「女王陛下、……いや、シルヴィア・ローゼンハイム。あなたを王国の大罪人として逮捕する」
ある日の夜、私は臣下の貴族によって逮捕された。臣下の一人が、私の髪の毛を掴んで窓際に連れて行く。そして、城壁の向こう側で淡く瞬く赤い光を私に見せた。
「……あれは何ですか?」
私の問い掛けに、臣下はしばらく|間《ま》を置いて答えた。
「革命の火です。王都は貴族連合軍が掌握し、残りはこの王宮を残すのみです。貴族連合軍と共に戦う民衆達が、王宮の城壁のすぐ外側まで迫っています」
「……革命?」
「今夜、ローゼンハイム王国は滅びたのです」
その逮捕から約一週間後、私は民衆の前で斬首刑となり、その躯(むくろ)は一切を残すことなく、灰になるまで焼かれた……。
◇ ◇ ◇
「シルヴィア・ローゼンハイム。汝は王国にその生涯を捧げ、鎮守の神々に忠誠を誓うか?」
……え?
私は、国王の王冠が置かれた玉座に向かって跪いている。斜め前には、背の高さほどの錫杖を持つ王国国教会の大主教が立ち、私を見下ろしていた。
──これは……、もしかして、六年前の戴冠式?
私は状況を理解できないまま、ゆっくりと後方を振り返る。すると、そこには数十人に及ぶ貴族達が整列して、私に向かって軽く頭を下げていた。
──あぁ……。あの時に戻ってきたんだ……。悲劇の始まりの日に……。
私は、玉座の背後に飾られた優しく|微笑《ほほえ》む父王、故グローヴィスの肖像画をじっと見つめる。
──お父様。私は帰ってきました。今度の人生では同じ過ちを繰り返しません。必ず、お父様から受け継いだこの国と国民を守って、立派な王になります。
「私は今ここに、第十六代ローゼンハイム王国の国王に即位したことを宣言します!」
こうして、シルヴィア・ローゼンハイムの国家再建ストーリーが始まった──。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-16 13:15:15
288206文字
会話率:42%
東京、池袋の夜、ビルの谷間に光るネオンの海を見下ろしながら、俺はバーのドアを押し開けた。
異世界帰りの俺、一条零がこの街で暮らすようになって数ヶ月。
手首に巻いたルビーの魔石が、淡く光を放つときはいつも厄介な出来事の始まりだ。今夜もその兆
しを感じていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-13 20:10:00
5415文字
会話率:37%
───火直の街には三人の“土地守”がいる。
はるか昔からつづく仕来り。人の手から手へ。旧い血から新しい血へ。決して破ってはいけない約束のように、それは途絶えることなく、連綿と受け継がれてきた。
この地に集うよくないものから、街と人とを護るた
めの防波堤にして要石。あるいは、人身御供ともいう。
五月の半ば、ゴールデンウィークも過ぎ去ったある日のこと。高校一年生の少女、みどりはある事件に巻き込まれてしまう。事故で亡くなったという先輩の話。夜に溶けるような淡く青い光。真っ暗な夜、彼女を襲う異変の正体も判らないまま、意識は闇へと落ちていく───。
一方で、少年は寝静まった深夜の街を独り静かに歩いていく。長い坂道を上り切った先にある、白く、歴史を帯びた教会。重い扉を開けると一人の年若い神父が彼を歓迎した。
「やあ、こんな夜更けに訪れるなんて、いったい何の用でしょう」白々しい問いかけに、少年は冷たく応える。「仕事だよ」
───つまるところ、自分は生きていてよかったのか。
知りたかったのはその答えだけ。止まない後悔に打たれ、贖罪に身を縛り、縋るように過去を想い、それでも歩み続けた十六年の生の記録。
その最期に、少年はひとつのこたえに辿り着く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-05 19:50:14
33074文字
会話率:24%
「ごめんなさい、ビードン子爵令嬢。でも、仕方がありませんよね?」淡く桃色がかった銀髪に赤い目をした可愛らしい令嬢が、婚約者に抱き着く。令嬢を抱き締めながら、わたしの婚約者がこちらを見た。「ルイザ、僕は君との婚約を破棄し、ここにいるレイラ・ベ
インズ子爵令嬢と婚約する」目の前の婚約者は言葉を続けた。「君のスキルは使えない。結婚しても我が家の役に立たない」そして、衝撃と共にわたしは前世の記憶を思い出した。「どうかお二人とも、お幸せに」……幸せになれるものならね。「お父様、わたしの結婚相手を探してくださいませ! 結婚相手の条件は『将来有望な商人』ですわ!」『役立たず』と言われたスキルを持つ子爵令嬢、ルイザ・ビードンの物語。(全28話で毎日更新します)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-25 17:03:16
149519文字
会話率:34%
森で迷った男の目の前に開けたのは、この世のものと思えぬほどの美しい花畑。
色とりどりの花が咲き、淡く光る羽虫が飛び交っている。それは薄桃色の、小さな小さなドラゴンだった。
これはここではない、どこかの世界に伝わる、ドラゴンのお伽噺。
最終更新:2024-11-14 09:15:37
1446文字
会話率:0%
騎士団主催の武闘大会がいよいよ開催される。
騎士団の戦力向上のため、利権まみれの貴族を騎士団と国政の中枢から追い落とすため、己の出世のため、あるいは栄誉のため。それぞれの思惑がぶつかり合う。
一般市民も観戦可能な状態で開催される大会に、
観客として特別招待を受けたエルリッヒたち三人も興奮を隠せないでいた。大勢が見守る中、大会の火蓋は切って降ろされる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-13 21:47:25
300066文字
会話率:57%
流れる水になりたいと淡く願ってしまうなぁ
キーワード:
最終更新:2024-11-13 07:57:30
301文字
会話率:0%
九月、クラスメートの秋山凛は独り物憂げに黄昏を眺めていた──。
クラスでは目立たない地味で内気で眼鏡な"陰キャ"として学校生活を送っていた沖平幸洋(おきひら こうよう)。
彼にとって、常に明るくノリも良くて人当たりも良
い生粋の"陽キャ"である秋山凛のそんな表情はあまりに衝撃的だった。
同じ教室で同じ時間を過ごしながら、ろくに会話も交わしたこともない幸洋だったが、彼女の暗い一面を盗み見ていたことを迂闊にも知られてしまう。
それは彼女にとって誰にも見せたくなかった"弱み"で"秋山凛の本来の姿"だった。
些細な出来事をきっかけに、幸洋は決して交わることのなかった彼女のことを知っていくことになる。
小説のページをめくるように、手指のすき間を絡めるように。
淡く、拙く紡がれる虎の子たちのモラトリアム。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-27 19:47:43
5830文字
会話率:32%
「いけないことだとわかっていても、君のことを知りたいんだ」
高校の数学教師である香線寺は、担当クラスの生徒である花日野琳音の自殺で自堕落な生活を送るようになってしまった。毎晩見る夢を終わりにするため、香線寺はひと夏限りの淡く儚い恋を思い出
しながら彼女の自殺の動機、そして隠し続けた秘密を追いかける____。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-11 07:40:52
2499文字
会話率:37%
コーヒーペチカの居候、萌果は恩返しのためにアルバイト。高校とカフェの忙しい日々を送っている。
ガサツでドジな萌果を助けてくれたのは、華という先輩アルバイトだった。華は大学に通う青年で、これがきっかけで仲良くなる二人だが、気に食わない人もい
た。
「私の方が長く華さんと一緒にいるのに…」
そんな彼女をそっと見守るカフェの一人息子、紘斗は一人想いを抱え込んでいた。
そんなてんやわんやの中、不思議なお客さんがやってきて、「あなたは私の運命の人、ぜひ結婚してください。」なんて萌果の手を取り言い出した。
萌果はどうするのか、不機嫌な華は何を思うのか。
コーヒーペチカで起こる、淡くしっとりとした恋愛物語を、一杯のココアと共に。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-05 00:11:02
96153文字
会話率:47%
何気ない日常の中に咲いた一瞬の物語。
一目惚れをした男性と、名も声も分からない女性。
男性の行方は____
淡く、儚い、そんなお話です。
最終更新:2024-09-25 22:33:37
1062文字
会話率:12%
孫と訪れた昼下がりのカフェ。
そこで祖母は、『恋人』との想い出を語り出す。
あの日から、ずっと飲めなくなってしまったクリームソーダと、淡く切ない恋のお話。
☆コロン様主催『クリームソーダ祭り』参加作品です。
最終更新:2024-08-23 14:47:57
5690文字
会話率:40%
地の果ての
誰もが知らぬその場所に
幸せ与える石がある
ここは星を砕く場所
ここは星を拾う場所
〈さいせきじょう〉の星の石
星の石
求めるものには淡く光り
求める幸せ与え得る
相手が繋がり願うなら
相手が共にと願うなら
互いにとっての絆石
星の石を求め〈さいせきじょう〉を訪れるものと、それを迎える管理人。
来訪者の絆をめぐるお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-22 08:00:00
4444文字
会話率:27%
地の果ての
誰もが知らぬその場所に
幸せ与える石がある
ここは星を砕く場所
ここは星を拾う場所
〈さいせきじょう〉の星の石
星の石
求めるものには淡く光り
求める幸せ与え得る
相手が繋がり願うなら
相手が共にと願うなら
互いにとっての絆石
星の石を求め〈さいせきじょう〉を訪れるものと、それを迎える管理人。
来訪者の絆をめぐるお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-29 08:00:00
4382文字
会話率:29%
地の果ての
誰もが知らぬその場所に
幸せ与える石がある
ここは星を砕く場所
ここは星を拾う場所
〈さいせきじょう〉の星の石
星の石
求めるものには淡く光り
求める幸せ与え得る
相手が繋がり願うなら
相手が共にと願うなら
互いにとっての絆石
星の石を求め〈さいせきじょう〉を訪れるものと、それを迎える管理人。
来訪者の絆をめぐるお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-07 08:00:00
4744文字
会話率:33%
高2の夏僕は志望校を変えた。親友から誘われていたが、僕は自分の夢を淡くだが抱いたからだ。なんたって親友の夢だ、アイツも許してくれるだろう。そう思った。
現実はもっと恐ろしかった。僕らは喧嘩し、僕は親友の闇を覗く。
親友と将来に板挟みになりも
がき苦しんでいるその夜、僕は時を翔た。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-20 21:02:03
45290文字
会話率:53%
どれだけ時を重ねても、私たちが変わってしまっても、三人でまた同じ景色を見たいなって。
*
三つ子の姉弟、稗田知枝(ひえだちえ)、水原光(みずはらひかり)、水原舞(みずはらまい)が繰り広げる”ひと夏の思い出”、夏祭りの物語をどうぞお楽しみ
ください。
夏祭り後の後半部分、水原舞に隠された淡く儚い恋物語も描き下ろさせていただきました。彼女の今まで以上に女性らしい部分をお楽しみいただければと思います。
※本作は時系列が連載中の魔法使いと繋がる世界EP3~Clover destiny & World end archive~後のエピソードとなっております。
本来は後に読むのがよいのかもしれませんが、是非このままお楽しみください!
<魔法使いと繋がる世界シリーズ紹介>
本編
・魔法使いと繋がる世界 ~三つ子の魂編~(2022年7月~8月)
・魔法使いと繋がる世界EP2~震災のピアニスト~(2022年10月~2023年1月)
・魔法使いと繋がる世界EP3~Clover destiny & World end archive~(2023年5月~2023年12月)
関連作品
・プラチナウインド/もうひとつのプラチナウインド『バーチャルシンガー永弥音 唯花(えみね ゆいか)短編ストーリー』(2022年7月、12月)
・”小説”震災のピアニスト(2023年2月~5月)
・秋桜のペアリング(2023年2月~4月)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-19 20:00:08
20955文字
会話率:23%
深夜の病院に運び込まれた老衰した謎の少年。
命が尽きようとしたその時、淡く緑に輝く瞳に共鳴するように、周囲の機械が制御不能な状態に陥った。
そして、彼を覆うオーラに浮かび上がる謎の美少女。
超極秘国家プロジェクトで生み出された悪魔の技
術 |AI×OS(アイコス) と、時代を生きる若者たちに課せられた悲しい宿命。
AI VS 人間
その圧倒的な神の力に人はひれ伏す人間。しかし、それは人類の次のステージへの始まりだった……
現役システムエンジニアが送る、究極のAIファンタジーノベル 第一弾!!
その衝撃のラストに、あなたの常識が根底から覆る!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-14 22:16:40
182657文字
会話率:39%
どこか似ていてどこか似ていない、不思議な異世界。
主人公は、目覚めると知らない家のベットの上。
そして不思議なメイドと出会うのであった。
…………このメイドどこかで見たことがあるような……?
これを読むあなたは、最後に見届ける事になるだろう
。
11100111 10110101 10000010 11100011 10000010 10001111 11100011 10000010 10001010 11100011 10000010 10000110 11100011 10000001 10001111 11100100 10111000 10010110 11100111 10010101 10001100 11100011 10000001 10100111 11100011 10000001 10101110 11100101 10010001 10001010 11100111 10011001 10111101 11100011 10000010 10010010
思考or執筆時間合計7~8時間ほど。
ゲームの感動BGMを聞いていたら、いつの間にか書いてました。
4000文字という短い文字数と、短時間で発想したストーリーなので、話のどこかで、矛盾やよくわからない部分があると思いますが、何か質問等があれば、コメントにお書きください。
想像する範囲でお答えします折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-01 17:05:23
3891文字
会話率:19%
これは、2人の少女の恋愛物語である。
ユキには、密かに想いを寄せる人がいた。
それは、親友のサクラだった。
高校生活も終わろうとしていた秋に、サクラはクラスメイトのコージを見つめることが多くなったことに気がついたユキ。
淡く、切ない、残りの
高校生活を描いた物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-30 00:06:56
7941文字
会話率:30%
初恋の淡く苦い思い出と夏休みの懐かしい思い出と謎解き要素ありのややホラーな短編。
小学1年生の夏にタイムリープ?してしまった中学生の少年じぇい。今はなき、懐かしい駄菓子屋や商店が存在していた。そして、死んでしまった人間しかその世界にはいな
いらしい。夢なのか、普通ではない特殊なタイムリープなのか。
そこの世界には「し」という文字が存在しない。発音することも文字として存在することもない。「し」のない世界だった。
(※会話の中の〇は「し」を表します。)
目の前に現れたのは初恋だった行方不明のままとなっており、未解決事件に巻き込まれた当時小学一年生だった石戸野奈香(いしどのなか)。通称ナカ。
彼女が自分の居場所を見つけてほしいと創った世界が「し」のない世界。そして、彼女の居場所と犯人が彼女の創作した世界の暗号によって導き出される。
「し」という言葉を抜いたことで、彼女の本当のメッセージが現れる。彼女が抱く本当の気持ちは?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-28 00:14:33
5748文字
会話率:38%
文学部女子大生、二十歳、ヒロインになります!?
本を読むのが好きな、ごく普通の大学生・大和ふみかは、二回生の神無月に、担任の安達太良まゆみに呼ばれ、新しく作った文学サークル「日本文学課外研究部隊」に入らされる。日本文学は素晴らしい、日
本文学を読むことは楽しい、を広めるため「文学PR活動」をするのだが、なぜか学園アイドルのような衣装に着替えて活動することに。戦隊ものが好きなまゆみ先生は、サークルに別名「スーパーヒロインズ!」までつけて、五色五人で日本文学を盛り上げてほしいとお考えだ。記憶力バツグンで努力家の友人・本居夕陽、無口だが文学に関心があるらしい理学部の最上級生・仁科唯音、走るのは得意分野だが古典や現代国語は大の苦手な高校生・夏祭華火、コスプレとアニメを愛している様子の黒髪美少女・最終ヒロインの4人と一緒に、どうしてかまゆみ先生に関わっていると思われる、不思議な現象と戦闘をすることになる。『萬葉集』の野守が運動場に出てきて不審者に間違われて追いかけられる? 「百人一首」で坊主めくりをしていたはずが坊主が復活して「坊主百人一首」なるものを作る野望を止めなければならない? 『徒然草』の猫またが大学女子寮で大暴れ? 『日本永代蔵』の鯨がキャンパスに現れて友人とけんかしたところに『蛙合』の蛙が狂歌で苦しめてきて? 『檸檬』からは画集の塔が物置き代わりの教室にそびえ立ち? 課外活動は順調にできるのだろうか。安達太良まゆみの秘密とは何か。果たして、ふみか達は「ヒロイン」になれるのか。よしなき日々が、「国文学」と「戦い」で鮮やかに、時に淡く、濃く、塗られてゆく。現実を離れていそうでくっついている、女子五人(といい年した婦人教員)の青春物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-21 21:29:44
181910文字
会話率:53%