夏の夕方。
弟から電話があり、訪ねた施設からの帰り道。母にまた「初めまして」と言われた日。
もう私と母は親子に戻れないのかもしれない。
そんなことを思いながら車を運転していた主人公の前に一匹の黒猫が飛び出してくる。
慌ててハンドルを切ったと
ころまでは覚えている。そこからの記憶はない。
気付くと理容室の前にいた。
泡沫の理容室。
そう呼ばれるその場所は死者が出た街に現れる。
その人の最期の身支度の為に――。
MBSラジオ短編賞、応募作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-07-29 15:16:31
3774文字
会話率:29%