深夜、客を乗せたそのタクシーは、ふと違和感を覚えた。
その客は「適当に走ってください」と言っておきながら、外の景色を眺めることなく、どこかソワソワして、またチラチラと外よりも車内を気にしているようであり、車載カメラと目が合うと、さっと顔
を逸らした。
――これはあれだな。
と、タクシーは思い、声をかけた。
「お客さん、トイレをご希望ですかぁ?」
乗客は「えっ!?」と背筋を正し「いや、その……」と口ごもると身をドアの方に寄せ、ゴツッと頭を窓に預けた。
一応、否定と捉えたタクシーはそのまま走り続けた。わざと意地悪くそう訊ねたのには理由があった。すでに今月、やらかされていたのだ。気づいたのは乗客が降りた後。シートの汚れを取るのが大変だった。マジックハンドでそれを掴んだときの感覚を思い返すと怒りが湧き上がり、クラクションを鳴らしてやりたくなる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-12 11:00:00
2252文字
会話率:69%
ああ、俺は死ぬんだ。
走馬灯って嘘じゃん。ないじゃん。
絶対に死ぬ。
だって血が・・・・・・骨が・・・・・・。
あんなトラックに撥ね飛ばされたらそりゃ・・・・・・。
ああ、意識が・・・・・・。
あれ?
気づけば道路に立っていた。
これは一
体どうい――
考える間を与えてくれない、けたたましいクラクションの音。そして衝撃。
あれ?
デジャヴ?
なんで?
また?
は?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-19 11:00:00
1446文字
会話率:14%
大学卒業後、特許庁へと就職したが、特許の申請書類に目を通していると、ついつい、自分ならあーする、こうすると空想に耽ってしまい、全く仕事が進まなかった。
「君、いつもいつもぼーっとしてばかりで全然仕事していないじゃないか。新人も入って来たたこ
とだし、このままじゃ示しが着かないよ」
「申し訳ありません」
俺はもう何日も職場では笑うこともなく、声を出すのは「申し訳ありません」ぐらいだ。
ブラックな職場ではないが、周りはそれなりにエリートばかりで仕事の出来ないやつには容赦ない。
自分のような田舎のコンニャク屋の息子には向いていないなぁと、思いながら帰り道を歩いていると、知らず知らずのうちに赤信号を渡ってしまっらしく、
『プーーーーー!』
突然、大きなクラクションが聞こえた思うと、一瞬だけ全身に痛みを感じた後、自分というものがこの世界から消え去った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-19 19:43:02
97332文字
会話率:39%
高校を卒業して大学に進み、一番の関心事かつ最初にやらなければならないのは、クルマの運転免許取得だ。
若者のクルマ離れなんて想像もできない時代だった。オートマ限定免許はまだ存在しない。バイクブームさえ根強く続いていた。
最終更新:2023-10-01 23:00:00
3737文字
会話率:48%
コンビニから帰宅中。
道の向こうから帰宅してくる母を見つけた。
珍しく早い母の帰りに一瞬喜ぶが、
中々家に帰ってこない母への不満から、
最近どうも素直になれない。
気が付かないふりをして、
先に帰ってしまおうと早歩きになった。
横断歩道
を渡ろうとすると、横からクラクションが。
ドン!
キキィーーー!
強い衝撃。
柚月は何かにつきとばされ、地面に倒れこんだ。
何が起こったのだ?
ゆっくりと起き上がり、状況を把握するため振り返るとそこには血まみれの母が倒れていた。
「…………お、お母さん?」
そうすると全ての時が止まるのではないかと、
柚月は息を止めた。
そのまま静かに近寄ると、
母は虚な目で、幸せそうに微笑みながらこう告げた。
「ゆう……き……。会いたかった……」
それは母の想い人の名前だった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-12 19:33:20
1316文字
会話率:23%
こんにちは!俺の名前は遠藤和輝。俺は、ついさっき愛犬とともに獣に転生して
しまった。その経緯について説明していくね。
それは、いつもの帰り道だった。俺は会社でやらかしてしまい、いつも優しい爽やかな先輩のことを怒らせてしまった。
「明日会社
どうしよーーー。先輩と合わせる顔もないよ。はぁぁぁ」
とネガティブ思考をしながら横断歩道を渡っていると突然横からクラクションの音がして気がついたら闇の中。そこからいきなり声が聞こえて、、、、折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-18 17:00:58
6120文字
会話率:38%
ある夜、山道を走っていた営業マンの男は暴走車に遭遇する。ライトを上向きにしていた相手に怒り、クラクションを鳴らすが、それが仇となり恐怖に見舞われる。
最終更新:2023-07-07 23:11:01
2173文字
会話率:18%
疲れ切った生活のせいで朦朧としていた帰宅途中、突然鳴り響いたクラクションと共に飛び込んで来たトラックによって都築愛理は事故死した。
その後、藍音は現世と黄泉の国の狭間で生前ドハマりしていたネット小説【今宵、花になれるのは唯一人】の薄幸モブ
キャラ(でも超絶美少女)ーーアイネ・レブロンと出会う。
彼女もまた夫に冷遇された末、惨めな死を迎えてしまったそうで……。
藍音とアイネ。同じ名前で妙に親近感を持っていた藍音はアイネを慰めようとするが何故か口論に。そしてーー
「なら、貴女がわたくしの代わりになればいいじゃない!!」
華奢な身体に似合わない馬鹿力で川に突き落され、藍音は小説の世界で第二の人生を歩むことになる。
もう一人の自分ができなかったこと、叶えられなかったこと。その全てを叶えるために、アイネとなった藍音は奮闘する。やがてアイネを取り巻く人々に次第に変化がーー
※他のサイトにも重複投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-22 22:10:47
135656文字
会話率:38%
会社員うさみはごく普通の日常を送っていた。
変わらない日常、いつも通りの仕事をこなし、たまの残業に追われる。
仕事が終われば直帰し、家でゲームをするのが趣味。
他人より不幸なことがあるとすれば、親類が一人もいないことくらいだろうか。
そ
の日は珍しく遅くまで仕事に追われていた。
ゲームの限定イベントの初日だというのにこんな日に限って残業。
頑張って仕事を終わらせたが、時刻は既に日を跨ごうとしている。
コンビニに寄り、つまみを購入し、横断歩道を渡っていたその時だった。
眩い光で視界が遮られる。
大きなブレーキ音と、耳を劈くクラクション音と共に、黒い死神が目前に迫っていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-15 22:15:07
3669文字
会話率:45%
中学生からの腐れ縁の恋人コウからプロポーズを受けた。プロポーズの仕方に色々思うとこはあったものの、それを受け入れた私。
結婚の報告をしに田舎に帰るべく駅へ向かっていると、茂みから聞こえる声にその主を探すと、そこには仔猫と怪我をした母猫がいた
。
電車の時間も気になったが、そのまま猫の親子を放って置くこともできず近くの動物病院へ連れて行こうと手を伸ばした。
その時けたたましいクラクションの音が聞こえて振り向くとこちらに突進してくる車が!
何とか猫の親子を助けたと思った途端、意識は途切れ気がつけば何故か猫になっていた!!
神社の境内で出会った老猫曰く生まれ変わりもしくは入れ代わりだと教えられ。
人間の自分が生きているのか死んでいるのかは分からないが、思い残したりやり残した場に行って想いを置いて来る旅をすると戻るのか、はたまた生まれ変われるかするかもしれないと。
そうして猫となった私は婚約者のコウの元を目指して旅にでることとなった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-20 20:47:07
7370文字
会話率:26%
この話は、自分が19才から21才の時の、交通事故に関する心霊現象を書いたものです。
3部構成になっており、1話目が、車で事故多発地点を通ると、2話目が、交差点に供えられた花、3話目が、惨死した出前のあんちゃん、という別々のお話を、交通事故
の後に見えるもの、という、くくりで、まとめてみました。
第1部は、1991年(平成3年)の8月の事で、自分が19才時の事です。
心霊スポット特集の本にも紹介されていた、環状7号線の事故多発地点を車で通った時に、杖を持ったお爺さんを見かけました。
以前に、心霊スポット特集を読んでいたので、だいたいの場所と現象は覚えていたのですが、その本と同じ現象に出くわした時のお話です。
第2話は、1992年(平成4年)の9月の事で、自分が20才の時の事です。
午後9時頃に、蔵前橋通りで東京から千葉方面に、車で走っていた時の出来事です。
途中、大通りの交差点で信号待ちをしていると、その近くで事故があったのか、右側の歩道の隅に花が供えられているのが見えたのです。
その花を、ずっと見ていたら、事故の様子が脳裏に入り込んできたのです。
事故に遭う瞬間が、その時の音と共に鮮明に見えたのです。
信号が青に変わり、後続車がクラクションを鳴らすと、我に返りました。
慌てて、発進しましたが、その後どうなったのか?
という、お話です。
第3話は、1993年(平成5年)の8月の事で、自分が21歳の時の事です。
実家では、よく出前を取っていたのですが、その中でもひいきにしていた、そば屋があったのです。
その、そば屋のあんちゃんが、とても感じのいい人で、近所でも人気がありました。
ある日の夜、バイクで出前をしていたあんちゃんが、悲惨な事故で亡くなったのです。
その事故の後から、事故現場の路地を通った近所の方から、夜になると路地に幽霊が出るという噂を聞いたのです。
幽霊の話が広がると、近所の方は路地を迂回(うかい)するようになりました。
自分も、しばらくの間、夜にその路地を通らないようにしていましたが、よく行くコンビニの近道だったので、ある日の夜、その路地を通ってしまったのです。
その時、どんな事が起きたのか?
という、お話です。
それでは、本文へどうぞ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-25 12:18:01
8998文字
会話率:25%
車を運転していたら、あっという間に追い着いて来た後ろの車が車間距離を詰めて来た。
更に、パッシングやクラクションまで。
煽り運転だ。
最終更新:2021-05-08 14:50:43
734文字
会話率:12%
今日から待ちに待った中学校生活が始まる。
浮かれた僕、こと翔(かける)は、はしゃぎにはしゃいで登校する。
あと五歩、それで学園の仕切を跨ぐことになる。
でも...
「逃げろっ!」
ん?日向(ひなた)?どうした?....あ。
最終更新:2021-03-08 14:00:02
8304文字
会話率:21%
ある日の朝。
交通量の多い交差点で、私はクラクションを鳴らされた。
別の日。
以前にクラクションを鳴らしてきた相手と再会した私は、ささやかな復讐をするのだが――
最終更新:2021-01-11 20:52:02
3537文字
会話率:6%
車のクラクションの音を切っ掛けに相手の車に後を付けられるようになった男がある博士に相談した。というショートショートです。
この作品はわたしのブログ(https://ameblo.jp/zanjitsu)にも掲載しています。
最終更新:2020-07-22 09:18:46
3401文字
会話率:56%
この話はフィクションってことで! …全年齢対象の!
これまでのあらすじ
とある普通の高校生イトウ セイタロウは学校へ向かう途中、トラックのクラクションにビックリして、ちょっとふらふらしていると…。
なんと!いつのまにか異世界だった!
そ
して、なにかよく分からないうちに。
めずらしい力をもらって。
4名の仲間とともに。
とってもたいへんなことを乗り越え。
ついに世界をおびやかすわるいやつをこらしめた…!
そして…。平和となった世界をみてまわるうちにセイタロウはこれからなにをするかはっきり決めたのだった…。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-03 00:45:58
4703文字
会話率:30%
【この世界は、ノイズだらけ……】
主人公の律は、仕事や外出の度に聞こえてくる誰かの悪口や怒鳴り声、街中に響き渡る程の大きなクラクションの音、怒りをそこにぶつけるかのようにバタンッと乱暴に閉められた扉の音。
そんな音ばかりが聞こえてくる律は、
そんな世間をシャットアウトするように外出する時は、いつもイヤホンで音楽を聴くようになった。そして、外で聞く音楽はクラシックとジャズと決めている。
無駄が無く、音と音の素晴らしい重なりや表現で心が落ち着く。
だから、律は「声」を求めず、「歌」を拒絶していた。
そんなある日、いつも使っているイヤホンが充電切れで使えなくなってしまったことをきっかけに公園で路上ライブをしている女性と出会う。
彼女の歌声の綺麗さに驚き、思わず立ち止まり彼女の歌を聴くことにした律は、今まで自分が拒絶していた「歌」を「聴きたい」とその時、初めて思った。
他の人とは比べ物にならない程、綺麗な歌声を聴いた律は、彼女の歌をもっと聴きたいと思い彼女のCDを手に取る。その日から外出する時もずっと彼女の歌を聴くようになり、不思議と彼女の歌を聴いていると街中で人の優しさやあたたかさを目にする事が増えて、今までの様な乱暴な音を感じなくなっていた。まるで、彼女の歌声に魔法を掛けられたかのように見える世界が大きく変わった。
そして、また仕事終わりに彼女の路上ライブ行き、律は彼女と無事に再会を果たし、彼女の有無を言わさない急な誘いでそのまま二人で食事に行くことに。
そんな遠慮も配慮も無い嬉しい誘いをきっかけに律と彼女の距離は次第に縮まり、お互いを意識するようになる。
「好きな人には自分の好きなものも好きになってもらいたい」彼女のこの言葉をきっかけに二人の恋が始まる。
この作品はpixivにも掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-15 16:10:28
5631文字
会話率:55%
信号は青のはずだった。
今日はやけに空気が冷たく、両手を温めないと悴んでしまいそうだった。昼に見たネットニュースで、過去最低気温と言われていたことを思い出す。雪は降っていなかったのに、踏みしめる地面は確かに凍っていた。滑らないように気をつ
けながら歩くと横断歩道に着いた。歩行者信号は赤で、待っているのが俺を含めて5人。学校帰りの高校生2人組、時計を気にしてるサラリーマン、買い物袋を持った主婦。
俺は大学の講義が終わり、バイトに向かう途中だった。車道の信号はもうすぐ赤になるところだ。3秒数えて足を踏み出す。信号は既に青だ。尻ポケットの中からスマホを取り出し時間を確認する。十分に間に合う時間だった。
真ん中に差し掛かったところで五月蝿いくらいの不協和音が響いた。咄嗟に振り向くと視界に飛び込んできたのは、白いトラックと運転手の見開いた目だった。
急ブレーキ、タイヤのスリップ音、クラクションの音。
瞬間、暗転。
頭の中でファンファーレが鳴る。
「おめでとうございます。この度、厳正なる抽選の結果、貴方は転生者に選ばれました」
「第2の生をお楽しみください」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-20 01:05:06
1776文字
会話率:44%
大学生の藤原実と小鳥遊真はいつも通り待ち合わせをして一緒に帰っていた。何てことのない会話をしながら歩いていると後ろからクラクションの音が。後ろを振り返った瞬間、実の身体は宙に浮きアスファルトに叩きつけられた。
気を失ったあと目が覚めたのは世
界は....。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-09-29 23:00:00
13029文字
会話率:55%
桐谷瑞希は、帰宅途中偶然かかってきた電話で話しながらアパートまでの道を歩いていた。
目の前を足をひょこひょこ引きながら歩いている女の子に、視線をやりながら。
進行方向の信号が、青から赤に変わった瞬間、女の子は何故かその横断歩道を渡り始
める。向かってくるトラックの大きなクラクションに固まる女の子。危ないっ!と咄嗟に駆けつけ、女の子に抱きつく感じで境界ブロックに激しく身体をぶつけ、意識を失った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-09-08 07:14:54
4531文字
会話率:33%
幼少のころの事故により、車イスでの生活を送る14歳の少女、桜子。
一年前になくなった父、誠一郎の死に疑問を持ち、
幼少のころからの執事である黒木とともに真相を探っていた。
新たな出会いは東京都北区、王子駅前の交差点。
歩道橋の階段近
くで信号待ちをしていた桜子と黒木。
執事の黒木の一瞬の隙をついたのか、
桜子の乗った車椅子が強く押され車道へ放り出された。
激しいクラクションやブレーキ音が鳴り響く中、
一人の女性が車椅子ごと少女を強く歩道へ引き込んだ。
そして―…
一台の白い車が、その女性の身体を宙へ投げ出したのだった―…。
轢かれた女性―、薫は順調に回復し
ある日、桜子から屋敷でのパーティーへ招待を受ける。
少人数のパーティーで再会を果たす二人。
だがそのパーティーは、
それぞれの思惑が巧妙に入り組み用意された、
殺人の舞台だった―…
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-06-28 00:36:40
8220文字
会話率:33%