退屈している者たちに一方的に贈る。
薄暗く、見るからにアンダーグラウンド臭のする寂れたビルがこぞって集まる、細い路地のどこか一室。
ある時はビートが唸り、ある時は心地よく癒される震動に満たされる店内。
客席には、ズラリと並んだ洒落た酒瓶た
ちに弄ばれる、二足歩行の愚かな動物。
カウンター内には高校生にも見える身長の低いバーテンダー。
神秘学者、鬼道 司。
その男が操る神秘はアルコールが見せる幻影、もしくはくだらないペテンか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-10-03 14:47:50
1457文字
会話率:35%
小柄な体躯(たいく)と、それに見合わぬ食欲を合わせ持つ男、遠回理道草(とまわり・みちくさ)はそれ以外に特に目立ったところのない優男であるが、実は、生まれもっての鋭い観察眼と推理力を持つ、人の心を見抜く特殊な能力を持っていた。
しかし、そ
の才能を発揮する機会もさほどないまま時が過ぎる。
……しかもいとこであり、親もいなくなってしまった筋金入りの不良だった少女、山野辺(やまのべ)タンポポを守るために、《ある事件》から彼女を解放した際、彼の幼馴染であり、今は亡き人となっている想い人である女性、《囲炉裏薪(いろり・まき)》の存在によって、彼は、自分の趣味である『散歩』と、それを一緒に歩くことによって、己の能力である観察力や推理力、直観力といった力をつかい、依頼人の心の奥にひそむ闇や、わだかまりなどを『やさしく』解決することによって報酬をえる仕事、――『散歩屋』――という変わったものを始めることとなる。
彼に依頼してくるひとたちは、みな、表面からは見えない、ちょっとした些細な過去の傷や、または、大きなおおきな埋められない痛みの空白によって、縛られている。
そこに、相手を弾劾(だんがい)するでもなく、追求をするでもなく。――ただ、一人の人間として、その人ときちんと寄り添おう、聴かせてもらおう、という心地よくも温かい姿勢によって、今日も誰かが、彼のその『力』によって、こころを軽くしているのであった。
ささいな〝棘〟を散歩の途中に気がつけば抜いている男、遠回理道草の、ほんの少しだけ変わった『散歩屋』事件ファイル集。
今日も誰かと、彼は道を歩いている。
はじまり、はじまり。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-08-12 10:13:52
56777文字
会話率:30%
一人暮らしの薬剤師のあんず。あんずは自分がのんびりと心地よく過ごすことを目標に、日々お気に入りを集めている。幼馴染との朝の会話だったり、後輩の相談に乗ったり、大好きなパン屋に通ったり。好きな家具を揃えて、好きな食器で食事する。そんなあんずの
お気に入り日和のお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-05-17 22:31:45
1117文字
会話率:14%
ある日から少年の目に映るようになった、死者の姿――――死神。泥沼に沈みゆく、あの心地よくも恐ろしい虚脱の感覚に囚われ行く中で、少年は逃れようのない絶対の宣告を受ける。
「お前は死ぬ」と――。
2015年、9月8日。漫画版を、ニコニコ
静画(マンガ)に投稿しました。よろしければ目を通してみてください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-09-08 22:11:39
23363文字
会話率:30%
毎日、もう少し静かに過ごしたい。
そんなアルジェントの望みは冬の間にやってくる少女に打ち砕かれる。
まあ、何だかんだで充実した日々を送っているが。
ある程度心地よく、気に入らなくもない日々。
しかし、そんな毎日に終わりが来た。
最終更新:2015-08-20 00:00:00
6407文字
会話率:30%
その昔、シャクシャインという偉大な人物がいたとアイヌの歴史は伝えている。
何時だったかシャクシャインという、その名を何気なく口ずさんだ時、その響きが、僕の頭蓋骨の中で心地よく、哀しく、音叉の様に響き、いつまでも共鳴していることに気付いたの
である。
考えながら、書いていきますので、無事に完成するか、僕自身、自信はありません。完結までは、時間がかかります。もしも、アイヌのかたたちが、不快に思われることがありましたら、ごめんなさい、何も知らない、素人が、シャクシャインという人物に、興味を持っただけのことなのです。でも、これだけは分かって下さい、僕は、シャクシャインが、大好きなのです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-05-15 04:25:30
1332文字
会話率:3%
捕食者の目で私を見て彼が笑う。向けられる眼差しが心地よくて私は微笑む。彼になら食べられても良いと思った。私の全ては彼の為だけに存在するのだから。
ナツ様主催の共通プロローグ企画に参加させて頂きました。
最終更新:2015-01-16 22:42:50
11831文字
会話率:20%
高校二年生の千葉涼平は、ある雨の日に
一人の少女に出会う。
不思議な距離を保ったまま、心地よくすぎる時間。しかし、少女には「秘密」があって…
キーワード:
最終更新:2014-09-05 20:54:25
3385文字
会話率:38%
維川 千四号さんの企画【眠くなる小説】が素敵だったので便乗。
最終更新:2014-05-15 14:41:50
984文字
会話率:0%
春休み。
僕と先輩は今日も文芸部室にいた。
僕が書いて、先輩が添削して。
ほとんど無言だけどその静けさは心地よく、何より先輩といられるだけで僕は幸せだった。……例えそれがいつまでも続かない幸せだったとしても。
ーーもし僕が作家なら、ここで
筆を置くだろう。変化なんていらない、終わりなんていらない、永遠にこの緩慢で幸せな日常に浸っていたい。
ーーもしこれが小説だとしても、きっと僕は主人公にはなれない。先輩とのハッピーエンドなんてない。だって僕は人に好きになって貰えるような男じゃない。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-11-25 23:56:25
4022文字
会話率:26%
大手企業に通う新谷(しんたに)は、度重なる悪質な残業などにより精神を病んでいた。それを相談する友人もいない、家族とは絶縁状態、そして彼はとうとう自殺を決意する。
自殺を決意したとき、ふと昔を思うと、古いアルバムを手に取り、最も楽しかった
時分に思いを馳せた。新谷の魂を救済していた結(むすび)という少女との記憶は、最も心地よく、最も後悔の念が強いものだった。
その結と交流するうち、新谷の環境が狂い始め、少年でありながら世界に不信を抱き始める。荒んでいく新谷の魂を癒す結との絆は深まるが、そんな関係も長くは続かなかった。
新谷が小学四年生の時分、ある玩具が流行り始めた。それを欲しい新谷だったが、小遣いも貰えない状態では、無理な話だった。その新谷に対し、玩具をやるから結と絶好しろという少年が現れる。新谷は渋々ながらに結を突き放す。だが、結局玩具は手に入らず、結を裏切った新谷は消えない傷を負うこととなる。
過去と現状に別れを告げるため、数年ぶりに訪れる故郷の、思い出の山へと赴く新谷の精神は、崩壊していた。
山をのぼり、頑丈そうな枝に座り、紐を結び、自分の首に括りつけ、何気なく足元を見ると、そこにはあの頃と寸分違わぬ姿の結がいた。
結はあのときのことを気にしてなどいなかった。自分を忘れて前へ進んでほしいと願っていた。新谷はそれを都合のいい幻想と思った。だが、幻想でもいいからもう一度触れたいと願い、一歩前へ踏み出すと、枝から落ち、首を吊って死ぬこととなる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-09-01 13:23:37
8108文字
会話率:7%
日差しが心地よくて、転寝をしてしまった…。
最終更新:2011-02-10 17:21:01
200文字
会話率:8%
生徒会長――青村紗季先輩とのひと夏。何があるわけじゃないけど、先輩と一緒にいる時間はどこか心地よくて……。夏休みをお題にしたショートショート。
最終更新:2009-10-16 09:58:06
2898文字
会話率:40%