遠い夏。幼いころに出会った彼女は、まるで人形のように可憐で花のようにたおやかな少女だった。
ひとりぼっちの心に色をくれた彼女──イブキの笑顔がまた見たいと、ハヤテは幼い夏の思い出を胸に生きてきた。
だが十年後、再会した彼女の瞳には、あの
夏の綻びはまるでなかった──。
アンコロールと呼ばれる色の無い世界。それは或る魔女の呪いだと皆は言う。
すべてがモノクロに見えるこの世界で、色彩学園中心都市部の生徒たちは今日も色彩蘇生における授業に精を出していた。
第二学年の教室には、うな垂れる背中がひとつ──。
イブキはこの日も、窓際の席でただ四角い空を見つめている。
見渡す限り、まるで終わりの見えない遠い空。
窓の奥に広がるそれは笑っていても、たとえ泣いていたとしても、いつも変わらない表情でそこに在る。
いつかあの鳥のように、自由にそこを翔けてみたい──。
モノクロに覆われたそこに憧れを抱く彼女には、ある秘密があった。
ハヤテはそんな彼女に淡い色の心を寄せながら、今日もその横顔をただ見守ることしかできずにいる──。
孤独の中を泳ぐイブキの秘密とはなんなのか。
世界から色を奪った"魔女"とはいったい誰なのか。
いたずらに播かれた種の行く末。すべての真実を知るのはたったひとり。
エンドロールまでは、あともう少し──。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-23 18:29:34
186286文字
会話率:55%
毎日規則正しい生活がモットーの佐倉リンの週末ルーティンは、土曜の夜にアボカドサラダを作ること。多めに作ったサラダの半分は日曜の朝、パンに挟んで食べる。そして、食べたアボカドの種を日当たりの良い窓際やベランダで育てるのが唯一の楽しみだった。
同じマンションの隣の部屋に住む木下詩織は塾講師。不規則な生活で毎日の帰宅時間もかなり遅い。ひょんなことから交流するようになった女二人の、色気のない日常。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-23 16:07:01
10001文字
会話率:51%
気がつけば、私は「如月 琴音(きさらぎ ことね)」という地味な女子高生になっていた。
窓際の最後列、話しかけてくる人もいない。
……嘘でしょ!? 私はあの“悪名高き”令嬢・クラリッサ・ド・アルブレヒトだったはずでは!?
貴族としての誇り、
気品、そして人を支配する力。
この地味な身体に収まるには少々手狭ですが……よろしい、ならば改革ですわ!
陰キャ? ボソボソ声? それが何?
私が微笑めば、生徒会長もヤンキーも膝をつくのよ!
カーストの頂点など、お茶会の準備と同じですわね。
「あなたたち、私の“臣下”にして差し上げますわ」
こうして、ひとりの陰キャ(元悪役令嬢)が学園を支配する物語が幕を開ける――!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-23 12:10:00
35197文字
会話率:40%
高校二年生の松平葵(まつだいらあおい)はいつも放課後ひとりで、教室に残って小説を書いている。
梅雨時のある日、放課後にほんの少し席を外した。無人であるはずの教室で声が聞こえるが、それは自分の書いた小説の中の台詞だった。窓際の一番後ろ、自分の
席で書きかけの原稿用紙を手にしていたのは、クラスの陽キャ・月山瀬名(つきやませな)であった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 21:06:00
34275文字
会話率:32%
高校入学の日、主人公の「俺」は、窓際の席に座る佐倉に一目で心奪われる。新緑の匂い、吹奏楽部の音色、そして日差しの中に揺れる佐倉の長い髪。その瞬間から、俺だけの秘密の物語が始まった。佐倉の半径5メートル以内には決して踏み込めない、一方的な片思
いの日々。授業中も、休み時間も、俺の視線は常に佐倉の背中を追う。佐倉が手に取るSF小説を読み、彼女の好きなアーティストの曲を聴き、密かに世界を共有しようと試みるが、佐倉の笑顔はいつも俺の届かない場所で輝いていた。
文化祭の準備期間、佐倉がクラスメイトと自然に言葉を交わす姿に胸を締め付けられ、廊下で偶然触れそうになった佐倉の手の温もりに切なさを覚える。佐倉が演じる劇のお姫様姿に、改めてその手の届かない輝きを痛感した。後夜祭の花火の下、佐倉が別の「彼」の隣にいるのを目撃し、俺の恋の「終幕」を悟る。
卒業が迫り、一度も言葉を交わせなかった後悔が募るが、雪の日に見た佐倉の幻影に、臆病な自分の心を突きつけられる。卒業アルバムに佐倉とのツーショットはない。真っ白な余白に残された俺の想いは、誰にも届かない独り言となる。
数年後、俺は「佐倉だけのフォルダ」にあの頃の記憶を大切にしまっている。SNSで彼女の幸せを願い、かつての SF 小説や好きな曲を聴き返すことで、静かに彼女の世界に触れ続ける。決して実ることのなかった初恋は、俺を感受性豊かにし、人生の礎となるかけがえのない宝物となった。遠い場所で佐倉が幸せであることを願いながら、俺は新たな未来へと歩み出す。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 19:16:47
6808文字
会話率:21%
ある日の人事異動でマイナーな部門に配置転換された営業マンSは環境が一変した。今までのようなエリア別の担当分けではなく、少ない営業マンで日本全国を振り分けて訪問するようになる。マイナー商品を取り扱っている部門なので、そんな営業体制で十分な環
境だった。
それからは、問い合わせを受けた商談先やユーザーからの要望で色々な所に行けるようになり仕事の環境は大きく変わった。慣れてくるとSは、仕事上の出張旅の中で楽しみを求めるようになる。商談先の様々な人々との出会いや語らい、仕事の合間に出会える土地の風景やお土産、昼食や夕食での美味しい驚きを楽しめるようになった。
そんな脱線したサラリーマンの出張旅の回想録となります。旅先での感動や発見、密かな楽しみの想い出を営業マンSの独白を交えて伝えていきます。日本国内の日帰りまたは一泊で癒された旅の記録です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 19:16:39
237312文字
会話率:41%
ある日の人事異動でマイナーな部門に配置転換された営業マンSは環境が一変した。今までのようなエリア別の担当分けではなく、少ない営業マンで日本全国を振り分けて訪問するようになる。マイナー商品を取り扱っている部門なので、そんな営業体制で十分な環
境だった。
それからは、問い合わせを受けた商談先やユーザーからの要望で色々な所に行けるようになり仕事の環境は大きく変わった。慣れてくるとSは、仕事上の出張旅の中で楽しみを求めるようになる。商談先の様々な人々との出会いや語らい、仕事の合間に出会える土地の風景やお土産、昼食や夕食での美味しい驚きを楽しめるようになった。
そんな脱線したサラリーマンの出張旅の回想録となる。旅先での感動や発見、密かな楽しみの想い出を営業マンSの独白を交えて伝えていきます。日本国内の日帰りまたは一泊で癒された旅の記録です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 23:15:56
236020文字
会話率:41%
中学二年の柚木かすみは、教室の喧騒から切り離された窓際で、ひとり静かに本を読んでいた。クラスの生徒たちは笑顔で教師・北沢洋平に声をかけ、彼もまた誰にでも優しい――かすみを除いて。
朝の点呼では名前を飛ばされ、質問も無視される。給食当番を忘
れて謝っても、誰も返事をしない。机には「幽霊席」の落書き。かすみは、必要とされず、存在ごと否定される「透明な生徒」となっていた。
日記には綴られている。
「先生は、みんなには優しい。でも、私には優しくありません」
その言葉は、“優しさの配分ミス”という名の暴力。静かに、確実に彼女の心を削っていった。
だがある日、転校生・胡桃しのとの出会いが、かすみの運命を変える。
「なんで怒らないの?」「やり返したくなったこと、ないの?」
その言葉が、彼女に“反撃”という選択肢を与えた。
狐の顔のペンダントを胸に、かすみは最初の仕返しを実行する。
かつての親友・白崎梨央奈の椅子を濡らす。ばれずに効いた。
優しさの代わりに与える“見えない罰”が、奇妙な快感をもたらす。
それは“遊び”となって広がっていく。
写真、落書き、プリント、小さな違和感が教室全体に広がり、生徒たちは疑心暗鬼に変わっていく。
かすみは“透明な被害者”から“空気を操る加害者”になった。
胡桃もまた、別の教室で沈黙の支配を進めていた。
ふたりは声を上げずに、教室という舞台を裏から塗り替えていく。
やがて、標的は教師・北沢へ。
かつて与えられた“無視”を、彼に返す時が来た。
椅子に縛られた北沢に、かすみは授業を始める。
「どうして私にだけ冷たかったの?」
北沢は告白する。
「好きになりそうで、避けたんだ」
過去に生徒へ手を出し、死を招いた罪。その罪を繰り返さぬよう、彼はまた逃げていたのだ。
そして明かされる真実。
かすみと胡桃は、事故で命を落としていた。
この世への復讐として、物語が始まったのだった。
風に舞う手紙が語る。
「優しさを待たなくていい。自分が優しくなれる強さを持てばいい」
それが、透明だった少女が最後に伝えた授業だった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 18:36:20
51511文字
会話率:19%
氷河期世代の窓際サラリーマン、田中一郎。異世界転移した彼を待ち受けていたのは、彼の一挙手一投足全ての全肯定する剣と魔法の世界だった。
最終更新:2025-07-22 17:30:00
72705文字
会話率:33%
──君の歌はその人が頑張りたいと思っているなら必ず届くよ。
夢を追う高校生の夕輝が仲間と共に音楽で最高の舞台を目指す物語です。
現在下書き46話、12万2000文字あります。
最後までのプロットも一応完成済み!
週2〜3話更新目標です。
【あらすじ】
高校二年生の春、暮橋夕輝は懐かしい夢を見た。子供の頃の記憶の欠片。まだ焦燥に駆られ夜闇をひた走る前、まだ日が暮れる前の頃の記憶。
夕焼けを背に窓際でお姉ちゃんが何か言っていた。お姉ちゃんはなんて言っていたんだろう……。
夢から覚めた放課後の教室でぼんやりと考えていると微かに歌が聞こえた。その歌に惹かれ屋上へと向かうとそこには夕染まりの舞台で一人歌う少女がいた。
それはまだ青い春の暁を知らない長い夢の始まり。二人の出会いが少しずつ世界を変えてまだ知らない明日へと続く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-22 03:10:00
53921文字
会話率:18%
人類に『魔力』が目覚めて10年――『魔法』は体系化され、管理体制も整いつつあった。
【魔法特科精鋭部隊】と呼ばれる特殊部隊が設立されたのもその一環であったのだが――
【鍵】を握る最年少の隊長、新藤翠。
【光魔法】が照らす少女、桐生琴音。
【加速魔法】に翔ける和服美女、如月澪。
【闇魔法】を飲み込む少年、宵原ナギ。
【反射鏡】から写し出される幼女、ルーナ。
【根性】で燃える現役刑事、大門吾郎。
そんな個性と実力を兼ね備えた彼らの所属部隊は――なんと落ちこぼれの窓際部隊【第十一隊】だった!?
彼らが巻き込まれるのは【扉】と【鍵】と【魔法】の時代――
【第一隊】〝日本最強〟天羽崇聖。
【情報分析課】の天才、九条ひらり。
【開門教】の陰謀と策略。
様々な人間と、思惑が交差する時、最後に【鍵】となるのは――
これは魔法と科学が交差する、現代の物語。
長期連載予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-21 22:43:46
19002文字
会話率:28%
地方の下っ端役人の燈霞は、窓際部署で執務机にかじりつく毎日。
ある日上司から告げられたのは呪いにかかった死刑囚の監視人としての役目だった!
どうして私が……と抵抗虚しく獄舎にやってきた燈霞だったが、その囚人――颯天は「死ねない呪い」だけでな
く「女になる呪い」にまでかかっていた。
呪いを解くため二人で旅に出るが、颯天の愛らしい少女の姿も相まって距離感がつかめず苦悩する日々。
飄々とした颯天はどこにでもいる若者に見えるし、この人が本当に死刑囚なの……?
揺れる燈霞の思いと裏腹に少しずつ近づいていく二人。そして着々と見え始めた呪いの糸口。
でも呪いが解けたら颯天は死刑が執行されてしまう!それなのに颯天自身は刑の執行を望んでいて……!?
中華風ファンタジー×Dom/Subユニバース!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-20 10:25:50
113042文字
会話率:36%
喫茶店でアルバイトをしている弥生は、最近、平日の午後9時過ぎにやって来るようになった男のことが気になっている。一番奥の窓際の席に座ってブレンドコーヒーを注文し、小難しそうな顔をして本を読みながら過ごす男のことが。
最終更新:2025-07-18 18:00:00
19193文字
会話率:36%
昼休み、3年A組・後方の窓際。
通称:「暗黒円卓(ダーク・ラウンドテーブル)」
そこでは毎日のように、男子中二勢が集まり、
己の“設定”や“過去”や“右腕”について熱く語り合っていた。
ルシフェル田中(生徒会長)「……でな、俺の“堕天
”は、生後13ヶ月目に起こったんだ」
クロノ=レイヴン佐々木「はっ、貴様の覚醒が“月齢”で語られるとは。俺は“13の月蝕”の夜に、神の審判を受けたぞ」
零式加藤(第六使徒)「二人とも浅いな。俺は胎内記憶の段階で世界の歪みに気づいていた」
高橋隼人(黒星ノ残響)「やっぱ胎内だよな。俺なんて胎児の時にノイズ聞いてたもん。“来世の音”ってやつ」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 15:01:59
9369文字
会話率:40%
2018年12月。新米の女性刑事、佐倉(さくら) 悠夏(ゆうか)が配属された部署は、警視庁の"特課(とっか)"という新しい部署であった。メンバーは、ロボットの警部”鐃警(どらけい)”と2人だけ。某ドラマなどを想像し、窓際
かと思えば、さまざまな部署や地方の事件で活躍して、警察の名誉回復を目論んだ人事らしい。が、そんな目論見などお構いなしに、当の本人達は自由に活動する。東京都内や関東近郊で発生した事件や、悠夏の地元である四国の事件など、全国各地へ。
さらに、事件は小さなものから不可解なものまで様々。現実では説明できないファンタジーな事件に遭遇も。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 22:00:00
797311文字
会話率:55%
※双葉社モンスター文庫より第3巻&コミカライズ一巻が発売中! 隣の席キラーの異名を持つ、学内でも指折りの美少女鷹月唯李。過去に彼女の隣の席になった男子は、残らず告白して玉砕しているという噂がある。そんな彼女と隣同士で、窓際の一番後ろという男
子なら誰もが羨む神席を席替えのくじで引き当てたのは、クラスでもあまり目立たず影の薄い成戸悠己。いかにも女子に免疫のなさそうな悠己がなすすべなく唯李に陥落するのも時間の問題と、そう思われていたが……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 21:00:00
714850文字
会話率:47%
高校生 夏樹 日向「なつきひゅう」は、ごく普通の生活を送っていた……はずだった。
ある朝、目を覚ますと、彼は見知らぬ大人の男の姿に変わっていた。
鏡の中にいたのは、スーツ姿のイケメン教師――近藤 健斗。
その名前は、かつての自分の“担任教
師”の名だった。
戸惑いながらも出勤すると、彼は教師として働く世界に“転生”していることを知る。
さらに手元には、古びたスマホのような“異世界端末”。そこに表示されたメッセージは――
「この世界は“二度目のやり直し”だ。
あなたが教師として生きることにより、未来はを変えよ。」
しかも彼の“生徒の頃の自分”――夏樹日向は、2年B組の窓際で、まさに今教え子として座っていた。
これはただの異世界転生ではない。
未来で“死んでしまう”自分を、教師として救えという使命が課せられていたのだ。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-07-17 17:21:29
1288文字
会話率:21%
友達ができない主人公 水卜 一郎
窓際で空を眺める女の子 簑浦 楓
彼ら二人は友達がいない屋上で昼飯を食べる、屋上仲間
最終更新:2025-07-15 20:50:52
4086文字
会話率:34%
人に興味のない主人公。
ある日いつものように1番に教室を出ようとすると窓際の席に座る女子生徒が間に入る。
彼女はなんだか顔色が悪く苦しそうだったがそんな彼女を見過ごしてしまう。
その結果、主人公は次の日彼女が亡くなったと告げられる。
自分の
責任だと気づいた途端視界が真っ暗になる。
気がついたらいつものホームルーム。
窓際の席には彼女が...折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-14 17:21:58
384文字
会話率:9%
初めて彼女を見たのは、大学の図書館だった。
午後三時、いつも同じ窓際の席。光が柔らかく差し込むその場所で、彼女はひとり静かに本を読んでいた。
ページをめくる指が細くて綺麗で、時おり少しだけ笑う表情が印象的だった。
声も知らない、名
前も知らない。けれど僕は、その姿に惹かれていた。
僕よりも年上かもしれない。けれど、話しかける勇気が出なかった。
──ある日、彼女が読み終えた本の見返しに、こんな一文が残されていた。
「この本の最後、あなたは泣いた? 私は少しだけ泣いたよ。
― 綾乃」
それを見たとき、不思議と胸が高鳴った。
誰に宛てたのかもわからないメモだったけれど、なぜか自分に向けられたもののように感じた。
そして僕は、初めて彼女に声をかけた。
変わらない毎日が意外になる、恋愛小説。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 11:03:58
1834文字
会話率:25%
突然、自分の前から姿を消した親友、天才木戸遥のあとを追ってはるばる世界の果てにある巨大なドーム状の研究施設までやってきた無鉄砲で世間知らずの十五歳のお嬢様、瀬戸夏は、そこで遥と再会し、そして一人の人工進化研究によって生み出された実験体であ
る白い女の子と人工知能で作られた不思議な白いクジラと出会った。
突然の夏の二日間の滞在を経て、二人は『ある一つの結末』にたどり着く。
長編作品 第一作目
この世界は全部が全部偽物なの。
じゃあさ、全部が偽物の世界の中で、私たちだけが本物だね。
おーい。なにしているの?
「遥。いる?」
そう声をかけると、「なに?」と言って、教室の中から返事が返ってきた。
遥は窓際のところに立っていた。
そこから窓を開けて、教室の外に広がる青色の空をじっと、一人で眺めていた。遥の目はいつもと同じように、孤独な色をしていた。
遥の目には、ほんのりと空の青色が残っていた。
そんな遥の目を見て、夏はどきっと、自分の心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。
「なんだ、夏か」
ぼんやりとした表情で遥は言う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-04 01:00:35
351151文字
会話率:14%