会社はクビになり、付き合っていた彼女には浮気され、友人の借金を肩代わりし、さらには一人暮らししていたアパートも追い出され、人生ドン底まで突き落とされた赤川シュン。
「どうすればいいんだ……」
真夜中。行く宛のないシュンは公園で黄昏れ
ていた。缶コーヒーを飲もうとするも、財布の中には一銭もない。そんなシュンに声をかけてきたのは――
「自販機ぃぃいいい!?」
「良かったらうちで働かない?」
「は?」
そうして再就職したのは、大手自販機メーカー“コクコオラ”。
シュンは人生の再スタートを切り、自走型自動販売機として働き始めた――折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-30 23:23:34
21972文字
会話率:57%
私は目を覚ましそれを眺めた。
一輪の花が朝の木漏れ日に頭を垂れるさまを。
雨滴を振り払い太陽を見上げる。
やがて花は天に花弁を広げる。
腕を拡げるように。踊るように。
見渡せば辺りには同じように空を目指し花たちが舞う。
色とりどりの花たちが
辺りを埋めていく。
虫、鳥、獣を取り込み苗床とする。
世界の一部になる。その中心に私はいる。
私がやっている。
花で作った大きな蕾。
枝の触覚がすべて知覚できる。
実に栄養をあげよう。
夕沈みまでに。森の全てを掌握する。
美しき花。花弁は開花しかけ。
西側の枝木が悲鳴を上げた。
針で刺されたような痛み。
「1匹、2匹か」
塵芥を排除する。
毒の荊棘で虫を排除する。
飛び回って命中しない。
イライラする。
今や森のすべてが私。私となった。
この花を開花させたい。
私は他に何も望まない。
森に生きとし生ける全ての生命を栄養にして。
2匹の虫が核に近づいてくる。
何をするつもりだ。
害虫が。殺してやる。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。
肥大化させた猛毒の荊棘を鞭のように撓らせる。
害虫2匹を押し潰す。
毒の穴に落とし溶かす。
漸くくたばったか。クズが。
人間の死体は栄養が豊富…だがいらない。
遠く海に投げ捨てる。
日が沈む。黄昏の空に、鳴動する新たなる生命の鼓動。
刻一刻。整った。
満月が祝福する。
桜色に夜を照らす巨大な花弁。膨大な光の渦。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2023-07-29 14:17:19
1122文字
会話率:11%
黄昏の海。鉄骨の橋の上。
夕焼けを反射した黒のバンが橋の上を猛スピードで去っていく。
「うわあああああああああああああああ」
車は蛇行しながらふらふらと橋を渡る。
橋の100メートル下ではさざ波が夕焼けに煌めいている。
ミラーを
見て、後ろを確認する。
がががががががが。ずーーーん。
橋の鉄骨が、倒れてくる。
通ってきた道が、音を立てて崩れていく。
どかーん。
鉄骨が車の後部寸前のところに倒れてきた。
「ふわああああああああああああああ」
アスファルトに亀裂が入り、橋が傾く。
橋が斜めになり、死に物狂いでアクセルを踏み込む。
「おら、もっと力入れんかい。落ひるで」
じゅっぽじゅっぽ。
助手席からお姉さんが膝に|凭《もた》れかかってくる。
長い髪が腰に|纏《まと》わりつく。
「んんんんんんんんんん」
坂道を、なんとか乗り切る。
しかし、橋の|崩落《ほうらく》は止まらない。
蛇行しながらジグザグに進んでいく。
じゅっぽじゅっぽ。
「もうダメですううう」
「まっふぐふふめ。噛むえ」
視界の先に、都市が見えてきた。
高いビル群と入り組んだ道路網が見える。
「ラストスパートらっ。あーん」
じゅぽっじゅぽっじゅぽっ。
「はわあああああだめえええええええ」
脱力しそうになる下半身を無理やり踏ん張る。
橋が、上がっていく。
スピードを出さなければ、向こうまで渡れない。
「アクセル全開や!」
じゅぼぼぼぼぼぼ。
「もうダメ………いきまふううう」
「行け!行けええ」
橋の最高点から、ジャンプした。
崩れ、海に消えていく鉄骨とコンクリート。
オレンジ色の景色の中。
汗と涙が夕焼けにきらめいた。
びゅるるっびゅるっ。びゅるっ。
どんっ。ぶいーん。
危なげなく着地し、車をまっすぐ走らせる。
「おおー」
車を止め、振り返る。
橋が真横に倒れ、沈んでいった。
「やればできるやん」
お姉さんは口元を手で拭いながら、にやっと笑った。
「もうこんなの無理…」
びくんびくんと震えながら、シートに深くへたり込んだ。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2023-07-28 06:34:51
784文字
会話率:28%
ツーリング中に死の世界に引き込まれる男の話。
最終更新:2023-07-26 02:05:31
1060文字
会話率:0%
百鶴財閥のお嬢様である百鶴院バスカは大バカである。
それというのも勉強はすべてサボり、アニメと漫画と動画で義務教育を終えたからである。
そんなバスカは愛想を尽かされ勘当されることになり、ダンジョン配信者となることを決意!
野性味溢れる
バスカは魔力が満ちたダンジョンの中で驚異的なパワーを発揮する。
あるときダンジョン内で有名配信者である黄昏トキナと出会い、バズる要素しかないバスカは一躍有名に!
一気にバスカに注目が集まり始める。
バスカを追放した父親であり百鶴財閥の総帥のマサムネは「これは自分に対する当てつけか?」と勘違い。
ダンジョン配信四天王の一角であるプロフェッサーオールグリーンはバスカの力に目をつける。
一体、バスカの周りで何が起こっていくのか。
なお、バスカの目標はチャンネル登録者1兆人である。
残念ながら、全世界の人口を合計しても1兆人には届かないのだが、がんばれバスカ!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-23 19:49:49
34369文字
会話率:33%
音楽を人類が知らなかった頃。一人のエルフが音楽を広めようとしていた。その教えをうけた弟子は、師匠の意志を継ぎ、世界に旅立った。
音楽を通して自分自身と向き合い成長する、エルフの物語。
最終更新:2023-07-18 21:06:14
741文字
会話率:17%
いつも通りの日常、いつも通りの帰り道、いつもの友人、そして、いつもの外灯。
しかし、怪異もまた、いつもあなたの傍にある。
外灯すら惑わす、黄昏時。誰そ彼、と人に尋ねるのにも勇気がいる。なぜなら・・・・・・
最終更新:2023-07-11 02:00:00
1817文字
会話率:0%
これは俺が高校生の夏の時の話。今思えば、不思議だなって思うんだ。
最終更新:2023-07-09 09:25:21
1385文字
会話率:25%
朗読用台本
1人。
七夕だったらしいんでぽいやつを。
遅れながら参上しました。
配信などでの使用許可についてはフリーです。
口頭で何かしら本文について紹介していただければ、
特に使用報告等必要ありません。
金銭発生する場合も同じです。
最終更新:2023-07-08 06:40:23
913文字
会話率:2%
ある用事を済ませた帰り道の事だった。
黄昏時。僕は場にそぐわないスーツ姿で、人気のない田舎の畦道をひとり歩いていた。
『──ぐすっ──ぐすっ──』
風の音に混じって、啜り泣くような声が聞こえてきた。
声の方を見ると、脇道のお地蔵
様のそばに、少女が立ち尽くしたまま泣いていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-06 21:24:53
2114文字
会話率:29%
黄昏時、それは「誰ぞ彼」刻。
知人に会ったと思っても、確かめてはいけない。
決して目を合わせてはいけない。
もし、目を合わせてしまったら.....
最終更新:2023-07-03 07:12:00
2149文字
会話率:11%
後期高齢者の男は、一人ロープを入れたナップザックを背負って山道に入る。
最終更新:2023-06-25 09:00:16
4206文字
会話率:9%
ブレイブと呼ばれる神の加護を持つ者のみがモンスターを倒せる世界。成人式でブレイブを授からなかったアイクは幼馴染二人からパーティー追放を言い渡される。王都へ旅立つ二人を見送りながらアイクは二人に追いつくと誓うも、アイクの旅路は最初から躓く。断
片的に思い出せる前世の記憶、そしてその記憶由来の不思議なカードで召喚出来る数々のクリーチャーとアイテムを使ってアイクの戦いが始まる。千年周期の終わりを告げる黄昏をアイクは大事な人々を守りながら生き残れるのか!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-19 20:00:00
261842文字
会話率:60%
開闢以来三百年を閲した迂朝は黄昏を経て、衰微の頃を迎えていた。皇帝の号はその実質を損ない、代わって覇王の台頭への予兆が、戦乱によって見せつけられる。
それは神託によって予言された世界の極みでもあった。野心家らは神託をこそ拠りどころとし、
力づくでその翼を広げようとほくそ笑む。またその神託の導かんとする血塗られた世界をその神託ごと憎悪し、強いられんとする運命をはねのけんと力を培う者もあった。
巡る覇王の椅子とその行方、それが瑠国の迂朝末期の有様であった……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-16 10:25:03
35752文字
会話率:41%
世界は、終末に向かっていた。
土地は痩せ、水は涸れ、人々は減り、僅かに残る水源を中心に寄り集まって生活していた。
さらに、定期的に訪れる“瘴期”には、発生する瘴気で獣たちは凶暴化し、村を襲った。瘴気は獣ばかりか人間をも犯し、狂化させ
る。
瘴期には、人々は結界を張った村に閉じこもり、小さな結界を張れる魔術士が剣士と組んで、村を襲う獣を駆除した。
そんな生活を続ける中、人々は活力を失っていった。
村に住む少年ロイは、大人たちの覇気のなさに嫌気が差していた。瘴期が世界の終わりを示すなら、それを打ち破ればいい。
その信念の元、ロイは成年に達する前から無理を通して、瘴期の獣の駆除に参加した。しかしある日、とんでもない失態を犯す。
打ちひしがれたロイは、それまで邪険にしていたレーヌから魔術を学び、剣士として成長してゆく。そして、瘴期を打ち払うべく準備を整え、レーヌと共に村を飛び出してゆく。
瘴期とは何か。
世界は本当に終末に向かっているのか。
ロイの手は真実に届くのか。
少年と少女の旅が、今始まる。
∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞8∞
ということで、新作です。
1話から10話までは、毎週5日 日曜日~木曜日、17:00頃、投稿予定です。
11話からは、毎週1日 火曜日、17:00頃、投稿予定です。
ところで……何やら不穏(?)なキーワードが……なぜにこの内容で《異世界転生》?
舞台は異世界ですが、現実世界から誰も転生していない……なのに何故?
というわけで、《異世界転生》のガイドラインには乗っていないけれど、《異世界転生》としか言いようのない物語です。
お楽しみいただけると幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-06 18:00:00
208227文字
会話率:53%
徳生高等学校にある助っ人を求む《一休部》
そこに可憐なる助っ人。
一休花蓮が今日も居た。
一休花蓮は、今日も佇む。
放課後に窓から外を見ながら黄昏れる。
様々な出来事と思い出を考えながら。
一休花蓮の物語。
部員は2名。
依頼は、数
しれず。
一休花蓮は、全てを請負、全てを解決出来るのか?!
新連載!
『一休花蓮も諸行無常。』
是非、読んで下さいネ!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-02 18:43:31
2066文字
会話率:14%
黄昏の、退廃の時代とよばれた―――〝星の時代〟。
それは混迷極まる新時代。西の聖者の西暦を終えた遥か先の未来、人々が生きる〝星暦〟。
遥か、遥か先に母なる星を捨てなかった未来。
人類は揺り籠を手放せず大海に飛び出す事をしなかった、そんな――
―IFの世界のお話。
※カクヨムからの移植です折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-30 20:00:00
35941文字
会話率:43%
魔術学院の図書館で会った、一人の少女。彼女と二人きりの青春を過ごし、卒業を機に離れ、再会し、別れまでの物語。
最終更新:2023-05-30 01:44:59
11098文字
会話率:48%
美術部の課題を自室で窓を開けて行っていた主人公は、かすかに聞こえてくるピアノの音色を耳にする。それ以降そのピアノが聞こえてくるは彼女のお気に入りの時間となったが、ある日を境にそのピアノが聞こえてくる事が無くなった。
最終更新:2023-05-26 17:38:00
13849文字
会話率:36%
たそがれどきに強い思いを念じた人だけがたどりつける不思議で奇妙なお店があるらしい。その名は夕陽屋。
過去につながる公衆電話、人間の一生が書かれている本がしまわれている人生の書庫があるという都市伝説のお店だ。
寿命が見えるあめ、書いたこと
が事実になるメモ帳、消すと事実が消える消しゴム、ともだちチョコレート、おたすけノベル、美人グルト、老いを遅らせるグミ、大冒険できるガム、永遠ループドリンク、運命の赤い糸、死んだ人と会えるミラクルキャラメル……。
不思議なお菓子や文房具が置いてあるらしい。
そんな不思議な夕陽屋には10代であろう黄昏夕陽という少年がいて、そこに迷い込んだ人間たちは……?
奇想天外な商品と裏切り系人間ドラマが待っている。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-23 18:34:48
75195文字
会話率:60%
故事は冷戦時代に起こります。半世紀にわたり封鎖されていた無歌山が再び開放されました。
東京から来た二人の人物はある意外な出来事により、日本帝国の敗戦直前に建設された黄昏の城に入り込みます。
黄昏の城の地下に埋もれた秘密が再び明るみに出ると、
驚くべき陰謀が次々と表面化します。
全員の身分は曖昧で、極めて危険な人物が群衆の中に潜んでおり、秘密の目的を抱えています。
主人公は死の縁で推理し、冒険し、知恵を絞ります。
仲間に殺されることを避け、最後まで生き残り、謎を解き、幕後の黒幕の身分を確認し、陰謀を打ち砕き、真実を明らかにするよう努めてください。
最後に、黄昏の城から脱出してください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-21 15:52:17
16634文字
会話率:30%