
「人生の長さをある程度選べる私は幸せなのかもしれないね」
彼と話していて価値観が変わった。
「親の干渉が辛いんだ。価値観を押し付けられてさ。コミュ力がないから、友達もできないし。スマホは親が持ってはいけない悪いものだと洗脳されている。勉強も一日中しろと監視されている。自由がないの」
でも、その人は成人の年齢、十八歳になってすぐに亡くなってしまった。
まるでカゲロウのようだ。
亜成虫の時期を共に過ごしていたのかもしれないと思う。
まるでカゲロウのように、成虫になってすぐに死んでしまうかのように――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-27 23:21:29
12154文字
会話率:13%
惨めな私に、彼は優しく私に手を差し伸べてくれた。
最終更新:2023-06-27 03:00:00
1752文字
会話率:46%
――私はまぶたを開いた。そこは見知らぬ場所だった。
帰るべき家もない。
通うべき学校もない。
大好きだった妹も、いない。
四方を壁に囲まれた監獄のような場所で、動かせない身体を茫然と眺めるだけ。
時折やってくる派手な人達も、おいしいご
飯も悪くはないけれど――。
元の世界――家へ、帰りたい。
最愛の妹に会うために。
――何があろうとも、絶対にこの不可思議な世界から脱出する方法を見つけてみせる。
されどあてのない私の元に、「ロス」という女の子が手を差し伸べてくれた。
「我も同行させてもらう。掴んでいろ」
私には何も力が無くても、何も未来が見えなくても。
傍にいてくれる人がいる。道を指し示してくれる人がいる。
元の世界へと帰るその時まで、歩む足を止めてなるものか――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-29 13:54:30
106740文字
会話率:28%
イーノス・ウォードは魔術の宗家ウォード家産まれながら魔眼を持っていなかった。魔眼は魔力を制御するために必要不可欠な能力であり。魔眼を持っていないという事は、魔術師にはなれない事を意味していた。
親族や分家、臣下の家々にもバカにされ冷遇され
てきたイーノスだが夢があった。昔本家の娘で幼馴染の少女マーティナと約束したのだ「君の傍に立つ使い魔となってキミを守る」と……。
使い魔になるためなら酷いイジメや雑事、剣術、体術ありとあらゆる事を磨いてきた。そんな彼に一族の相談役アラスターは、「……今まで偉大なる祖先ランドル・ウォードの転生者の可能性を捨てきれぬため……飯を食わせてやったがもう辛抱ならん! 貴様を一族から除名し追放処分とする!! わしが断言しよう! 魔眼のない貴様は魔術師には絶対になれん! 魔力を操るために必要不可欠な眼を持っていないからだ姫の使い使いまになど絶対にはなれんよ……分不相応な夢は諦めウォードの名を捨てろ!!」そう言い放ち。俺を一族から追放すると言ったのだ。そして手駒で、マーティナの使い魔候補筆頭のカーティスとその取り巻きにボコボコにされ、遂に我慢の限界を迎え夢を諦めかけたその時。
マーティナが救いの手を差し伸べてくれた。
「私は貴方がいいんです! 貴方じゃなければいけないんです!」そう言って俺の額に口付けをすることで一族の直系に伝わる秘術魔眼開眼によって念願の魔眼を手に入れた俺はマーティナの使い魔として生きていくことを改めて決意する!!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-02-11 13:17:03
9408文字
会話率:49%
「スピラ、婚約破棄だ!!」
貴族の男ヘルブラオ・ヴァインロートと婚約していた令嬢スピラは婚約破棄を言い渡される。これはヘルブラオの婚約詐欺だったのだ。
何もかも失い、絶望したスピラは怒りに震えるも反撃する力もなく途方に暮れる。帝国を彷
徨っていれば、エキャルラット辺境伯の令息にして、インペリアルガーディアンのカエルム・オーリムが目の前に現れ、救いの手を差し伸べてくれた。スピラはそんな彼の優しさに惹かれていく――。
※ご都合主義&コメディ風です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-11 00:46:12
51132文字
会話率:51%
俺は運動も、勉強も、何でもできる、周りからもモテモテでラブレターは3桁いくほどもらってた。だが、中学2年生の時、あの事件は起こった。ある日いつも通り学校に行くと、みんな俺に向かって物を投げて、机には落書きをされていて、酷いことになっていた
。話を聞いてみると、先月死んだ文香ちゃんの事件の犯人が俺だと言っている。そのための証拠映像もあった、だが俺はその時は家にいたはずだった。
そして放課後俺は公園に呼び出されて、何発も殴られた。起き上がることもできない俺にある男が手を差し伸べてくれた。
いじめられた生徒、土方奏が、ある男、西村剛と協力し、犯人だと仕立て上げた黒幕を倒す物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-22 23:27:09
2976文字
会話率:29%
魔王アダムスの愛娘マキュリー・プライドはずっと、初恋の魔人(ひと)プルトー・ラースを想っている。
プルトーは弱くて惨めなマキュリーに手を差し伸べてくれた。プルトーが信じてくれたから、マキュリーは強くなれたし、美しくなれた。
出会い
と別れから百年の歳月が流れ、約束は果たされた。マキュリーは喜び勇んで、プルトーに会いにゆく。
「会いたかったわ、プルトー! お前もあたくしに会いたかったでしょう、そうでしょう、そうに決まっているわね! まったく、このあたくしを待たせるなんて。魔神をも恐れぬその所業、流石はあたくしの運命の魔人(ひと)だわ! さぁ、跪きなさい。求婚するのよ、今ここで。そうしたら、お前と結婚してあげる。お前はこのマキュリー・プライドの夫になるの。感動に咽び泣くが良いわ!」
ところが、プルトーはきょとんとしている。
「どちら様? なによ、忘れたふりなんかしちゃって。そうまでして、あたくしの気を惹きたいの? 可愛いところがあるじゃない。……痴女? なにそれ。……騙したって、誰が、誰を?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-02 22:12:26
102155文字
会話率:25%
20XX年2月14日の特別な日。俺に想いを寄せていた一人の少女の意識は。儚くも闇に消えた。
いつもアイツは笑っていた――
こんな冴えない俺に。いつも優しい手を差し伸べてくれた。
何でもっと早く気付いてあげれなかったのか。
あの太陽のような笑顔が欲しかった――
淋しい思いをさせたくなかった――
そっと守ってあげたかった――
俺事。池田(いけだ)知道(ともみち)と一文字違いのもう一人の自分。時彩(じしょく)知美(ともみ)の後を追いかけ俺は…あの世界に。
とまぁ。この意味ありな二人のパートナーが奏でるちょいとほろ苦くも履かないバレンタインスペシャル企画。
知美「みなさん。よれしくっ!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-02-15 01:17:54
3983文字
会話率:27%
君が僕に優しく接してくれたから。今の僕がここにいる。僕は話すのが苦手で泣き虫でどうしようもなくって……。でも君だけは僕に手を差し伸べてくれた。これって初恋なのかな? そう言えば君ってどこかで……。
もう一つの僕と君との出会い。
大きく時間
を遡って思い出すあの頃。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-04-06 22:04:59
472文字
会話率:12%
転校してクラスに馴染めずにいた。些細な事がキッカケでイジメ行為をされるようになる。誰も信用できない。私だけが我慢すればきっと大丈夫。そんな私にアナタは手を差し伸べてくれた。アナタと見た青い空を忘れない。きっと…。
最終更新:2007-06-09 19:13:39
1302文字
会話率:19%