加賀の国す川の里まつのおのぶたかには、玉つるまると玉つるひめという二児があった。
玉つるまるは、父から弓で打たれ、弓の折れたのに発奮し、比叡山で学問をするため家出する。
11歳になる妹の玉つるひめは兄を追って家出したが、能登の国おやの港にす
まいする人商人の手にかかり、博多から来た人買い船に売られる。玉つるひめは『波風に揺られ、潮風にもまれ』ては肩に着くが、そこから豊後、肥後、備後、大隅、薩摩、豊前と売りまわされ、筑前の国さいふの里のうこんといういやしい男に買い取られる。玉つるひめは桑つみに出されたところを国司に救われ京に帰る。結局は高僧となった兄や親とも再会し、折れた弓を継ぐことになる。
牧英正『人身売買』岩波新書より参考。
内容を大きく変更させています。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-30 18:13:16
9118文字
会話率:30%
ある事情で入院していた悠はとても退屈だった。
動かない体と何もない病室、そして窓から見える憂鬱な雲。
悠の見舞いに毎日のようにやってくる志織くらいか悠の暇つぶしだった。
そんな二人の短い初夏の物語。
最終更新:2018-07-30 07:34:55
10646文字
会話率:30%
火星歴379年(西暦2466年)前期12月のある日、二人の男が60年ぶりの再会を果たした。二人は互いの再会を喜び、盃を酌み交わす。もっとも、片方は20年来禁酒しており、茶ではあったが。
男達は60年余りに及ぶ互いの思い出話に花を咲かせた。
男達の出会いは、この火星で60年余り前に起こった第三次火星戦争と呼ばれる、火星全土を巻き込んだ大きな戦争の最中(さなか)であった。
これは、戦争中にこの二人が行った選択についての話である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-30 06:00:00
7468文字
会話率:34%
織姫と彦星ってどうして女性と男性なの?
私、彦星亜瑠泰(ひこぼしあるた)は、女の子だけど織姫が好き。
だけど私はその想いを口には出せなかった。
口に出せないまま、織姫についつい意地悪を……
最終更新:2018-07-29 05:51:14
12292文字
会話率:15%
江戸の長屋で暮らす男・熊吉がある夜酔っぱらって帰ると、長屋の前に男が倒れていた。熊吉は酔いの勢いもあり、流れでその男を自分の家に連れて帰った。
庄次郎と名乗るその男は金なし家なし素性黙秘。だが、拾った責任から熊吉は庄次郎の面倒をみることを決
意する。
庄次郎が長屋に馴染みはじめたある日、遂に庄次郎の正体が……。
※『MBSラジオドラマ短編小説賞2018 第1回』応募作品折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-30 02:08:35
27897文字
会話率:49%
私は言葉が具現化する世界に降り立った。
最終更新:2018-07-29 23:28:16
3755文字
会話率:22%
これからするのは、「雨男」と呼ばれる僕と、傘にまつわる話。
最終更新:2018-07-29 15:38:52
10463文字
会話率:9%
夏の夕方。
弟から電話があり、訪ねた施設からの帰り道。母にまた「初めまして」と言われた日。
もう私と母は親子に戻れないのかもしれない。
そんなことを思いながら車を運転していた主人公の前に一匹の黒猫が飛び出してくる。
慌ててハンドルを切ったと
ころまでは覚えている。そこからの記憶はない。
気付くと理容室の前にいた。
泡沫の理容室。
そう呼ばれるその場所は死者が出た街に現れる。
その人の最期の身支度の為に――。
MBSラジオ短編賞、応募作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-29 15:16:31
3774文字
会話率:29%
古ぼけた書店を営んでいた父親が急死し、一人息子の「俺」は始発の新幹線で十年ぶりに故郷へ向かった。かつて幼い誇りを打ち砕かれ悩んだことも、抱いていた父への気持ちも、何ひとつ伝えられないまま死別してしまった苦い思いは、葬儀のため駆けつけてくれた
商店街の店主仲間や幼なじみ、父のために集まってくれた店の客らと触れ合ううち少しずつ変化していく。父が考えていたこと、自分に望んでいたこと。「俺」の知りたいことはいつでも目の前にあったのに……というような物語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-29 12:39:11
12310文字
会話率:38%
最近、女子事務員の一人が仕事の夢ばかりを見るらしい。
よくあるような毎日に少し変わったことがあった。
たまには、そんなこともあるのかもしれない。
最終更新:2018-07-29 12:28:52
8784文字
会話率:44%
神戸市の元町にある骨董屋、そこにおいてある壊れたカメラには不思議な力があった。
最終更新:2018-07-29 11:34:00
3688文字
会話率:32%
銃を携えた二人の若者と老人。彼らの間に横たわる距離は、言葉を交わさぬ「コミュニケーション」で縮んでいく。
最終更新:2018-07-29 01:20:36
20607文字
会話率:22%
独身、社会人、一人暮らし、彼氏なし。
そんな弥生がネットで見つけたのは、「メシ友募集」のメッセージだった。
最終更新:2018-07-28 16:24:38
5759文字
会話率:32%
世捨て人のように山奥でひっそりと暮らしていた男の元に、かかって来た一本の電話。
そこから始まる、彼と彼女を結ぶささやかな秘密が、ひとつのピリオドへと向かうお話。
手を取って導くのは、あなたのお耳の恋人、メリーさん。
最終更新:2018-07-28 13:07:19
9336文字
会話率:56%
日曜日、あるカジノのルーレットテーブルに「彼」がやってくる。彼は毎週、1度だけ1万円を赤のマスにかけ、大抵は外れる。だが、彼にはある目的があり…。
最終更新:2018-07-28 10:00:00
2753文字
会話率:27%
今日の空はいい空だった。色は黒というより紺に近く、ところどころに青みがかった灰色の雲が浮かんでいて、じっと一つの雲を眺めているとなんとなく動いているような気がして、目で追っていくとビルに差し掛かってビルの上を通り過ぎて、やっぱり動いていたの
だとわかった。それから空全体を見渡すと、すべての雲がゆっくりと動いている感覚がどんどん広がっていって、自分が立っている地面の丸さと、空がずっと続いていることが感じられるのだった――日常の流れの中の半日間を切り取った、断片のような短編小説。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-28 04:13:29
25484文字
会話率:45%
大学生にしては老け込んだゲイの私は、彼と出会う。
私と彼は彼女と出会う。
3人の想いは交差しない。
若い恋とはなんなのか、愚直な愛とはなんなのか、傷ついた心への慰めとはなんなのか。
漫画のようにはいかない現実の恋のお話。
最終更新:2018-07-28 03:42:57
2938文字
会話率:63%
ある日の午後私の体験した出来事
最終更新:2018-07-27 21:56:31
2785文字
会話率:40%
たった一つのアクシデントで歯車が狂っていく。
仕事に理解のある女性を伴侶に迎えた男と、良家に嫁入りして玉の輿婚に成功した女が、偶然の出会いを重ねるごとに心身を通わせる恋愛物語。
『MBSラジオドラマ短編小説賞2018』用に書き下ろし
最終更新:2018-07-27 18:00:00
23534文字
会話率:49%
脱サラして屋台を始めた「おれ」と、小汚いガキ。
この冷たくて広い街に二人だけの小さな物語。
最終更新:2018-07-26 22:34:14
4812文字
会話率:24%
リアルな大人の合コン戦記!不器用だからっ諦めたらダメだ!
不器用で上手くいかない研究者西さんと、器用でも上手くいかない僕との奮闘気。
最終更新:2018-07-26 13:15:13
11162文字
会話率:29%