※悲しい音楽
古びた本棚。かつてのきらびやかな内装を思わせる部屋。
今は見る影もない。
部屋の真ん中に、女の後ろ姿があった。
ブロンドの髪を後ろに束ねた女。ピンクのジャージ。
ジーンズを穿いた尻は突き出ている。
女の背に近づく。
女は嫌そ
うな顔をしながらタバコを吸っていた。
ちょっかいを掛ける。
女はしばらくして、別の部屋に移った。
それを嫌がらせのように追いかける。
見回すと燭台をおいた机の上に写真がいくつか立ててあった。
その中の一つに目を奪われる。
処刑台の写真。
首を縄でくくなれ、ぶらぶらと風に揺られる女。
白い装束がはためく。ブロンドの髪は泥で薄汚れている。
あの時、すぐ横でそれを眺めていた。
女は男たちに慰み物にされていた。
女は死ななかった。
だからどんなことでもできた。
女が横を向いた。
目が合う。
救いを求めるような目。
怒りと憎しみと、苦しみと絶望が入り混じった目。
様々な感情の入り混じった目。
首をくくられ喋れない女の感情が、言葉よりなお雄弁に伝わった。
だが、自分は何もしなかった。
ただ、見ていた。
女の首が剣で落とされる。さらに油をかけられ燃やされる。
男たちはそれを笑いながら見ている。
地面に落ちた女の首は、しかし死なない。感情を無くした顔で、燃える自らの肢体を眺めていた。
女がこちらを見ていた。
あの時と同じ顔で。
あのときのすべての憎しみを感じさせる表情で…。
※悲しい音楽折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2023-07-28 06:26:10
578文字
会話率:0%
小学校の道徳の時間に習った「銀の燭台」で恩を仇で返した男のことを許し、更生のチャンスを与えた司教の事を尊敬していた主人公。しかし、ある事件があり…
最終更新:2023-07-12 15:53:32
1209文字
会話率:34%
パセリ、燭台、掃除夫がお題の三題噺です
最終更新:2023-06-16 17:25:53
1192文字
会話率:59%
静寂に包まれた部屋を、微かな灯りだけが照らす。
手にした燭台の灯火がゆらゆらと揺れる。
照らし出された先にあるのは無数の本たち。
さて、今日はどの物語を読もうか……。
そんなことを考えながら、指先で順々に背表紙をなぞっていく。
そして不
意に動きを止め、視界に映った一冊の本を手に取る。
……まだ題名も何も書かれてないようだし、作者の名前も掠れていて読み取ることはほぼ不可能……だけど、こうして“ここ”にあるということは、この本もれっきとした物語ということだろうけど……。
ふぅん……よし、今日読むのはこれにするとしようか。
どんな物語なのかは分からない。
───それでも。
結末を識っている物語を読むよりかは、面白いんじゃないかな?
……なんてことを問いかけたところで、返事が来るわけでもなく。
解っていてもそういうことをしてしまう自分がどこか可笑しく思えて、笑みが零れる。
いやいや、こんなことをしてる場合じゃない……時間の無駄だ、そろそろ読み始めるとしよう。
席に着き、さっそく頁を捲る。
これから始まる物語に、胸躍らせながら───
───さぁ、今はまだ何も書かれていないこのまっさらな頁に、一体“君”はどんな物語を綴るのかな?
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Page.0「まだ誰も識らない物語」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-05 12:00:00
162897文字
会話率:45%
さがしもとめていた新大陸が、楽園とはかぎらない。
最終更新:2023-01-20 07:00:00
447文字
会話率:0%
179X年。王都で革命が起き、王制はブッ潰れた。
貴族だった僕ピートとレダは暴徒から逃げるように誰もいない教会で結婚式を上げていた。
これから二人だけの楽園で暮らすことを夢見て。
しかしそれは夢だけに終わる。突然の来訪者たちによって
打ち砕かれたのだ。暴徒たちだった。
僕はレダを逃がし、背の高い燭台を持って構えたのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-02 10:42:53
3639文字
会話率:50%
丁寧に装丁された本っていいですよね……よし作ろう!
という、とても短絡的な発想で、タイトル通り、自作小説を革装丁……風の布装丁で自主製本した結果を、過程を添えてお送りするだけのエッセイです。
・「写真集パート」
このエッセ
イについての解説を兼ねた1話です。
冒頭から、野外ロケ、及び室内撮影された、気合いの入った写真を多数掲載しているので、ぜひとも最初の1話だけでも見て、読むかどうか決めて欲しい。
・「製作記パート」
製作中の様子を、写真を交えてのんびりと語っていきます。
阿鼻叫喚のミスをやらかして、なんとか解決するまでがワンセット。
本エッセイは書き上げてから、順番に投稿していくという形になりますので、いわゆる【完結保証】となっています。
毎日更新の予定です。
時間は午後10時前後を予定していますが、写真の投稿・紐付けの作業があるため、予告なく変更される場合があります。
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ブックマーク、評価、感想、いいね、誤字報告、レビュー、紹介、リンクなど、もろもろ全て歓迎です!
でも、読んで、そっと心の中で応援してくれるだけでも嬉しいです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-08 22:04:07
107246文字
会話率:2%
浄化・癒やし・恵み――三種の魔力に秀でた少女こそ、次代の聖女。
聖女は神殿の頂点にして、国王と同等の発言力と権力を持つ強大な存在。
神殿の奥深くの聖域【聖女の家】に集められた四人の少女たちは、慣習により互いを「姉妹」と呼び合い、日夜
修行に励んでいた。
最年少17歳、ナディアは一番の落ちこぼれ。すべての魔力が均等で、飛び抜けた才能もない。
他の三人の「姉」たちは、それぞれ長所を持っている。互いにひそかに反目し合いつつも、「ナディアだけは聖女に選ばれることはない」とナディアを見下しつつ、表面上は優しく接してくれていた。
だが最終試験を目前に控えたある日、少女たちは偶然耳にしてしまう。神官長が「聖女選定の魔法具『三叉の燭台』に魔力で火を灯すことができるのは、バランス型のナディアだけだろう」と発言しているのを……
【他サイトにも公開あり】折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-22 15:30:07
56612文字
会話率:28%
王に命ぜられて作った塔がある。
『入ったものは一生出られぬ迷宮』
厚き扉、牡牛の燭台。
神、将軍、英雄、そして怪物。
暗闇の中で息子に語ったひとりの男。
都市に轟く名工、名をデドラスという。
――――――――――――――――――――
他
サイトでも重複掲載。
https://shimonomori.art.blog/2021/06/11/labyrinth/
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-11 23:00:00
4800文字
会話率:26%
幼少の頃に疾風と崇められた男、半積 太蔵(はんつみたいぞう)は、高校生となった今となっては普通の人となってしまった……
情熱を燃やすものがない、普通の無気力な少年となっていた太蔵は、ある日女神に異世界に召喚される。
女神曰く「かつて疾
風と言われたほどの強大な力を使い、魔王に滅ぼされそうな世界を救って欲しい」と。
もはや疾風と言われていた時代の情熱が無くなった太蔵はためらうが、女神は疾風の力を極限まで強大化し太蔵に与える事を約束する。
渋々ではあったが世界を救う事を承知した太蔵、だが、女神は太蔵が崇められていたという「疾風」の本当の意味を知らなかった。
異世界に転移した太蔵。そして「疾風」の力が過去よりも巨大化していることを認識する。誰よりも早く走る事の出来る脚力、人の動きを瞬時に見極める事の出来る洞察力、そして、器用さも上がり、手による細かい動作がいともたやすく、素早く行える。
さらに僥倖だったのが、その世界の女性は皆、風ごときには余裕で耐えうる、防御力の高めなスカートを着用しているのであった。
「スカートめくりの時間じゃおらぁぁぁぁ!!」
その時、幼少期にスカートめくりの帝王とまで崇められた半積太蔵、通称「疾風」が復活したのであった。
もちろん、ただスカートをめくるだけではない!! スカートをめくった時に見えたパンツの柄によって武装が変化、その武装で敵も一網打尽である!!
途中、怪物に襲われていたところをスカートめくりで助けたエルフの少女、ミルナも巻き込み、太蔵のスカートめくりは徐々に世界に平和を取り戻し、女性から顰蹙を買うのであった。
さあ、疾風の勇者半積太蔵よ、今こそ世界をめくり、スカートを救え!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-06 16:00:00
24163文字
会話率:45%
多重人格者による一人SNSであり連絡網。自己啓発を多々含みます。
<主な登場人物>
リーダー/アサダ
お説教を愛する熱血漢。
Rちゃん
運命の人(リーダー)を見つけた嘘つきな地雷系女子。
テオ
恋に生きる浮遊霊?茶子を狂
愛中。天然詐欺師。特技はなりすまし。
茶子
存在感皆無。テオの洗脳下にあるロマンチスト。
燭台
リーダーの親友。
処刑人
テオに心酔。問題行動が多々あるRを処刑するために<誰か>が遣わした存在。
萬○さん
某金融伝に影響をうけ、金銭管理を担当。テオと仲良し。
N
茶子が対人関係に病みすぎたため登場。正体は..未だはっきりしていない。
何某氏
この物語に出てくる唯一の他者。茶子やNの想い人だとテオは思い込んでいる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-25 06:45:06
18111文字
会話率:6%
主人公中学生奏人はある事情により何者かのてによって誘拐されてしまう。
絶対絶命かと思ったが苦し紛れでゲームを提案をすると相手は乗っかってくれた。鬼ごっことシンプルなものだったが奏人は不可思議な力を前に苦戦を強いられる。一日目のゲームが終わっ
た後に入った洞窟ににはいると奥に燭台を見つける。その燭台から声が聞こえてきて...。毎月15日はヒロインとの日常話です。ピンチあります。そういったものが苦手な方は見るのはおすすめしません。地の分は絶望的です。一話3分くらいの分量です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-02-21 23:12:28
35185文字
会話率:56%
スカーレットはこの家のすべてを引き継ぐことを夢見ていた。しかし両親の話を聞いて、そんなことはできないと知る。彼女は遺産を引き継ぐためには手段を選ばない。
最終更新:2019-10-27 20:45:07
1702文字
会話率:35%
―― 『私』はマリオンのお人形。鍵のかけられたシアターで、ビスク・ドールを演じるの――
孤独な館の主のために、箱庭の中で人形を演じる『私』。フリルのあしらわれたドレスに、美しい金色の髪が、燭台の炎の光を揺らす。彼らは密やかに甘い狂気の世界を
揺蕩っていたが……
歪んだ恋慕の果てにたどり着く、逆転の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-02-23 00:00:00
29454文字
会話率:30%
人に言いふらす等絶対に出来ないことを生業とする一族の娘。その娘に付くのは美しい青年が二人。彼らの紹介の日に、二振りの刀が手渡される。果たして、娘と二人の青年の運命やいかに。
※この小説はpixivにも公開する予定です。
最終更新:2017-03-11 22:06:16
2787文字
会話率:51%
少女の名は、メリア・オーディス。
オーディス伯爵家の次女。
絶世の美貌を誇るわけでもなく。
気紛れに寵愛を賜っていた身分でもなく。
後宮の片隅でひっそりと生きていた十六歳の少女。
後宮を巡る策謀の果てに命を落とすことになった少女は今日も
呟く(けれどもやはり誰にも聞こえない…)
「ペンより重いものは持てませんわ……」
何の因果か幽霊として舞い戻った(?)少女と家族の絆とそれに巻き込まれる宰相(霊感あり)による物語。
※短編「佳人薄命とは言いますが、私はそれに当たらないと思うのです」のシリーズ作品です。
第一話は短編の再掲載になります。
※5/3電操出版【電操ノベルス】様より、「薄命令嬢の連綴譚」(タイトル変更しております)電子書籍化致しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-08-01 01:00:00
159089文字
会話率:17%
少女の名は、メリア・オ―ディス。
オ―ディス伯爵家の次女。
絶世の美貌を誇るわけでもなく、気まぐれに寵愛を賜っていた身分でもなく。後宮の片隅でひっそりと生きていた十六歳の少女。
それが何の因果か、後宮を巡る策謀の果てに命を落とすこととなった
悲運の持ち主である。
「おかしいなぁ・・・佳人薄命とは程遠いのだけれど」
そんな少女の呟きが今日も後宮に響く(けれども誰にも聞こえない)。
果ては何の因果によるものか、幽霊として舞い戻った(?)少女と家族の絆とそれに巻き込まれる宰相(霊感あり)によるプロローグ的な何か。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-07-01 19:49:57
10077文字
会話率:17%
天涯孤独の身でありながら、周囲の人々を救わずにはいられない慈悲深き13歳の美少女・東菊花。時に厳しく、時には子を想う母のように人々を幸せに導いていく。
いじめ、不登校、自殺……通学する中学校の浄化から、児童養護施設の悲しい運命をもった子供
達まで、人々を幸せに導く少女の孤軍奮闘ぶりは、誰もが驚愕するほど卓越したものだった。
彼女を慕う財閥御曹司・亞蘭丈太郎は彼女の周辺調査を開始。遂には施設内部の悲惨な状況、そして真実の彼女の姿を知り、自らの生き様を恥じ、丈太郎は自らの人生に疑問を持つようになっていく。
あるとき菊花は自分を捨てた母・男谷涼が、裏の産廃業者を仕切る暴力団の頭領であり、その母体が宗教団体を隠れ蓑にした凶悪な犯罪集団「七つの黄金燭台教団」である事を知る。
仇討ちに燃える今井家の人々と共に、菊花は教団との抗争事件に巻き込まれ、その中で少女は自らの生まれながらの素性を知ってしまう―――――
彼女には、幕末の剣聖・男谷精一郎信友の血が流れていた……。
(本物語は「タテ書き小説ネット」のPDF縦書きのみですべて文章調整しています。横書き、携帯ですと読みづらいかもしれませんがご了承ください)
★『東菊花は世界を救う 大百科事典』★ こちらも是非ご覧ください → http://ncode.syosetu.com/n8537bh/折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-08-16 13:25:54
141947文字
会話率:16%
日本プロ野球
野球人なら誰でも一度は
夢みる舞台だろう。
そんな華やかな舞台の
裏では
過酷な現実を
突きつけられる者もいる
この物語は華やかな
舞台の裏で
現実と向き合う男達の
物語
彼らは戦いの先で
どのような決断を
下すの
だろうか?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-01-10 10:00:00
239文字
会話率:0%