「……ッ、グ、ゴフッ……!」
仰向けに倒れる男は薄れゆく意識の中、自分にしがみつきながら泣きじゃくる子供の頭をつむじから優しくなでる。
「泣くなよなぁ……ハル。ほんと、お前は泣き虫だから困るぜ、まったくよぉ……」
倒れる男の横腹は大き
く抉れ、そこから内臓が飛び出てしとどに赤黒い血が流れ続ける。
傍から見れば、そんな状態で言葉を発していること自体が不思議なくらいだった。
だが、男は不死身などではない。
男の顔は見る見るうちに青白く変色し、生気を失ってゆく。
しかし、それに反して男の顔は酷く穏やかな表情をしている。
「なぁ……ハル、聞け……」
男は泣きじゃくる子供に向けてわずかに口角を上げて見せる。
本人は満面の笑みをしたつもりだったが、これが男にできる最大限の笑みだった。
子供は男の言葉を聞いて、何とか泣きじゃくるのを止める。
子供はまだ幼い齢ではあるが、もう男の命がもたないことを察し、何とか男の最後の言葉を聞き入れようと、奥歯を強く食いしばりながら、嗚咽を必死に噛み殺す。
「お前は……これから一人になるかもしれない……。でもそれは、お前を縛るものがもう何もないってことだ……。自由に生きろ。友達作って……彼女作って……、社長でも……プロ野球選手でもなんでも目指せ……。案外、人生って面白いからよ……」
子供は両目から大粒の涙をこぼしながら、悔しそうに男の衣服を掴む。
何かを言いたげだったが、今は何かを言葉にできる程感情の整理がままならなかった。
男はそんな子供の頭を愛おしそうに撫で、そして最後の力を振り絞って、一言、こう発する。
「……ハル、愛される……人生を送れ……よ……」
男はそう言うと、子供の頭に置かれた彼の手はだらりと地面に打ち付けられる。
子供は下唇を噛み締め、噛み切ったところからジワリと血の味が子供の口の中に広がっていく。
そして、雲一つない数々の星明りが照らす夜空を仰いで、少年は声が枯れるまで泣き続けるのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-07-02 22:32:09
60693文字
会話率:32%
俺は元プロ野球選手の教師だ。
そんな俺が野球部の監督になってくれるよう頼まれた。
頼んで来たのは野球部マネージャーの浅井泉。
俺は浅井に条件を出した。
「もし甲子園に行けたらエッチさせろ」
「こ、このエロ教師! 教育委員会に訴えてやる!」
しかし、どうしても野球部を甲子園に連れていきたい浅井は……。
さあ、熱血青春スポ根エッチドラマの開幕だ!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-09 20:00:00
5035文字
会話率:34%
とある県で行われた九十X回全国高校野球選手権大会県予選決勝の模様をお送り致します。春夏通じて甲子園初出場を目指す総合高校が、センバツ出場校海洋水産高校に挑む! というだけのお話です。体育会系とは無縁な筆者が挑む青春スポ根ドラマをお楽しみくだ
さい。
【総合高校】
監督 :宅師 潤一郎(48)
投手①:二階堂 海里(3年)左投左打
捕手②:峰川 誠 (3年)右投両打
一塁③:柳原 翔汰 (3年)右投左打
二塁④:中西 哲 (3年)右投右打★主将
三塁⑤:田村 薫 (2年)右投右打
遊撃⑥:中西 勇樹 (3年)右投左打
左翼⑦:小木 凌太朗(3年)右投右打
中堅⑧:群 滉聖 (2年)右投左打
右翼⑨:依田 稔 (3年)左投左打
投手⑩:安西 有 (3年)左投左打
投手⑪:行定 拓哉 (2年)右投右打
内野⑫:松原 祥太郎(2年)右投左打
外野⑬:春日 輝 (3年)右投右打
捕手⑭:森田 雅俊 (2年)右投右打
内野⑮:倉橋 爽 (3年)右投右打
内野⑯:大岩 雄星 (3年)右投左打
外野⑰:長嶋 徹 (1年)右投右打
内野⑱:柿沼 照 (3年)右投左打
外野⑲:加藤 智人 (1年)右投右打
投手⑳:堀 達也 (1年)左投左打
【海洋水産】
監督 :大沢 (35)
投手①:武田 (2年)右投左打
捕手②:塙 (3年)右投右打★主将
一塁③:戸塚 (3年)左投左打
二塁④:望月 (1年)右投左打
三塁⑤:八尾 (3年)右投右打
遊撃⑥:丸山 (2年)右投右打
左翼⑦:竜﨑 (3年)右投左打
中堅⑧:芹澤 (3年)右投左打
右翼⑨:ウィルソン (2年)右投左打
投手⑩:佐竹 (3年)左投左打
投手⑪:小林 (3年)左投左打
捕手⑫:加西 (1年)右投左打
外野⑬:三田 (2年)右投右打
外野⑭:高橋 (2年)右投右打
内野⑮:阿部 (3年)右投左打
投手⑯:鈴木 (3年)右投右打
内野⑰:大倉 (2年)右投右打
内野⑱:横山 (3年)右投左打
捕手⑲:広瀬 (3年)右投右打
投手⑳:平田 (1年)左投左打折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-31 08:00:00
33218文字
会話率:43%
野球選手を志す少年小泉亮太は登校途中、謎の穴に吸い込まれて異世界に転移してしまう。
転移先は、魔法あり、ドラゴンあり、騎士団ありの世界であった。
な
最終更新:2021-05-16 13:00:00
411文字
会話率:0%
アメリカから帰国した、高校生の浦木アインは父親の仕事の都合で日本の神奈川県にある早川高校へと入学をした。
そして、アインは野球部へと入学をして、キャッチャーの井伊小太郎やショートの柴原信一郎と出会い、個性豊かな先輩部員達や元プロ野球
選手の教師である、林田耕哉の下で甲子園を目指す為に練習と試合をこなすのであった。
そして、一年生ながらレギュラーに選ばれたアインは対外試合に挑む。
だが、アインには甲子園を目指すだけではなく、ある最終的に目標があったのであった。
果たして、その目的とは?
シニカルでニヒルな帰国子女の高校球児が仲間と共に頂点を目指す、青春高校野球ブラックコメディが堂々、スタート。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-16 01:00:00
175028文字
会話率:42%
この物語はフィクションですが、一部現存する学校が登場しております。
新潟県立松浜高等学校(現存しません)野球部の物語です。
物語の主人公コンドウケイタ(捕手、主将)は、親友のホシノトウマ(投手、副主将)と共に荒廃した松高(松浜高校)野
球部の再建をはかる事になる。
まずは2年と3年の先輩達との関係を良好なモノにする為、部室を勝手に片付けるケイタ達。下山監督という少し頼りないリーダーの元でまたも独断専行で、新入生のセレクションも行った。3年の先輩が起こした暴力事件で、2年間公式戦出場停止の厳しい処分を受けた元甲子園の常連校。割りを食った2年生は荒れに荒れた。だが、ケイタ達の提案で、甲子園には出られないが1年生は、夏の甲子園に一回だけ出るチャンスがある。
ケイタ達はそこにかけた。出られない先輩達のためにも。毎日朝練を6時からやり、放課後から夜遅く12:00まで正に野球漬けの日々を送っていた。
対外試合も、練習試合に限り解禁され、強豪私立に負けない練習試合の数をこなしていく。名将山田玄助の元、新潟県に初の深紅の大優勝旗を持ち帰る事15回。春夏通算30回出場の甲子園常連校であった。
その後山田玄助は77歳で一線を退くと、そこから松高の地獄の日々が始まる事になる。松高からプロ野球NPBで上位指命された偉大な先輩も数知れず、何とか松高野球部の再建を立て直しにかかるが、ここ10年で最好成績は2回戦という体たらくだった。
OB会としても、リトルリーグや強豪軟式野球部を要する中学校への積極的な松高への特別推薦枠を設けるなど、力を入れてきた。その成果が現れたのが今の2年生の代からだった。
右の本格派で、不動のエースだったシンカイ主将(キャプテン)を始め強力なクリーンナップで、秋の県大会で有名私立を圧倒し久しぶりに優勝して、北信越大会に出場した。エースシンカイの完璧なピッチングと、強力な打線に火が付き、石川県の星稜高校や、福井県の敦賀気比高校など、甲子園常連校に競り勝ち、秋の明治神宮大会に出場した。残念なから2回戦で、大阪府代表の履正社高校に延長タイブレークの末敗れたが、暴力事件なんかなければ、充分甲子園は手中にあった。暴力以外にも飲酒、喫煙者も現れ春の選抜大会には出場出来なかった。
それを知った松浜中学校のコンドウケイタとホシノトウマは松高への進学を決断した。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-07 10:39:17
184539文字
会話率:80%
【女子プロ野球選手、誕生。IFを描いた本格(?)野球小説!】
日本プロ野球に、女子選手の登録が認められた。
そして、いつしかプロ野球チームに女子選手が所属するのが当たり前となった時代。
彼女達の実際は、人気集めのアイドル、マスコット的な
役割のみを求められるのが現状だった。
そんな中、超弱小球団・湘南ドルフィンズの新監督に就任したリッキー・ホワイトランが、ドラフト会議で女子選手に異例の上位指名を行う。
彼女の名は「立花楓・22歳」。
これは、プロ野球選手のアイデンティティを変えた、一人の女子の記録である。
※本作品は他サイトとマルチ投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-04 02:35:33
333254文字
会話率:22%
プロ野球選手を目指す幼馴染の男子を隣で応援し続けてきたフルート吹きの女子高生、鈴羽。しかし高3の秋になり、幼馴染の彼は急に「プロを諦める」と言い出して──。
最終更新:2021-04-10 19:00:00
21808文字
会話率:35%
父は野球選手、母はレスリング元日本代表ある。スポーツマンの家庭で育った小泉亮太(16歳)は学校に行く途中突如として現れたワープホールに吸い込まれてしまい気絶した。目覚めるとチワワくらいの大きさのドラゴンとローブを来ている女性がいた
最終更新:2021-04-06 20:00:00
2243文字
会話率:10%
冴東(さえひがし) ユウジン。彼は子供のころから夢に見たプロ野球選手となった。そして迎えたプロ初打席。実業団から苦労を重ねて念願のその打席に感極まり、涙があふれそうになる彼。果たして彼の初打席はどういった結末を迎えるのか!?
一話完結です
。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-27 14:02:28
5763文字
会話率:42%
・「序章というかあらすじ」
2021年を迎えたばかりの頃、あと2年ばかしで魔法使いに昇格するところだった一人のアニオタが諸事情で転生することになった。
「やっぱ転生するなら、異世界かしら? 人気あるもんね、テンプレだもんね。」
転生案内に
慣れきった女神がそう尋ねると、アニオタは答えた。
「いえ、パラレルワールドで良いので、もう一回人生をやり直させてください、プロ野球選手になるので。」
1992年12月23日、一人のアニオタがパラレルワールドで再び生を享けた。
この年、毎年弱小だったとある大阪(兵庫県)の野球チーム(この先はチームTとでも表そう)が奇跡的に2位となり(優勝はしていない)関西は大盛り上がりであったが、アニオタが転生した先は元の人生と同じく北海道は札幌であったので、特に関係なかった。
その後、チームTは再び弱小チームに逆戻りし最下位の常連であったが、2003年に2005年と急に奇跡の優勝を2度も遂げたのであった。
なおその頃、転生したアニオタは当時の放映アニメには目もくれず、野球の練習にひたすら打ち込んでいた。
間の2004年には札幌にプロ野球チームFが誕生したが、そちらに興味を示すことも特に無かった。
それはアニオタが、いや「彼女」が小学生、中学生の頃の話である。
そんな訳で、アニオタは大好きなアニメを捨ててまで(なお1週目の世界であらかた見て終わっているが、2週目人生でも見ておきたいのは当たり前である)野球に打ち込んだが、2008年から2010年(正確には2011年の春)までの高校3年間で甲子園に出るどころか、高校野球に関わることは無かった。
しかしそれは「女子高生」だったからではない。
むしろこの「パラレルワールド」において「女子高生」であることは、高校球児として甲子園に出るにあたり何ら障害にはなりえない事情である。
「彼女」は、確実にチームTへ入団し、プロ野球の世界に飛び込み、そして「推しのアニメ」をプロ野球ファンに布教するためだけに転生したのである。
この物語は、そんなネジがぶっ飛んでいる「彼女」もとい「元童貞アニオタ」の暴走をただただ拾っただけの内容になる予定です、はい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-14 11:10:22
18769文字
会話率:25%
万年2軍暮らしのプロ野球選手、景浦涼は登板中の不慮の事故で命を落とす。
目を覚ますとそこは死後の世界。そして一人の美女。
「お前の力で、あのチームの優勝を阻止してほしい」
なんかもういろいろ訳ありの美女の願いを聞き遂げるべく(?)、前世
でワンナウトもとれなかった男が、異世界のグラウンドで躍動する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-04 00:11:54
13819文字
会話率:46%
大阪パイレーツの野球選手である三加野大輝(みかのだいき)は高校時代に甲子園で大活躍し、鳴り物入りでプロ野球界に入ったものの、ルーキー時代にしかも初戦で三振の山を築き、あえなく二軍に落ち、それからというもの二軍のスタメンはおろかベンチを温めて
いた。
不甲斐ない毎日を暮らしていたところ、夜中に宅配便が来て、その郵便物はDVDが入っていた。大輝は生まれたころからICチップに組み込まれた人生を送っていることが分かり、DVDによる回想シーンで振り返り、そして今後の人生の選択を決めることになるのだが・・・。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-02 18:32:38
15306文字
会話率:7%
プロ野球選手を目指していたお人よしの青年、卯月。だが、彼の夢は事故によって叶わなくなった。
そんな卯月の前に、突然スライムが現れ……?
「はーい、じゃあ初回11連召喚するからねー。確定星3だから大丈夫大丈夫」
「まごうことなき闇ガチ
ャじゃねえか!」
「ガチャじゃない! これは召喚術式だ!」
致命的に不運な卯月と、その相棒がおくる、平凡な英雄譚。
「チェンジ! こいつとだけはパートナーになりたくない!」
「許さんぞ貴様! 俺様だって嫌だわ阿呆!」
青年は、やがて英雄に至る。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-01 22:41:37
742892文字
会話率:40%
プロ野球選手を諦めひょんなことからプロボクサーとなった主人公である藤原拳心のお話し。
最終更新:2021-01-30 19:00:00
18164文字
会話率:32%
何の取柄も無い主人公。寝ていたはずなのに気付くと過去の自分に。
幼い頃の将来の夢である『プロ野球選手』を目指し人生のやり直しが今、始まる。
最終更新:2021-01-24 00:33:27
916文字
会話率:39%
野球選手として将来を有望視されていた主人公の少年が、ある日不慮の事故にあいプロの野球選手としての夢を絶たれてしまう。…がその日出会った捨て猫との出会いが彼の人生を大きく変えていく。
プロ野球選手としてではなく、別の道で成功をおさめた彼には数
多くの素晴らしい出会いが待っている。だがしかし、そのそれぞれが心に深い傷を負いながら生きていた事が彼の成功後に徐々に明らかになっていく。
人生の不条理さと、それでも精一杯生きていこうともがきながら前を向く人々の話です。
*この作品は「アメブロ」「ツイッター」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-02 11:43:58
129907文字
会話率:38%
僕は、今、運送会社で働いている。小学校の文集の中央に誇らしげに「夢」と書かれた寄せ書きに「プロ野球選手になりたい」と書いた僕は高校時代に肘を壊し、そのまま大学には進めずに、叔父の紹介してくれた、トラックの運送の仕事をしている、僕は一日、20
件から30件の荷物の配送をしていて、寒い時や雨が降った時に軋むように痛む腰にベルトを巻いて、なんとか日々の生計を立てていた。僕は独身で、夜になったら一人カップラーメンを啜る。朝になったら起き、夜遅くまで配送をしていた。時折、深夜に東京まで遠距離の配送することもある。配送先では親切な人もいるし、邪険に扱われ、「再配送」を命じられることもある。
運送会社で働く「僕」。日々の生活は単調で、何の希望もなかった。同窓会で会った友達に幼馴染の「ハルカ」の所在を聞いた「僕」。
小学校の手紙は「明日への手紙」だった。恋愛小説です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-28 08:45:59
5756文字
会話率:41%
水田菜緒(初のプロ野球選手)と、しがない男の一瞬だけすれ違う人間模様。
最終更新:2020-12-14 06:48:07
12612文字
会話率:24%
わたし、諏訪薔薇子(すわ・ばらこ)はトイレに行ったら推しになりました。推しはというと、わたしではなく別人(?)になっていました。さてどうしたことでしょう? 野球ファンと野球選手と何かしらの入れ替り話。
最終更新:2020-12-12 23:23:15
7988文字
会話率:43%