真っ暗な雨の夜、車通りのない県道を軽トラに乗って走っていた橘隼人(50歳)は帰宅を急いでいた。
狭い視界の中、前方に現れた大きな水たまりに進入したとたん、まるで穴に落ちたかのようなふわっと浮いたような感覚が体を襲う。
体感的に数秒間
の浮遊感が収まり軽トラを停車させて周りを見渡すと……
そこにはアスファルト舗装も何もない草原が、真昼の日差しに照らされながら広がっていた。
10数分後、軽トラに乗ったおっさんは確信する。
「やっべー……、ここ異世界だわ……」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-11 13:00:00
205619文字
会話率:23%
普段使う道のことを書いてみました
最終更新:2021-01-03 18:36:17
491文字
会話率:0%
『文 明 崩 壊』
この四文字が頭をよぎった。
崩れ行く東京の街並み。まるで人の命を養分にしてるかのようにアスファルトを割って急激な成長を遂げる木々。
B級映画のワンシーンみたいなできの悪い光景が、背筋が寒くなると同時に、どこか他人事の
ように冷静になってる俺は自覚した。
大きな地鳴りと風景の変化は、時間にすると1分だろうか。もしかしたら10分かも、いや30分かもしれない。
俺と妹、そして両親は、その間一言も発さなかった。
父さんの「とりあえず車に戻ろう」という言葉が聞こえたのは、地鳴りが収まったしばらく後だった。
高尾山の麓にある駐車場も漏れなく割れ、木々に覆われていた。
アウトドアが趣味な父さんのランドクルーザーのおかげで、ボロボロになったアスファルトをなんとか進むことが出来た。
車の中では誰も「なぜ」とか「どうして」と言わなかった。
たぶん、誰もその答えを持っていない事が明白だったからだろう。
それから俺たちは救出活動や食料確保などに奔走したのだが、その時の事は正直、覚えていない。
ただ言えるのは、あまりに苦しく、救いようのない状況だったという事だ。
八王子地区の避難所に着いた際、自衛隊員にこの惨状に着いて聞いてみた。
不確定要素が大きく、末端は何も知らないのとほぼ一緒だと言っていた。
ただ、どうやら原因の一部と見られている大穴が何箇所もある、ということだけは聞いた。
後にその大穴は「ダンジョン」と名付ける事になる。
ダンジョンでは人間にとって非常に有益な"物"が取れた。
その中で最も人類に求められていたものは『魔石』である。
魔石は、風力や火力、原子力などの発電機構に代わるエネルギー源として機能し、更にエネルギーの抽出に複雑な機構を必要としない、殆どの発電機構を失った我々にとって、夢のようなアイテムだった。
無数に存在するダンジョンから、人々の生活を賄う程度にそれらを発掘する事は、自衛隊だけでは難しかった。
そして作られたのが民間でもダンジョンに関する事業や探索に関する制度、DSSだった。
そこから人々はダンジョンについて詳しく知って行くことになる。
中の構造が一日ごとに変わっている事、文明の利器が通用しない事、そして『魔物』と呼ばれる生物が存在している事などだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-28 12:11:25
57853文字
会話率:15%
例年に比べて長く続いた梅雨が明け、夏の始まりを報せる蝉の声が一斉に響きだした八月某日。
とあるニュースが日本全土を震撼させた。
『女優 東雲すみか(28)死亡 自宅で首吊り自殺か』
そのあまりにも早すぎる訃報はたちまちSNS
上で拡散され、多くの悲しみの声と共に夏日最初のトップニュースを飾った。
各新聞やテレビの報道番組では、彼女の死を悼む言葉と共に女優〈東雲すみか〉が残した多くの功績を称える特集が組まれ、彼女の死の真相や発見に至るまでの経緯が記事として、議論として、多くの人の目に留まった。
特別、彼女に興味があったわけではないし、強い憧れや好意を抱いていたわけでもない。ましてやファンですらなかったと思う。
彼女が普段どんな表情で大衆の前に姿を見せていたのか、どんな演技で大衆を魅了していたのか、外の世界と隔絶した生活を送っていた僕はほとんど知らない。
——だけど。
……たった一度だけ、彼女と二人きりで話をしたことがある。
木陰に響く蝉時雨。
アスファルトを焦がす夏の日差し。
どこまでも澄んだ青い空と、天まで届く真っ白な入道雲。
時折海からやって来る潮風と、幻影のように漂い続ける煙草の煙。
忘れもしない。
暑い暑い八月の、僕と彼女だけが知っている、あの夏の日の記憶——。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-23 20:00:00
17915文字
会話率:33%
アスファルトからスイカが生えていた話。
最終更新:2020-09-21 16:27:16
1984文字
会話率:35%
焼けたアスファルトの匂いと、全てを塗りつぶそうとするようなセミの声。プール帰りの僕と彼女の、残り少ないあたりまえの時間のお話。
この作品はPixivにも掲載しています。
最終更新:2020-09-17 18:00:00
2108文字
会話率:43%
明日、親父がむかし連れてきた裏日本のこの街にいって、「田沼さん」としか知らぬそのひとに逢い、何としても力になってもらわないことにはどうにもならないところまで、ケツに火がついてしまった。
あきれ顔とあきらめ顔の混ざった妻は、それ以上なにも
言わない。本当は、そんな|篤志家《とくしか》なんているわけない、おかしな詐欺に引っかかってるだけじゃないかと返したいのだ。
駅の長い地下通路を抜けて、地上に出た。「大川方面」の案内に沿っていったのだが、曲がりくねり、距離を測りかねるほど長く感じた。
フェーン現象というやつだろうか。東京を出たときとは較べものにならない暑さだ。日は大きく西に傾いて目指す大川の向こうにあるが、この陽射しを正面から浴びながら大通りを歩くことを考えると足がすくむ。タクシーやバスはおろか、連れを伴ったひとたちさえ見つからない。
小路というよりも、家並みの隙間が寄り集まって出来た路地が見えた。小さな鉢植えばかり並ぶ濃い緑の影が風に揺れ、そこだけが、アスファルト舗装の陽炎から遊離している。
「休業中」と書かれた銭湯の隣に、飲み客も相手にする食堂をみつけた。灯かりはなく引き戸はきっちり閉じられているが、仕込みの声とは違う客同士の高揚した声が漏れている。
- ガラリ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-24 08:55:54
10621文字
会話率:16%
当代の聖女であるユウナ・アスファルトは突如、皇帝の命で聖女を罷免されることになった。ユウナ自身、内心では聖女を辞めることができたのを喜び、罷免を受け入れた。荷支度を済ませ、神殿にも別れを告げ、故郷であるイエリナ山の実家の神社で深い眠りについ
た。しかし時期が悪く、その年は邪神が復活する年だった。ここから聖女と邪神の世界の命運をかけた戦いが始まる折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-31 14:32:48
63286文字
会話率:74%
摂氏37度の炎天下、茹だるような熱がアスファルトから放たれ続ける道の途中で、私は途方もない気持ちになった。
最終更新:2020-06-20 17:49:15
4725文字
会話率:64%
穴があき始めるとどんどん広がる。
最終更新:2020-06-10 22:07:25
1100文字
会話率:0%
決まった時間に決まった場所で、嫌気がさすなら違った道を。
最終更新:2020-06-07 22:31:01
340文字
会話率:0%
優しさは、いつも憎しみを隠して、この世界に蔓延する。
最終更新:2019-07-23 17:09:39
415文字
会話率:0%
条件という名の網目から零れ落ちたある人の話。
自主退学、コロナ退学と呼ばれるものは、本当に結果は出せど頂点になれなかった学生がわるいのか。
学生目線で見た、コロナ退学を題材にした小説です。
『結局、人生金が全て!』
最終更新:2020-06-05 12:26:56
2006文字
会話率:5%
見たことがない景色だ。治水整備されていない川にアスファルト舗装されていない道路、野生動物が走り回っているという今までいた場所からは考えられない景色だった。
どこにきたのかわからない大学生 悠木 一が事件を起こし、巻き込まれていく物語です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-10 17:00:00
2064文字
会話率:30%
人生の分岐点に立つ時
いつも裸足だった
雪の積もる雪道を裸足で歩いた事がありますか?
夜明け前のアスファルトを裸足で走った事はありますか?
父親の死に際を裸足で覗いた事はありますか?
45年という長い呪縛が解けた時
裸足で初めて
呼吸をしました折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-08 22:45:36
487文字
会話率:16%
舞台は緊急ロックダウンを執行された、無人の大都市。「バズナウィルス」なる殺戮の病原菌が、世界中に蔓延し、大パンデミックを引き起こす中、一人の男がアスファルトを強く踏みしめ歩いていた。
彼の名はー 柴賀ヒカル。
彼は「浣腸天武」なる、超絶
の秘拳を継承する謎の男。そして無人の街にて今まさに、「死闘拳劇」と呼ばれる殺戮ゲームが始められようとしていたのだ。
ヒカルの前に次々と現れる凶悪にして狂乱なる、闇の格闘戦士達。さらには「無二王」と呼ばれる、裏世界史上最強の男がヒカルを待ち構えているのだ。
正義の為でも、誇りの為でも、ましてや自らの為でもなく
ヒカルは・・・ただ一人、ただ一人の〝想い人〟の為、命懸けの闘いに挑むのであった。
人差し指が風を斬り、人差し指が地を抉り、人差し指が殲滅する!
これは、一人の男の激しき死闘と哀しき恋を描いた・・・狂なる物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-29 15:22:24
770文字
会話率:0%
異世界インスタグラマー、転生前の世界へこの世界の魅力を発信します!ー
流行りに敏感なごく普通の女子高生はインスタグラム(インスタ)を始めるべくガラケーからスマホに買い替える為、学校帰り携帯ショップへと自転車のペダルを進める。この日は、曇り
とハッキリしない天候。それが全ての始まりだった。雨に濡れたアスファルトは不運にも自動車の足(タイヤ)を奪う。白銀の中型トラックは罪の無い若き少女に牙を向けたのである。高く飛ばされた彼女の身体は冷たく硬いコンクリートに打ち付けられたが、再び閉じた意識を開くと目の前には現世か天国か判別出来ないほど質素ながら美しい世界が広がっていた。寝そべる彼女の横には先程、買ったばかりのスマートフォンが。そう少女はスマートフォンと共に"転生"していたのだ。彼女は決めた。この世界を満喫しようと。彼女は決めた。スマホがあるのだからインスタグラムでこの世界の映える写真を撮り続けようと。時間潰しに決意したその決心が閉ざしていた可能性に希望を照らす。-折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-25 18:00:00
2549文字
会話率:25%
どこかから、カナカナの鳴く声が聞こえる。
物悲しい、何かの終わりを告げるような声。
僕の顔を生ぬるい風が撫でて、深緑の木々がさざめいた。
アスファルトを灼く真夏の光芒は、僕の視界を真っ白に奪っていく。
噎せ返るような暑さで、額に汗が滲み
、頭がぐらぐらしてくる。
あなたは、とある夏に迷い込んだ——。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-20 21:37:18
4946文字
会話率:32%
知らない館で目を覚ました男が居た。
よく知った館で目を覚ました男が居た。
見知らぬ場所で目を覚ました女が居た。
見知った場所で目を覚ました女が居た。
さぁ、ココはデスゲーム会場だ。
気を引き締めろ。
僕らが望むものはなんだ?
私達
の隠れた欲はなんだ?
お前の仇だ、どうしたい?
ココはデスゲームだ。
何を戸惑う。
人を殺せば悪い子だ。
人を呪えば悪い子だ。
だが何が悪い。
さあ人間よ!!
己をさらけ出せ!!
貴様の欲望を、私に見せてくれ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-15 20:38:26
207文字
会話率:0%
僕が君の隣に居ない。
私は貴方を裏切った。
俺は信じて待っている。
最終更新:2019-10-18 04:12:29
3060文字
会話率:9%
裏切られたそう思っていた少年は...
悲しませてしまったそう思っていた少女は...
少年は苦しくて涙を流した...
少年は寂しくて涙を流した...
二人の涙はいつか嬉しくて流す涙になれるのか...
最終更新:2019-04-27 06:15:19
13799文字
会話率:55%
その日、世界はがらりと色を変えた。
ビルを割るようにして伸びる大樹、アスファルトを抉り流れる小川。
まるで人類が滅亡したら生まれるような光景へと変貌を遂げる。
だが、それは惨劇の始まりでしかなかった。
次いで現れたのは豚の顔をした異形や、緑
の皮膚の異形。
呆然とする人々を他所に、異形達は暴虐の限りを尽くす。
その渦中、平凡なサラリーマンである小野屋マコトは思いを寄せていた後輩と離れ、両親を失うことになる。
そんなマコトに手を差し伸べたのは、金髪碧眼の美少女。
復讐を誓うマコトは手に取る。少女の手――そして【魔法教典】を。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-01-29 22:21:51
103458文字
会話率:49%
余計なものなど無い理想の自然世界。
余計なものとは、人だった……
最終更新:2019-11-03 08:11:45
291文字
会話率:0%
空模様が変わる時、人も気分屋になる。
最終更新:2019-03-04 15:44:47
1101文字
会話率:7%